そのひとつが、「ごはんのおとも」。

ごはんのおとも -
少し懐かしい風情を漂わせる町に住む人々と、彼らが集うお店を、食べ物と共に描いた作品です。
最近この作品の第二巻が発売され、相変わらずの見事な面白さだったので、ご購入を考えている方のために、一巻について少し書かせていただきます。

ごはんのおとも 2 -
各巻第一話が試し読みができるページはコチラです。
http://j-nbooks.jp/comic/original.php?oKey=20&iKey=123(第一巻)
http://j-nbooks.jp/comic/original.php?oKey=20&iKey=585(第二巻)
第一巻の一話目は、ぽっちゃり青年タブチ君のマイペースな日常が、コンビニでの「ある出会い」によって変化する、というお話です。
このお話でタブチ君の職場の人々や、行きつけのカフェ、飲み屋の店主と常連たちが登場していますが、実はこの人たち全員、後で何度も作品内に姿を現します。(とおりすがりだったり、別の作品の主人公だったり。)
一話ごとにしゃれて温かみのある起承転結がついていて、素朴なごはんのおともメニューとそれを食べながら日常のこもごもを生きる人々の姿にほのぼのしたり、しんみりしたりできます。オールカラーでノスタルジックな色使いと、すみずみまで工夫を凝らしたページも美しい。
ちなみに、登場する料理とレシピそのものはとてもシンプルなのですが、アレンジが載っているところが便利です。
(この後、セロリとじゃこの炒め物&ツナとひじきの煮物が我が家の定番になりました。あとなめたけのアレンジレシピでパスタにのせるというのがあり、美味しかったです。)
本当に全話外れ無しなのですが、個人的に一冊目の好きなお話を少しだけ並べさせていただきます。
・「たったひとこと」
昆布が大好きという渋い味覚の幼稚園児アキちゃんのお話。
その味覚がきっかけで、誤解とはいえ女心を傷つけられ、行きつけ(お母さん同行)の「カフェ・ノンブル」の店主ノブさん(オネエ男子)に、そのことを打ち明けに行きます。
・「魔法みたいに」
路地裏の小さな料理屋「ひとくちや」が舞台。
お客さんたちがその日食べたいものを、魔法のようにさりげなく出してくれる不思議な店主クマさんの少年時代のお話。
・「ずうっと」
「ひとくちや」の常連のひとり、トウドウさん(第一話タブチ君の上司)のお話。
タッパーの片隅に残る、冷凍したきんぴらごぼうを、ただじっと見つめている理由とは……。
登場する人みんな魅力的なのですが、もの柔らかなオネエ男子のカフェ店主ノブさんと、アキちゃんの関係がイチオシ。
(「アキ」「ノブ」と名前で呼び合い、アキちゃんが相談事をしたり、それを受けたノブさんがアキちゃんを子供扱いせずに丁寧に接しているところがイイ。)
アキちゃんとノブさん。
(ちなみにカフェの名前は「カフェ・ノンブル(※)」、「ひとくちや」と並んで町の人々の憩いの場)
(※)「nombre」フランス語で「ページ番号(をうつ)」という意味と、ノブさんの名前をかけている模様。
このように、各話独立した短編集として読んでも十分楽しめる作品です。
しかし、この作品は丸一冊読みとおしたときに魅力が増す仕掛けが隠されています。
次回記事では、この作品の「一冊読み通し、読み返したときに気づく愉しみ」について、ご紹介させていただきます。
読んでくださってありがとうございました。
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