2018年03月20日

BSジャパン「美の巨人たち」に「オフィーリア」(ジョン・エヴァレット・ミレイ作)登場

 取り急ぎご連絡まで。

 2018年3月21日(水)23時〜23時半、BSジャパンの「美の巨人たち」でラファエル前派の最高傑作「オフィーリア」が特集されるそうです。

オフィーリア.jpg

 この作品に関連する記事を当ブログでいくつか書かせていただきましたので、よろしければ番組ご鑑賞のお供になさってください。

 ・ミレイの「オフィーリア」と夏目漱石の『草枕』

 ・オフィーリア(ミレイ作)

 ・エリザベス・シダル(「ラファエル前派展」「オフィーリア」と「ベアタ・ベアトリクス」について)
 ※「オフィーリア」のモデルになった女性の生涯についての記事

 ・「ラファエル前派展」おススメ絵画2ミレイ作「釈放令」
 ※ミレイの作品と、ミレイと妻エフィの関係についての記事


 
【関連する記事】
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2018年03月19日

(おすすめ映画)「ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」

 映画 ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜 (字幕版) -
映画 ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜 (字幕版) -  

 本日はイギリスのクレイ(粘土)アニメの名作「ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」についてご紹介させていただきます。 

(予告編) 

(『映画ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜』予告編)
https://www.youtube.com/watch?v=32RXblQZvYc


映画公式情報はコチラ
 www.aardman-jp.com/shaun-movie

 「ひつじのショーン」は郊外の牧場で暮らすショーン達と牧羊犬ビッツァーやほかの動物たち、牧場主(※)の賑やかな日々を描いた作品で、通常は数分の短編作品です。


(※ なぜか名前が無く、日本語版では「牧場主」、英語版では「The farmer」と呼ばれています。)


 ひつじのショーン 1 [DVD] -
ひつじのショーン 1 [DVD] -  

 NHKで放送中の通常版公式情報はコチラ。 
http://www.nhk.or.jp/anime/shaun/

 制作は、イギリスの名門アードマン・アニメーションズ。

 おっちょこちょいの発明家としっかり者の犬の傑作コメディ 「ウォレスとグルミット」も手掛けた会社です。
ウォレスとグルミット 〜ウォレスとグルミット、危機一髪!〜 [DVD] - ジュリアン・ノット
ウォレスとグルミット 〜ウォレスとグルミット、危機一髪!〜 [DVD] - ジュリアン・ノット

 ショーンはもともと、「ウォレスとグルミット危機一髪!」の脇役キャラでした(ちっちゃくていたいけで〈大食いだけど〉ものすごく可愛かった。)。

 その後牧場に帰り、持ち前のずば抜けた器用さと賢さを活かして、羊仲間の若きリーダーになっています。



(映画「バック・トゥ・ザ・ホーム」あらすじ)

 ショーン達と、牧羊犬ビッツァーがまだほんの赤ん坊だった頃、若き牧場主(頭の毛もフサフサ)は、彼らと一緒に記念写真を撮り、みんな、これからの生活を楽しみにしていた。

 しかし、年月を経て、そんな写真にもホコリが降り積もった頃、ショーン達は、牧場での毎日に退屈し始めていた。

 毎日、朝から晩まできっちりスケジュール表に書かれたとおり、同じように起き、同じようにビッツァーと牧場主に厩舎から出され、同じように飼料を与えられ、同じように厩舎に戻される。

 たまの変化と言えば、強制的にバリカンで毛を刈られることくらい。しかしこれは楽しくない。

 うつうつとしていたショーンには、農作業用フォークを片手に、無造作にショーンを厩舎に追いやる牧場主のシルエットが、角を生やした悪魔にすら見えてきた。
(頭頂部が寂しく、両側の毛はボサボサに逆立っていたから)



 ある日、家の前を通るバスに貼られたポスターの「たまにはお休みしよう!(Have a day off!)」というメッセージを見たショーンは、羊たちだけで一日のんびり過ごしたいと思うようになる。

 羊であることを最大限に活かした催眠術(みんなで牧場主の周りをぐるぐる回り、目の前でエンドレスに柵を飛び越えて羊を数えさせる)で、牧場主を眠らせたショーンたちは、彼を屋外のキャンピングトレーラー(キャンピング用のエンジンの無い車。寝室、洗面台などが備え付けられ、車でけん引する。〈イギリス英語名:Caravan〉)に運び込む。

 併せて同じ農場のカモにパンの賄賂を渡して、ビッツァーの注意を引き付けてもらった(紐をつけた骨を引っ張って後を追わせた〈古典的〉)ショーンたちは、外を自由に駆け回ったり、牧場主の家でくつろいだりと、気ままな時間を満喫する。

 しかし、カモのいたずらに気付いたビッツァーが犯人(うなだれるカモ)を連行し、牧場主の家に駆けつけ、つかの間の休日は終わり……

 ……の、はすだった。

(ショーン達の休日のシーン)

 (Shaun the Sheep Movie (1/10) Movie CLIP - Shaun's Staycation (2015) HD)
 https://www.youtube.com/watch?v=ulLxPcOmDmU


 ビッツァーが牧場主を起こすため、立てつけの悪いトレーラーの扉をこじ開けようとしたとき、はずみでトレーラーが動き出し、全員で止めようとしたものの、勢いを増して都会まで走り去ってしまう。

 羊たちには待機を命じ、必死で牧場主の後を追うビッツァー。

 牧場主は、暴走するトレーラーの中でようやく目を覚ましたが、なすすべなく、散々騒ぎを起こしたトレーラーは、道のへりにぶつかってようやく停止。

 (牧場主を乗せたトレーラーの大暴走シーン)

 (Shaun the Sheep Movie (2/10) Movie CLIP - Runaway Farmer (2015) HD )
https://www.youtube.com/watch?v=TPiRiwKEz28


 外に出ようとした牧場主が開けた扉が、側の道路標識(※)にぶつかり、落ちてきた照明部が、頭を直撃。

 運ばれた先の病院で、「記憶喪失」と診断されてしまう。

(※ベリーシャ ビーコン〈Belisha beacon〉と呼ばれる、イギリス生まれの横断時の歩行者優先を示す標識)

 ビッツァーは後を追って病院までたどり着いたが、犬なので即座に門前払いされ、病院の前で途方に暮れる。



  一方、牧場に戻ったショーン達。

 勿論エサは準備されておらず、牧場主の家は豚たちに占拠され、食べる物がなくなってしまった。

 飼料を降ろそうとショーンが動かしてみたけれど止め方のわからなかった重機が右往左往し、暴れ牛が走り、豚たちは家を荒らし続け……と、瞬く間に大混乱に陥いる牧場。

 干してあった牧場主の服や長靴にすがり、牧場主の不在を嘆き悔やむ羊たち。
(ブリーフに顔をうずめて号泣する者も。)

 責任を感じたショーンは、かつて皆で撮った記念写真から牧場主の顔の部分を切りとると、こっそりとバスに乗り込んで、都会に牧場主を探しに行くことにする。



 なんとか都会に着いたショーンだったが、バスを降りようとするなり、野良犬が動物捕獲員トランパー(職務に忠実なわけではなくただの動物に冷たい男)に捕まったのを見て、町の危険を悟る。

 そんなショーンの側に新たに到着したバス。

 そこには、待ちきれずに彼の後を追った仲間たちがいた。
 (赤ちゃん羊のティミーや、ほぼ球形のぽっちゃりシャーリーも併せた計7頭がどうやって人の目をかいくぐってバスに乗りこめたのかは謎)

 急いで皆でチャリティーショップ(※)に忍び込み、人間の服装を調達すると(大人役の羊は肩車をして二頭一役で演じている)、牧場主を見つけるために、あてのない大捜索を開始する……。

(※ チャリティーショップ……病気治療活動、児童サポート、動物保護など、特定の福祉資金を募る目的で設立されたリサイクルショップのこと。多くの店で、多様な商品をブランドの有無にこだわらずに引き取るため、商品を安価に入手できる。〈不用品処分時の心強い味方でもある。〉)

 (後を追ってたティミー達、みんなの変装シーン)

(Shaun the Sheep Movie (3/10) Movie CLIP - Sheep in Human Clothing (2015) HD)
https://www.youtube.com/watch?v=w-A750XbFAo
 



(見どころ)

 普段は、ビッツァーと牧場主の目を盗んで、遊んだり騒動を起こしたりしているショーン達ですが、映画では、牧場主のために「家族」として奮闘する姿が見られ、笑いの中にホロリとさせられます。

 (「ウォレスとグルミット」ほど、わかりやすく仲が良いわけではないので、まさか泣くとは思わなかったのですが、後半は何度観ても目がうるむ……。)

 そもそもオープニング、ノスタルジックなロックミュージックをBGMに繰り広げられる、少し色あせた画面の中の、若き日の牧場主と赤ちゃんのショーンたち(ものすごく可愛い)の姿だけでも胸が熱くなる(早い)。

(オープニングテーマ「Feel like summer」のPV)
("Feels Like Summer” From Shaun the Sheep The Movie)
https://www.youtube.com/watch?v=qAKCpoLhMME

 台詞が無くても(※)、表情や小さな場面で状況や感情を如実に伝える表現力も素晴らしいです。 

 (※ 動物たちには人間の言葉はむにゃむにゃ言っているように聞こえ、動物同士はアイコンタクトや鳴き声で意思の疎通を図るため、言葉の情報は時折登場する看板や本の字以外何も無い状態。)

 例えば、都会で野宿をしていたショーンが、頭上の道路の柱に、蜘蛛の巣の落書きを見つける場面。

 牧場ではうんざり見上げていた厩舎の蜘蛛の巣を思い出し、せつなそうに寝返りをうつショーン。

 どうでもいいと思っていた日常を痛いほど懐かしむ気持ちが伝わってきます。

 小道具から景色まで、イギリス人特有の恐るべきこだわりで作られた(※)、イギリスらしさ全開の世界観も魅力。
 (※ 先述の歩行者優先標識やチャリティーショップもイギリス固有の文化ですが、さらに、紅茶用のマグカップ。カラフルな壁紙や窓枠、生け垣と積み石にくねくねと区切られたなだらかな丘陵地、町の様子など、随所にイギリスらしさがみられます。)

 アードマン・アニメーションならではの、他の映画や文学などのパロディシーンも見どころの一つです。

 主なものとして、
  ・牧場主がバリカンを持った両手をクロスしてポーズをつける場面(※)
   → 映画「X-MEN」シリーズの人気キャラ「ウルヴァリン」が合金の爪を出している姿

ウルヴァリン: SAMURAI  (字幕版) -
ウルヴァリン: SAMURAI (字幕版) -  
(※ 記憶喪失ながら、手だけは覚えていた熟練の毛刈り技が、都会で意外な評価を得たときに撮影されたポスター写真)

 ・トランパーが鏡の前で動物捕獲器を早撃ちのように構えている場面 
  → 映画「タクシードライバー」で主人公(ロバート・デ・ニーロ)が殺人を前に武器を腕に仕込んでいる場面。

 ・人間に変装した羊たちが横断歩道を渡る場面
  → ビートルズのレコードジャケット「アビー・ロード」

 などが挙げられます。

(出典:ぴあ映画生活「映画『ひつじのショーン』監督が、込めた想いや満載の小ネタを明かす」http://cinema.pia.co.jp/news/165721/63286/

 (個人的には、トランパー関連で「バックトゥザフューチャー」のパロディと思う場面もいくつかありました。) 

 伏線も緻密に張られており、前半一瞬出てきただけかと思っていたキャラや設定が、後半で重要な役割を果たします。

 「……犬?」と思わせる不思議な容姿をした、都会の野良犬スリップ(女の子〈※ブルーレイディスクパッケージ右下の茶色い犬〉)は、序盤トランパーに捕まってそれきりかと思いきや、後で都会の土地勘を活かし、ショーンたちの心強い味方になってくれます。

 (彼女の結末近くのある場面がまた涙を誘う。)

(スリップの活躍シーン)

(Shaun The Sheep Movie - "Meet Slip")
https://www.youtube.com/watch?v=HUu-x8mXgoc


 エンドクレジットまで行き届いていてとても心温まる。
 (最後の最後までしかけがあるのでお見逃しなく!)

 日常の大切さを忘れがちになったとき、何度も観返したい愛すべき名作です。是非ご覧になってみてください。

 読んでくださってありがとうございました。

(補足)メイキング動画 (キャラクターを一コマずつ動かして撮る「ストップモーションアニメ」の撮影風景が観られます。〈日本語付き映像の後半は予告編つき〉)


(映画 ひつじのショーン 特別メイキング映像@)
https://www.youtube.com/watch?v=CbfxLpd6ZX4



(映画 ひつじのショーン 特別メイキング映像A(ANIMATION DEPT))
https://www.youtube.com/watch?v=H0ylsqeEecw



(映画 ひつじのショーン 特別メイキング映像B(Nighel Leach)
https://www.youtube.com/watch?v=np79Z0eVkyQ


(※英語音声のみ)

(Shaun the Sheep The Movie - Behind the Scenes)
https://www.youtube.com/watch?v=uGFAlOZK6mM
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2018年03月18日

鈴木長吉「十二の鷹」(「名工の明治」展)超絶技巧で作られた金工の鷹十二羽が勢ぞろい

明治の名工 入口 -.png

 「東京国立近代美術館工芸館」で「工芸館開館40周年記念 名工の明治」展(2018年3月1日〜5月27日)が開催されています。

 展覧会公式情報はコチラです。
http://www.momat.go.jp/cg/exhibition/meiko_2017/

 今回はこの展覧会の目玉である、金工作家、鈴木長吉(すずきちょうきち)制作・監修の傑作「十二の鷹」についてご紹介させていただきます。

 「十二の鷹」の画像が観られる「文化遺産オンライン」URL(画像拡大可)はこちらです。
 http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/100200/1


 (「十二の鷹」作品概要)

鷹全体図 -.png

 実物大の金属製の鷹十二羽が架(ほこ)と呼ばれる止まり木に留まっている作品。

 十二羽は眼球から羽毛の一枚一枚にいたるまで鏨(たがね)で緻密に造形され、銅、漆、金などによって、色付けされています。

 今回、失われていた架垂(かたれ、架の装飾布)が復元され、鷹の脚を止まり木につなぐ大緒(おおお)も、可能な限り鷹狩りの史実に倣って結ばれた
(※)全体図が復元されています。

鷹と大緒 -.png

 (※鷹の大緒は、繊細な鷹の状況を遠くから見分けるために、結び方が定められており、そこからさらに発展して、鷹の種類、季節、吉凶など様々な状況に応じて結び方が細分化されていった。〈参照:『クローズアップ工芸』〉)

 この十二羽の鷹が一堂に会す姿は、徳川将軍の鷹狩りのために、48ヶ所の鷹の産地から若い鷹を捕獲調教し、さらに選りすぐりの鷹十二羽を精査するために行われた儀式の様子を表現しているそうです。

 鷹七 -.png

鷹拾弐 -.png

鷹拾壱 -.jpg



(制作事情)

 「十二の鷹」は、パリを拠点に浮世絵などの日本美術を海外に販売していた美術商、林忠正(ただまさ)により、1893(明治26)年の「シカゴ万博」の出品作品として考案されました。

 (林忠正)画像出典ウィキペディア
林忠正.jpg


 制作および監修者として選ばれた鈴木長吉は、1878年(明治11年)パリ万博に出品した「孔雀大香炉」で金賞を獲得し、金工、特に鳥の彫刻の名手として知れ渡っていた人物でした。

 (鈴木長吉)画像出典:ウィキペディア
鈴木長吉.jpg


 長吉自身のほか、彫金、鋳金、木工、漆工、染織など各専門家24名が「十二の鷹」制作に携わり、長吉はこの作品のために実際に鷹数羽を飼ってつぶさに観察したほか、忠正の協力のもと、古い資料や絵画の調査、鷹匠らへの取材を行い、四年の歳月をかけて作品を完成させました。



(展示状況)

 十二羽の鷹を展示ケースなどの隔て無しに観て、写真撮影することができます。
(白い線より内側への接近不可。撮影時フラッシュ使用禁止)

 さらに壁に鷹一羽ごとの写真パネルがあり、造形についての解説を見ることができます。
 (見学順路奥側の鷹から「壱〜拾弐」の通し番号がついており、それに合せたパネル展示がされています。)
 
  パネル解説によれば、(鷹により加工は異なりますが)大まかには次のような工程が施されたそうです。

 ・羽毛は、数種類の形の異なる刃先の鏨(たがね:彫刻刀の一種)を用いて一枚一枚刻まれた
 ・赤い羽毛の鷹には銅が用いられた
 ・鷹独特の金色の瞳は数種類の金属の象嵌(ぞうがん:金属を埋め込む技術)で作成された
 ・羽毛の黒味がかった陰影は漆で描き込まれた

 (パネル解説 部分)

 (鏨の刃先と模様)
鷹解説2 -.png

 (羽毛の細密画像)
鷹解説1 -.png

 (眼球の造形)
鷹 眼解説 -.png

 (腹部羽毛に漆で描かれた模様)
鷹解説3 -.png


 なお、鷹の脚の中央部に差し込み棒が付いており、それを架(ほこ)に空いた穴に差し込んで固定しているそうです。
 
 鷹解説5 -.png

 個人的に特に感動したのは「四」の鷹。比較的動きの静かな作品ですが、片足で止まり木に立ち、もう片方の折り曲げた足を羽毛からそっとのぞかせている造形の細やかさと、そこから醸される凄みある品が印象的です。

鷹四 -.png

鷹四爪先 -.jpg



 生きた鷹が金属に変容したような鈴木長吉渾身の金工と、今回修復された架垂、大緒の重厚な美しさが一体となった圧巻の傑作です。
 
 至近距離からの鑑賞が可能な展示方法、撮影が可能なこと(※一部撮影禁止作品を除く)、リーズナブルな入場料(※)、数は多くないものの鷹以外の展示工芸品もレベルが高いこと、皇居至近の好立地(近くに無料見学が可能な皇居東御苑があります。〈月金休〉)、工芸館自体のレトロな美しさなど、トータルでお勧めの展覧会です。

(※大学生170円、18歳未満、65歳以上無料、隣の国立近代美術館と両方観る場合の相互割引などもあります。)


 是非お出かけになってみてください。

 読んでくださってありがとうございました。

(参考文献)カタログ『クローズアップ工芸』「鈴木長吉」鈴木廣子 著
 (※2013年開催の展覧会カタログ、架垂等復元前の「十二の鷹」の図版と、題材、制作経緯等の解説あり。「工芸館図書閲覧室」で閲覧可能)

posted by Palum. at 20:16| 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月17日

(おすすめ漫画)「おしゃべりは朝ごはんのあとで」

 先日、秀良子さんの馬牧場が舞台の漫画『ロメオがライバル』の記事を書かせていただきました。

ロメオがライバル(1)【期間限定 無料お試し版】 (ビッグコミックス) -
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 本日は、同じ秀良子さんの食エッセイ漫画『おしゃべりは朝ごはんのあとで』についてご紹介させていただきます。

おしゃべりは、朝ごはんのあとで。 (ビッグコミックス) -
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おしゃべりは、朝ごはんのあとで。 2 (ビッグ コミックス) -
おしゃべりは、朝ごはんのあとで。 2 (ビッグ コミックス) -
(なお、この表紙のイケメンさんは作中には出てきません。)

 一巻収録のエピソードを一部試し読みできる「やわらかスピリッツ」のページはこちらです。
 http://yawaspi.com/koinomaeni/index.html
(※2018年3月現在、試し読み可能なのは、「予告編」、「パリ編@」、「築地編」、「名古屋編@」、「ハワイ編A」、「ご挨拶」です。)




(概要)

 一日の大半布団にこもって漫画を描く「秀良子」は、不規則な生活サイクルで、健康的な「朝ごはん」とはほど遠い日々を送っていた。

 そんな秀氏に、担当の女性「ドメさん」が、「朝ごはんを(原則)自腹で食べに行ってレポする漫画」の執筆を提案、全国(時々海外)の様々な朝食の食べ歩きに出ることになる。



(主要登場人物)

(秀良子さん〈右〉と、担当のドメさん〈左〉)
おしゃべりは朝ごはんのあとで 秀さんとドメさん -.png

秀良子

 漫画家。スカーフを頭に巻き、陰から丸い目だけが垣間見える、おとぎ話の小人か妖精のような独特の容姿。
 いつも布団に腹ばいになって漫画を描いている(が、画力は非常に高く、作中の食べ物はカラーでも白黒でももれなくおいしそう、かつイラスト的なお洒落さがある)。

 画力に反比例して食レポは「さわら(鰆)が、すごいさわら味」など、しばしば雑なフレーズが混ざりこんでいる。


ドメさん

 秀良子の担当の女性。シリーズの大半で秀氏と一緒に食べ歩きをしている。

 引っ込み思案な秀氏をサポートしてくれるが、ほんのり横暴。
 (自腹なのに指定席、タクシーなどの移動手段を使う。地方観光したがる秀氏をタイトなスケジュールで連れ帰る、など)



(見どころ)

 京都料亭のおかゆ、名古屋のモーニング(漫画家ねむようこ先生が合流)、香川の讃岐うどん、フランス、マカロンで有名な「ラデュレ」のオムレツなど、各地の個性豊かな朝食メニューが登場します。

 絵的に一番おススメなのは、一部カラーのハワイ回(ヤマシタトモコ先生が合流)。

おしゃべりは朝ごはんのあとで ハワイ -.png


 (試し読みはコチラ


 秀さん独特のさりげないギャグが随所で楽しめるのは北海道とNYの回です。

 『ロメオがライバル』で馬たちが主要キャラの漫画を描いた秀さん。

 当然馬を熱愛しており、北海道回では馬のテーマパークである「ノーザンホースパーク」を、「北海道のディズニーランド」と勝手に位置づけ、ドメさんを言いくるめて観光を強行。

 かわいいポニーを、「よーしよしよし(中略)、小さいのに馬でえらいねぇー」と、ナデナデ。

おしゃべりは朝ごはんのあとで ポニー -.png

 元競走馬のサラブレッド「デルタブルース」を見つけた際は「なんとりりしい!」と触ろうとして噛まれ、「もう手洗わな〜い」とアイドルに握手をしてもらったかのように萌えていました。
(ドメさんその間一貫して無表情。)

おしゃべりは朝ごはんのあとで デルタブルース -.png

 個人的に「小さいのに馬でえらいねぇー」というセリフが非常にツボです。

 ポニーはラブラドール犬大で、馬という言葉から人が連想する大きさを逸脱している、その意外な感じが愛ある感じで上手に形容されている。

 そして、同じ日、居酒屋「ろばた太助」さんで夕食をとった秀さん。

 北海道の野菜や海産物のあまりのクオリティの高さに魂が抜けかけました。

 「いい人生だった……」と満たされた思いで人生を振り返った時、背景が「そうまとう(走馬燈)」の文字とともに、「小さいのに馬でえらいポニー」や「ソリを引いてくれた馬」や「手を噛むデルタブルース」で埋め尽くされていました。(文字通り)

おしゃべりは朝ごはんのあとで そうまとう -.png

(秀さん作品はこういうフキダシ外に描かれた絵と手書き文字のギャグが非常に魅力的です)



 またNY編(雑誌社から旅行費用が出た数少ないノー自腹回)では、「そもそもなんでNYにしたかといえば、漫画『BANANA FISH』(※)の舞台だから」ということで、秀さんのオタク心が爆発していました。

BANANA FISH(1) BANANA FISH (フラワーコミックス) -
BANANA FISH(1) BANANA FISH (フラワーコミックス) -

(※)
「『BANANA FISH』とは1985年〜1994年まで『別冊少女コミック』にて連載された、少女漫画の金字塔。謎の言葉「バナナフィッシュ」を追うストリートキッズのボス・アッシュがNYを舞台に繰り広げる、ハードロマンの傑作であり、中学時代の秀良子が黄色いものならなんでも過敏に反応するほどのめり込んだ作品なのである。」
(※秀さんの作中解説引用)

おしゃべりは朝ごはんのあとで BANANA FISH解説 -.png

 「黄色」に過剰反応するのは、表紙が全巻通じて黄色だったからです。

 (ブログ筆者余談ですが、この作品がクラスで爆発的に流行ったとき、教室で単行本を読む人々で、冗談抜きで空間が黄色に染まっていました。)

 ……というわけで、全巻読破した後の秀さんは、バナナを見ても、黄信号を見てもアッシュを思い出して目頭を熱くしていたそうです。

 それほどの思い入れと、NYのガイドブックとして『BANANA FISH』のオフィシャルガイドブック、本編最終巻を抱き、現地に乗り込んだ秀さんでしたが、一番観たかったNY市立図書館(アッシュが通い、最終回の舞台にもなった場所)にまさかの落とし穴。

BANANA FISH REBIRTHオフィシャルガイドブック -
BANANA FISH REBIRTHオフィシャルガイドブック -

BANANA FISH(19) BANANA FISH (フラワーコミックス) -
BANANA FISH(19) BANANA FISH (フラワーコミックス) -
NY市立図書館 -.JPG
(NY市立図書館 画像出典:Wikipedia 投稿者:OptimumPx


 それでも聖地巡礼を果たせて感慨深げなご様子でした。

おしゃべりは朝ごはんのあとで 図書館 -.png


(補足『BANANA FISH』は、2018年7月よりアニメが放送されます。)

 グルメ漫画としても、ギャグ漫画としても、見どころの多い作品です。(個人的には馬と『BANANA FISH』オタク愛がさく裂する2巻がより楽しい)いつか3巻が出ることを夢みて、おススメさせていただきます。

 読んでくださってありがとうございました。
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2018年03月16日

(おすすめ動画)馬に乗る猫のお話

(イギリスの仲良し猫馬、ルイとコメット)
ルイとコメット4 -.png
https://www.instagram.com/p/Bc7kLIThVFU/?taken-by=emmassingale

 先日、馬たちが暮らす牧場が舞台のマンガ「ロメオがライバル」をご紹介させていただきました。

ロメオがライバル(1)【期間限定 無料お試し版】 (ビッグコミックス) -
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 この作品内で、元競走馬の「カールさん」が、猫の「猫川さん」と友情をはぐくんでいるシーンが見られます。

ロメオがライバル カールさんと猫川さん -.png

ロメオがライバル カールさんと猫川さん2 -.png



 こうした馬と猫の友情物語、マンガだからと思いきや、実際にあちこちで繰り広げられているそうで、ネット上で話題になっています。

 その中でも有名な動画がこちら。

「Horse-Riding Cat Treks Around Devon」

https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=UCxxmqg-IW8

(情報出典:カラパイア「大親友の馬に乗り、仲良く2匹で毎日散歩。猫と馬の友情物語(イギリス)」http://karapaia.com/archives/52252042.html、 Love Meow「Cat Bonded With Horse and They Explore Places Together Almost Every Day」)

 イギリス南西部、デヴォン州に住む、馬のトレーナー、エマ・マッシンゲールさんは、友人が飼えなくなったシャム猫のルイを引き取ることになりました。

 ルイは新居にすぐに馴染み、さらに、エマさんについて厩舎に行くようになりました。

 厩舎に入ったルイは、フェンスを伝い歩くと、馬たちに頭を摺り寄せて挨拶をし、馬の背中に飛び乗りました。

 馬たちもルイのフレンドリーな態度に、鼻を寄せて応え、すぐにルイと仲良くなりました。

 なかでも穏やかな性格のコメットは、ルイと波長が合ったようで、ルイはコメットの背中に乗り、一緒に散歩に出かけるようになりました

ルイとコメット1 -.png

 森や橋、渓流の浅い流れを、ルイを乗せてのんびりと歩いていく優しい瞳のコメット。

ルイとコメット3 -.png
 
 コメットに背に揺られながら、高い運動神経で巧みにバランスをとるルイ。

ルイとコメット2 -.png

 ルイは新鮮な空気に漂う緑の匂いを満喫しながら、騎士のように乗馬を楽しみ、コメットに止まってほしいときは、たてがみを噛んでコメットに合図さえするそうです。
 
(ちなみに、エマさんがコメットに乗って馬場に行くときは、コメットの兄弟馬のレミに乗せてもらうこともあるそうです。)


 コメットは散歩が終わると、きちんとルイを家の前に送り届けてくれます。

 コメットに鼻を摺り寄せ、お礼をした後は、ルイはエマさんと仲間の犬猫の待つ家に帰っていくのでした。

 以前、猫を優しく見つめるイルカの動画をご紹介しましたが、馬にとっても猫は可愛くて、乗っても軽く、バランスをとるのも上手でしょうから、背中でくつろがれてもしっくりくるのかもしれません。

 そして猫にとっても、身体は自分よりはるかに大きいけれど、穏やかな馬は、安心して寄り添える美しい動物なのかもしれません。

 エマさんのフェイスブックインスタグラムでは、ルイとコメットのほのぼのした友情のほか、デボンに暮らす動物たちと心洗われるような美しい自然の写真がたくさん載せられているので、よろしければ併せてごらんになってみてください。

エマさんのインスタグラム1 -.png
 https://www.instagram.com/p/BQdDDFVAU4O/?taken-by=emmassingale

エマさんのインスタグラム2 -.png
 https://www.instagram.com/p/BW8O_kThCcO/?taken-by=emmassingale

 読んでくださってありがとうございました。


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2018年03月15日

(おすすめ漫画)『ロメオがライバル』(ひきこもり高校生の牧場ライフを描いたコメディ〈動物激カワ〉)

 本日は、動物、とくに馬が好きな方におすすめのまんがをご紹介させていただきます。

 『ロメオがライバル』(秀良子〈ひでよしこ〉作、全5巻)

ロメオがライバル(1)【期間限定 無料お試し版】 (ビッグコミックス) -
ロメオがライバル(1)【期間限定 無料お試し版】 (ビッグコミックス) -
(※2018年4月5日まで、kindleで一巻が期間限定無料配信されています。)



・雑誌『ヒバナ』の作品詳細ページ(試し読みページつき)
http://hi-bana.com/works019.html

・初回一部試し読みページ
http://hibana.tameshiyo.me/ROME001HIBANA

・各巻紹介、一部試し読みページ
http://hi-bana.com/comics_hideyoshiko.html



(あらすじ)

 高校生のアキラは、学校に馴染めず、ひきこもり生活をしていた。

 母に食事を作らせて無為な日々を過ごしていたが、母がこよなく愛する歌舞伎役者「十七之助様」(←笑)の初回限定DVD(プレミア価格15万円)を踏み割った上に逆切れしたことが母の逆鱗に触れ、翌朝、突然現れたサングラス姿の男に縛り上げられ、目隠しをされた上で、車で拉致される。

 着いた先はどこやら山間の牧場。

 事態が呑み込めずにいたアキラは、金色の馬「ロメオ」と、彼と心を通わせる「冬馬(とうま)」と出会う。
 
 サングラスの男は実はアキラの叔父(脱サラ後、容貌が激変していた。)で、十七之助様DVDの弁償費用を働いて稼ぐまで、アキラを自身の所有する牧場で預かることになっていた。

 携帯も無く、逃げ出したくてもここがどこかもわからない状態で、ほぼ強制的に牧場暮らしをすることになったアキラ。

 やる気が起きるはずもなく、戸惑うことだらけの中で、少しずつ牧場の動物たちの個性や事情に触れていくことになる。



(登場人物・動物紹介)

 アキラ
ロメオがライバル アキラ -.png

 主人公。いじめられたわけではなかったが、学校で孤立したと感じ、不登校になる。
 牧場に来たばかりの頃はほとんど口もきかず、笑顔も見せなかった。
 最初は(ロメオにいびられたこともあり)馬が苦手だったが、冬馬ら、牧場の人々に影響を受け、少しずつ乗馬に興味を示すようになる。


 
 冬馬
ロメオがライバル 冬馬 -.png

 アキラの叔父の牧場に足しげく通い、ロメオと心を通わせる高校生。少年のような凛々しい容姿だが実は女の子。当初、後ろ向きなアキラに辛辣だったが、アキラが脱走に失敗してケガをしたとき、(しぶる)ロメオとともに彼を助けてくれた。乗馬の名手。



 ロメオ
ロメオがライバル ロメオ -.png

 金色の美しいサラブレッド。ただし目つきが悪く、不機嫌が露骨に顔に出る。女性を好み男性を嫌い、特にアキラのことは目の敵にして、髪をむしる、くわえて放り投げるなど一貫して暴力的。冬馬のことが大好き。
 身体能力は高く、遠方からロメオに乗りに来る人々がいるほど。牧場のスターホース。


 マキオ
ロメオがライバル マキオ -.png

 アキラの叔父。脱サラして乗馬用の牧場を作った。手際の悪いアキラをおおらかに見守るが、働きが生活費に見合わないうちはマイナス賃金にするシビアさも持ち合わせている。



 マリ
ロメオがライバル マリ -.png

 牧場に住み込みで働く美女。力持ちで働き者。マキオと彼女の関係性がわからず、アキラを困惑させる。巨乳(だが…)。



 牧場長
ロメオがライバル 牧場長 -.png

 牧場見回りを日課とする柴犬。かわいい(私情)。マキオをこよなく尊敬している。自称「こっぺぱんいろのげいじゅつ」。そのコマがものすごくかわいい。(私情2)

 ロメオがライバル 牧場長2 - -.png



(見どころ)

 アキラの牧場生活と、アキラが人々や動物たちとの交流(含ロメオのいびり)を経て、それまでの自分を振り返る心の動きが、物語の主筋となっています。

 しかし、ロメオや牧場長ら、ほかの動物たちも、人間に劣らない存在感で、時に動物語で台詞を喋り、彼ら目線で話が展開する回もあります。

 ロメオ以外の馬たちも容姿性格に個性があり、物語の中で、彼らの事情も徐々に明らかになっていきます。
(左から「いすず」、「カールさん」、「シャルル」)
ロメオがライバル いすず、カールさん、 -.png

 作者の秀良子さんは、この作品を、自身が小学生の頃の山村留学で馬の世話をした経験に基づき描かれたそうです。

 その頃から馬を描くことに熱中していて、今でも馬好きとのことですが、確かに、この方の描く馬は生気と秀さんの馬愛に溢れています。

ロメオがライバル ロメオ2 -.png

 筋肉、骨格の質感、豊富なアングル、蹄や鼻息による感情表現、顔の表情など、そこにいるかのように感じられる。

 馬が嬉しいと「にょ、にょーん」と鼻先がくねくね伸びるというのは、この漫画で初めて知りました。かわいい。

ロメオがライバル ロメオ3 -

 その確かな描写力は猫、犬などにも及んでおり、物語の間に挟まれる、牧場の動物たちのちょっとした一コマが、それだけでもじっと見ていられるほど可愛らしい。

ロメオがライバル カールさんと猫川さん -.png

ロメオがライバル 牧場長とカマキリ -.png

 (特に私情まみれで先述させていただいた通り、柴犬の可愛さもまた超一級で、牧場長のふっくらとした鼻先や、ぽてころの体、「チャッチャッチャッ」という爪音は、犬好きをもれなく悩殺します。「こっぺぱんいろのげいじゅつ」……なんと的確で胸を熱くする美しい響きだろう。一編の詩としてあのコマと一緒に全国の小学校の教科書に載せたい。)

 この作品は惜しまれながら完結してしまいましたが、秀さんの描く動物は非常に魅力的なので、また動物の登場する作品を発表していただきたいと思います。是非!
 
 動物好きの方にはたまらない素敵な作品ですので、どうぞご覧になってください。

 読んでくださってありがとうございました。


ロメオがライバル 2 (ビッグ コミックス) -
ロメオがライバル 2 (ビッグ コミックス) -

ロメオがライバル 3 (ビッグコミックス) -
ロメオがライバル 3 (ビッグコミックス) -

ロメオがライバル 4 (ビッグコミックス) -
ロメオがライバル 4 (ビッグコミックス) -

ロメオがライバル 5 (ビッグコミックス) -
ロメオがライバル 5 (ビッグコミックス) -
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2018年03月14日

(おすすめ動画)穴に落ちた象の赤ちゃんを助けた人々が見た心温まる瞬間(インド)


(穴の中で身動きがとれなくなっている象の赤ちゃんと、それを助け出そうとするショベルカー)
ショベルカーでの救出 .png
 (画像出典:Youtube:https://www.youtube.com/watch?time_continue=4&v=IfAAVmESmIs

 本日は、インドで撮影された、象と人との心温まる瞬間をとらえた動画をご紹介させていただきます。

 インド南部ケララ州の村はずれで、群れと一緒に川を渡ろうとしていた象の赤ちゃんが穴に落ちてしまいました。

 穴の底はひどくぬかるんでいて、いくらもがいても自力では脱出できずにいた仔象を、周囲の人々が発見、仔象を助けるために、森林局職員と近くの村人たちが協力し、穴の周囲を崩すことにしました。

 仔象が埋もれてしまわないように、慎重に、さらさらと周囲を崩していくショベルカー。

 5時間にわたる作業の後、ついに仔象が穴から這い上がり、川べりに向かうと、向こう岸から、大きないななきとともに、数頭の象が水しぶきをあげて、一斉に川を渡ってきました。

仔象、穴から脱出 -png

迎えに来た大人象たち - コピー.png


 良かった良かった、というように、仔象に駆け寄り、その小さな体に、まるで人が肩を抱くように鼻を摺り寄せてとり囲む大人象たちと、歓声を上げる人々。

仔象を囲む大人象たち .png

 と、そのまま向こう岸に去っていくかと思われた象のうち、まっさきに仔象のもとに走ってきた一頭(おそらくは仔象の母親)がふいに振り返りました。

 そして、ふわりと上がった鼻。

鼻を上げる象1.png

 その動きに気付いた人々のいるほうに、また、もっと大きく鼻を反らせて、ふわり。

鼻を上げる象2 .png

 最後にもう一度向き直って、ふわり。

鼻を上げる象3 png

 まるで、お礼を言っているように見えるしぐさに、人々はさらに大きな歓声や口笛で喝さいを返しました。

(公式チャンネルYahoo!映像トピックスの動画「ゾウを助けた後の展開が超アメージング」)

https://www.youtube.com/watch?v=DmPUKbc-pJs



 象の鼻はとても器用で、人の手のように鼻先で物をつかんだり、優しく相手に巻き付けたりすることができます。

 仔象を助けたくても、自分たちではどうすることもできず途方に暮れていた象たちは、集まった人々が仔象を助け出すために手を尽くす姿を、向こう岸からじっと見ていたのでしょう。


 這い上がれた仔象めがけて一目散に駆け寄る姿や、この鼻の動きを見ると、象の愛情深く義理堅い心が伝わります。

 そして、それに気づいて喜んでいる人々。

 言葉は通じなくても、確かに心が通い合っている瞬間が、そこにありました。

 当ブログでは、今後も、いくつか象にまつわるお話をご紹介させていただく予定です。よろしければまたお立ち寄りください。

 読んでくださってありがとうございました。




(補足)当ブログの象にまつわる記事

 ・(※ネタバレ)ドラえもん「ぞうとおじさん」

 ・(おすすめ動画)穴に落ちた象の赤ちゃんを助けた人々が見た心温まる瞬間(インド)
 ・ 象のインディラと落合さん(中川志郎作『もどれ インディラ!」より ※結末部あり)



 
 情報出典:
・公式チャンネルYahoo!映像トピックス「ゾウを助けた後の展開が超アメージング」
 https://www.youtube.com/watch?v=DmPUKbc-pJs
・カラパイア「助けてくれてありがとう!子どもを救ってくれた人間に対し、感謝の気持ちを表すゾウ(インド)」http://karapaia.com/archives/52250056.html
・Newsweek「HELPLESS BABY ELEPHANT TRAPPED IN WELL RESCUED BY INDIAN VILLAGE IN HEARTWARMING VIDEO」
http://www.newsweek.com/helpless-baby-elephant-trapped-well-rescued-indian-village-heartwarming-video-725080
・Laughing Squid「A Relieved Elephant Raises Her Trunk to Thank the Workers Who Rescued Her Baby from a Mud Hole」
https://laughingsquid.com/elephant-thanks-workers-who-rescued-her-baby/
posted by Palum. at 19:39| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月13日

(おすすめ動画)ロシアのフクロウ、トラックの運転手さんと運命の出会い

(フクロウのソニアとエフゲニーさん)
フクロウのソニア1エフゲニーさんと.png

画像出典:Youtube https://www.youtube.com/watch?v=IbEfkyh_okU


 本日は、ロシアのフクロウにまつわる不思議なお話をご紹介させていただきます。

 (情報出典:カラパイア http://karapaia.com/archives/52167679.html)

 長距離トラックの運転手エフゲニー・ゾロツーキンさんは、運転中、道にうずくまるフクロウを見つけて急ブレーキをかけました。
 
 そのフクロウは羽にケガをしていたため、エフゲニーさんはフクロウを隣町まで連れていき、生の鶏肉を食べさせてあげました。

 エフゲニーさんは、ソニアと名付けたそのフクロウを、地元に連れ帰り、ノボシビルスク動物園に預けることにしました。

 ところが、ケガは回復していたにも関わらず、ソニアは動物園の飼育員からエサを食べることを拒否したのです。

 一週間経ってもソニアがエサを食べようとしなかったため、動物園からエフゲニーさんに連絡が行き、エフゲニーさんが動物園に駆けつけたところ、ソニアはようやく、エフゲニーさんの手からエサを食べました。

 エフゲニーさんはソニアを引き取ることにし、ソニアに生肉を食べさせてあげられるよう、トラックに小型冷蔵庫を積み込みました。

 その後、ソニアはエフゲニーさんの長距離ドライブの良き相棒として、エフゲニーさんにぴったりと寄り添い、長旅をともにしているそうです。
 
 (ソニアとエフゲニーさんを取材したニュース映像1)



 (ニュース映像2)

https://www.youtube.com/watch?v=NmGP60c3Lr4

 野生動物は基本的に人に懐かないものですが、エサがとれない、危険から逃げられないという、自然界ならただ死を待つしかない状態のときに救われると、その人に熱烈な愛情を注ぐことがあるようです。

 しかし、このソニアのように、生存本能を超え、救ってくれた人に再会するまでハンストするというケースは、さすがに滅多にないと思います。
 
 (あるいは、置いていかれたと思い、ショックで食事が喉を通らなかったのかもしれませんが。いずれにしても、我が身を命の危険にさらし、自分の救ってくれた人への思い出に殉じています。)

 優しそうなほほえみのエフゲニーさんに、ぴったり寄り添うソニア。

 メスとのことなので、もはや妻の気持ちなのか、あるいは自分にとっての神に忠誠を誓う思いなのか。

 いずれにしても、ソニアにとってエフゲニーさんは運命の存在で、その大きな丸い瞳に第二の生活への迷いはみじんもなく、エフゲニーさんの手からエサを食べたり、スポイトから水をもらうときの表情は実に幸せそうです。

(ハンドルに留まり、エフゲニーさんと一緒に前方確認しているソニア)
フクロウのソニア2ハンドルに留まる.png

(エフゲニーさんにお肉をもらって笑顔になるソニア)
フクロウのソニア3笑顔.png
(画像出典:Youtube https://www.youtube.com/watch?v=NmGP60c3Lr4

 フクロウは聡明で、知恵の象徴とも言われているそうですが、さらにこんなにも情熱的で、命をかけ、運命の人との暮らしを取り戻した鳥もいるという不思議なお話でした。


情報出典:
・カラパイア「フクロウを助けたらすっかり懐いてしまい、預けた動物園から「手に負えぬ、引き取ってくれ。」 と言われたトラック運転手(ロシア)」
http://karapaia.com/archives/52167679.html

・CDL Life news「Russian Truck Driver Saves Owl, Acquires Loyal Pet」
https://cdllife.com/2014/russian-truck-driver-saves-owl-acquires-loyal-pet/
posted by Palum. at 18:48| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月03日

(おすすめ動画)撫でられたい動物たち

 人の手には癒し効果があるという説があります。
   
  その科学的効果はまだはっきりと証明されていませんが、昨今ネットで、人に撫でられることをこよなく愛する世界中の動物たちの動画を観ることができます。

  ネット用語では、「毛の長い生き物を撫でること」を「モフる(※「フワフワ」の俗語「モフモフ」から派生)」と形容し、生き物自ら人に撫でられたがることを「モフを要求する」とも言います(かわいい)。

 本日はそんな「モフを要求する」様々な動物たちの動画をまとめてご紹介させていただきます。



 (猫編)

 飼い主らしきお姉さんに、前脚でモシモシして撫でてくれるようお願いする猫たち。
 
 お姉さんが手をとめるとまたモシモシ。
 
 どちらもいたいけな瞳と控えめなモシモシ加減がいじらしい。

 (動画のコメントの中には、美人のお姉さんに撫でられている猫のほうをうらやましがる意見も。)

 ・「Cat politely asking to get patted」 (撫でてくれるよう礼儀正しくお願いする猫)

 https://www.youtube.com/watch?v=Y2T4caGlK80

 ・「Pat the cat」(猫を撫でる)

https://www.youtube.com/watch?v=8fwXeBCMrT4



(小鳥編)

「Parrot furiously squawks when owner stops petting her」(飼い主が撫でるのをやめると怒ってやかましく鳴くインコ)

 https://www.youtube.com/watch?v=-gNpJ0Mpucw

 仰向けになってくつろぐという、自然界にいたら生涯しなさそうなポーズで、飼い主さんの掌に乗り、ほっぺや首まわりをイイコイイコしてもらう黄色いインコのトィーティー(かわいい名前)。

 「ムケウケ、プケフケ……」と嬉しそうに笑いながら(?)うっとり目を閉じていたのに、飼い主さんが手を止めるとサンゴ色のくちばしをカッと開き「フゲー!!」と強く抗議して再開させています。

 くつろいだ姿の可愛さと「モフられ欲」の激しさのギャップが魅力。



(アザラシ編)

 「Wild seal pups play with divers」(ダイバーたちと遊ぶ野生の子アザラシたち)

 https://www.youtube.com/watch?v=QKhXu6A9cWg

 イギリスのファーン諸島の海に潜ったダイバーたちがとらえた一コマ。
 
 人が飛び込むなり、驚くべき人懐こさでダイバーに寄って来るアザラシたち。

 手袋ごしながら、ツヤツヤのお腹や鼻づらを撫でてもらい満足げな様子。
 (手元にカメラをつけているため、アザラシの顔のドアップが観られます。)
 
 くりくりした目で人をチラ見しながら側を泳ぐ姿は、もはや、「ものすごく泳ぎのうまい犬(ラブラドール系風)」状態。

 これだから潜るのをやめられない!とでも言いたげな、ダイバーの男性のうれしそうなテンションにもほのぼのします。

 アザラシ動画をもうひとつ。

 シシリー諸島に潜ったダイバーのゲイリーさんが出会ったアザラシは、お腹を見せて撫でてもらいながら、その手を前脚で捕まえています。

「Gary and the seal in the Scilly Isles」(ゲイリーとアザラシ、シシリー諸島にて)
 
https://www.youtube.com/watch?v=Oz5pjXQMhiE

 (ゲイリーさんの手の上で前脚をぺちぺち動かしているので、あるいはお礼に撫で返してくれているのかもしれません。)

 相当大きなアザラシですが、きゅっと握手する様子や、うっとりと細められた目が愛らしい。
 
 「手」の発達しない水辺の動物は、ナデナデの繊細な動きに、ことに心惹かれるのかもしれません。



(バク編)

 「Why you should not never work with Tapir」(絶対にバクと一緒に働かないほうがいい理由)
 
https://www.youtube.com/watch?v=TIEvzRye6AY

 イギリスの「ダートムーア動物園」に暮らすバクたちと飼育員らしき男性の一コマ。
 
 象のような穏やかな瞳と、くるりと口元に曲がった鼻づらが表情に富むバクたち。

 この「かわいすぎる」バクたちは、自分たちの魅力をよくわかっており、人にいつまでも喉もとやお腹をナデナデさせて、瞳を細めています。

 しかも穏やかそうな容姿のわりに可愛がられることに貪欲で、撫でに心を籠めることを求め、一頭が撫でられていたらもう一頭もドチーン!と脚を投げ出して横たわり、撫でてもらうおうとする。

 (腕を伸ばしても二頭いっぺんには撫でられず、男性を苦戦させるが、バクたちは気にしない。)

 人の持ち物に興味を示して遊び、自分が注目されることが大好きなバクたち。

 だから一緒には働かないほうがいい(心を盗まれちゃうから)。

 バクってこんなに人に懐くのか、という驚きとともに、ボリューミーな動物独特のたっぷりぽってりとした撫でごたえが伝わってきます。

(情報出典:マランダーHP「バク、お前もか。甘えん坊のバクはモフが大好きだった」http://marandr.com/17956373



 (シカ編)

「Spoiled Deer」(甘やかされた鹿)
 
 https://www.youtube.com/watch?v=wIrnrnkajPM

 電線工事に行った作業員の人々が、木々の間で身動きできなくなっていた小鹿を保護したときの映像。

 助けたあとも、おびえて震えているので、お腹を撫でて落ち着かせたものの、降ろそうとすると「メー!!」と鳴いて拒否。
(後ろ脚をピーンと伸ばし、前脚を丁寧に折り畳んだ綺麗な撫でられ姿と、「ヤダー!」という気持ちがまっすぐ伝わる鳴き声が愛くるしい。)


 Youtube投稿者の説明によると、この後も小鹿は彼ら作業員の人々のあとを子犬のようについて歩いていましたが、投稿者が、離れたところで小鹿を見ている母親らしき雌鹿を見つけ、小鹿を途中まで連れて行ったところ、小鹿は雌鹿に駆け寄り、二頭は無事に森の中に去っていったそうです。

 なお、コメント欄には、小鹿の可愛らしさと彼らの優しさを称える言葉の間に、「動物に優しい男性を観るほどときめくことはない」など、先ほどの「美人お姉さんと猫」の動画同様、違う賛辞が混じっています。

 
 (フェレット編)

 「Ferret shows human her babies」(人間に赤ちゃんを見せるフェレット)

 
https://www.youtube.com/watch?v=OcCRZkeqFY8

 家の中で飼われているフェレットが、男性の指をくわえ、ぐいぐいと引っ張っていきます。

 テーブルの上にはタオルを敷いたフェレットの巣箱。

 男性がタオルの中に手を入れると「プミャー!ピミャー!」と賑やかな鳴き声。

 中にはまだ目も開かない、産毛のフェレットの赤ちゃんたち。

 男性が持ち上げた赤ちゃんを、そっとくわえてタオルの中に戻す母フェレット。

 男性の手が、「よく頑張ったね」というように母フェレットと赤ん坊を撫でて遠ざかろうとすると、母フェレットは手に駆け寄り、またぐいぐいとその手を巣箱に引っ張って、赤ちゃんたちを撫でさせようとします。

 男性の手に自分と赤ちゃんを撫でられて、非常に満足そうな母フェレット。

 ひとしきり撫でた後、男性の手が離れたら、再び急いで呼び戻そうとしていました。

 赤ん坊が生まれたばかりの動物の母親は、子供を守ろうとして気が立っているから、そっとしておいたほうがいい(怒って混乱した母親が子供を傷つけてしまう危険がある)という話を聞いたことがありますが、まれに、このフェレットのように、飼い主に赤ん坊を見てほしいと思うタイプの母親もいるようです。

 普段からよほど自分も撫でられるのが好きなのか、どうしても、赤ちゃんを撫で続けてほしい様子のフェレット。

 敬愛する人物から祝福を頂こうと、赤子を見せに来る母親の姿を彷彿とさせます。
  
 (イメージ)ニコラース・マース作・幼子たちを祝福するキリスト(イギリス・ナショナルギャラリー蔵)

Nicolaes_Maes_-_Christ_Blessing_the_Children_-_WGA13814 - コピー.jpg
(画像出典:ウィキペディア 画像提供:Web Gallery of Art)

 あらゆる動物たちを幸せな気持ちにする人の手のぬくもり。

 皆様も、その手で大切な誰かを癒してあげてはいかがでしょうか。

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum. at 12:39| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月17日

「面倒くさがりの自分を認めたら部屋がもっとキレイになりました(三日坊主の後回し虫退治術)」(わたなべぽん 作) 掃除以外でも後回し癖がある方におススメ!

 先日(2018年2月16日)、わたなべぽんさんのエッセイマンガ『面倒くさがりの自分を認めたら、部屋がもっとキレイになりました』が発売されました。

面倒くさがりの自分を認めたら部屋がもっとキレイになりました 三日坊主の後回し虫退治術 (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -
面倒くさがりの自分を認めたら部屋がもっとキレイになりました 三日坊主の後回し虫退治術 (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -

 以前、汚部屋の大掃除、35kgの減量に成功したわたなべぽんさん。
ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -
ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -

スリム美人の生活習慣を真似したら 1年間で30キロ痩せました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -
スリム美人の生活習慣を真似したら 1年間で30キロ痩せました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -

 今回は、「せっかくキレイになった部屋が何故か少しずつ散らかっていく」現象を通じて、自身の「面倒くさがり」「三日坊主」という問題に気づいたぽんさんが、「そうじや片づけを楽に楽しく続ける方法」を探すお話です。

 現在作品の一部が「コミックエッセイ劇場」HPで公開されています。
 
 ・作品概要紹介、一部内容公開ページURL:
  http://www.comic-essay.com/episode/204/
 

 (見どころ)

 「汚部屋脱出」や「大幅減量」のようなインパクトある題材ではありませんが、その分いろいろな人が思い当たるであろうエピソードがちりばめられています。

 「ゴミ出しし損ねた段ボール」

 「しばしシンクに放置される洗い物」

 「未確認のダイレクトメールの束」

 「なぜかソファーのまわりにたまるバッグ」

 「畳まれていない洗濯物」

 「不潔とまではいかないけれど、うすく水垢がついた水回り」

 ……などなど、「今すぐやらなくてもいい」という理由でつい先送りしてしまう用事たち。

 それが、見て見ぬ振りをしても、じわじわと視界と罪悪感を圧迫し、時間とやる気を奪い取って行く……という、一見地味だけれどものすごくリアルな恐怖を克服していくための試行錯誤が描かれています。

(ため込んだが最後、全部片づけるまでに実は何時間もかかる恐怖の空間の図)
面倒くさがりの自分を認めたら2 - コピー.png

 うずうずとつきまとう「後回し虫」「面倒くさい虫」(見た目はかわいいが人の充実した人生を蝕む恐ろしい奴)のささやきに負け、色々なことをやらずに一日を終えてしまうことに悩むぽんさん。

面倒くさがりの自分を認めたら1 - コピー.png


 子供の頃から根気がないから、所詮無理なのではと弱気になっていたものの、好きなことは長期間毎日欠かさず続いていることに気づき、今おっくうに思っている用事を、気持ちや体調に左右されずにこなすにはどうすればいいのかを模索し始めます。

 掃除と片づけに焦点をあてた作品ですが、ぽんさんが編み出した工夫の原理(心理的ハードルの下げ方)は、仕事やその他気乗りしない用事など、あらゆる場面に応用でき、「すぐやる」「続ける」ができずに困っている人全員におススメしたい作品です。

 解決方法自体は地道なものが多いけれど、「見やすい絵のまんが」で読めることにも大きな意味がある。 


 「苦手を克服したい本人が、専門用語ではなく体感した言葉で書いてくれている」のもわかりやすいです。

 何度も読み返すうちに、次第に効果が増していく作品だと思います。

 個人的な感想ですが、既に「後回し防止」にはどうすればいいかを知るためにしこたまハウツー本を買い込んだ私の経験から言わせていただくと(それを読んでいるうちにやればいいじゃないという理屈は脳が全力で拒む〈なんでだ〉)後回し気分に捕まってしまったときは、まめな人、あるいは朝のすっきりした頭の自分ですら、なんでこんなことができないんだと思うことができなくなってしまいます。

 「お風呂に入る」などの、ごくあたりまえの習慣でも、文の前に「山奥の秘湯場に行って、自分でシャベルで掘って」がついているかのごとく重労働に感じられて動けなくなってしまう。

 (個人的には「(脳の)ブレーカーが落ちる」と呼んでます。)

(ぽんさんいわく「何もかも面倒な時期」の状態)
面倒くさがりの自分を認めたら4 - コピー.png

 こういうとき、なんとか行動しようと救いを求めて字だけの本を開いても、頭が嫌なフィルターにどんよりずっしりくるまれているようで、文章の羅列はただの縞模様に見えてしまうので、具体的な視覚イメージが必須です。

 (さらに、「すっきりとした絵柄」「ある程度太さのある線」「安定したタッチ」だと脳に届きやすい。その点ぽんさんの絵は理想的です。)


 軽作業を、すぐ終わる等身大の作業として視覚で教えてくれる、「よーし!これくらいなら今やっちゃおう!」という一覧イラストも便利。
(例:シャンプーの詰め替え、PC・スマホのデータ整理、など)

面倒くさがりの自分を認めたら5 - コピー.png
 
 これは、読む人の立場・仕事ごとに思い当たる作業があると思うので、作中の図のように、「今やっちゃおう!」というギザギザフキダシをイメージしながら、自分なりにピックアップしていくといいと思います。

 明るい色使いのオールカラーで過去作以上に見やすいのもうれしい。

 勿論、お掃除本単体としても優秀です。

 前作「駄目な自分を認めたら…」から、さらに美しくなったぽんさんのお部屋もカラー写真で公開されていてわかりやすいですし、個人的には、第十章の「大掃除作業一覧」と「予定表」を、もうそのまま無心に我が家に取り入れたい。
 
面倒くさがりの自分を認めたら6 - コピー.png

 掃除片づけは自分の担当じゃないから……という方も、その他の行動に応用できますし、誰かに作業を手伝ってもらうときの頼み方、掃除を手伝うメリットなど、他にも参考になることが多いので(シリーズを通じていい味出してる夫さんが相変わらずお優しい)是非ご覧になってみてください。
 
 読んでくださってありがとうございました。


(補足)当ブログ わたなべぽんさん作品ご紹介記事

 ・「やめてみた」(わたなべ ぽん作 コミックエッセイ)ご紹介


 ・『ダメな自分を認めたら部屋がきれいになりました』(わたなべぽんさん作 お片付けコミックエッセイ)


 ・(一部ネタバレあり)わたなべぽんさん 『もっと、やめてみた。』ご紹介 


posted by Palum. at 22:22| おすすめ漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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