2013年03月13日

サンドウィッチマン伊達さんのブログとイギリスの「インデペンデント」紙

地震から2年経過して、思い出すことをもうひとつご紹介させていただきます。
お笑いコンビ「サンドウィッチマン」伊達さんのブログのお話です。

サンドウィッチマンのお二人は2011年3月11日、気仙沼に取材にいらしていて、震災を目の当たりにしました。
直前のブログ記事で、観光名所だった潮吹き岩について「今日は少ししか潮が吹いていない」と書いてあるのが、今にして思えば予兆だったのでしょう。
私は自分の周囲の無事がわかった後は、お二人がどうなったのか、何度もブログを確認していました。
いつも大笑いさせてもらっていた人たちが、今あそこにいる。
地震が起きて、津波が押し寄せ、火の手があがり、その上に雪が降っている。
それは私の想像を超えた事態で、そして、ただ茫然とラジオに耳を傾け、小さな携帯の画面を見つめるしかできませんでした。
 お二人は無事でした。そして、無事ですという報告の後すぐ、東北の人たちのために奔走します。
 まず、テレビを占拠していた身の毛もよだつ津波の映像の代わりに、家族の無事を知りたがっている人たちのために、一人でも多くの無事を知らせる情報を流してほしいと訴えます。
 それから、伊達さんは翌日、岩手県一ノ関から、お互い助け合い、譲り合って事態を乗り切ろうとしている東北の人々の姿を伝えるとともに、のちに多くの人を力づける、このような文章をブログに載せます。
以下引用させていただきます (原文のブログはコチラです)

戦後、俺たちのじいちゃんやばぁちゃんは日本を復活させた。世界には奇跡と言われた日本の復興。

必ず復興します!
日本をナメるな!
東北をナメるな!

 いつも笑わせてもらっていた人の言葉に、この日、涙が滲みました。
 このシンプルだけど、ものすごくタフなメッセージに心を打たれたのは、日本人だけではありませんでした。
 この伊達さんのブログ記事は、イギリスの新聞「インデペンデント」(電子版)に、日本を応援するメッセージとともに紹介されました。
 以下、伊達さんの言葉の英訳部を引用させていただきます。(原文記事はコチラです)

 "Our grandparents rebuilt Japan after the war and the growth was considered a miracle around the world. We will work to rebuild Japan in the same way again. Don't give up Japan! Don't give up Tohoku [the north-east region]!"

 伊達さんの記事を受けて、インデペンデント紙は紙面でも一面に日の丸とともに、日本語で「がんばれ、日本。がんばれ、東北。」という応援の言葉を載せました。
 ちなみに、伊達さんの記事がイギリス人に伝わったきっかけは、編集部員の奥様が日本人だったからだそうです。
 サンドウィッチマンもイギリスも、改めていっそう好きだ。
 そう思わされた出来事でした。
 2年経った今でも、忘れがたいので、2つとも紹介させていただきます。
 
 参照記事は以下の通りです。
 3月16日のasahi.com(朝日新聞)
 「英紙1面で『がんばれ日本』きっかけは芸人ブログ」
 ウィキペディア記事「インディペンデント」

 2年たった今、伊達さんがそうと知らずに地震の予兆を見た気仙沼の潮吹き岩は、今は津波で形を変えてしまったそうです。
 代わりに松が一本、海辺に残っている。
 それは、竜の姿をしている。
 おととい伊達さんのブログでは、気仙沼の銀色の海を背景に、力強くひげをたなびかせて、何かにまっすぐに立ち向かうような松の竜が、光を受けて立っています。
 岩は姿を変えたけれど、今も景色は美しく、食べ物はおいしく、人々が訪れて、教訓を得て、観光を楽しむことのできる場所だ。
 伊達さんのブログを読むと、そのことがよく伝わってきます。
 伊達さんの今年3月11日のブログはコチラです。
posted by Palum. at 19:17| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月11日

2011年3月の思い出

 2年前の今日、東日本大震災が発生しました。

 朝からテレビでは、あの日の未曽有の大惨事と、そこから立ち上がろうとする人々の姿をとりあげています。
 被害に遭われた方たちに心からお見舞いを申し上げるとともに、本日は、2年前の今日のあと、個人的に忘れがたかった、イギリスのホストファミリーとのやりとりについて、少し書かせていただきたいと思います。

 地震の直後、かつてイギリスでホームステイさせていただいていたご夫婦から、メールがありました。
 とにかく1度Skye(ネットテレビ電話)で話をしたいと。
 
 原発事故の直後で、影響のあるところも無いところも、日本中がなんとなく部屋を明るく温かくすることをためらっていたあの時期、私は暗い部屋で毛布にくるまって、Skypeに接続しました。
 夜、薄暗い部屋の中、画面の向こうに、あの懐かしい、平たくて揺れることのない、ケンブリッジのご家庭の朝と、ご夫婦の笑顔が浮かび上がりました。
 幸いにして私の周りは何事もありませんでしたとご報告した後、しかし、揺れが強かったところは本当に恐ろしいことになっています。と、20分ばかり話していました。
 すると、「そうだ」と、やおら、ホストファーザーが立ち上がって、画面から姿が消えました。
 そして戻ってきたホストファーザーの手には、小さな双葉の生えた鉢植えがありました。
「うちの最初のトマトが芽を出したよ」
 私が青い顔をして、あの恐ろしい出来事で頭が一杯という様子だったのを見て、少しでも、気持ちをなごませようと持ってきてくださったのです。
 Skypeの、決して鮮明とは言えない画面の向こうで、カメラに向けて差し出す手の動きにふわふわと揺れていたトマトの新芽の緑。
 それを見たとき、この数日、明かりの落ちた町で、自分が目にしていたのは、恐ろしい津波の濁流とがれきの茶色、煙の灰色、喪の黒に塗りこめた画像だけだったということ。暗く冷たい視界の中で、ラジオの静かな音楽だけが救いで、でも、音楽を聴く耳のもう半分は、始終起こる余震の情報に神経をとがらせていたということに気づきました。
 そして春の小鳥の羽のように柔らかい、小さな緑の無邪気なみずみずしさが眼に染みわたりました。
それは白く淡い産毛に包まれている。
 画像では見えないのに、そう感じました。
 昔、あのお宅で、ホストファーザーに、鉢植えのトマトを見せていただいたときの記憶が、そう思わせたのかもしれません。
「かわいいですね」
 そう言って笑った後、私には後の言葉が何も出てきませんでした。
 代わりにふいにどんどん涙が出てきて、それを指でぬぐいながら、どうにか
「すみません。本当に私は大丈夫だったんですが……」と言う私に、ホストマザーは、ただ静かに、「わかるわ」と言ってくださいました。

 あとは、普通のやりとりでした。それだけです。
 でも、あの日のトマトの若葉の緑、それをカメラに向かって差し出してくださったホストファーザーのつとめて明るい笑顔、ホストマザーの「わかるわ」という言葉を、今でも鮮明に覚えています。

 そして、お二人とは、今でも折々やりとりをさせていただいております。

 別にバカヅキの人生とは思いません、というか、頑張った割に結構運が悪いよなと思うジャンルも人生の何分野かにありますが、ただ、私には過ぎた幸運だったと思うこともいくつかあります。
 イギリスに行って、あのお二人に会えたことは、そう思わされることのひとつです。

 悲しいことがあったときに、あの緑が、何かの羽ばたきのように、私の耳元に風を送る気配がします。
 私は、今まで生きてきて、確かに優しい人に会ったことがあるということ。
 日常の倦怠など吹き飛ばす、想像を超えた不幸がこの世にあるということ。
 それを、あの、透き通った産毛に包まれて、ふわふわと揺れていた緑が、思い出させるのです。
posted by Palum. at 19:51| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月12日

はじめに


人生、新しい道とやらを探すことにしました。

そのために、英語を勉強したい、英語が少しでも出来るようになれば、これから先、何に挑戦するにも可能性は広がるはずだと思い、思いきって、今までの仕事を辞めてイギリスにまで来てしまいました。

来たからには、むしりとってでも収穫を得て帰ると意気込む一方で、
「大丈夫か。英語身につくのか。若い人ばっかりで浮いたりして……」
と、いう気も。

いよいよ、明日は学校に行くという日、そんな弱気をふとホームステイ先のホストマザーにもらしたら、
「大丈夫、あなたみたいに、大人になってからイギリスに来る人は、沢山います。イギリスでは、old(この場合は『年上』の意味でしょうか)とは言わず、mature studentというの」
と、教えてくださいました。

「mature」ということばからして知らなかったので(前途多難)、辞書をひいたら、色々出てきたけれど、どうやらこの場合「円熟した」という意味かなと思いました。

円熟した学生。

わかるようなわからないような……。
だいたい、この私のどのへんが円熟しているのか、英語は明っっらかに未熟だ(だから来ているのですから)。その他もろもろ振り返ってみても、熟すどころか腐っているのでは。
……などと考えると、来た早々、ヒュラ〜(悲しい音楽)、となりそうだったので、それ以上追求しないことにしました。

そして、大人になってから、学生として勉強という状況について、「年齢を重ねたがゆえの良さがある学生」という響きの言葉が、ちゃんと用意されているイギリスを、とてもありがたい国だと思いました。

そういう、円熟未熟留学生のイギリス便りです。


(補足、ついでに英単語)
mature (人.心身.生物などが)十分に成長した。(作品などが)成熟した、円熟の。a mature writer=円熟した作家。
(遠回しに)中年の、年配の。
mature student 二十五歳以上の学生。

(『ジーニアス英和辞典』より一部抜粋。ただし『オックスフォード現代英英辞典』には、『mature student』について、「学校を出てから数年経って、大学に行く大人の学生」というような説明があります。だから英語のみ勉強している私は、厳密には当てはまらないかもしれません。【汗】)



posted by Palum. at 10:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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