2016年09月17日

映画「アンタッチャブル(The Untouchables)」(1987年アメリカ映画)ご紹介(なにもかもが完璧な傑作映画)

 イマジカTVをご覧になれる方へ、取り急ぎお知らせです。

 2016年9月19日(月)16:00〜18:15、アメリカの名作映画「アンタッチャブル(吹き替え版)」(1987年 アメリカ)が放送されます。

 公式HP情報は以下のとおりです。
 http://www.imagica-bs.com/program/episode.php?prg_cd=CIID165241&episode_cd=0001&epg_ver_cd=03&epi_one_flg=index.php 
アンタッチャブル スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray] -
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 禁酒法時代のシカゴ、対立勢力を抹殺し、政府、警察をも買収して、もはや実質的な市長と言われるほどの権力を持ったマフィア、アル・カポネに立ち向かった、アメリカ財務省捜査官チーム「アンタッチャブル」の戦いを、実話をもとに描いた作品です。

 なお「アンタッチャブル」とは「あざーす!」と「横山やすしの再来」のアノお笑いコンビ様ではなく、「不可侵のもの」という意味。
 (英辞郎 on Webの「Untoucheble」の意味URL……http://eow.alc.co.jp/search?q=untouchable

 もはや財務省内部の人間も、カポネに買収されているか、怖気づいているかで、本当に捜査に携われる人間がほとんどいないという状況下、何者にも惑わされぬ意思を持った者たちというニュアンスだと思われます。

 個人的に1980年〜1990年代が、アメリカ映画の豊穣期だと思っているのですが(演技が丁寧に撮れているし、ストーリーの中で、現実のシビアさと、人の心の美しい部分の両方が描かれている、そのさじ加減が絶妙)これもそういった傑作の一つです。
 
 なお、デ・ニーロ演じるカポネが仲間が集まる食事の席で、いきなり裏切り者をバッドで殴り殺すシーンや、乳母車が転がり落ちる中での階段での銃撃シーン(※1)は有名で、他の映画でパロディ化されています(※2)。

(※1)元々「戦艦ポチョムキン」という映画の一シーンを踏襲したもの
(※2)前者は三谷幸喜の「マジックアワー」、後者は「裸の銃を持つ男33 1/3」で観ることができます。

 作品のあらすじは以下のとおりです。

 マフィアたちの抗争と腐敗がはびこる町シカゴに新たに赴任してきた財務省エリオット・ネス(ケビン・コスナー)は、アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)を逮捕しようと躍起になるが、捜査に失敗し、周囲の嘲笑を浴びてしまう。
 
 市民が犠牲となる事態が相次いでいても、もはやシカゴの公の権力から、本気でカポネを倒そうとする人物はいなくなっており、孤立無援のネス。

 しかし、彼は偶然出会った初老の警官マローンに気骨を感じ、彼に協力を依頼、マローンにスカウトされチームに加わった若き射撃の名手ジョージ・ストーン(アンディ・ガルシア)、財務省簿記係のオスカー・ウォーレス(チャールズ・マーティン・スミス)とともに、チームを結成し、再び捜査を開始する。

 (マローンにチームに加わってくれるように頼むネス。〈職場の人間に聞かれることを恐れて教会に呼び出している〉)
 
https://www.youtube.com/watch?v=xPZ6eaL3S2E

 今や実現不可能と思われる豪華出演陣それぞれの名演怪演と、凶悪なマフィアとの息詰まる戦いの中で生まれた男たちの友情を描いたストーリー、衣装(ジョルジォ・アルマーニ)(※3)や音楽(エンニオ・モリコーネ)(※4)に至るまで、非の打ちどころの無い作品です。

(※3)シルエット帽にコートというエレガントないでたちで銃を構えるケビン・コスナーをはじめとして、誰の目にもわかる品の良い仕立てが映像に華を添えていますが、ショーン・コネリーは自分の役柄上ありえないと思ったのか自前の服で臨んだそうです(ウィキペディアより)。
 こちらもほどほどに着古した感じやハンチング帽との組み合わせが、うなるほどに粋。かつケビン・コスナーと並ぶと対比の妙があります。(中年〜熟年男性のファッションのお手本になると思います)
 異なる価値観がどちらも映画をより素晴らしくしたという珍しい例

(※4)エンニオ・モリコーネ
 1950年代から現在に至るまで活躍している作曲家。映画音楽作品では「ニュー・シネマ・パラダイス」や本作「アンタッチャブル」などが有名。勇壮、官能、不吉、癒し、郷愁と、あらゆる印象の名曲を作り上げる巨匠。小泉元首相、葉加瀬太郎、チェリストのヨー・ヨー・マ等、有名人のファンも多い。(この流れで書くのもなんですが私も大好きです。)

 アンタッチャブルサントラは入っていないのですがアルバム視聴動画があったので張らせていただきます。この中だと8曲目の「La Califfa」がおススメです。


https://www.youtube.com/watch?v=Jjq6e1LJHxw


 見どころ満載というか、見どころ(&聴きどころ)しかない名作なので、ぜひご覧になってみてください。

 (この日は「ハリネズミホテルへようこそ」、「クリスティのフレンチミステリー ABC殺人事件(AXNミステリー)」も再放送され、個人的には好きな作品が急に大集合しています……。よろしければ当ブログ関連記事も併せてお読みください。
「クリスティのフレンチ・ミステリー「ABC殺人事件」(ドラマ独自の年の差恋愛も見どころ)
イギリスのハリネズミ愛(地球ドラマチック「ハリネズミホテルへようこそ」によせて)

 映画「アンタッチャブル」については今後もう少し詳しくご紹介させていただく予定です。

 読んでくださってありがとうございました。


(参照ページ一覧 ※すべてウィキペディア)
 ・映画「アンタッチャブル」
 ・「アル・カポネ」
 ・エリオット・ネス
【関連する記事】
posted by Palum. at 07:30| おすすめ映画(英米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月16日

クリスティのフレンチ・ミステリー「ABC殺人事件」(ドラマ独自の年の差恋愛も見どころ)


 AXNミステリーチャンネルがご覧になれる方限定なのですが、お勧めの推理ドラマがあるのでご紹介させていただきます

 クリスティのフレンチ・ミステリー
(原題:Les Petits Meurtres d'Agatha Christie−)

Les Petits Meurtres D'agatha Christie: Set 1 [DVD] [Import] -
Les Petits Meurtres D'agatha Christie: Set 1 [DVD] [Import] -

2016年9月19日(月)22:00より、「ABC殺人事件(Les Meurtres ABC)」を皮切りにシリーズの再放送が始まります。(ABC殺人事件は 10月15日 (土)22:00〜再度放送予定)

Les Petits meurtres d'Agatha Christie - Les meurtres ABC -
Les Petits meurtres d'Agatha Christie - Les meurtres ABC -

番組公式HPはこちらです。(右上に放送予定表示ボタンがあります。)
http://mystery.co.jp/programs/agatha_french

 アガサ・クリスティ作品の大筋をふまえつつ、探偵役のポアロやミス・マープルを登場させずに、ドラマ独自のキャラクター、ラロジエール警視とランピオン刑事が事件を解決するという風変わりな構成です。

 名作に手を加えて成功する例は稀だと思うのですが、このドラマに限って言えば、原作に忠実という意味では他の追随を許さない、恐ろしいほどに完璧なイギリス版ドラマには無いユーモアがあり、原作を読んだ人でも別物として楽しめる構成になっています。

 一見エリートダンディなのに、おこりんぼで毒舌で日常的に部下に八つ当たりし、女好きで、それなのに落ち込むと前後不覚の酒浸りになるという、名探偵としては稀にみるほど手に負えない性格のラロジエール警視(ランピオン曰く「長所を見つけるのが難しい人(酷)」)と、まじめで優しく、地道に捜査に臨むランピオン(ちなみに同性愛者で男女問わず結構モテる〈ラロジエールが押しの一手なのに比べ、向こうが静かに寄ってくる感じ〉)の掛け合い(半分口論)や、ここぞというときには発揮される仕事への情熱と冴えわたる推理力も見ごたえがありますし、クリスティ作品にしばしば見られる薄暗い後味を、設定を少しずつ動かすことで、印象を変えてくれている回もあります。

 見た範囲で、このアレンジが最も冴えわたっていると思ったのは今回第一回目で放送される「ABC殺人事件」と以前紹介記事(ネタバレ)を書かせていただいた「五匹の子豚(今回は10月31日 22:00〜)」です。

 「ABC殺人事件」は、本来ポアロが登場する、クリスティ作品の中でも屈指の人気を誇る作品です。

ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) -
ABC殺人事件 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) -

 異なる町で名前にA、B、Cの頭文字を持つ人物が次々と殺され、直前にラロジエールたち(原作ではポアロ)のもとに届く殺人予告。

 同じころ、戦争で受けた傷がもとで、記憶が途切れるという症状を持っていた中年男性キュスト(原作ではカスト)は不安にさいなまれていた。
 彼が得た、ストッキングのセールス業で行く先々で殺人が起こり、自分にはどうしても思い出せない記憶の空白がある……。

 もしや自分が犯人なのではという疑念が離れず、苦しむキュスト。

 しかし、普段は控えめだが優しい目をした彼に、下宿先の娘リリが年の差を超えて好意を抱き、彼の苦悩を薄々感じながらも、彼を支えようとします。

 一方、犯人の足取りがつかめないまま殺人が重ねられ、激しく自分に落胆するラロジエール。ランピオンは彼を励まし、再び捜査に乗り出します。

 原作自体、事件の全貌があまりに意外で、読み応えがありますが、このドラマでは、原作よりも登場人物を絞り込み、キュストとリリの交流を、この殺伐とした連続殺人と対比させています。

 原作にもこのリリに当たる下宿屋の娘(リリー)が登場するのですが、彼女にはトムという恋人がいて、カスト(キュスト)の境遇に同情的ながら、一方で彼が犯人ではないかという疑いもぬぐえず、恋人と彼の周辺を調べたりしています。
(なので、原作ハヤカワ文庫では完全に脇役扱いで、冒頭の登場人物紹介から外されている。)

 一方ドラマのリリは、彼女が男としての自分を好いているなどとは夢にも思わないで、ただ穏やかに話し相手をしてくれるだけのキュストをなんとか振り向かせようと、下宿屋の仕事を超えて彼に尽くし、彼の部屋の前に入る前には身だしなみをととのえたりしています。

 こういう、「好きな人に好かれたくて頑張る人」の描写ってなんか和むんですよね……それにミステリー作品に、一生懸命家事をするとか、服や髪形と気にするなどのさりげない場面が織り込まれるのも珍しいと思います。

 母子家庭で父親にいい思い出が無い様子なので、キュストに優しい大人の男を求めたのかもしれませんが、甘えるよりむしろいつもキュストを励まし、いそいそと世話を焼いているリリは、初々しいけれど包容力があるという、ある意味理想の女性です。
(ずば抜けて美人ってわけじゃないけれど、話し方に温かみがあってピンクの似合う可愛い人)

 メインは推理ドラマなので、それほど長く登場するわけではありませんが、このつつましいしぐさややりとりが心に残ります。

 最近大ヒットしている年の差恋愛漫画「恋は雨上がりのように」(※)がお好きならおススメしたい回です。

恋は雨上がりのように 1 (ビッグコミックス) -
恋は雨上がりのように 1 (ビッグコミックス) -

 (※)女子高生橘あきら(クールな雰囲気〈中身は違うけど〉の激美少女)が、バイト先の一見冴えない雇われ店長(45歳、作中では頼りないとか、なんかクサいとかさんざんな言われようだが笑顔と性格がとても良い。あきらちゃん見る目あるぞ)に片思いをして、彼の心を掴もうと奔走するストーリー。抜群に美しい絵やどこか文学的な心理描写と光景、二人以外の登場人物たちも魅力。

 この「フレンチ・ミステリー」そのほかの回も非常にレベルが高く、特に序盤にギャグ、最後に美しい余韻がある「五匹の子豚」は必見です。

 当ブログのフレンチミステリーに関連する主な記事は以下のとおりです。よろしければ併せてご覧ください。(一部内容が重複しています。またリンク切れが多いのであらかじめご了承ください。)
クリスティのフレンチ・ミステリー(AXNミステリー・フランスドラマ)
「クリスティのフレンチ・ミステリー」再再放送(AXNミステリー
「五匹の子豚」(クリスティのフレンチ・ミステリー※ネタバレ編)
クリスティのフレンチミステリー「ABC殺人事件」(ドラマ独自の年の差恋愛も見どころ)

 なお、私はビタ一文読めないのですが(汗)、ドラマに関するフランス語のウィキペディア記事があったので、貼らせていただきます。
「クリスティのフレンチミステリー(原題:Les Petits Meurtres d'Agatha Christie)」の紹介ページ
同上「ABC殺人事件(Les Meurtres ABC)」の項目

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum. at 19:56| 日本の海外テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月15日

「魔法の庭 ダルメイン」(NHK BSプレミアム)続編と再放送のお知らせ

(2017年5月28日加筆修正)

 NHK BSプレミアムで、イギリス湖水地方の庭園と邸宅「ダルメイン(Dalemain)」を紹介したドキュメンタリー番組「魔法の庭 ダルメイン 秋冬 そして春」が2017年5月31日午後9時に放送されます。 
(90分番組)

 これは、2016年に放映され、大好評だった初回番組「魔法の庭 ダルメイン〜イギリス湖水地方の田園ライフ」の続編で、これに併せて初回番組も同30日午後5時より再放送されます。(同じく90分)

 イギリス湖水地方の歴史ある邸宅「ダルメイン(dalemain)」で代々庭造りをする女性たち。


(ダルメインの邸宅と庭)
庭から見たダルメインの邸宅.jpg

(ダルメインの邸宅)
ダルメインの邸宅.jpg

(邸宅からの湖水地方の眺め)ダルメイン邸宅の前に広がる景色.jpg


 30日の再放送番組では、12代目の妻ジェーン・ヘーゼル・マコッシュさんを取材し、一族の歴史や、ジェーンさんが義母シルビアさんから引き継いだ庭への思い、鳥や庭に住むハリネズミたちと協力し、自然の力を生かして作られる美しい庭の春から夏の移り変わりが紹介されています。

 ダルメインで地元とヘーゼル・マコッシュ家の皆さんの協力で開催される、世界的なマーマレードの大会「Marmalade Festival」の様子も見所です。


(売店にかけられたマーマレードの説明パネル。中央写真の女性がジェーンさん。)
マーマレードの説明.jpg

 31日の続編では、庭の仕込みの時期となる秋冬のジェーンさんたちのご活動を紹介。今度は庭に住むリスがジェーンさんたちをお手伝い。更に、歴史あるリンゴの木と、リンゴ料理のレシピも登場するそうです。

 初回番組に感動し、5月にダルメインを訪問させていただいたのですが、本当に本当に素晴らしいところでした。庭と邸宅は暖かみと磨き抜かれた美意識が漂い、この場所を守る人々の一人一人も、プライドを持ち、訪れた人々に親切に接してくださる魅力的な方たちばかりです。
(旅行の体験記も近日中に更新させていただきます。)

 この訪問のときに、日本語のパンフレットを頂いたので、以下に一部ご紹介文を抜粋・引用させていただきます。
(※画像はブログ筆者撮影)

 「ダルメイン……2013年庭園賞受賞」

 ・ダルメインの庭 

  ダルメインの庭は、様々な世代に引き継がれ、愛され続けてきました。2万平方メートルの庭は、たくさんの多年生の草花と魅力的な珍しい花のコンビネーションを楽しむことができます。


ダルメインの庭4.jpg

ダルメインの庭2.jpg


 テラス・ボーダー(Terrace border)には、乾いた環境を好む植物や長い期間咲く花が植えられています。
 
 エリザベス朝に流行したノット・ガーデン(Knot garden)は、幾何学模様に刈り込まれた生け垣が特徴。生け垣の中には、ハーブや白い花々が植えられています。

 アップル・ウォーク(Apple walk)には、歴史あるりんごの木立とともにイギリスの伝統的なバラが植えられています。
 
 ここは6月から7月にかけて優しい花の香りに包まれます。

 ワイルド・ガーデン(Wild garden)には、ダルメインと呼ばれるブルー・ポピーが植えられています。ヒマラヤ産のこの花は、ダルメインの庭で特別な品種に生まれ変わりました。5月から6月にかけて美しい花を咲かせます。

 ダルメインの屋敷の裏には、デイカー村(Dacre)へ続くおよそ1.6キロの小道があり散策することができます。周辺は羊や牛たちの放牧の場所となっていますが、歩くと様々な野生の生きものたちにも出会えます。

 中世の面影が残る中庭

 ダルメインの中庭には、16世紀のエリザベス朝時代に建てられたバーン・ハウス(Barn house)があります。中には、カンブリア地方の農具が展覧されています。


The Great Barn.jpg

 かつて屋敷でも使われた、カブを押しつぶす「ターニップ・バッシャー」とチーズを握り出す「チーズ・プレス」、そして、この地方原産のフェル・ポニーのためのバグも展示されています。ギフトショップ(Gift Shop)には、マーマレードなど様々なお土産が取りそろえてあります。また植物センターでは庭で育てた植物も買うことができます。

 中世の雰囲気の中でカプチーノ?

 ダルメインのティー・ルーム(Mediaeval Hall Tearoom)、中世のホールで暖炉の火をゆっくり楽しみながら、手作りの暖かい料理、サンドイッチ、伝統的なスコーンやチョコレートケーキをお楽しみいただけます。ティー・ルームは入場無料、年間を通じてオープンしています。
(冬季は毎日オープンしていないので、スケジュール要チェック。)

ダルメインにいらしたら……

1.ミセス・マウスの家を訪ねてください
  (ブログ筆者補足:邸内の見学ツアーに参加すると、「ミセス・マウスの家」という表札と小さな扉と窓がついている階段があります。絵本のようにここにネズミのお宅が……ということみたいです)

2. 鳥好きのジミーと一緒に野生の鳥たちの餌付けをしてみてください
  (補足、おそらく初回番組に登場された、敷地内に住まれる職員の方のことだと思います。)

3.秀逸なマーマレードの数々を味わってください
  (補足:売店〈チケット売り場を兼ねる〉には、ダルメイン特製のもの、数年間の大会勝者のものなど、様々なマーマレードが販売されています〈日本のものも〉。主催者の貫禄、ダルメイン製のマーマレードも甘み、酸味、苦みのバランスが絶妙でした!!)

売店.jpg

4.イギリスで最も古い壁紙の一つをご覧ください
(補足:邸内ツアーで、中国趣味の豪華な部屋「チャイニーズルーム」のエキゾチックな柄の壁紙を見ることができます。一部中国の陶器なども飾られ、調度品も美しく、色調は落ち着いているけれど華麗で抜群のセンスの一室です。)

5.生け垣のドラゴンに食べられないようにご注意を!
(補足:生け垣を刈り込んで作られたドラゴンがいます。背中のギザギザとまるっちい顔と鼻の穴がかわいらしい〈笑〉)

生け垣のドラゴン.jpg
6.手作りのおいしいスコーンを楽しんでください
 (補足:ティールームで食べられます。ダルメインのマーマレードとクロテッドクリームが添えられているものも。ティールームは雰囲気が良くてほかの食べ物もとっても美味しかったです。)

7.野生のダマジカたちの姿を見るのを忘れずに
 (敷地奥の柵の向こうにバンビのようなきれいな柄のシカが羊のようにのんびり寝そべっていました。)


ダマジカ.png

8.5月から7月初旬にかけて開花するダルメインと呼ばれるブルー・ポピーをご観賞ください

9. ダルメイン・ゴールド・アップルと呼ばれる屋敷の古いリンゴの木を訪ね、アップル・ミント・ゼリーをご賞味ください

10.300年以上に渡りダルメインに代々暮らしたヘーゼル家の人々の肖像画をご覧ください
 (補足:邸内ツアーで、描かれた人々の生涯について聞くことができます。ドレス姿のとても素敵なジェーンさん、スコットランドの血筋が混じっていることを誇りとして、キルト〈男性の民族衣装〉を着る息子さんの少年時代の肖像画なども見られます。)

 以上、パンフレットの抜粋引用でした。

 私がダルメインを訪れた際、あの場所で働く方たちから、NHKの取材スタッフの方たちが本当に丁寧に何度も取材をされたこと(また〈湖水地方は雨も多いけれど〉運良くいつも晴れの日に来られたこと)を教えていただきました。そして、ダルメインの方たちが、NHKの方たちの熱意を喜んでくださっていることが、その笑顔から伝わってきました。

 そうしたNHKの方たちの誠意と、ダルメインの方たちのお人柄が相まって、庭と自然と歴史の調和という、イギリスの美の集大成のようなダルメインという場所の魅力を伝えてくれる番組です。是非ご覧ください。


当ブログ、ダルメイン関連の記事は以下の通りです。
ダルメイン訪問記1
ダルメインへの交通アクセス例(ロンドン発の場合)

 NHKと、ダルメインの公式HP情報は以下のとおりです。
  (魔法の庭 ダルメイン〜秋冬 そして 春〜)※続編番組情報

(もっとNHKドキュメンタリー「魔法の庭 ダルメイン」)※初回番組情報

 (The Dalemain Estateのホームページ)

 (同HP日本語紹介ページ〈二種類〉)

(同HPガーデン情報ホームページ)

※なお、2017年3月18、19日、ダルメインで開催されたマーマレードの大会「Marmalade Festival 2017」ではイギリスで活躍中の日本人ペストリーシェフ川秀子(Hideko Kawa)さんが招かれ、ゆずマーマレードの紹介など、食のイベントをなさったそうです。

 川秀子さんのイベント記事はコチラ

 前述フェスティバル情報ページによると、マーマレードフェスティバルの際には、近くの町ペンリス(Penrith)から、無料シャトルバス「Orange Express(萌)」が特別に運行されるそうなので、お出かけになる方は情報をご確認ください。

 ・フェスティバル開催中の特別交通情報を伝える記事
 この時期は「Penrith」駅が「Marmalake District(※「マーマレード」と「レイクディストリクト(湖水地方)」をかけた洒落)と名前を変えるそうです。しかも駅表示がオレンジ色(萌萌)。

 次回記事では、この素敵な場所についての、個人的な思い出や写真などをご紹介いたします。よろしければご覧ください。

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 23:05| 日本の海外テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月14日

イギリスの贋作師ジョン・マイアット(NHK BS世界のドキュメンタリー 「贋作師 ベルトラッチ 〜超一級のニセモノ〜」によせて) 


先日、NHK BS世界のドキュメンタリーの「贋作師ベルトラッチ 〜超一級のニセモノ」(2014年 ドイツ 原題:BELTRACCHI - THE ART OF FORGERY)2016年9月15日(木〈水曜深夜〉)午前0時00分〜0時50分放送。)という番組にちなみ、ベルトラッチ氏の周辺情報をご紹介させていただきました。

 前回ベルトラッチ氏関連の記事はコチラです。

今回は、さらに、イギリスの有名な贋作師ジョン・マイアット(John Myatt)氏について書かせていただきます。

 彼がインタビューを受けている動画はこちらです。(BOSSコーヒーのトミー・リー・ジョーンズと蟹江敬三さんを足して2で割ったみたいな風貌。この中で彼が描いているモネ風の絵は非常に丁寧で見事です。)



https://www.youtube.com/watch?v=tbfx6wbznzE

こちらがオルセー美術館所蔵のモネ作 国会議事堂(ウィキペディア Pimbrils

モネ 国会議事堂.jpg

 かつて20世紀最大とも言われた大規模な贋作事件に関わり、今はその贋作のノウハウと高い技術を、ベルトラッチ氏同様ドキュメンタリー等で堂々と披露しています。

 贋作師としての腕前のみならず、その数奇な経歴、そしてそれを経た後の彼自身の独特の個性が、一目見て印象に残る人物です。

 (彼についてはかつてNHKでも「贋作の迷宮」というハイビジョン特集で紹介していたそうです。)

 ジョン・マイアットは、1945年生まれ、もともとは美術教師だったのですが、幼い子供二人を残して家を出てしまった妻の代わりに育児をするため、退職を余儀なくされました。

 生計を立てるため、「本物の贋作(Genuine Fakes)を数万円で描く」という複製画作成の広告を出したところ、ジョン・ドリュー(John Drewe)という人物が顧客としてあらわれ、やがて、彼に複製画を本物と偽って売る詐欺を持ち掛けます。

 真贋鑑定の際、非常に重要になるのが、絵の来歴がわかる資料の存在なのですが、 ドリューの手口は大胆不敵、教授と身分を偽って名だたる美術館に寄付を持ち掛け、館内資料室に入りこむと、マイアット氏が描いた絵の来歴が記された偽造書類を資料室所蔵の資料に紛れ込ませ、あたかもその作品が過去から存在するかのように見せかけました。

 絵が本物として名門オークションハウスクリスティーズで高値がつくなど、計画は順調に進んでいましたが、ドリューの関係者が、彼の詐欺行為の証拠となる書類を発見、通報したことで二人は逮捕されました。

 マイアット氏には懲役1年の計が課されましたが、実際に刑務所に入っていたのは約4ヶ月、非常に恐ろしい経験ではあったものの、囚人に頼まれ鉛筆で似顔絵を描くなどしてコミュニケーションをとっていたそうです。

 元々子供を育てながら収入を手に入れるためにはじめてしまった詐欺行為でしたが、自分が逮捕されたことが子供にどう影響するかを思って心を痛めていたマイアット氏。

 しかし逮捕時思春期だった子供たちは、世界的美術館やオークションハウスをも翻弄した父の腕前を、「fabulously cool(非常にカッコイイ)」と思い、状況をあるがまま受け入れ、面会にも来てくれました。
(おそらくは父親の動機を理解していたのでしょう。実際利益はほとんど子供の養育に費やされていたそうですから)

 出所した彼は、自分の詐欺行為を反省し、二度と絵を描かないという誓いのもと、まったく異なる仕事(ガーデンセンター職員)を選びました。

 しかし、そんな彼に一本の電話がかかってきました。

 そして彼に再び絵筆をとるように勧めたのは、彼を逮捕したスコットランドヤードの刑事。

 刑事の家族の肖像をマイアット氏自身の作品として描いてほしいと5000ポンド(当時の価値で140万円相当)を支払ったその刑事は、さらに仕事上の関係者から次々と制作依頼を集め、マイアット氏を後押ししました。

 そして今、マイアット氏は有名画家たちのタッチをふまえた作品や、彼独自の作品が高値で売れる画家となり、彼の贋作師時代の経験や技術を生かしてテレビにも出演、また彼の数奇な運命はかつて彼が出した広告のフレーズと同じ「Genuine Fakes」というタイトルで映画化されました。

(出演作品の一部)
 ・「Fake or Fortune(BBC)」……オランダの贋作師メーヘレンの技術を再現する実験に協力(激面白)
 ・「Fame in the Frame(Sky Art)」……有名人の肖像を、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」やマネの「草上の昼食」等の代表作模写に紛れ込ませた絵を制作(自分が名画に入り込めるわけですから、普通にほしがる人多そうですね。)
 ・「Forgers masterclass(Sky TV)」……絵を学びたい人たちに「有名画家風」の絵を描くテクニックを、実際のモデルや風景を使いながら実技指導

 彼が制作した贋作200点のうち、押収されていない120点についてはいまだ本物として扱われているらしい。彼はそう告白していますが、司法の裁きを終え、思いもかけない刑事からの励ましや子供たちの反応を目の当たりにした彼は、いまだ眼光鋭く、笑みにどこか骨太な不敵さが漂いながらも、険のとれた、話術の巧みなチャーミングな紳士です。
(喋っているのを聞くと不思議と人を引き付けるところがある。私も「Fake or Fortune」観てすぐ、なんか味のある人だなと思いました。)

 「事実は小説より奇なり」を地で行く、不思議な人物だったので、ご紹介させていただきました。

 今回資料として使用させていただいたネット情報は以下のとおりです。


1 ウィキペディア(日本語版
 (英語版「John Myatt」)
  https://en.wikipedia.org/wiki/John_Myatt
 (英語版「John Drewe」)
  https://en.wikipedia.org/wiki/John_Drewe

2 「贋作の天才」 更生して売れっ子に 英画家 服役後、刑事の支援で再出発(「サンケイビズ」 2015年12月26日)
http://www.sankeibiz.jp/express/news/151226/exg1512260730001-n1.htm

3 英画家「日本にも贋作」 120点なお未回収
(「日本経済新聞」 2015年 10月24日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG24H4W_U5A021C1000000/

4 The talented John Myatt: Forger behind the 'biggest art fraud of 20th century' on his criminal past - and how he went straight
(「Independent」 2014年2月28日)
http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/art/features/the-talented-john-myatt-forger-behind-the-biggest-art-fraud-of-20th-century-on-his-criminal-past-and-9889485.html

5 Celebrity frame academy: The stars as you've never seen them before
(「Dailymail」2011年1月29日)
http://www.dailymail.co.uk/home/you/article-1351004/John-Myatt--The-art-forger-using-celebrities-models-create-world-famous-masterpieces.html


6 http://www.johnmyatt.com/index.htm (マイアット氏の個人ページ、「gallery」部で彼の作品が観られます。)

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum. at 23:53| 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月13日

「贋作師 ベルトラッチ 〜超一級のニセモノ〜 (NHK BS世界のドキュメンタリー)」 番組情報ご紹介


 本日は日記の予定でしたが変更してNHK BS世界のドキュメンタリーの放送予定番組についてご紹介させていただきます。

「贋作師ベルトラッチ 〜超一級のニセモノ」(2014年 ドイツ 原題:BELTRACCHI - THE ART OF FORGERY)2016年9月15日(木〈水曜深夜〉)午前0時00分〜0時50分放送。
(番組公式HP url: http://www6.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/?pid=160915
 現代アートの贋作を約2000点制作、被害総額は45億円以上にのぼるという贋作師ウォルフガング・ベルトラッチ(Wolfgang Beltracchi)。

 豊富な知識と技術で「巨匠の未発見の作品」と、専門家をも欺き続けたベルトラッチは、当時存在しなかった色を使って贋作を仕上げるというミスを犯すまで、約40年にわたり贋作師として活動をつづけました。

(参照:東京大学大学院文化資源学研究室 小林真理ゼミブログ「一級品のニセモノ(2013年6月2日記事)」http://mari-semi.blogspot.jp/2013/06/blog-post.html


 このドキュメンタリーでは、ベルトラッチとその妻ヘレーネ(贋作制作でもパートナー)本人が登場し、画材の調達から絵画の完成まで、贋作制作の過程を紹介しているそうです。

 ドキュメンタリーフィルム「BELTRACCHI - THE ART OF FORGERY」のトレイラー動画はコチラです。(英語字幕付き、番組解説文があったので、当記事の資料とさせていただきました。)



https://www.youtube.com/watch?v=TS6a3XochQU

 彼にインタビューしている「Channel4 」のニュース動画はコチラです。(英語)



https://www.youtube.com/watch?v=zz6YXjSHFOI

 彼の制作風景を紹介している動画はコチラです(英語)。亡き巨匠の霊を感じながら描いているとか。



https://www.youtube.com/watch?v=6S2HgibGbb0

 以前イギリスBBCで「Fake or Fortune」という巨匠の絵画の真贋を鑑定する激面白番組があるということをご紹介させていただきましたが(放送希望×2!)、こうした真贋鑑定で大きな壁となるのが、ベルトラッチ氏のような、腕利きの贋作師の存在です。
(このような大規模な詐欺を働いた贋作師は、しばしば「Master Forger(贋作の大家)」と形容されます。浦沢直樹先生の名作「マスターキートン」みたいでなんかカッコよさげ……。)

MASTERキートン 1 完全版 (ビッグコミックススペシャル) -
MASTERキートン 1 完全版 (ビッグコミックススペシャル) -

 巨匠と同時代のキャンバスを使い、タッチやサインを完璧に模倣した作品は、専門家でもその真贋の判断が非常に難しいと言われています。

 特に画材調達が比較的たやすく、古典的な作品に見られる制作に時間を要する緻密さよりも、斬新な発想を重視する現代アートは、ベルトラッチのような高い技術を持つ贋作師には模倣しやすく、現在マーケットに出回る現代アートには、多くの贋作が紛れ込んでいると言われています。

(そんな中、タッチも絵の表面に現れる経年変化も再現し、フェルメールの贋作を作ったハン・ファン・メーヘレン〈Han van Meegeren〉は、絵をナチス・ドイツに売りつけたという事実も手伝って、今でも伝説の贋作師として語り継がれています。〈「Fake or Fortune」によれば、彼の経年変化の再現方法は未だ謎に包まれているそうです。〉)

 そんな贋作師たちの制作の秘密それ自体も興味深いですが、もう一つ、日本人の目からはなんとなく意外なのは、足を洗った贋作師が堂々と出演するという海外のテレビ番組事情です。

 既に司法の裁きは終わっているというだけではなく、「高い技術を持った贋作師の絵と真作の本来的な意味での価値の違い」や、「権威主義的な市場や巨万の富を持つ人々を大胆に欺いて泳ぎ渡る」という贋作の側面が、どこか人々を引き付けるのかもしれません。
(「Fake or Fortune」を観ているとそういう贋作をつかまされてしまい落胆する人たちも目にするので、あまり軽く考えることもできないのですが……。)

 このベルトラッチ氏の他にも、イギリスではジョン・マイアット(John Myatt)という有名な元贋作師の方がいて、しばしば贋作技術解説の権威としてテレビに登場しています。
(今は二人ともちゃんとご本人の名で絵が高値で売れているそう。)

 (「Fake or Fortune」でメーヘレン作と疑われる作品の鑑定時に、メーヘレンの謎の制作技法にチャレンジしたのもこの人です。〈ちなみに鑑定対象だった絵は、フェルメールではなく、本物だとしてもそこまで価値のある絵ではなかったので、むしろ「あのメーヘレン」作を美術館のスタッフが期待していたのが印象的でした〈数十年前、美術館が偽物をそれと気づかず所蔵してしまったということなのに〉。さばけている……〉)

 日本でもおなじみの鑑定の世界を裏側から描いた面白そうな作品なので、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

 以上、おススメ番組紹介でした。

(この番組について、当ブログで書かせていただいたあらすじと感想記事はこちらです。
 (※ネタバレ)「贋作師ベルトラッチ 〜超一級のニセモノ」あらすじと感想(NHK BS世界のドキュメンタリー)

 
(まったくの余談ですが、この情報をチェックしている最中、当ブログでも繰り返しご紹介させていただいているイギリスの合唱団指揮者ギャレス・マローンさん〈合唱を心から愛する情熱的で礼儀正しい理想的リーダー、メガネ男子〉の番組の再放送について。番組スタッフブログ9月9日分内にこんなコメントがありました。

「なお、多くの方からご投票いただいた「ギャレス・マローンの職場で歌おう!」(全8回)は、
12月に放送を予定しています。詳細が決まり次第、HPにてお知らせいたします。どうぞお楽しみに。(「もう一度見たい!」ラインナップが決まりました。(9月9日記事)」より)

 さすがですギャレスさん……。〈当ブログでもまたこの方について書かせていただく予定です。〉)

 しかしこうなるとホントに「Fake or Fortune」も放送してほしいです。こういう贋作師や、眠れる絵画を探す目利きのディーラーや鑑定士たち、謎多きアートマーケット、鑑定のために科学技術を駆使する調査担当者たち(そしてもちろん所有者)全ての人々の動きが観られて無茶苦茶スリリングで面白いんです!

 こちらの番組についても、今後情報入手できる範囲でご紹介する予定ですので、よろしければまたお立ち寄りください。

 また、イギリスの元贋作師ジョン・マイアット氏についても紹介記事を書かせていただきましたので、こちらもよろしければご覧になってみてください。

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum. at 23:19| 番外編・おすすめテレビ番組 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月12日

「驚きの明治工藝」(おすすめ展示作品2 海野勝a 「背負籠香炉」海野a乗「犬図薬缶」)


 先日概要をご紹介させていただいた上野の東京芸術大学大学美術館で開催中の「驚きの明治工芸」について、引き続き個人的におススメだった展示品について書かせていただきます。

 展覧会公式HPは以下のとおりです。
 http://www.asahi.com/event/odorokimeiji/

 当ブログのこの展覧会関連ブログ記事は以下のとおりです。
 「驚きの明治工芸」(台湾の宋培安コレクション 東京芸術大学で開催中)

 「驚きの明治工芸」(おすすめ展示作品1 加納夏雄 「梅竹文酒燗器」)
 「驚きの明治工藝」(おすすめ展示作品2 海野勝a 「背負籠香炉」海野a乗「犬図薬缶」)
 「驚きの明治工芸」(おすすめ展示作品3 虎爪「蒔絵螺鈿芝山花瓶」、易信「蒔絵螺鈿芝山硯屏」)
 
 今回ご紹介させていただくのは、金工師 海野勝a(うんのしょうみん 1844‐1915)の「背負籠香炉」と勝aの長男海野a乗(1873-1910)の「犬図薬缶」です。

 海野勝a「背負籠香炉」

海野勝a 縮小版.png


 背負籠の姿をした銀製の香炉は、
金、四分一(しぶいち、銀一と銅三の割合で混ぜられた合金)赤銅といった様々な金属をはめこんだ「象嵌(ぞうがん)」で形作られた籠の目や上下の緻密な文様、蔓草で緊密に彩られています。

 なお、象嵌のうち、この蔓草の部分のように立体的な技法を「高肉象嵌(たかにくぞうがん)」と呼ぶそうです。

 以下のページで象嵌についての説明を読むことができます。(清水三年坂美術館「常設展 金工」説明部より)

http://www.sannenzaka-museum.co.jp/jyosetu2.html(工程の動画ダウンロードができます)

 海野勝aは彼が師事した加納夏雄同様、片切彫りの名手でもありましたが、この象嵌技法を生かした、色彩豊かで立体的な作品でも有名です。

 図録解説によると、海野勝a(1844‐1915)は水戸の生まれ、9才のころから彫金の道に進み(みんなスタート早いな…)、明治元年ごろ、東京に移住。金工師横谷宗aに勝る職人となることを志して「勝a」を名乗り、明治23年に「蘭陵王」で高い評価を得た後に、東京芸術大学に勤務。加納夏雄に師事しながら、学生の指導にあたり、のちに帝室技芸員に選ばれました。
(参照「驚きの明治工藝」図録 美術出版社)

 図録内説明にもある海野勝aの最高傑作の一つが、皇室所蔵の「蘭陵王置物」です。

 圧倒的な美貌を隠すために恐ろしい面をつけて戦いに臨んだという北斉の陵王。

 この伝説を基にして作られた雅楽「陵王」を舞う若者の姿を、床を擦る着物の波打つ襞から、取り外しのきく面に隠された美しい青年の顔に至るまで、多彩な金属で緻密に作り上げた神品です。

 昔、バクゼンと「皇室の名宝−日本美の華−」という展覧会のニュースでこの「蘭陵王」を観て「な…なにこれ……明治すご……」と目をひんむいた記憶があり、それが明治工芸に興味をもった最初だったので、個人的には恩人のような作品でもあります。
(イギリス人で明治工芸にお詳しい方が「この展覧会を見てほとんど気絶しそうになった」と話していたことがありましたが、きっとその気絶明治ビューティーパンチにこの作品が入っていたことと思われます。)

 「蘭陵王」を含む、当時の展覧会情報ページはこちらです。

  http://www.kunaicho.go.jp/20years/touhaku/touhaku.html

これほど緻密な技巧と色数ながら、過剰と感じさせず、静けさが漂う作風。

今回展示の「背負籠香炉」にもその超絶技巧の果ての静謐を見て取ることができます。

 なお、加納夏雄同様、海野勝aのブロンズ像も芸大大学敷地内にあるそうです。意思の強そうな堂々たる歌舞伎役者のようなお顔です。
http://www.geocities.jp/douzoux/tokyo/tokyo23/geidai.htm
(日本の銅像ギャラリーHP 「東京都の銅像 (台東区・東京芸大)」部 )


海野a乗「犬図薬缶」

海野a乗 縮小版.png

 前回ご紹介した加納夏雄の「梅竹文酒燗器」と並んで、今復刻版出したら普通に売れると思う僕的グッドデザイン賞な作品です。

 小ぶりの銀製薬缶の周囲に、数匹の子犬たちが、洒脱な線で彫りつけられ、ぽってりと愛嬌のある薬缶そのもののフォルムと、その曲線の中でころころの日本犬らしき仔犬たちが豊かな表情とポーズでじゃれあったり寝転んでいる展覧会屈指の萌え萌えな逸品。

 なんか頑張って怒っているっぽい顔しているのも、もふもふのお尻も、まるっこいシルエットもほのぼのする。

海野a乗 部分.png

この世にも可愛らしい仔犬たちのデザインは、幽霊画で有名な江戸の大画家円山応挙や、その弟子長沢芦雪ら、日本画の画題としての仔犬の姿を彷彿とさせます。

円山応挙 ウィキペディア.jpg
(円山応挙 「朝顔狗子図杉戸」ウィキペディア画像 Amcaja)
拡大画像はコチラ

長沢芦雪 ウィキペディア.jpg
(長沢芦雪「紅葉狗子図」 ウィキペディア画像 nAG7BCzkfCJDXA at Google Cultural Institute)
拡大画像はコチラ

 今や世界がその愛くるしさに大注目の日本犬の仔犬時代の有無を言わせぬモフコロなフォルムとあどけない表情の悩殺っぷりを、シンプルで滑らかな線と微笑み交じりのような観察眼で描いたこの独特の仔犬の姿は、a乗の絵の師、川端玉章の作品にも受け継がれています。

 a乗の作品を彷彿とさせる、日本画の萌え萌え子犬たちがネット上で見られるページは以下のとおりです。
  ・江戸時代なのに超かわいい!キュンとくる日本画まとめ(※川端玉章の「犬と水仙」が見られます)

http://matome.naver.jp/odai/2142347493265659101
  ・コロコロ、フモフモ!!江戸時代の絵師が描いたワンコたち(9選)(Artist Database)
http://plginrt-project.com/adb/?p=24839

父勝a、芸大在学時の師加納夏雄に学んだ金工の中に、絵の知識と素養を活かした可愛らしくも卓越した力量を感じさせる作品です。
(この余白の美と強弱巧みな線は今回の展示品の中ではむしろ加納夏雄に近いものを感じます。)

 a乗は優れた師に学び、勝aの跡継ぎとして頭角を現しますが、38歳の若さで父に先立ちます。

 勝aはその死に打ちひしがれましたが、三男海野清が同じく芸大で修業を積み、後に芸大教授、人間国宝として活躍しました。


 次回は日記記事ですが、その後再度この展覧会のおススメ作品について書かせていただく予定です。よろしければお立ち寄りください。

 参照書籍:『「驚きの明治工藝」展』美術出版社 2016年
 

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum. at 23:37| 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月11日

「驚きの明治工芸」(おすすめ展示作品1 加納夏雄 「梅竹文酒燗器」)


 先日概要をご紹介させていただいた上野の東京芸術大学大学美術館で開催中の「驚きの明治工芸」について、展示作品のうち、個人的におススメだったものについて書かせていただきます。

 展覧会公式HPは以下のとおりです。
 http://www.asahi.com/event/odorokimeiji/

 今回ご紹介させていただくのは、金工師 加納夏雄(1828-1898)の「梅竹文酒燗器」(銀製)


梅竹文酒燗器 縮小版.png


 すらりとした円筒形の縦長燗器で、鏡のような銀の胴の上部に、余白を大いに生かして、それぞれ細筆を用いたかのような強弱のある線で梅と竹の姿が描かれています。

 細身でシンプルな対の酒器は、遠目にも目を引く輝きながら周囲の陰影を映しこんで空間と調和し、今復刻版を出したら確実に支持を集めるであろうと思わされます。

 平たく言うと欲しい。これ対で並べてウットリ眺めながら一杯やりたいおじさん多そう。

 スッス……と描かれた水墨画のタッチのように、迷いなく気品溢れる彫りの線。

梅竹文酒燗器 部分.png

 実際はスッスじゃなくてココココ……とタガネという細い刃のついた工具を金づちで打ちながら彫っていくのですが、加納夏雄は「片切彫り」という、この独特の筆の線のように強弱巧みな彫りを得意としました。

 片切彫りについて詳しく説明してくださっているページがあったので、引用させていただきます。

< 片切り彫り >
片切り彫りは金工で言う技法です。彫刻で言うとノミにあたる「タガネ」という刃物、道具と金槌を使い、まるで筆で描いたような線を生み出していくものです。切先が鑿のような形で、彫り線の片方を浅く、他方を深く彫り込んでいく技法です。絵画の付立画法(補:濃淡をつけて一筆で描く技法)の筆勢を鑿で表現するのに適しており、筆で言えば穂先になるところを深く、腹のところを浅く一気に彫っていきます。江戸時代中期の金工師 横谷宗a(1670ー1733) の創始と言われ、幕末から明治にかけての加納夏雄はこの技法の名手でありました。 

出典: 宮本彫刻HP「彫刻の技法」より

 加納夏雄は幕末から明治期に活躍した、京都出身の金工師で、7歳で刀剣商の加納家の養子となりました。刀の鍔や鞘に魅了されて、少年時代から独学で道具を握り始めた夏雄を見た養父母の勧めで、わずか12歳で彫金師奥村庄八に師事、さらに14歳で円山四条派の絵師・中島来章のもとで写生を学び、19歳で金工師として独立。東京神田に店を構え、小柄(こづか・短剣のこと)や鍔の制作に勤しみました。

 加納夏雄の作った鍔や小柄の鞘は、非常に限られた面積ながら余白と高い画力をいかした、構図の妙と気品の光る作品となっています。


 作品画像例1(清水三年坂美術館HP 帝室技芸員シリーズW加納夏雄と海野勝aより)
  http://www.sannenzaka-museum.co.jp/kikaku_13_2_22.html
 作品画像例2(根津美術館 コレクション 金工・武具 「牡丹に蝶図鍔」)
  http://www.nezu-muse.or.jp/jp/collection/detail.php?id=80991

 そのこまやかさと余白、筆遣いのような線が持ち味であるために、私ではなかなか写真で良さをとらえるのが難しかったのですが(下手だから単にツルんとした図に撮れてしまった……)、こちらのページでより鮮明な画像を観ることができます。(その他展示作品も画像あり)

http://www.cinra.net/news/gallery/104877/11
(カルチャーサイト「CINRANET」ニュース 日本工芸の表現と技法に迫る『驚きの明治工藝』展 自在など130点)

 夏雄は明治維新後新貨幣の原型、型の制作を手掛け(型の制作はイギリスに依頼する予定だったが、あまりの技術の高さに技師が辞退し、夏雄が手掛けることとなった)、廃刀令によって同業者が廃業に追い込まれる中でも、海外も視野に入れながら、煙草入れや花瓶、置物などを作り続けることで、成功をおさめました。

 ※こちらの記事で夏雄の貨幣についてのエピソードを詳しく紹介してくださっています。

  http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/naniwa/101127/20101127041.html
  (大阪日日新聞 なにわ人物伝 −光彩を放つ 造幣局の人たち(3))

 後に第一回帝室技芸員(宮内庁によってえらばれた一流の作家に与えられる身分)にも選ばれた夏雄は芸大の初代教授となり、同大助教授の金工師海野勝a(うんのしょうみん)ら後進の指導にあたりました。
(参照:ウィキペディア記事


 実は東京芸術大学大学美術館の敷地内に加納夏雄の胸像があったそうなのですが、見損ねてしまいました(米村雲海作)。これから行かれる方は探してみられてはいかがでしょうか。

 先ほどの大阪日日新聞の記事の中に「夏雄の風采(ふうさい)は中肉中背、口調は京都弁で柔らかいが、起居すこぶる謹厳であった。身を持することすこぶる倹素(けんそ)」と、加納夏雄の人となりをふりかえる文章が紹介されていますが、まさしく少年時代から生涯を金工に捧げた努力と才能の人の重厚な品が感じられる風貌をしていらしたようです。(この人が作者ですと言われるととても納得の行く御顔をしていらっしゃる。)

 加納夏雄像 文化遺産オンラインより

 http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/223342

 次回は同展示のうち海野勝aの作品や、その他おすすめ作品についてご紹介させていただく予定です。

 当ブログの「驚きの明治工藝」展に関する記事は以下のとおりです。よろしければ併せてご覧ください。
 「驚きの明治工芸」(台湾の宋培安コレクション 東京芸術大学で開催中)

 「驚きの明治工芸」(おすすめ展示作品1 加納夏雄 「梅竹文酒燗器」)
「驚きの明治工藝」(おすすめ展示作品2 海野勝a 「背負籠香炉」海野a乗「犬図薬缶」)

読んでくださってありがとうございました。


posted by Palum. at 23:43| 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月10日

「驚きの明治工芸」(台湾の宋培安コレクション 東京芸術大学で開催中)


狸置物 縮小版.png
(狸置物 大島如雲作 銅)

 上野の東京芸術大学大学美術館で2016年9月7日(水)〜10月30日(日)まで、台湾のコレクター宋培安氏による明治工芸コレクションが公開されています。
(その後、京都 細見美術館、埼玉 川越市美術館に巡回します。)

 今回はこの展覧会の見所をご紹介させていただきます。
 公式HPは以下のとおりです。(解説が丁寧で楽しいページです)
 http://www.asahi.com/event/odorokimeiji/

 1,「自在」の一大展示

 今回の展覧会では、「自在」と呼ばれる甲冑作製技術を基とし、非常に細かな可動性のある鉄製の工芸品の一大コレクションを観ることができます。

 入るなり、全長3メートルの竜の「自在」が宙づりになってお出迎え。
 
自在竜(縮小版).jpg
(自在龍 無銘 鉄)


 ほかにも、美味しそうな緻密なイセエビや、ヤドカリ、鷹、あらゆる角度に動かせるニョロニョロヘビなどを観ることができます。
 (いかに細かく動かせるかがわかるように、体を複雑にくねらせ、首を台にちょこんと乗せた敬意ある展示も見所。)

自在蛇(縮小版).png
(自在蛇 宗義作 鉄)

 展覧会作成のセンスあふれる明珍宗春(※)作「自在蛇(明珍宗春作)」のコマ撮り動画はコチラです。(ベロも動くんですね)


https://www.youtube.com/watch?v=JEVWHf7d890

(※)「明珍」は元々甲冑師の一派の名前だそうですが、すぐれた作品を残した明珍の名を冠した職人たちの生涯については、わかっていないことが多いそうです。

 動きの滑らかさを感じさせる細やかな細工、金属の重厚感、とても緻密に作られているけれど、意外と顔は可愛かったりするギャップ、など、別に明治工芸好きでなくてもグッとくるポイントの多い美術品です。
(オモチャとかメカ好きの人も見て楽しいと思う。)

 ちなみにミュージアムショップにものすごーくよくできている、名門海洋堂さんの高級自在フィギュアが売られていました。こういう形で技術が受け継がれているのですね。

 たしかこちらの作品だったと思います。
タケヤ式自在置物 龍 鉄錆地調 ノンスケール ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア KT-003 -
タケヤ式自在置物 龍 鉄錆地調 ノンスケール ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア KT-003 -


2、個人コレクションの醍醐味

 台湾の大コレクター宋培安さんについては、あまり詳しいことがわからなかったのですが、展覧会HP情報をまとめると、「漢方の薬剤師で、健康薬品の販売や生命科学の講座を開設し、思想家カントの研究者であり、明代清代の美術品のコレクターでもある」方だそうです。
 多彩にしてミステリアスな御方……。

 ただ明清の作品は完璧という点において世界的にも屈指のものだと思うので、同じく否の打ちどころの無い高い技術と端正な美を誇る明治美術にも興味を抱いたというのは自然な流れだと思われます。
(こういっては何ですが、当時は予算のある方からすると、すでにゆるぎない評価を得ていた明清の作品に比べ明治工芸は「レベルが高いわりにお買い得」だったそうですし。)

 こうした個人コレクションの展覧会の面白さは、センスの良い個人が、欲しいから集めた品が見られるところです。

 美術館のコレクションだと、「有名な作家のもの」「珍しいもの」「歴史的に意義のあるもの」ということが重視されるだろうけれど、個人コレクションだと「カワイー、カッコイー、スキー、家ニ飾リターイ」みたいな思いで収集されるから、さほど有名な作品でなくても見てて楽しい。
(実際、今回の展示品は、見事な出来だけれど作者が不明な「無銘」のものが数多く含まれています。)

 鬼凝った超合金的な「自在」のほかにも、「超リアルな作品」や、「肉眼で見えないほどに細かい作品」、「ユーモラスで面白い作品」、「色彩を抑えた中に浮かび上がるいぶし銀の渋い作品」といった感じで、多様なコレクションを観ることができます。

(展示品の一例)

秋草鶏図花瓶 縮小版.png
(濤川惣助作 秋草鶏図花瓶 七宝)※今話題の赤坂迎賓館の「花鳥の間」を彩る七宝額を手掛けたことでも知られる世界的七宝作家です。

三猿根付写真 縮小版.png
(三猿根付 小林盛良作 金)※全長約2.5pなのですが、細かすぎて味のある表情が撮れなかったんで拡大写真写真〈?〉のほうを使わせていただきました。

猫置物 縮小版.jpg
(猫置物〈部分〉 善拙作 木)

(渋い作品は渋すぎて僕の撮影技術ではほとんど映りませんでした。残念。「月下狸図硯箱」という、池に歩み寄る可愛くてきれいな狸と朧月という非常にセンスの良い作品がありました。)

 以下WEBページで図録が販売されています。
http://shop.asahi.com/eventplus/7.1/CTB16009

 また、ご覧のとおり、写真撮影を許可してくださっている珍しい展覧会ですので(フラッシュ不可、一部撮影禁止マークのある作品は撮影不可)、そういった意味でも面白かったです。

 当ブログの「驚きの明治工藝」展に関する記事は以下のとおりです。
 「驚きの明治工芸」(台湾の宋培安コレクション 東京芸術大学で開催中)

 「驚きの明治工芸」(おすすめ展示作品1 加納夏雄 「梅竹文酒燗器」)
「驚きの明治工藝」(おすすめ展示作品2 海野勝a 「背負籠香炉」海野a乗「犬図薬缶」)

 次回記事では、展覧会作品のうち個人的に好きだと思ったものについて、少し追記させていただきますので、よろしければまたお立ち寄りください。

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 23:34| 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月09日

イギリスのハリネズミ愛(地球ドラマチック「ハリネズミホテルへようこそ」によせて)


Hedgehog-en.jpg
ウィキペディアより 画像提供:John Mittler)

明日2016年9月10日(土)午後七時より、NHK Eテレで「地球ドラマチック ハリネズミホテルへようこそ」が放送されます。(9月19日午前零時再放送

番組公式情報は以下のとおりです。
http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/183/2340450/
http://www4.nhk.or.jp/dramatic/x/2016-09-10/31/13060/2340450/


 これにちなんで、今回はイギリスの人々のハリネズミ愛についてご紹介させていただきます。

 ハリネズミは実はネズミよりモグラに近い生き物で(視力はモグラより良い)、葉っぱを食べてしまう芋虫やカタツムリを食料としている(※)ため、ガーデニング王国のイギリス人からとても大切にされています(かわいいしね)。

(※)このため「ハリネズミホテルへようこそ」でも保護されたキャワワなハリネズミたんたちをもてなすべく「虫ビュッフェ」が用意されているというくだりが映るそうなので、そこだけはご注意ください。

 しかし、イギリス国内でのハリネズミは減少傾向にあるそうで、個々のご家庭の庭に、ハリネズミを招いて住んでもらおうという動きがあるそうです。

 私がホストファミリーに、ケンブリッジ郊外のガーデニングショップ(※)に連れて行っていただいた際、妖精の家のような小さな木製のログハウスがいくつも売られており、ホストファーザーに伺ったところ、「ハリネズミの巣箱」と言われて非常にびっくりしたことがあります。
(郊外とはいえ、普通に町だったので、ハリネズミみたいな日本人の感覚ではレアキャラに相当する生き物がそんなアタリマエに庭に出没すると思ってなかった。)

(※)余談ですが、ガーデニングショップなのに何故かイギリスの「第二次大戦中ドリフ大爆笑」的怪物コメディドラマ、「Dad’s Army」のグッズ(アーミー調の色使いも渋くて非常に粋)が大量に売られているという、ミステリアスだがイカした店だった。(日本で言うなら「だめだこりゃ」「ちょっとだけよ」とか書いてあるマグカップとかが売ってるノリ)


 Youtubeで「お庭に置くハリネズミハウスの作り方」を紹介している方がいらっしゃいました。

「Making a Hedgehog House」



https://www.youtube.com/watch?v=t1QRdlvcWmE

 さらに、そのガーデニングショップには、小鳥のエサ的なノリでハリネズミのエサも売られており、いかにイギリスの庭好きな人たちがハリネズミの居住を歓迎しているかがよくわかりました。

 ホストファーザーいわく、ハリネズミは夜行性だから、昔から以下のことに注意しなければならない、と言われていたそうです。

・柴刈りをするときに機械を使うなら間違えて寝てるハリネズミを轢かないようによく見ながら行うこと
・刈った草木は庭に放置せずに、すぐに燃やすか、密閉できる容器に入れて処分すること。一晩放置すると、ハリネズミがもぐりこんでしまい、翌日のたき火でやけど、あるいはゴミ収集に巻き込まれるなどの危険性がある

 こういってはなんですが、やっぱりネズミよりモグラに近い生き物だから、ちょっとおっとりしていて、人間が気を付けてあげないと諸々危ないんだなという感じです。

 イギリスには「British Hedgehog preservation society(英国ハリネズミ保護協会)」なる団体があり、ハリネズミ保護のための情報を広く公開しています。

 協会公式HPはコチラです。
http://www.britishhedgehogs.org.uk/

 団体の活動費となるであろうチャリティーグッズもたくさん紹介されており、「ハリネズミ交通エリア」という注意看板などに交じって売られている、小さな子が載る車(Wheely bug)のハリネズミ版が普通に商品としてセンスよくて可愛かった。

 同団体はHPにハリネズミに関する小冊子を公開しているのですが、その中の「Gardening with Hedgehog(ハリネズミと一緒にガーデニング)」の一部内容について、私なりに意訳をつけて概要を少しご紹介させていただきます。(いい加減なんであらかじめご了承ください〈汗〉)
 http://www.britishhedgehogs.org.uk/leaflets/L16-Gardening-with-Hedgehogs.pdf

 ホントに大事にされてるんだなァ、と思ったので。

○Bonfires - use a proper incinerator or move the pile to be burnt just before setting fire to it. This should ensure that no hedgehog has made a home in the rubbish. Do not burn or trim pampas grass until you are sure there are no hedgehogs nesting in it.

 たき火……ごみの中にハリネズミが巣作りをしていないか確かめるため、適切な焼却炉を用いるか、焼却物に点火する前に少し堆積物を動かして下さい。パンパスグラス(イギリスのお庭でメジャーなススキに似た植物)を燃やしたり刈ったりする前に、ハリネズミの巣が無いか確認してください。
(ホストファミリーが教えてくださった内容ですね。)

○Slug Pellets - try alternatives, REMEMBER METALDEHYDE SLUG PELLETS CAN KILL, if you must use them, use sparingly and pick up the dead slugs and snails as soon as possible. Read the directions for use before you use the product

 ナメクジよけ殺虫剤……他の方法をお試しください。メタアルデヒドのナメクジよけはハリネズミにとっても致死性です。使用しなければならない場合、少量にし、駆除されたナメクジやカタツムリは速やかに除去してください(これをエサにしたハリネズミが死んでしまうという意味だと思います。)その製品を使う前に、注意書きをよくお読みください。

○Feeding - to encourage a hedgehog to stay in or near your garden ensure it has a fresh supply of water available - especially in very hot weather - and leave a dish of dog food in a place where the hedgehog can get it, but not the local cats .

 エサやり……あなたのお庭の中、あるいは近くにハリネズミに住んでもらうために、新鮮なお水が飲めるようにしておいてください(特に炎天下の日に)……そしてドッグフードのお皿を、ハリネズミがそれを食べられて、近所の猫が近寄れない場所に置いておいてあげてください。

そのほかにも、「池があるなら上がるときにおぼれないように傾斜をつけておいてあげてください(泳げるし泳ぐの好きだけど上がるのは上手じゃないらしい)」とか、「ミルクとパンはハリネズミの体に悪いのであげないでください」とかいう注意事項が別のガーデニング情報HPにありました。やっぱりなんかネズミよりはるかにほっとけない感満載の生き物な模様です。

(参照:Weyvale garden centres HP 「Tips for attracting hedge hogs to your garden」)
http://www.wyevalegardencentres.co.uk/gardening-advice/tips-for-attracting-hedgehogs-to-your-garden#.V9K9yfqLQhc

 日本と似たようなものだと思っていたイギリスの思いもかけない生態系とか、ガーデニングを愛するゆえに、この小さくて可愛くて少し目が離せない感じの生き物のために、ホテルを作ったり、巣箱をわざわざ庭においたり、HPで啓蒙活動を行っているということを知って、ちょっと興味深かったんでご紹介させていただきました。

(余談ですが、そんなわけで日本のハリネズミカフェの動向をガン見していたらしきBBCの記事がありましたので、よろしければ併せてご覧ください http://www.bbc.com/news/world-asia-36108964。)

 ハリネズミお庭勧誘的PR動画があったので張らせていただきます。土曜日の番組の補足情報として併せてご覧ください。

「The Wildlife Garden Project - How to help hedgehogs in your garden」



https://www.youtube.com/watch?v=ZMVWPvhFrpw

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 23:12| 日本の海外テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月08日

「地球ドラマチック ハリネズミホテルへようこそ」

 取り急ぎご連絡まで。

 明後日2016年9月10日午後七時〜、NHKのEテレドキュメンタリーシリーズ「地球ドラマチック」で「ハリネズミホテルへようこそ」が放送されます。

 ガーデニングを愛するイギリスで、害虫を食べてくれる存在として大切にされるハリネズミたち。
 事故などで傷ついたハリネズミたちがしばし入院する、イギリス独自のハリネズミホテルと、彼らの生態についての番組だそうです。

 番組HPは以下の通りです。
http://www4.nhk.or.jp/dramatic/x/2016-09-10/31/13060/2340450/

 番組にちなんで、イギリスのハリネズミ愛について書かせていただきました(関連動画貼付あり)ので、併せてご覧ください。

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum. at 22:18| 日本の海外テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月07日

絵画の中の道化たち 『人間失格』の「道化」に寄せて


 先日、太宰治の『人間失格』(1948年)のあらすじを書かせていただきましたが、主人公葉蔵が常に自分をなぞらえていた「道化」について、絵画の中に描かれた道化の姿を少しだけご紹介させていただきます。


 1,ピカソとルオーの描いた「道化」

 「道化」とは、滑稽な言動で人を笑わせる芸人をさし、有名な「ピエロ」という呼び名は、クラウン(※)とか、アルルカンなど色々な道化の役どころのうちの一つだそうです。
 (※)クラウンの一種が「ピエロ」

 現代のわれわれには「道化」といえばほぼ「ピエロ」とイコールで、「ドナルド・マクドナルド」か「スティーブンキングのIT(子供を殺害する謎の禍々しき殺人ピエロ〈この映画の後ピエロ芸人の人は怖がられて大変だったんだとか〉)」のイメージがありますが、キュビスムの巨匠ピカソと、厚塗りの油絵や版画で、光を透かしたステンドグラスのような絵を描いたジョルジュ・ルオーは、それぞれのタッチで、「人々を楽しませながら、心に痛みを秘め、一たびショーが終わればつつましく生きる道化師たち」を深い敬愛と共感とともに描きました。

(ピカソ作「ピエロ」ウィキペディアより 画像提供ニューヨークMoMA美術館)
Pablo_Picasso,_1918,_Pierrot,_oil_on_canvas,_92.7_x_73_cm,_Museum_of_Modern_Art.jpg


 特に「道化師の画家」とも呼ばれたルオーは彼らに対する愛着が深く、道化師に扮した自画像や、
「我々は皆、道化師なのです」という言葉を残しました。


 一方でキリストを数多く描いたルオー。

 素朴ともとれるような太くシンプルな線で描かれ、眼を伏せてもの思いにふけるかのような道化師たちは、この世の悲しみを知り、それに傷つけられながら、人々に喜びを与えようとする聖人のような優しくも神聖な光を帯びています。

 葉蔵と暮らしていたことのあるバーのマダムは、人生を地獄と思いながら「道化」を演じ続けた葉蔵のことを、「神様みたいな良い子でしたよ」と言い、まさに葉蔵はこの「聖なる道化」の一人のようですが、作中、ピカソやルオーが描いた道化についての言及はありません。

 葉蔵が東京で暮らしていたのは、昭和5〜7年(1930〜1932)ごろという記述があり、ルオーの作品はすでに1920年代後半には白樺派によって日本に紹介されていたそうですが、洋画家志望であった葉蔵が、偶然目にしなかった、あるいは、ゴッホの絵のようには感銘を受けなかったという設定になっているのか、とにかく作品に一切登場しません。

(なおピカソは1910年代には道化の絵を描き、1920年代にはすでに画壇で大きな成功をおさめているので、こちらも画家を志す青年なら目にしていてもおかしくないのですが、特に触れられていません。)

 参照:
パナソニック汐留ミュージアム「ジョルジュ ルオー アイラブサーカス」展HP
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/12/121006/ex.html
金澤清恵 「日本におけるジョルジュ・ルオーの紹介、 あるいはその受容について」成城大学美術史 第17号
http://journal.seijo.ac.jp/gslit/student/art/pdf/art-017-03.pdf
美の巨人たち「傷ついた道化師」
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/070324/

 作中葉蔵がピカソやルオーの物哀しい優しさを称えた道化を目にする機会があったか無かったかというのは知る術がありませんが(観て共感できたなら、彼の道化や人生の質が変わったのではないかとは、一読者としてかすかに想像しますが)、なにはともあれ、この時代には、すでに、道化という言葉には、人を笑わせる芸人という本来の役割を超えて、人々のために十字架を負うキリストにも似た神聖なイメージが漂い、また、『人間失格』という作品自体にも、マダムの言葉などから、かすかにそのイメージをほのめかすような描写があります。
 (なお、太宰治は1935年に『人間失格』と同じ大庭葉蔵という名の男を語り手に『道化の華』という作品を発表しています。)
 
2、(補足)アントワーヌ・ヴァトー作「ピエロ(ジル)」

WatteauPierrot.jpg
ウィキペディアより 画像提供The Yorck Project: 10.000 Meisterwerke der Malerei. DVD-ROM)

 1718‐1719年ごろの貴族文化華やかなりしフランスで、大庭葉蔵の心理を微かに彷彿とさせる、あるミステリアスなピエロの絵が描かれました。

 そのはかなげな気品漂う画風で、「雅びな宴」の画家と呼ばれたアントワーヌ・ヴァトーの作品「ピエロ〈旧称ジル〉」です。

 ほぼ等身大に描かれた、白い道化の衣装を着て、所在なげに両手をだらりと下げて、穏やかだけれどメランコリックな、微かに目のふちに涙を浮かべているようにすら見える若者。

 背後には、彼より低い位置に立っているのか、喜劇の登場人物たちやロバが半身だけ姿を見せ、人々は中央のピエロをよそに、何か言葉を交わしている様子。

 モデルが誰なのか、寓意画なのかなど、はっきりしたことは何もわからないこの絵は、引退した役者が開いたカフェの看板という、異色の出自を持っていたといわれています。
 
 ヴァトーは早逝(36歳で死去)ながら、生前一定の評価を得た画家なのですが、その後、その絵の価値が忘れ去れてしまったのか、1800年代はじめに、ルーブル美術館初代館長であったヴィヴァン・ドゥノンが骨董屋でこの絵を見かけた時には、絵は安値で売られ、チョークでこんな詩が書き加えられていたそうです。

「あなたを楽しませることができたならどんなにかピエロは満足することでしょうか」

 ドゥノンは、同行していた当時の大画家ルイ・ダヴィッド(「アルプスを越えるナポレオン」等で有名)が止めるのも聞かず絵を購入し、絵は後にロココ絵画の傑作にして、ルーブル美術館の至宝とたたえられるようになりました。

アルプスを越えるナポレオン.jpg

 輪郭をギリシャ彫刻のようにはっきりと描き、歴史的で勇壮な画面を描くことに長けたダヴィッドが、この絵を高く評価しなかったというのはありそうなことですが、それでも譲らず絵を救ったドゥノン氏のおかげで、絵はこうして後世に伝えられることとなりました。

 この絵を残して間もなく世を去ったヴァトー自身の投影ではないかとも考えられているこの絵は、時代も国境も超え、周囲に溶け込もうとしても、馴染めずに、独り寂しげに佇む心地を経た人すべての心に響きます。

 先日書かせていただいたフランスの傑作映画「ピエロの赤い鼻」の中で、主人公たちに同情を寄せた心優しいドイツ兵ベルントが、上官の指示に従う周囲の兵士たちの中で、独り両手をぶらりと下げて、動かない場面があるのですが、そのポーズは非常にこの絵に似ています。
(フランスでピエロを題材にする以上、絶対に意識せざるをえない絵だと思うので、おそらく念頭におかれて撮影されたシーンなのだと思います。)

 また、萩尾望都さんのバレエ漫画『ローマへの道』(いずれご紹介させていただきます)でも、この絵に影響を受けたのではと思われるタイトルページがあります。(主人公マリオがにぎやかな踊りの輪から独り外れて、仮面を外している)

ローマへの道 (小学館文庫) -
ローマへの道 (小学館文庫) -

ローマへの道 旧表紙.png

 この絵が『人間失格』をはじめとした、太宰作品における道化のイメージに影響を与えたかどうかは謎ですが、しかし、やはり笑いよりもむしろ言い知れない孤独と寂しさを漂わせているというところが、作品世界を思い起こさせるので、補足でご紹介させていただきました。

(ドゥノン館長とダヴィッドの逸話については、エピソードが載った本のタイトルをメモしそこねてしまいましたので、近日中に確認の上、追記させて頂きます。)

 当ブログではこの後何回か『人間失格』について書かせていただく予定です。(何度か違う話題が挟まると思いますが)よろしければまたお立ち寄りください。

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 23:39| 太宰治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月06日

(100日間リベンジ再び)6週目 (ダイエットやや挽回、減酒習慣改善)


※今回は日記です。

100日間、文書きとか悪習慣断ち(無駄酒、無駄インターネット)とか、ダイエットとか英語とか頑張ります!と宣言させていただいた、その経過とその他つれづれを書かせていただきます。
 これまでの経過一覧はコチラです。

1,ダイエット

 先週、前の週より1kg増です……とご報告しましたが、そこから0.8kg減りました。(先々週よりは+0.2kg)
 色々改善したい、と決意したのが、7月26日なので、42日間で1.2kg減です。

 うーん……あんまりパッとしないけれど、カロリー制限や運動が定着したとは言い難い日々だったんで、こんなもんかなと。

 ちなみに、今回ちょっと減ったのは、バクゼンと食べるとか、お酒をくぴ飲みするとかが減ってきたからかなと思います。(詳しくは下部「3、減酒」で書かせていただいています。)

 そろそろ家でもストレッチくらいは習慣化したいです。


2,無駄ネット

 ゴシップ記事閲覧禁止は定着した感があります。
きっかけをくださった本「やめてみた(わたなべぽんさん作)」についての当ブログ記事はコチラです。
 「やめたほうがいい」というリクツだけじゃなく、弊害と成功の体験談を読むとすごく響くとよくわかりました。

やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方 -
やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方 -

 「無駄とは言い切れないけど、今読まなきゃダメか?」的部門(ニュース、Kindle本検索)の閲覧時間も相当減りました。

先週ご紹介させていただいた『ストレスが消える「しない」健康法』(小林弘幸 著)に、
ストレスが消える「しない」健康法 (角川SSC新書) -
ストレスが消える「しない」健康法 (角川SSC新書) -

・だらだらネット閲覧はストレスのサインの一つ。
・体がストレスを感じて現実逃避をしている状態で。「どうでもいいや」と投げやりになったとき、「与えられる情報」を受け続けるという行動をとりがち。
・こういうとき、いきなり作業に戻るのはかなり大変なので、自分は今ストレスを感じている、ということを考えると冷静になれる

……という解説があったので、寝っ転がっててっちてっちとネット画面を無感動にクリック&スワイプしている自分に気づいたときは、「あ……「与えられる情報」を受け続けている……」と思って、代わりにほふく前進して以下のような行動をとるようにしました。

 【1】ヒーリング音楽を聴く。(CDプレイヤーとイヤホンをスタンバらせておくと、ネットツールから手が離せてより安全〈CDもこの際入れっぱなしにしてしまっています。疲れてるといちいち棚から取り出すなんてできないから。〉)

 【2】アロマを嗅ぐ(グレープフルーツ〈不安解消、緊張をほぐす〉とか、フランキンセンス※〈心と呼吸をととのえる〉だと、男性でもそんなに抵抗なく部屋にとりいれられると思います。)
 ※フランキンセンス……別名「乳香」木の樹脂から作られ、ウッディさの中にレモンがまじったような香り。キリスト生誕の際に三賢者の一人がささげたとされる。もうちょっと安くて、どこのお店でも扱ってる感じになると助かるんですがね……。
 (参照:アロマオイル効能ガイド http://aroma-guide.net/

 【3】アロマの香りを吸い込むようにして深呼吸をして目を閉じる

 【4】最悪寝ちゃう。(このためCDプレイヤーは停止しやすいように枕元に置いてあります。)
   ※ダメじゃんとは自分でも思うけど、ネットてっちてっち1時間→寝落ち→朝という必敗パターン(イヤダ)より、1時間仮眠して起きるか、あるいは朝まで寝ちゃったとしても、画面から出るブルーライト(交感神経を刺激して熟睡を阻むと言われている)浴びなかっただけ全然マシ

【1】〜【4】は既に有名なストレス解消法なんですが、わかっとるがなと思いつつ、これまではなかなかできませんでした。

でも、「ストレスで身動きができないときは、気力で作業に戻るのは難しいから、体のケアを先にしたほうがいい」という上記本のお説が響いたんで、じゃあ、こんな感じで……みたいに思いながら、どうにかこうにかほふく前進ができるようになりました。


3,減酒

 6週目にして一番目覚ましく改善できたのはこの減酒習慣です。

 「人飲むとき以外飲酒禁止」を目標にしていたのに、週5日くらい、半缶〜1缶をくぴ飲みしてしまう癖がどーーしても抜けなかったんですが(すなわちあんまり休肝できてない)、今はひとりくぴ飲みを週2日程度に減らせていますし、人と飲んでも適量の範囲内にできました(ワイングラス1〜2杯程度)。

 「そんなことあったっけヒック」(with 酒瓶)となる日もいつ来るかわかりゃしないので、忘れないうちに、飲酒習慣改善に役立ったと思われる要素について書き留めさせていただきます。

 ・ノンアル飲料グレードアップ
  わたなべぽんさんも採用なさっていた「アルコールの代わりに炭酸水」というメソッドについて、それまではただペットボトルの炭酸水を使っていたのですが、ぽんさん同様、リンゴや有機レモンの果汁でフレーバーを加えました。(レモンの場合は少しはちみつを加えました。)

 さらに、脳の緊張状態をほどくには、温かい飲み物が効くみたいなので、コーヒーや、上記はちみつレモンを温めたものを飲むようにしました。

 ・ブログで経過を報告する
  ここのところ連続で、「飲んじゃいましたテヘペロ」みたいな記事を書かざるを得なかったので、なんだかだんだん怖くなって(11月末まで毎週欠かさずテヘペるんじゃないかと……)、まともなご報告がしたいと気合を入れなおしました。よく、悪習慣を断つには周囲に宣言してしまったほうがいいといいますが、本当なんだとついに実感した。

 ・自分の心をケアするという意識になる
 私はいわゆる「うぐうぐうぐプハー、ビールうんめぇぇぇ!!」や、「このワインはボルドーのメドック、タンニンの効いた芳醇さが……」とかいう意識でお酒を飲むことはほとんどなく、ただ、なにか、めんどくさいなという作業の前に一杯やりたくなるという変な傾向があります。

 とにかく最近、「締め切りがはっきり決まった義務」以外のことで動くのがめんどう×2でしかたないのですが、それは、ストレスがたまっているからなのだ、思った以上に疲れているのだ、ということに気づき、自分の脳内に、医者を常駐させてケアにつとめるような気構えにしました。

 そして、面倒がる自分をナマケモノと批判せず、ストレスの原因についても、自分がマヌケだからとか、他人が悪いからとかの結論づけはちょっと脇に置いて、「疲れてる自分の心を自分でケアする」ということに集中しました。

 私のストレスなんてヌルイもんだ、と、自分に言い聞かせていたときは、多分、強引に殴り倒して埋葬したつもりのストレスが、ずっと無視を恨んで眼前にたたずんでいるような状態だったんだと思います。

 だから、何かしようとしてもぐちゃついた気分が全身にからみついて、一挙一動疲れた。
 行動の邪魔になるこの心のぐちゃつきを麻痺させるために、くぴ飲みがやめられなかったんだと思います。

 でも、とにかく今自分は疲れているし傷ついているんだ、反省とかいや自分は悪くないのだとかいう整理は後回しにして、自分の傷を治そう、と思うと、それだけで、お酒を飲みたいという気持ちがガクンと下がりました。完ぺきとはいえないけれど本当に劇的な変化だったと思います。
(キリキリ我慢して飲まないんじゃなく。そんなに飲まないでも平気になったことが大きい。)

 何故自分の気持ちや痛みに注目するようになったかについては、またもう少し詳しく書かせていただけたらと思いますが、とりあえず上記小林先生の本や、その他今まで読み漁った本や漫画の情報が、ついに、人の意見ではなく自分の腑に落ちたというのが大きかったと思います。悩みにまつわる本を読みまくるというのは、自分には有効な手段でした。

 以上、日記でした。また来週火曜日にご報告させていただきます。

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum. at 23:50| 100日間リベンジ再び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月05日

太宰治「人間失格」(原作あらすじ)



 今日は太宰治の代表作『人間失格』のあらすじについてご紹介させていただきます。

 これから何回か、この作品と、これを漫画化した作品『まんがで読破 人間失格』について書かせていただく予定です。


人間失格、グッド・バイ 他一篇 (岩波文庫) -
人間失格、グッド・バイ 他一篇 (岩波文庫) -

人間失格 ─まんがで読破─ -
人間失格 ─まんがで読破─ -

 以下、原作あらすじです。結末までネタバレですので、あらかじめご了承ください。(一部不適切と思われる用語がありますが原作のまま使用させていただきます。)
 
 物書きの「私」は、ある奇妙な3枚の写真と長い手記が記されたノートを手に入れる。

 それぞれに底知れない不吉と嫌悪感を抱かせる3枚の写真に写っていたのは一人の男。そして手記は、その不吉を発する一人の男、大庭葉蔵の生涯について語られていた。
 
「恥の多い生涯を送って来ました。」
そんな言葉からはじまる葉蔵の人生の告白。

 東北の非常に裕福な家庭に生まれ、何不自由無い暮らしだったはずだが、幼い頃から飢えを知らず、使用人と家族の間で人間の裏表を見てきた彼は、人間に恐怖し、彼らを理解できないことに苦しみ続けていた。
 
 怯えの中で、せめて人間を笑わせる道化となることに、彼らの間で生き延びる道を見出した葉蔵は、ある日彼のクラスメートで、彼の意図的な道化を指摘した竹一から「お化けの絵だよ」と見せられたゴッホの自画像に衝撃を受ける。

 ゴッホ、モジリアニ、竹一の目にはお化けや地獄の馬に見える人間を描いた人たち。

 彼らは、人間に痛めつけられた果てに、人間の中に、妖怪を見た、そしてその恐怖を自分のように道化で誤魔化さずに、見えたままの表現に努力した。そして敢然と人間をモチーフとして「お化けの絵」を描いたのだ。

 そう思って涙が出るほど感動した葉蔵は、自分も彼らのような絵描きになりたい、と、強く思うようになる。

 普段のお道化を封印して、ひそかに自画像を描いた葉蔵。

 人の思惑に少しも頼らない、主観による創造、それを心がけて描いたその絵は、驚くほどに陰惨な、満足の行く出来に仕上がったが、葉蔵はそれを竹一にだけ見せて、他の人たちには自分のこうした暗部を知られたくないという思いから、すぐにしまいこんでしまう。

 葉蔵の自画像を見た竹一から「お前は偉い絵描きになる」と言われ、しかし、葉蔵はその夢を叶えることができなかった。

 厳格な父に、父の勧める官吏ではなく絵描きになりたい、と言い出すことができず、父の別荘で、高等学校に籍を置きつつ、ひそかに画塾に通ううちに、葉蔵は堀木という男に出会う。

 美貌で遊び人の堀木から、金を無心され、酒と煙草と女を教えられ、内心互いに軽蔑しながらもその交友関係は続き、そうこうするうちに、自分が男以上に恐怖する女という生き物を引き寄せる「女達者」になりつつあるという恥ずべき事実に気づいた葉蔵は、女遊びから距離を置くようになる。

 しかし、もう一つ堀木に教えられた非合法の政治活動、これからはまだ離れることができなかった。

 一方、息子が反体制の政治活動をしているとは知る由もなかった政治家の父から、別荘を出て自活するよう言い渡されたとき、葉蔵はたちまち生活に困るようになる。

 生活苦と、遊び半分で始めたはずが抜けられなくなっていた非合法の政治活動、そして遊興の悪癖。

 それらにがんじがらめになって身動きがとれなくなっていたときに、葉蔵は人生に疲れたバーの女給ツネ子に出会い、彼女のわびしさに安らぎを覚えた果てに、深く考える間も無く、心中事件を起こす。

 女給は死に、葉蔵は助かった。

 この事件は政治家で名士の父のスキャンダルとなった。
    起訴猶予となった葉蔵は、父の世話になっていた骨董商の男(父も葉蔵もその男を「ヒラメ」と読んでいた)を身元引受人として釈放され、彼の家で寝起きをすることになる。

 ヒラメが心配するような後追い自殺の気力などなく、いたたまれなさからヒラメの家を出て堀木を訪ねた葉蔵は、そこで、雑誌社に勤める子持ちの未亡人の女性シヅ子に出会い、彼女の家に身を寄せた。

 彼女の紹介で、子供向け漫画の仕事を得て、彼女と同棲することになった葉蔵。

 同時に故郷とは絶縁することになり、憂鬱な思いの中で酒を飲みながら漫画の仕事をこなすうちに、自活したいという思いとは裏腹にまた酒代が膨れ上がり、自分がいては、この母子を不幸にする、と思った葉蔵は、シヅ子の家を黙って後にし、行きつけになったバーのマダムのもとに転がり込んだ。

 彼女の店を手伝い、漫画を描きながら無為な日々を過ごしていた葉蔵だったが、ある日タバコ屋の娘ヨシちゃんに出会い、彼女の無垢に打たれて、彼女と結婚することにする。

 束の間ヨシ子と幸せな新婚生活を送っていた葉蔵、しかし、堀木との付き合いを断ち切ることができずに、再び酒浸りの日々を送るようになり、そんな中、ヨシ子が葉蔵の漫画を買い取っていく男に暴行されるという事件が起こる。

 堀木とともにその事件を目撃した葉蔵。

 葉蔵が惹かれたヨシ子の無垢の信頼、それによってヨシ子が卑劣な男に騙された。

 この皮肉に苦しめられた葉蔵は、混乱の中で、ヨシ子の自分に対する愛情すらも疑うようになる。

 事件に巻き込まれた挙句、葉蔵から疑われたヨシ子は、自殺するつもりで催眠剤を手に入れ、それを見つけた葉蔵は、「お前に罪は無い」と思いながら、それをすべて自分で飲み干す。

 二度目の自殺未遂、しかし、またしても死に損なった葉蔵は、ますます酒を飲んで喀血し、薬を求めて入った薬局の女主人から、アルコール依存を断つために、と、ひそかに渡されたモルヒネの虜となる。

 薬欲しさに、女主人を誘惑し、それでも膨れ上がった薬代と中毒症状はどうしようもなく、ついに行き詰った葉蔵は、父に助けを求める長い手紙を書き送る。

 やってきたのは、堀木とヒラメだった。
 
 「お前は、喀血したんだってな」
 その優しい微笑みに感動した葉蔵。とにかく、病気を治さなければと説得されて、連れていかれた先は、胸の病気を治すサナトリウムではなく、脳病院だった。

 施錠された病棟。

「人間、失格」
 堀木の微笑に裏切られ、その刻印を額に打たれた心地の中、鉄格子を透かして季節の移り変わりをただ漠然と見ていた葉蔵は、訪れた兄から、父の死を告げられる。

 懐かしくおそろしかった父の死。

 苦悩さえも失った葉蔵は、兄に引き取られ、廃屋のような家に老いた女中と住まわされることになる。

「今の自分には、幸福も不幸もありません。ただ、一切は過ぎていきます」

 ことしで二十七才になった葉蔵は、白髪が増えたために、周囲からは四十以上に見られている。

 手記はそんな話で結ばれていた。



 物書きの「私」は「あとがき」の中でこの数奇な写真3枚と手記を手に入れた経緯を語る。

 葉蔵のことは知らない、しかし、「私」に手記を託した女性は、おそらくかつてバーのマダムしていた人だ。

 彼女のもとに送られてきたこの手記を、彼女は「小説の材料になるかもしれない」と、私に託した。

 葉蔵の生死は知らない。ただ、手記を送られてからもう十年経つから、なくなっているかもしれない。
 そう語るマダムに、「あなたも、相当ひどい目にあったのですね」と、「私」は言う。
 「あのひとのお父さんが悪いのですよ」
 マダムは「私」に、なにげなく、そう言った。
「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、……神様みたいな良い子でした」

(完)

 人間に怯えて、道化を演じ続けた果てに、世間から孤立していった葉蔵。

 彼自身の語りの中、そして、マダムの記憶の中では、自分の苦悩を押し殺して人間を笑わせた「聖なる道化」のようにも見える葉蔵ですが、彼の語りの中に埋没した他者とのやりとりには、それだけでは片づけられない物語の奥行があり、太宰治のダイレクトな自伝であり遺書であるかのようにも思わされるこの作品が、漫画となることで、確かに作品の中にほのめかされ、しかし、重視されてこなかった要素を浮かび上がらせています。

(原作ファンにとって、他メディアのリメイクに満足がいくことは少ないのですが、この漫画は、原作にかなり忠実でありながら、漫画の特性を活かしたデフォルメがされており、原作ファンにも非常に読み応えがありました。)

 当ブログでは、何回かに分けて、この原作と漫画の比較を行い、それぞれの作品の特色をご紹介させていただきたいと思います。よろしければまたお立ち寄りください。

当ブログ太宰治関連記事は以下の通りです。併せてご覧いただければ幸いです。
「黄金風景」(太宰治短編ご紹介1)
「花吹雪」(太宰治短編ご紹介2)
「哀蚊(あわれが)」(太宰治短編ご紹介3)
「人間失格」原作あらすじ

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 23:57| 太宰治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月04日

不思議なアザラシ&アシカ動画


 本日は、Youtubeのカワイくてちょっと不思議なアザラシとアシカの動画をご紹介させていただきます。

 ちなみにアザラシとアシカには次のような違いがあるそうです。

「アシカには小さな耳殻(耳たぶ)があるが、アザラシには耳殻がなく、小さな孔が開いているだけである。」
「アシカの前脚は長いヒレ状だが、アザラシの前脚は短く五本指があり、手のような形をしている。」
「アシカは前後の脚で体を支える力があるが、アザラシは前脚で体を支えることができないため、陸上で上体を起こしていればアシカである」


出典:「違いがわかる事典」 「アシカ」と「アザラシ」と「セイウチ」の違い


 なお、英語ではアザラシは「Seal」アシカは「Sea Lion」と呼ばれています。

 犬好きなもんで、どちらも犬っぽくてカーワイー、と思っていましたが、たまに驚くような人懐っこさがあるところまで犬を彷彿とさせます。


まずはアザラシ編
「Charlie and the seal!」


https://www.youtube.com/watch?v=RoJTbfnCVkA

アイルランドのジャーナリスト、チャーリー・バード氏が、アザラシ(ゾウアザラシ〈elephant seal〉)たちがくつろぐ浜辺を取材していたときの出来事です。

(参照:TV roove!「ビーチで寝ていたらアザラシにメチャクチャなつかれてしまうおじさん」
http://www.tvgroove.com/news/article/ctg/7/nid/13018.html)


 ゾウアザラシは警戒心が薄く、人がかなり近づいても逃げないので、観光でアザラシを観にいくというイベントもあるくらいですが、このアザラシ(大きいけどまだ子供)、近くに座って取材をしていたチャーリー氏をじっと見つめ、その後、隣に横たわったチャーリー氏に、てち…と前足をかけたかと思うと、身を乗り出してカメラをふぐふぐかいだ後、前足を彼に置いたまま、くつろぎはじめてしまいます。
「すばらしい経験です……」と喜びを語るチャーリー氏

 画面が切り替わると、さらに気を許したのかチャーリー氏に頭をもたせかけてしまっている赤ちゃん。

 さらに、なんと、なんかうらやましく思ったのか、もう一頭の赤ちゃんが、デッデデッデデ…と寄ってきて、最初の赤ちゃんに並んで彼に頭を乗せてきます。
「これは私の人生で最も驚くべき経験です、素晴らしい!!」と言いながら、プシュン!という赤ちゃんのクシャミにも嬉しそうにアハハハハ!と笑うチャーリー氏。

 彼の笑い声を聞きながら、二頭は「このおきにいりの親戚のおじさんと一緒に僕も寝るのだ」みたいな感じで彼にべったり寄り添ってお昼寝しています。


続いてアシカ編

「My life changing experience with a sea lion」


https://www.youtube.com/watch?v=YNPrUWXVlAY

 海を少し疲れた感じで泳いでいたアシカの赤ちゃん。

 可愛い!!ハーイ赤ちゃん♪という感じでボートから声をかけている女の子(投稿者ギルキンソン氏の姪っ子さん)の声がしましたが、なんと、その呼び声にこたえるように、アシカの赤ちゃんがボートに上がってきてしまいます。

 そして、後部の座席を見つけると勝手にヨジヨジして、そこに座り込む赤ちゃん。

 野生動物だから触ってはいけない……と思いつつ、そっと座席の隅に座ってこの光景を撮影するギルキンソン氏。

 すると、身を乗り出して波をみつめていた赤ちゃんが、何を思ったか、ギルキンソン氏の膝に近寄り、顎をのせてきます。

 さらに、まるでよく慣れた猫のように、眠たげなとろーんとした顔のまま彼の膝枕の上で寝返りをうち、ギルキンソン氏に頭をスリスリゴシゴシスリスーリ……(本当にギルキンソン氏からなんかオーラでも出ているのではと思わせるほど念入りにくっついてくる)。

 最後には、これだけスリスリされてんのに、触ってはダメも何も無いか……という感じでそっと指先で赤ちゃんの首を撫でるギルキンソン氏、思い切り身をそらしてそのつつましいイイコイイコを満喫し、お返しのように鼻先をにょ、と彼の手につけて、再イイコイイコをしてもらい、約一時間、アシカの赤ちゃんはそのボートで休憩していったということです。

 最後に「新しい友達です!」という字幕とともにギルキンソン氏とアシカの赤ちゃんの写真が登場しますが、優しい笑顔のギルキンソン氏と一緒に写っているアシカちゃんも明らかに穏やかに笑っており、初対面の野生動物と人がこんなに親し気なツーショットってあるのかと思わされます。

 「人生を変えるような出来事」とギルキンソン氏が形容する、この不思議な体験は、ネット上でニュースとして紹介されました。

「Daily mail」情報
「Adorable moment an affectionate baby sea lion leaps onto a boat and cuddles up to a passenger caught on camera」
Read more: http://www.dailymail.co.uk/news/article-2338721/Adorable-moment-affectionate-baby-sea-lion-leaps-boat-cuddles-passenger-caught-camera.html#ixzz4JIfrh2oM
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「The Huffington Post」情報
「Baby Sea Lion Snuggles Sailor After Climbing Aboard Boat Near Newport Beach In California (VIDEO)」
http://www.huffingtonpost.com/2013/06/06/baby-sea-lion-snuggles-aboard-boat-newport_n_3398883.html

 この二つの動画、何故、アザラシもアシカも、こんなにいきなり人に気を許したのかが謎ですが、しかし、チャーリー氏もギルキンソン氏もいかにも優しそうで、赤ちゃんたちとの出会いに感動しているのがその表情からよくわかります。

 野生動物なのに……と思いますが、逆に野生動物だからこそ、自分に害を為さず、好意を持っている存在を見分けることができる個体もいるのかもしれません。

 赤ちゃんたちの可愛らしいしぐさと、彼らに見込まれ寄り添われた人たちの嬉しそうな温かい笑顔に心なごみます。

 当ブログその他の動物動画関連記事は以下の通りです。よろしければ併せてご覧ください。

夏向き癒しの犬動画2作(「ゴールデンレトリバー、フロート(大型の浮具)を盗む」&「ドッグスパ」)
夏向き癒しのイルカ動画
イルカたち、フグ毒を回し飲みしてハイになる(イギリスBBCドキュメンタリーより)
自然番組の撮影方法(BBCドキュメンタリーより)
 
 (近日中にその他のアザラシ動画について、もう少しご紹介させていただく予定です。)

 読んでくださってありがとうございました。

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2016年09月03日

『ダメな自分を認めたら部屋がきれいになりました』(わたなべぽんさん作 お片付けコミックエッセイ)


 先日より、当ブログのわたなべぽんさん最新作「やめてみた」ご紹介記事に多くのアクセスをいただきました。

やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方 -
やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方 -


(当ブログ前代未聞のアクセス数だったんで、正直何事かと思いました。9月1日にモーニングショー(※)で紹介されていたみたいですね。観たかったな……。)

(※)参照:価格.com HP内「テレビ紹介情報」
「「羽鳥慎一モーニングショー」 2016年9月1日(木)放送内容」

http://kakaku.com/tv/channel=10/programID=59158/episodeID=990930/

 読むと気持ちがすっきりする、すてきな本です。

 おかげさまで、ぽんさんも脱却したゴシップネット閲覧については、この本を読んだことをきっかけに私も禁閲覧を継続できています。(お世話になってまっス!!)

 アクセス御礼として、本日はぽんさんのお掃除本「ダメな自分を認めたら部屋がきれいになりました」を一部ご紹介させていただきます。

ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -
ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -

 実は結構「にぎやかな部屋(ぽんさんお友達談)」にお住まいだったぽんさん、ある出来事をきっかけにお掃除に挑みますが、約半年にわたる挑戦の中で、お掃除をはじめたときには思いもよらなかった発見をし、心境にも変化が起きます。

 ぽんさん作品の魅力である、「人を謙虚に見習い、コツコツ地道に頑張る日々を通じて、それまでとは違う新しい自分と暮らしにたどりつく」という過程が、この本でも丁寧に描かれています。

(メソッドはベーシックなのですが、この心理描写があるから、まず、チャレンジ前のぽんさんに「あーわかるわかる」と共感し、努力の果ての成果と気持ちの変化を読んで「自分もこのすがすがしい気持ちになってみたい」みたいな感じで、チャレンジしたくなるんです。)
部屋がきれいになりました1.png

 「スリ真似ダイエット(スリム美人の生活習慣や食生活を真似るダイエット)」シリーズで計35kgのダイエットに成功したことで注目をあつめたぽんさんでしたが、これはそのダイエットをはじめる前のお話。

スリム美人の生活習慣を真似したら 1年間で30キロ痩せました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -
スリム美人の生活習慣を真似したら 1年間で30キロ痩せました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -

もっと! スリム美人の生活習慣を真似したら リバウンドしないでさらに5キロ痩せました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -
もっと! スリム美人の生活習慣を真似したら リバウンドしないでさらに5キロ痩せました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -

スリム美人の生活習慣を真似して痩せるノート術 (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -
スリム美人の生活習慣を真似して痩せるノート術 (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -

 今は見事スリム美人になって、美と暮らしに磨きをかけているぽんさん。

 すべてはこのお掃除チャレンジからはじまりました。
(ちなみにダイエット成功の前に大掃除をしていたというケースは結構あるみたいです。どうも、掃除はメンタルに強く作用するみたいですね。)

 自分の話になってしまいますが、僕は結構な掃除下手なもんで、掃除・片付け本は相当読み漁っています。

 ダイエットや勉強法と同じで、読んでいてしっくりくるもの、そうでないものがある中、ぽんさんの本は、「体験談を通じて掃除したい人の心を整えてくれる部門」では、一番自分に合っていました。
(掃除・片付け本については、本によって色々アプローチがあってそれぞれ面白さが異なっていたので、機会があれば、ほかの名著もご紹介させていただきたいと思います。〈ちなみに、アレコレ読んだ成果ですが、「相変わらず散らかしの達人だが、一応人並みの部屋」くらいにはなっています。今のトコロは。〉)

 以下、個人的に見所だと思った部分をいくつかご紹介させていただきます。(一部ネタバレがありますのであらかじめご了承ください)

1,ブラックライト事件(お掃除チャレンジ開始のきっかけ)

 「スリ真似」開始のきっかけは、腰かけた際に便座を割ったことだったそうですが、お掃除開始のきっかけも結構パンチがきいています。

 ぽんさんと夫さんがご友人と一緒にカラオケに行き、ブラックライト(人工的な紫外線、白い部分だけ光らせるという特性があるので、暗い部屋での照明に使われる)のある部屋に入ったところ、ぽんさんご夫妻だけ、服から髪から肌から、とにかく全身が細かに光り輝いてしまい、光源が二人に付着した家のほこりであることに気づいたぽんさんは、一生懸命はたきながら、「なんだろね」と、しらばっくれましたが、もはや歌どころではなかった……という一件がきっかけだったそうです。

 原因に気づいていない夫さんの無邪気な反応とのギャップが哀しい。

部屋がきれいになりました2.png

 子供の頃から片付け、掃除が苦手で苦労していらしたぽんさん、それでいいとは思っていたわけじゃないけど、頑張っても何度もリバウンドしてしまうから、きっかけがつかめなくなってしまった……という状況だったようですが、夫さんともども全身光り輝いてしまったせいで、「相当恥ずかしい」と、外部の目を意識して、ついに決意が固まるという過程が描かれています。

(ちなみに、汚部屋描写として一番ショッキングだったのは、「床につまようじが落ちていて、ぽんさんの足の小指を貫通した」というエピソードでした。)

2、物を減らすまで

 「ブラックライト事件」の翌日、一生懸命掃除機をかけて、安心していたぽんさんでしたが、その後、必要なものがすぐ見つからない、収納場所から物が出せない(入りきらない物たちが周辺に砦を築いているから近寄れない)という事態に見舞われ、「ほこりをとる」から、「物を減らす」という作業にシフトチェンジします。

 この作業中、レシピ本やエクササイズ関連の品、英語のテキストなど、買ったっきり手をつけていないものがあまりにも多くて愕然とするという場面があります。

 「なぜこれらを収納に困るほど買ってしまったのか」「買ったのに手をつけないのか」という二点についてぽんさんが自分の深層心理を分析し、やがて「高額のほぼ新品」であるそれらの品々をどうすることにしたのかが、葛藤とともにこまやかに描かれており、個人的にはこの作品一番の見所だと思います。(あまりにも自分にあてはまったから余計。)

 「無理に収納するより、物を減らした方が良い」というのは、ぽんさんの本以外でも、昨今の多くの掃除、片付け本で提唱されているところであり、実際、掃除が苦手な人ほど、物が多いと混乱し、管理しきれなくなるので(例、僕)、その意見はまったく理にかなっていると思いますが、そもそもなぜ買いすぎ、なぜやらなかったのかを自分で見極められないうちに、とにかくジャマだから、と、無理に捨てても、その心理の落とし穴は依然残っているわけですから、のど元過ぎれば、また、別の物を増やしてしまう可能性があります。

 物を買ってしまったのはどういう気分のときだったのかを思い出し、購入後すぐに「使うかどうかわからないけど持っているだけで安心するもの」と化したそれらの物が、本当に自分の実になったのかをよく考えてから、その物たちをどうするか決める、という過程を経て、ようやく、むやみやたらと物を増やさない自分になれる、ということが、ぽんさんの自己分析を通じて描かれています。

 ぽんさんが具体的にどんなふうに考えをまとめていくかについては、是非直接本をお読みになってください。名台詞の連続で、もう共感しか無い。でも、物を増やしちゃう心理はそっくりそのまま体験していたけど、こんなふうにきちんと結論を出せたことはなかったので、読んでいて自分の気持ちも整理される心地がしました。

 魂に突き刺さる名セリフの一つ
「捨てちゃったら、“なりたい自分”をあきらめることになっちゃう気もするし……って夢はあきらめたくないのに、ものだけ買って努力しないなんて、ムジュンしてるよね(どーしたかったんだわたし……)」
部屋がきれいになりました3.png

 私のような、なんか頑張るつもりで物を買うだけ買ってやらずに地層が発生してゆくタイプの散らかし人には、ものすごく響くシーンです。

 片づける人の心理ばかりでなく、物の処分の目安や、棚やタンスの収納例など、掃除をする際の具体的なお手本にできる情報もすっきりと可愛い絵でくわしく説明されています。

 食料品の処分をためらうぽんさんに、夫さんが友人から聞いたという食品放置の恐怖を語る一コマ(なぜか稲川淳二風〈笑〉)パスタの袋をほったらかしていたら、夜中にアノ虫が群がって端をジワジワと削り取っていたという話

部屋がきれいになりました4.png


3、成果

 本の最後に、お掃除後のぽんさん宅の写真が登場します。

 スッキリとした部屋に、木目の家具や籠収納、植物の緑がぬくもりを添え、機能的な中にも暮らしの息遣いが感じられる居心地のよさそうな仕上がり。さすがセンスが素敵です。ご注目ください。


 
 ぽんさん作品については、現在書かれているポイントを読みながら頑張っている最中なので(さしあたり減酒が目標)、いずれまた一部をご紹介させていただくこと思います。よろしければ見にいらしてください。

 読んでくださってありがとうございました。
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2016年09月02日

ドラえもん誕生日記念「地底のドライ・ライト」ご紹介(※ネタバレ)(欲に目がくらんだドラえもん大暴走の回)


 明日9月3日はドラえもんの誕生日です(2112年9月3日うまれ)。

(なんでも連載開始時、対象読者とのび太が小学4年生で、当時の小学4年生男子の平均身長129.3pにちなんで決められたそうです。)
(「ドラえもん‘s ホームページ」内「ドラえもんの誕生日に秘められた秘密」を参照させていただきました。
http://www2.anakama.com/basicofdora_2.htm

 これを記念してか、NHK BSプレミアムで9月5日午前9時より、藤子・F・不二雄ワールド誕生までと先生ご自身のエピソードを紹介したドキュメンタリー「藤子・F・不二雄ふしぎ大百科」が再放送されます。

 藤子F先生の温かなお人柄が伝わるとても良い番組でしたので是非ご覧になってみてください。

(番組公式HP http://www4.nhk.or.jp/pcafe/x/2016-09-05/10/8964/2315603/

 今日はドラえもんを勝手にお祝いして、普段とても頼りになるドラえもんが、ドラやき愛ゆえに人が変わってしまった異色作、「地底のドライ・ライト」をご紹介させていただきます。
(なんでお祝いでそういう側面を扱うのさ)

てんとうむしコミックス33巻収録

ドラえもん (33) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (33) (てんとう虫コミックス) -

以下あらすじです。(ネタバレなのであらかじめご了承ください。)




 冬のある日。

 部屋の石油ストーブを「部屋のあちこちでストーブをつけておくなんてもったいない」と、ママに消されてしまったのび太とドラえもん。

 ケチだとぶーたれるのび太に、「うちの苦しい経済事情も、わかってあげなくちゃ」と物わかりのよすぎる発言をするドラえもん。
 図星でしたが、ママは、地球には石油がもうあまり残っていないから大事に使わないと、と、ごまかします。
 それを聞いたのび太は、石油がなくなったら乗り物は止まるし、電気は止まって暗くて寒くなって……とはげしく怯えます(すなお)。
 そこで、ドラえもんが22世紀の主要エネルギー資源、「ドライ・ライト」のかけらを見せてあげます。

 太陽光線のエネルギーをドライアイスみたいにかためたものだというそれは、非常に温かく、光をはなち、寒さに触れると、暑い場所でのドライアイスのように溶けてしまうという性質を持っていました。

 実は夏の間、地面に降り注ぐ日光をドライライトにして、その鉱脈をのび太家〜町内の地下に貯蔵していたドラえもん。保温容器に入れて、いるだけ出して使うことにします。(鉱脈への入り口も要密閉。)

 カイロにも、照明にもなり、やかんに入れればお湯を沸かせるという、非常に便利なこの燃料、なんてすばらしい!と感動したのび太は、ドライ・ライトを販売する会社の設立を持ち掛けます。

 やがては世界中に輸出して大儲け……と展望を語るのび太を、きみはすぐそんなこと考える!!と強くたしなめるドラえもん。

 ところが、「安くて便利なエネルギーが手に入ればみんなよろこぶよ。悪い?」ともっともらしいことを言われた挙句、ドライライトで儲ければドラやき食べ放題とそそのかされたドラえもん、「や、や、やろう。やろう!!」 とよだれをたらしてじたばたし、いそいそ訪問販売を開始します。

 100g100円で町内の人々に売り出そうとしましたが、高いからいらないとか、友達相手に金もうけしようなんて!とか言われて、まったく売れずに寒風の中、スゴスゴもどってきます。

 やっぱりこんなことで金儲けするのはよくない……と、思いなおそうとしていたドラえもんに対し、昼寝していたのび太(おい)、
「きみを社長にしよう(提案内に出てくるドラえもん社長、なぜかチョビひげスーツ姿)。ビルなんかすぐたつ(ドラ会社)。そうだ、社長室の横にドラやき食堂を作ろう。いつでもすきなだけドラやきが食べられるの」
と、のび太が提案しているコマに描かれているのは、ドラやきをどんぶり飯に乗せた「ドラどん」、熱々の鉄板で焼いた「ドラステーキ」、あん以外にもなにやら挟んである「ドラバーガー」、カレーソースをかけた「ドラカレー」、半分に切ったドラやきを美しく並べてシソ等を添えた「ドラさしみ」。

ドライ・ライト1.png

ドライ・ライト2.png

 「ドラさしみ」がギリで(シソとかいらないけど)、後は到底一般的に食べたいと思うようなラインナップではありませんが、ドラえもん的には理性が崩壊するほど魅力的なプランだったようで、メロメロ目&よだれダラダラになってしまった挙句、なにがなんでも売ってくる!!と飛び出していきます。

(めずらしく「のび太が見送り、ドラえもんが動く」構成なので、ドラえもんの後ろ姿が多い回。かわいい。〈しかし、のび太もワルよのォ〉)

ドライ・ライト5.png


 どうしたら売れるか考えた挙句、今日のところはサービスで見本をくばることにします。

 「この便利さがわかれば、買わずにはいられなくなるよ。石油だってそうなんだ。昔の人は石油なんか使わずにちゃ〜んと暮らしていた」
(現代人全員身につまされる台詞。)

 ジャイアンたちをはじめとして、まちの人々に「とにかく使ってみて、明日からは100グラム100円」と言いながら気前よくサンプルを配ったドラえもん。

 効果は絶大で、家に戻ってくるころにはもう、大勢の人々が見本をもらいにつめかけていました。

 「そんなに大人気か!?ドラやきは近い!!」
ハート目になりつつ、見本をくばるために鉱脈の入り口を開けていたのび太に
「あけはなすなと言ったろ。溶けちゃうんだ」
と、慌てて扉を閉めました。

 有料化は明日から、と言っていたのに、あまりの反響にサンプル配布を締め切ってしまったドラえもん。それでもいいから分けてと頼む町の人に、
「100グラム100……いや200円!!」
と、いきなり倍の値段を提示します。
 のび太が販売開始早々の値上げを止めようとしても「倍に売れば、ドラやきが倍買えるよ」と、耳を貸しません。

 300円……500円!!と訪れる人ごとにうなぎ上りに値を吊り上げ、「高い!」と町の人(空き地の隣にお住いの厳格なおじさん神成さん)とのび太に驚かれますが、
「高くていやなら、買わなきゃいいんだ。ドラやき…いやドライ・ライトはここにしかないんだから!」
と、横暴論理を振りかざします。

 「500円でいいから売ってくれ」
折れざるを得なかった神成さん。
「それみろそれみろ」
経営方針に余計な口をはさもうとしたのび太に振り向いたときのワッルイ顔ときたら、もはや我々が知っているドラえもんではありませんでした。

ドライ・ライト3.png

 すぐに掘りだしてきます、と、イソイソ鉱脈へ行ったドラえもん。一方、「ドラやきのことになると人がかわったようになる」……と、長い付き合いながら知らなかった友の一面に困惑するのび太。

 そうとは知らず、ドラえもんは、大いにゴキゲンでつるはしをふるって、「おまちどおさま〜」とカモの顧客にドライライトを持っていきました。

 部屋に戻ると、来年の夏はもっと広い場所でドッサリ作ろう、と、のび太に業務拡大を提案し、
「世界中へ輸出して、世界中のドラやきを輸入しよう。ウヒョヒョ。」(ドラえもんには悪いが、どら焼きはそんなにワールドワイドな食べ物ではない。)

ドライ・ライト4.png

 そう言いながら、畳一畳分ほどによだれを派手にたらしまくりますが、ふと気づくと、なんだか暑くなっていました。

 しまった!と庭に戻るドラえもん。

 浮かれて鉱脈の扉を閉め忘れてしまい、時すでに遅し、ドライライトが溶けて町中に流れでていました。

 空き地で半そでやノースリーブ姿で汗をかきながら遊ぶジャイアン、スネ夫、しずかちゃん。

 「みんな夏すがただよ。この暑さ当分続くだろうね」
 のび太のことばに、ひげまでうなだれきったドラえもんは「フニャ……」と声にならない声をもらすだけでした……。

 一般的な味覚ではあまり魅力を感じられない「ドライ・ライトドラ会社のドラやき食堂(『体脂肪計タニタの社員食堂』的なノリで)」や、「世界中のドラ焼き」などのドラえもんの暴走するドラやき愛と、それに起因する悪徳経営者っぷりが印象に残る回です。

体脂肪計タニタの社員食堂 ~500kcalのまんぷく定食~ -
体脂肪計タニタの社員食堂 ~500kcalのまんぷく定食~ -

 ふだんは性格いいんだけど、のび太が言うとおり、ドラやきがからむと豹変してしまうドラえもん。でも、そんな奥行きがあるからこそ、大人になった今でもドラえもんから目が離せません。

 いかにも子供向けにタダシイことしか言わないし、しないキャラだったら、子供時代が終わるとともに読むのもやめていただろうなとつくづく思います。(どんな話だったかもすぐ忘れちゃっただろうなあ。)

 こんなふうにエキセントリックだったり欲にかられちゃうところがあるから余計好きなんだと思います。

 この回が収録されている33巻、あの、「おまえのものはおれのもの、おれのものもおれのもの」というジャイアンの歴史的名言も読めますし(「横取りジャイアンをこらしめよう」の回)、その他名作揃いなので是非お手にとってみてください。

 引き続き当ブログで折に触れドラえもんの魅力をご紹介させていただきますので、お立ち寄りいただければ幸いです。

 読んでくださってありがとうございました。

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2016年09月01日

おススメです!『築地はらぺこ回遊記』『築地まんぷく回遊記』(おざわゆき・渡邊博光 作 コミックエッセイ)


すみません、今日は「人間失格」について書かせていただく予定だったのですが、8月31日に築地移転延期(新たな移転時期は来年2月以降予定)が決定されたので、すごく好きな漫画をご紹介させていただきます。

(参照:Yahooニュース築地市場の豊洲移転延期=新時期は来年2月以降―安全性懸念、小池都知事が表明
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160831-00000056-jij-pol

(人間失格については明後日以降で早めに書かせていただく予定です。明日夜はドラえもんの9月3日のお祝い記事とさせていただく予定です。〈最近の話題のテンションの乱高下なんなんだ〉)

『築地はらぺこ回遊記』、『築地まんぷく回遊記』


築地はらぺこ回遊記 -
築地はらぺこ回遊記 -
※こちらは紙書籍のみ、もう持ってるけど持ち歩きたいから電子書籍版も出していただきたい……。


築地まんぷく回遊記 -
築地まんぷく回遊記 -

 漫画家のおざわゆきさんと相方ダンナ様でマンガ内ではコラムご担当の渡邊博光さんによる築地食べ歩きコミックエッセイです。

 なお、おざわゆきさんはご両親それぞれの第二次世界大戦下の体験をもとにして書かれた「あとかたの街」「凍りの掌」で2015年日本漫画家協会賞大賞(コミック部門)を受賞されています。
(どちらも名作でした。いずれご紹介させていただきたいと思います。)


あとかたの街(1) (BE・LOVEコミックス) -
あとかたの街(1) (BE・LOVEコミックス) -

凍りの掌 シベリア抑留記(1) (BE・LOVEコミックス) -
凍りの掌 シベリア抑留記(1) (BE・LOVEコミックス) -

(参照:「漫画だから描ける戦争 おざわゆきさん『あとかたの街』『凍りの掌』」産経ニュースhttp://www.sankei.com/premium/news/150719/prm1507190024-n1.html


 個人的な話になってしまいますが、ただいまダイエット中の私は、満たされぬ心ゆえか昨今グルメ漫画をこよなく愛読しています。

 その中でもこの2冊は、自分の中でお宝本。とてもとても美味しそうで楽しそうです。

 これ読んだのがきっかけで初めて築地に行き、歴史の趣を感じさせながらも、今も大現役で人々の胃袋を満たし続ける町の、お店とお客さんがひしめく活気に、足を踏み入れるや否や、「たーのしー!!アハハハハ!!」とブッ壊れました。別に無理に食べ続けなくても、歩くだけで異様にテンション上がる。

 以下、漫画のおススメポイントです。

1、ごちそう描写

 全ページカラー、人はかわいらしい感じにデフォルメされていますが、料理は質感たっぷりに非常に丁寧に描かれています。リアルなだけでなくどこか温かみがある色づかいも魅力。ページ三分の一くらいを占めてドドーン!!と登場する料理の悩殺度は、過去様々観たグルメ漫画の中でも屈指です。

 『まんぷく回遊記』内、築地場内の有名店「八千代」さんのアジフライのご雄姿。
築地まんぷく回遊記1.png


 ※アジフライ・牛丼等、築地の名物料理のいくつかについては、『はらぺこ回遊記』のほうで、渡邊さん執念の名店食べ比べコラム「築地回遊ガイド」が楽しめます。

『まんぷく回遊記』内「魚竹」さんの清楚なぬた達。

築地まんぷく回遊記2.png


2、多様なお店情報

 築地と言えば、特に観光客をくぎ付けにする寿司、海鮮丼、または市場で働く男たちの胃袋を満たすガッツリボリューミーな料理が有名ですが、移転にともない、築地大特集があちこちで組まれるはるか以前から、依頼された取材ではなく本気で築地好きなお二人(特に渡邊さんは、おざわさんに「築地がアイドルなら(渡邊さんは)ストーカー」と形容されるほどに築地を追い続ける生き字引〈以前嵐の番組「イチゲンさん」でも名店紹介をなさっていました。〉)が、足と舌で集めた築地情報が載っているため、海の幸もガッツリもしっかり網羅しつつ、さらに多様なお店が紹介されていて、築地の奥深さを知ることができます。

 例、「パン工房・ル・パン」さん(『まんぷく回遊記』)や、ナポリタンが一躍有名となった「フォーシーズン」さん(おざわさんいわく本当に涙するほど美味しいらしい。)(『はらぺこ回遊記』)などなど。


 非常に可愛らしい「角山本店」さんの「細工麩」(季節ごとにデザインが変わる手作りの品だそうです。)

築地まんぷく回遊記3.png

 ※渡邊さんいわく、自殺行為に近い「年末鬼混みの築地訪問」でも比較的落ち着いて買い物できるお店、とのこと。(注、漫画内でも言及されていますが、店間の移動は「鬼混み」をかき分けて行くことになります。)


3、相方同士の飲み食べ歩き

 おざわさんが女性担当者の方たちと行く食べ歩きもほほえましい(あと、慣れない人が築地をあるくときの気構え〈服装とか、プロが行き交い慌ただしい場内通りを歩くときの目配りとかがよくわかる〉)ですが、なんといってもうらやましいのは、おざわさんと渡邊さんの夫婦食べ歩きです。

 場内では動きやすいようにカジュアル、混雑時間を過ぎた場外は粋に着物で繰り出して、二人が趣味の築地歩き時間と美味しい食べ物を共有している様子は実に楽しそうです。これはまさに相方・つれあいですね。

蕎麦屋「長生庵」さんにて

築地まんぷく回遊記5.png

多け乃食堂」さんにて
築地まんぷく回遊記4.png


 以上、ちょっと駆け足になってしまいましたが、二冊の超おすすめ漫画でした。食べ物描写が素晴らしいので読み物としても楽しめますし、移転が実現しても残留が決まっている場外(※)の情報が数多く載っていますので、ガイドブックとしても依然役立つ作品だと思います。


(参照:「これからの築地」築地場外HP http://www.tsukiji.or.jp/related/future/

 是非お手にとってみてください。

 読んでくださってありがとうございました。

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2016年08月31日

(閲覧注意)日英恐怖CM情報

(注意:今回は怖がりの方には閲覧注意の記事です。そうでない方も、できれば朝になってからお読みください。〈書いといてなにその言いぐさ。〉)





 先日、子供の頃トラウマだったちびっこ向け図鑑や雑誌のオカルト記事(高い画力で落武者の霊とかをボカシ一切無し超緻密に丹念に描いた見開き挿絵つき)のお話をしましたが、今回は大人になってから見たイギリスのトラウマCMについて書かせていただきます。

 誰得情報だよというご指摘がありそうですが、どうしても忘れられないんで……。

 以下CMの内容です。

 朝、蛍光灯に照らされ薄暗がりで歯磨きをする男。
 男の手が一瞬止まる。
 洗面台の鏡に映る男の姿、その足元に青いトレーナーを着た少年が倒れている。
 上半身は大きくねじれ、両足は背中側に不自然に曲がっている。
 鏡の中の少年に視線を落としたあと、歯磨きを続ける男。

 電話や書類をめくる音がせわしなく響くオフィス。
 仕事をする人々の側のカーペット敷きの通路に、あの少年が倒れている。
 同じようにねじれた姿で。
 倒れている少年のすぐ横を通りすぎていく男。

 エスカレーターで下る男が顔を背ける。
 視界の片隅、エスカレーターの降り口の傍らに、あの少年が倒れている。

 バスの中。
 窓際に座り、力なくこめかみを窓ガラスにもたせかけている男。
 窓の外の、人々が行き交う歩道に、あの少年が倒れている。
 少年にゆっくりと近づき、通りすぎていくバス。

 晴れた日の公園。
 芝生に挟まれた遊歩道を歩く男。
 芝生でサッカーに興じる人々の間に、あの少年が倒れている。

 夜更け、暗がりの中、パソコンに向かう男。
 ふと、腰掛けたまま、椅子を引くと、机の下に、あの少年が倒れている。
 同じようにねじれた姿で。男の足元に。
 少年の青白い顔、半ば閉ざされたまま、凍りついたうつろな目。
 うなだれた男は、口元に手をあて、小さく嗚咽する。

 ベッドに横たわる男。
 苦しげなため息と共に寝返りをうつ。
 眠れぬ男の目の先の床に、ドアの下から漏れる薄明かりを受け、あの少年が倒れている。

 真っ暗な画面に浮かび上がるメッセージ。

Kill your speed, or live with it.
(減速しなさい。さもなければ「それ」と生きなさい)

It’s 30 for a reason.
(制限速度時速30マイル〈時速48km〉の理由です。)

 男は制限速度を守らずに走らせていた車で少年をはね、少年が亡くなった。その過去の記憶が、男の日常を片時もはなれない。

 朝から晩まで、何をするときも、いつも、男の心の中には、少年のなきがらが、はねられた姿のまま、横たわり続けている。

 これはそういう男の心の中を描いた映像なのだ。

 それまで、「これはなんだ……?」と、不自然な姿勢で横たわる少年と、彼を見ないようにする男、少年に無反応なそのほかの人々という奇妙な状況を、一言の台詞も無く、リアルな生活音以外なんの音もしない映像の中で見続け、二行のメッセージによって、謎が、「交通事故による少年の死と加害者である男を苛む記憶」という答えに変わった瞬間、私のつま先からつむじまで、皮膚のよじれるような寒気が、鳥肌とともに駆け抜けました。

 制限速度の厳守(市街地では30マイル)を呼びかける政府広報CMだったそうですが、非常に恐ろしかったです。

 脳科学者の茂木健一郎先生がしばしば言及する「アハ体験」という言葉があります。

 何かがわからず、うずうずした先に答えをみつけた瞬間の脳のひらめきを指すそうですが。40秒近い謎の果てに、メッセージを示して、視聴者自身に「今まで見続けていたあの倒れている少年は死んでいる。ずっと重苦しい顔をしていた男が加害者だ」という回答を悟らせるというこのCMの構成は、まさにこの「アハ体験」を利用したものになっています。

 ただし、あの「わかった」瞬間は「アハ」などという生易しいものでなく、「あっ!?……(戦慄絶句)体験」でしたが……。

 公式に公開された動画が見つけられなかったので貼り付けられないのですが(あっても怖くて貼れない)、「Kill your speed or live with it」で探してみると、どのようなものかご覧になれるかもしれません。

(ただし、著作権違反をしている物かもしれませんし、本当に怖いし、関連して類似恐怖動画が出てくる可能性が高いので、自己責任でお願いいたします。)

 ちなみに、私同様戦慄の鳥肌に見舞われた視聴者は多かったようで、「しばらく悪夢を見た(I had nightmares)」「冗談抜きで机の下に足が入れられなくなり、椅子の上にあぐらをかいてすわるようになってしまった(I now can’t put my feet under my desk and have to sit cross-legged on my chair. I’m not joking.)」という感想が寄せられていました。

 いくらなんでも恐ろしすぎると思います(それは事故を起こしたらこの比ではないのはよくわかりますが……)が、「警告を視聴者の印象に強く残す」という目的は完璧に果たしているCMです。
 BGMと売り文句がにぎにぎしく繰り広げられるその他のCMに挟んで、この台詞の無い、音も極限までそぎ落とした奇妙な映像は自然と視聴者の関心を引き、謎の答えを視聴者の脳内に立ち昇らせることで、警告をその内面に強く刻み付けました(同時に心に傷が刻まれましたが……)。

 イギリス政府広報のこの「スピード減速CMキャンペーン」に関する記事はこちらです。
 主に加害者のトラウマに焦点をあてた構成だという説明がなされていました。
http://www.politics.co.uk/news/2009/1/30/kill-your-speed-or-live-with-it
(ぼんやりとですが画像つきなのでご注意ください)

 後に、この話を知人にしたところ、昔、日本にも恐ろしい政府公共広告機構(AC)CMがあった、と教えてもらいました。

 1980年代初期に放送された、通称「母と子」または「キッチンマザー」と呼ばれる覚せい剤の危険性を訴えたCMです。

 白い机に向かって並んで座る、
男の子とじっと突っ伏す母親。


 子供がはげしくしゃくりあげているのにも気付かない様子で、髪を振り乱し、うつろな目をした母親が顔をあげると、注射器で覚せい剤をうつ。

 広い世代に広がりつつある覚せい剤の危険性を警告する、淡々とした男性のナレーション。

 徐々に周囲が暗くなり、うつぶせた母親は闇に消え、「ママー!!」と繰り返して泣き叫ぶ男の子の姿も、次第に
小さく遠ざかってゆき、最後には完全なる暗闇。


 浮かび上がった「覚せい剤を追放しよう」という文字のメッセージに「ママー!!」という子供の声が重なる……。


 教えてくれた知人の共感者も多いらしく、ネット上では「最恐」と形容されている作品です。

 私は子供の頃非常に怖がりで、ありとあらゆる事象を怖がっていましたが、長ずるにつれ、江戸川乱歩&エドガー・アラン・ポーに美を見出し、伊藤潤二のホラー漫画を愛読するようになり、近頃は、「子供の頃超怖がってたあの子供向けオカルト情報の挿絵ってよく見ると独特のパワーがあるな、なんといっても画力が凄いし」なんて思っていましたが、公共広告CMだけは未だに、本当に駄目です。生理的に無理。

 それが、娯楽・芸術ではなく現実の警告だからでしょう……。

 イギリスCMの沈黙の恐怖と真逆の、日本的絶叫の恐怖表現ですが、この場合は非常に効果的に視聴者に危険性を訴えています。

 このACCM恐怖症、わからない人にはとことんわからないようですが、わかる人にはものすごくわかり(なぜか私の親しい人たちは、強心臓の祖母を除き男女問わず全員アウトだった〈いい年してその手のCMになるとリモコンをお手玉するようにしてアタフタチャンネルを変えていた僕に対する祖母の「何やってんの?」的真顔マナザシが忘れられない。〉)、ゆえにイギリスでも日本でも、いくつかのある種の傑作が今でもネット上で語り草になっている模様です。

 いつもと違ってまったくご覧になることをお勧めしませんが、どちらも構成的には観る者の心理を巧みにとらえている(この情報過多時代にどちらもシンプルな表現なところが印象に残る)と思ったので書かせていただきました。

 次回は、太宰治の『人間失格』(含漫画バージョン)について書かせていただく予定です。

人間失格 ─まんがで読破─ -
人間失格 ─まんがで読破─ -

(ついこの間まで勝手にドラえもんご紹介ウィーク繰り広げていたのに、いきなりものすごくダークになってしまいすみません。別に自分が荒んでるとかではないんですが……。)

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 23:46| イギリスの暮らし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月30日

(100日間リベンジ再び)5週目 (ダイエット停滞気味、絶賛夏バテ中 おススメ本発見)


※今回は日記です。

100日間、文書きとか悪習慣断ち(無駄酒、無駄インターネット)とか、ダイエットとか英語とか頑張ります!と宣言させていただいた、その経過とその他つれづれを書かせていただきます。
 これまでの経過一覧はコチラです。

1,ダイエット

 先々週、1.2kg減ですバンザーイとご報告いたしましたが(先週もキープだったのですが)、そこから1kg増えました……。

 結構不摂生(寝不足+ヌルイカロリー制限+夏バテウォーキングサボり)なクラシだったんで仕方ないかなと思いますが、毎週こうパッとしない経過をご報告するのも哀しいものがあります。

 明日からなんとしてでもウォーキング復活させます。

 ところで、この「100日間リベンジ再び」4週目の言い訳を見てくださったかたの人数が一時期増加したことがあり、ま、まさか、このグダグダ経過に関心を持ち始めた方々が?と、焦りましたが、同じ記事内で、NHKのイルカ番組(「地球ドラマチック 海からの使者 イルカ」)ご紹介をしていたせいだと気づきました。

 アイルランドの孤高のイルカ、ダスティと、彼女を愛し共に泳ぐオランダの人類学者ヤン・プローグ(Jan Ploeg)氏の魂の交流について調べていて偶然このブログにたどり着いてしまった人は、私のダイエット挫折言い訳も併せ読まされさぞ不毛な思いをしたことでしょう。ヤン・プローグさんのブログ探すのに結構頑張ったのでどうか許してください(汗)。
 ヤン・プローグ氏のブログ英語版はコチラです。
 http://www.janploeg.nl/english.html

 恥ずかしいんで今後は日記とその他の話題はきっちり分けようと思います。

 余談なのですが、このヤン・プローグさんのブログを探しの際、お名前の綴りがわからず、こんな流れで目当ての情報にたどりつきました。

「オランダ人の『ヤン』ってどう書くんだろう」
→「オランダ人画家で、ヤン・ステーン(※)っていたな」
→(ヤン・ステーンで検索、ウィキペディアに「Jan Steen」の綴りあり)
→「Jan dolphin Ireland」をキーワードに検索
→「Jan Ploeg English Version」ブログに到着

(※)ヤン・ステーン 
 風俗画で有名な17世紀の画家。静謐な画風のフェルメールと異なり、酒場で騒ぐ人々などを教訓を織り交ぜながらも生き生きと描いた。本人が兼業で居酒屋を営んでいたという異色の経歴の持ち主。

 何故「ヤン・ステーン」について知っていたかと申しますと、絵が好きだけどアナログの申し子な親に命じられて、ウィキペディアからすでに著作権切れになって掲載されている彼の作品をしこたま印刷させられたからです。(日本で入手できる画集が少なかったので)。
居酒屋にて(部分)(撮影者 The Yorck Project: 10.000 Meisterwerke der Malerei.)

ヤン・ステーン.png

 親しい友人が撮ったスナップショットのような生き生きとした情景。オランダの風俗画には当たり前のように犬が一員として混ざりこんでいるのが個人的には好感度高いです。
 ヤン・ステーンウィキペディア画像集はコチラ

 確かに良い絵だなーとは思いましたが、サイズがバラバラだったから印刷時に調整したりして地味に大変でした。
 
 でもおかげでプローグさんのブログにたどりつけたんで、親に、あの作業が役に立ったと伝えたら、「ほら見ろ、きっとそういうことになると思ったから頼んだんだ」とあまりにも見え透いた嘘をつかれました。なにが「ほら見ろ」なんだ……。

2,無駄ネット

 ゴシップ記事閲覧禁止は順調に更新できています。わたなべぽんさんの「やめてみた」情報が本当に効きました!

やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方 -
やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方 -


 でも、ニュースとか、Kindleセール本を探すとか、「無駄とは言い切れないけど、今読まなきゃダメか?」的部門の閲覧がまだ完全にはやめられていません。

 それでも昔よりは本当に減らせたと思うのですが、まだ、ヘトヘトなときや、やらなきゃいけないことがあるときほど手が伸びてしまいます……。

 ついこの間、この状況を見事に分析してくださっている本を見つけました。
『ストレスが消える「しない」健康法』(小林弘幸 著)

ストレスが消える「しない」健康法 (角川SSC新書) -
ストレスが消える「しない」健康法 (角川SSC新書) -


(以下「【ストレスのサイン】ネットニュースをだらだら見続けてしまう」部より引用)
 「ストレスを感じてるときにやってしまう行動」というのも一つのサインとして注目すべきポイントです。
(中略)ネットニュースに没頭し、特に興味があるわけでもないのに次から次へとニュースを読み続け、気が付けば一時間以上たっていた。
 これこそ体がストレスを感じ、無意識に現実逃避をしている典型的なサインの一つです。(中略)
 最初は「嫌だな」「つらいな」という感情を抱きますが、しばらくすると、「あ〜あ、もうどうでもいいや」と投げやりになったり、考えることをやめて、心に蓋をしてしまうことがあるでしょう。
 そんなときは、ただぼんやりと「与えられる情報」を受け続けるという行動をとりがちになるのです。
 ネットニュースを見続けるというのは、まさにその典型的なパターンです。
(中略)このように頭を使って主体的に行動するのではなく、単なる反応としてその行為を繰り返してしまうときは、体がストレスを受け、アクティブになれない状態だと考えられます。
 こんな状態のとき、一気に「さあ、仕事に戻ろう」と気持ちを切り替えるのは簡単ではありません。「ああ、またネットニュースに没頭しているな」「自分はストレスを受けているんだな」と認識し、「いったい何にストレスを感じているんだろう……」と考えるだけでも、冷静で、客観的な思考になれます。



 こっ小林先生………!!!(キラキラ目+祈り手)

 ネット中毒という問題があることについては色々な本で言及されていますが、「よくないストレス→思考停止→与えられる情報を受け続ける(無駄ネット閲覧)」という流れを専門家の先生がつぶさに書いてくださっている文章になかなか出会えなかったので、非常にありがたかったです。

(ストレスが原因で見ちゃうんだなとは自分でもうすうすわかっていた〈楽しくてやめられないときと明らかに心境が違う〉けど、理路整然と説明していただけるととても助かる。中毒者は自分で自分がコントロールできないので混乱しているのです。)

 この本では、「ストレスを恐れすぎず、しかし、ストレスを感じた際、気力で乗り切ろうとするのではなく、まずはストレスに起因する自律神経の乱れを整える行動をとる」ということを勧め、その方法(席を立つ、深呼吸、朝食をとる、等)を理由とともに具体的に説明してくださっている模様です(感動して読み終えて無いのにフライングご紹介〈汗〉)

 自分の状況にはとても合っていると感じたので、熟読してできるだけ生活習慣にとりいれたいと思います。

3,減酒

 先週よりちょっと酒量が増えてます。「くぴ飲み(半缶)」が「ぐび飲み(ほぼ一缶)」くらいに……。
元々は「人と一緒に適量しか飲んじゃダメ」って決めてたのに、ズルズル堕落している……(汗)。

 このままではイカンので、わたなべぽんさんが上記「やめてみた」で書いてらした、「炭酸水への切り替え」頻度を増やすべく、ちょっとフンパツしたレモン果汁(国産オーガニック)を買ってきました(オリゴ糖で割るとヘルシー美味しい)。今週は上記目標を厳守いたします。

 これもネット同様、別に好きだからではないので、ストレス対処についても鍛えていきます。

 ……というわけで、先週より全体的にちょっと後退してしまいました。ですが「これはマズい」とアタフタしていたら良著との出会いがありましたので、来週は挽回したいと思います。

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 23:13| 100日間リベンジ再び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月29日

ツチノコ追加情報(ドラえもん界ツチノコとは真逆の世界ご紹介)


ちびまる子ちゃん 田中さんの証言.png

 前回、「ドラえもんに登場するツチノコは激カワ」ということをご紹介させていただきましたが、本当は(?)かわいくない(らしい)ということがわかる、作品掲載時の1970年代近辺のツチノコ情報や本について追記させていただきたいと思います。

ツチノコ3.png
(藤子F先生デザインだけ、当時からなんでこんなにかわいいのか〈×大泉逸郎〉まったく謎。)

1,『ちびまるこちゃん』「まぼろしのツチノコ株式会社」(コミックス4巻収録)

ちびまる子ちゃん (4) (りぼんマスコットコミックス (472)) -
ちびまる子ちゃん (4) (りぼんマスコットコミックス (472)) -

 ツチノコブームに沸いていた当時、『小学3年生』に掲載されていた、田中さん(58歳・農業)の目撃証言を固く信じたまるちゃんが、デパートの懸賞金100万円を目当てに、親友たまちゃんとエキセントリックな学級委員丸尾君とともにツチノコ探しに出かけるというお話です。

「当時、ツチノコ発見者には懸賞金が贈られるイベントがあった」
「ツチノコには毒があり、飛ぶ(らしい)」
という情報を広く後世に知らしめた作品です。

ちびまる子ちゃん ツチノコの恐怖.png

(当時の子供たちが抱いたツチノコのイメージを象徴するコマ)

※今でも岐阜県東白川村「ツチノコフェスタ」、新潟県糸魚川「ツチノコ探検隊」といったイベントでは懸賞金制度は続いているそうです。
http://higashishirakawa.info/event.htm(ツチノコフェスタHP)
http://nunagawa.ne.jp/tsuchinoko/index.html(ツチノコ探検隊HP)

 「捕獲の暁には(丸尾)スエ夫、タマエ、モモコ(まるちゃん)の頭文字をとり、スタモツチノコ株式会社を経営しましょう」という丸尾君のネーミングセンス(社長丸尾君〈予定〉)や、どう考えてもあてになりそうにない「田中さん(58歳)」の証言を、家族からクラスメートに至るまで失笑されても、熱心によりどころとするまるちゃんの純真(含100万への欲望)が味わい深い名作回です。

ちびまる子ちゃん 見ず知らずの田中さん.png

 まるちゃんの奮起を促すべく、「アナタの業績次第ではあなたをわたしの秘書にしてあげてもよいですよ。ズバリ頑張るとよいでしょう」という丸尾君の提案に対する、「そんな条件でよーしがんばるぞ、と言うとでも思っているのであろうか」というナレーションや、100万を手に入れた後の夏休み、ヨットでカクテルを飲みながら「ヘーイ、カモンジョージーイ♪(誰)」と南国を満喫するビキニ姿のまるちゃんのコマ(妄想)も大人心に響きます。
(前者はドラえもんの至言「いい!いい!どうでもいい!」に通じる一脈のわびがある。)

 2、恐怖の子供向けオカルト図鑑情報

 おそらく丸尾君も「スタモツチノコ株式会社」社長(予定)として参照したのではないかと思われる、1970年代のオカルト系図鑑や児童向け雑誌の記事では、藤子F先生のきゃわゆいぷっくりツチノコと完全に対立する、「短い凶暴なコブラ的ヘビ(跳躍力つき)」の情報が紹介されていました。
 
 この手の本ときたら、仮名遣いこそひらがなを多用していますが、それ以外は話題から絵から子供向け配慮が限りなくゼロに近く、むしろ大人でもそれなりにグロ耐性がある人でないとキビシイものがあります。

 レトロ系ライター(※)初見健一さんのブログで紹介してくださっている、1970年代の怖いツチノコ(想像)が見られるページはコチラです。(こちらは週刊誌の挿絵のようですが、幼少時の私が見たのもこんな感じの絵でした。)

 キャプションは
「『なぜなに学習図鑑』の挿絵などで、ちびっ子たちの脳内に凶悪なトラウマを植えつけまくった石原豪人画によるツチノコ画。なんか、毒性120%増しって感じ。」
……そう、そうなんです。まさに「トラウマ」としか形容しようが無い……。
http://tokyoretro.web.fc2.com/tsuchinoko.html
(ブログ、「東京レトロスペクティブ」より〈ブログ自体レトロとサブカルを満喫できてとても楽しいです〉)

 なんでこんなに質感豊かに、恐ろしく描くのでしょうか。当時「藤子F版ツチノコ」しか知らなかった(そして「カーワイー、ツチノコカーワイー♪」と思っていた)私には大ショックでした。
(しかもなんかその本〈図書館蔵〉が古い&大人気だったらしくズタボロだったのが、触ると血や湿気がつきそうなくらいのリアル画と相まって禍々しかった。)

(※)初見健一……サブカルチャー研究家、著作家。今も現役で活躍する昭和レトロな品々やデザインを紹介してくださった心温まる名作「まだある」シリーズの作者でもある。自称「懐かしがり屋ライター」(粋なフレーズ)

まだある。文具・学校編 改訂版 (今でも買える“懐かしの昭和"カタログ) -
まだある。文具・学校編 改訂版 (今でも買える“懐かしの昭和"カタログ) -

まだある。キャラクター編 改訂版 (大空ポケット文庫) -
まだある。キャラクター編 改訂版 (大空ポケット文庫) -

(※2)石原豪人……1950年代から長期にわたり活躍したイラストレーター。映画看板画家からキャリアをスタートさせ、子供向け雑誌、劇画、新聞小説、ゲーム雑誌、(別名義で)SM雑誌やゲイ雑誌まで、依頼があればジャンルを問わずに手掛けた。

石原豪人 妖怪画集 -
石原豪人 妖怪画集 -

新装版 石原豪人---「エロス」と「怪奇」を描いたイラストレーター (らんぷの本/マスコット) -
新装版 石原豪人---「エロス」と「怪奇」を描いたイラストレーター (らんぷの本/マスコット) -

石原豪人 (らんぷの本) -
石原豪人 (らんぷの本) -

 しかし、当時の挿絵画家の方々の絵は、いい意味でも悪い意味でも妥協や手抜きが一切感じられず、高い技術と、非常に広範囲な仕事ぶりに裏打ちされた、徹底的な絶望感やケレン味、秘めた妖艶さがあって、子供のときにはあれだけ怯えまくったのに、今となるとフラフラと吸い寄せられる魅力があります。

 (ツチノコの話題があるかは未確認ですが)初見さんがこの手の子供向け(だけど全然配慮が無い)情報紙面をまとめた「昭和ちびっこ怪奇画報」という本を出版されています。
(「ちびっこ」と「怪奇」の組み合わせが既に「ナンカチガウ」感満載。)

昭和ちびっこ怪奇画報 - ぼくらの知らない世界1960s-70s (青幻舎ビジュアル文庫シリーズ) -
昭和ちびっこ怪奇画報 - ぼくらの知らない世界1960s-70s (青幻舎ビジュアル文庫シリーズ) -


 立ち読みだけさせていただきましたが、当時の紙面の未だ色あせぬインパクトと、今だから言いたくなる突っ込みどころが大量にあってすごく面白かったです。初見さんの的確な評も楽しい。

 でも「欲しいんだけど家の本棚にあると、幼少期の記憶がよみがえって怖い」と未だに購入を躊躇しています……。

 ところで、ウィキペディア記事によると、ドラえもん人気に影響され、台湾の若者たちは幼少期の私同様ツチノコを非常に可愛らしいものだと思っていらっしゃるそうです。

 世の中に架空とはいえこれほどイメージギャップのある存在は無いと思うので、海を隔ててドラえもんを好いてくださっている若い人々が、これからこの手のイメージを知って、私と似たようなショックを受けるのかもしれないと思うとなんかちょっとアンニュイになります。

 以上、ツチノコ追加情報でした。

 読んでくださってありがとうございました。

※(訂正)一時「ちびまるこちゃん」引用画像のさくらももこ先生のお名前を「さくらもここ」(汗)としてしまっていたので、おわびして訂正させていただきます。なんで間違えたんだろう……(汗2)大変申し訳ありませんでした。

posted by Palum. at 23:10| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする