
レオン完全版(吹替版) -
家族を麻薬密売組織に殺された少女マチルダが、同じアパートに住む殺し屋レオンの元に逃げ込んできたことからはじまる、奇妙な同居生活と二人の心の交流を描いた作品です。
冷酷な殺し屋の腕と少年のような心を持つレオンと、幼い弟を殺した組織への復讐のためにレオンから殺しを教わりたいと思いながら、やがてレオンを愛するようになるマチルダ。
それぞれギャップのあるキャラクターの魅力が光ります。
また、マチルダの家族を皆殺しにした、非情と言うか崩壊しているスタンスフィールドの狂気、レオンの殺しの報酬を預かっていると言いながらおそらくは着服している、レオンと同じイタリア系のレストランオーナー(実はマフィア)のトニーの、闇社会に通じながらも情のある性格なども、作品の厚みになっています。
都会の底知れぬ冷ややかな殺気を感じさせる、重厚でスタイリッシュな音楽と、子供が面白がってポン、ポンと小さな指で弾いている様子を思わせる、シンプルで懐かしさ漂うピアノの曲の交錯も味わい深い。
そして、エンドロールはスティングの「Shape of my heart」。
ギターと少し掠れた声が、物語ラストシーンで熱くなった胸に染みる名曲です。
前回「白い犬とワルツを」ご紹介記事で書かせていただいた、私の「1980年代後半〜1990年代こそアメリカ映像作品の黄金期である」論の中にこの作品も入っております。内容が内容なだけに、この時期のアメリカ映画の長所である「シンプルで温かい前向きさ」の要素には欠けますが、もう一つの長所である「まっすぐな情」はものすごくちゃんとあります。
この映画の公開当初のキャッチコピー「凶暴な純愛」だったのですが、コレホント見事にこの作品の良さを言い表していると思います。レオンを見つめるマチルダの、憧れに光りながら射るようなまなざしや、マチルダを大きな全身で包んで守るレオンのしぐさからそれがひしひしと伝わってきて魅了される。
確かなことは言えないのですが、今回観られる方は観ておいていただきたいし、できれば録画をお勧めしたいな、と思うのは、どうも放送時間から察するに、今回放映されるのは劇場版のようだからです。
レオンには完全版(約130分)と劇場版(110分)があって、個人的には劇場版の方が好きなのです。でもどうやら今は完全版のほうが一般的らしく、こっちが観られる機会はそんなにないようなので……。
ちなみに完全版では劇場版には無い、レオンとマチルダのやりとりの場面が20分含まれています。
レオンもマチルダも魅力的なキャラクターなのだから、長く観られるのは結構な話じゃないかと思われるかもしれませんが、また、実際私もカットシーンを観られるのを楽しみにしていましたが、観たら、「どちらかというと無い方がいい」と思いました。
と、いうのも完全版だとマチルダのレオンに対する想いが「異性への恋心」だという印象が強くなってしまうからです。
色々語られぬ部分を残して、深い絆をはぐくんだ二人の間柄に「『友情』、『家族』、『師弟』、『同志』、そして『恋』」みたいに含みを持たせたディレクターズカットのほうが個人的には惹かれます。
今は「完全版」だけをご存知だという方も多いかと思いますので、もし今回の放送が劇場版でしたら、ぜひこの味わいの違いをご鑑賞いただきたいと思います。
土曜、この放送が終わりましたら、作品の名場面についてネタバレ編を書かせていただきますので、よろしければまたいらしてください。
当ブログレオンに関する記事は以下の通りです。
ネタバレ編@「キッチンのブタ」
ネタバレ編A「観葉植物」
ネタバレ編B「出口へ向かうレオン」
読んでくださってありがとうございました。
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