2011年06月10日

デヴィッド・アッテンボローさんのサイン会






 本日(2011年6月10日【金】)、ケンブリッジ(町)の、書店ウォーターストーンで、デイビッド・アッテンボローさんの本のサイン会があるそうです。


 詳細はこちら、WarterstoneHPのイベントページでご確認ください。


 アッテンボローさんはイギリスの自然番組プロデューサーにして、名ナレーター、ケンブリッジ大卒の動物学者でもある御方です。


 2016年90歳になられたアッテンボローさんの誕生日記念動画はコチラです。




 ナレーションのみご担当されることもありますが、ご自身で取材に行った番組も生き生きとした構成で実に魅力的です。



 お兄様は監督であり俳優のリチャード・アッテンボローさん。お二人ながらに素敵な英国紳士です。

 また、陶芸家のルーシー・リーのコレクターであり、紹介者のお一人でもあります。


 御年は既に80代ですが(2011年時点)、今も精力的に仕事をこなされ、今回はあの方のラジオでのお仕事についてのご本の出版記念イベントのようです。



 わたしがイギリスに滞在しているときに、アッテンボローさんがナレーションをなさっている自然番組を拝見し、あの方の聞き取りやすく暖かで力強い語り口に感動いたしました。


 ホストファミリーに、この声の方がどなたかをうかがったら、上記のようなことを教えてくださったのですが、どうも私の語学力と先入観では「学者で番組を作る人で、こんなにテレビで巧みにしゃべる人」というのがうまくつながらず
(イギリスのドキュメンタリーには多い形式だと後で知りました。「専門家がプレゼンターとして出演するドキュメンタリー」の形式を作られた功労者のお一人です)、


 「聞き間違えたかな、とにかく素敵なナレーションだ」

 と思っていたときに、サイン会イベントのニュースを聞きつけました。


 とにかく、イギリスの人はみんながみんな


 「あの人は素晴らしいかただ」


 とおっしゃるもので、せっかくなので一度肉眼で拝見したいと、ミーハーな目論見でウォーターストーンに出かけました。


 数日前に本を購入して整理券を頂き、当日再び出向くと、書店内会場は長蛇の列(階段まで人が並んでいた記憶があります)。


 老若男女さまざまな人が早くから並んでいらっしゃいました。


 自分の番が近くなったころに、ようやくお姿が見えました。アッテンボローさんは、来場者一人一人に、声と同じ、力強い瞳を向け、丁寧に挨拶をなさっていました。


 このとき「いい声の自然番組の人」というぼやけた知識で出向いた私にすら、


 「これが、オーラとかカリスマとかいうものか……!」


 という、なにやらただならぬ気配が、あの紳士から燦然と放射されているのを確かに感じました。

 透き通った金色のオーラ、そんな気がしました。

 イギリス最高の紳士の眼前に立たせていただき、緊張のあまり冷たくなった両手で本を差し出しました。


 私にも、優しく挨拶をしてくださったアッテンボローさんは、本に挟んだ付箋に書かれた私の名前(サインに書き添えていただく用)を、あの声で力強く読み上げてくださいました。


 「ニ、ニホンカラキマシタ……」

 「そうだと思いましたよ」

 「オアイデキテ、光栄デス……」


 練習しておいたフレーズを、どうにか言い終えた私に、アッテンボローさんは穏やかでくっきりとした声でおっしゃいました。


 「こちらこそ、来てくださって、ありがとうございます」


 笑顔でまっすぐ私を見据えながら、ぎゅっと握手してくださったそのアッテンボローさんの瞳と全身からは、サンタクロースと賢者を足して二で割ったような、温かで威厳に満ちた輝きがあり、わけがわからないうちに涙がにじみさえしました。


 あの瞬間は、わたしのイギリス滞在時のハイライトのひとつ、忘れがたいです。


 あれ以来、「ものすごい御方だ……。」と、もっとアッテンボローさんのことを知りたくなり(泥縄式)、そして知れば知るほど眩しい存在になって、今に至ります。


 自分の生活圏ではなくても、この世界には素敵な人がいる、と、知れたことは、本当に良い経験でした。


 人生にがっかりしたとき、人間不信に沈みそうになったとき、あの暖かな賢者の瞳が頭によみがえるのです。


 そして、魚や、カメや、虫や、クジラ、あらゆる生物の真剣な命の輝きを語るあの声が、私の名前も「!」がつくような力強い声で呼んでくださったという光栄な瞬間が。


 イベント後、ホストファミリーに、いかにアッテンボローさんがお声そのままにチャーミングな紳士であったかをたどたど説明させていただいたら、

「あの方は、みんな自分と同じだと思っているんだよ。だからあんなに丁寧なんだ」

 と、教えてくださいました。


 社会的地位にも年齢にも国籍にもとらわれずに「人と人」として、もっと言うなら「命と命」として(受賞スピーチで、取材協力をしてくれた爬虫類たちにもお礼をおっしゃっていました。)誠実に接するということを、何十年も続け、それが知性と勤勉さと合わさったとき、ああいう、温かにして厳かな気品が生まれるものなのだと知りました。


(後日談)

 別のイギリスの知人に、「あの方のしゃべり方は本当に魅力的ですね」と申し上げたら、その人は


「あの人が言うと『砂漠があっという間に湖に』とかでもみんな納得して聞いてしまう。普通は疑いそうなことも、あの人の声だと、全イギリス人が『そうなんですね』と思ってしまう。もしもあの人が政治家だったら危なくてしょうがない」

と、イギリスらしいジョークを披露してくれました。

2010年11月30日

「BBC地球伝説」にアッテンボローさんご登場!!


 お久しぶりです。またしても更新が途切れてしまいすみませんでした。

 この空白期間も、このブログを見に来て下さっていた方たちがいらして、恐縮するやらありがたいやら……。

 また少しずつでも更新してゆきたいと思いますので、よろしければお読みください。

 とりあえず、本日は実に中途半端な情報で申し訳ないのですが、取り急ぎご連絡まで。

 BS朝日で本日11月30日(火)20:00~20:55にBBC地球伝説「地球最初の生命体とは? 後編、さらなる進化へ」という番組が放映されます。

 前編は終わってしまっています……気付きませんで申しわけない……。

 BBCの自然ドキュメンタリーは、どれもこれも映像と音楽が美しく、軒並みハイレベルですが(今週はBS朝日がBBCの自然番組特集を続けるようです。情報はコチラ。)、とくにこれを(後編情報という気まずさも顧みず)オススメするのは、自然番組制作者デビッド・アッテンボロー(David  Attenborough)さんがご登場するからです。

 1926年生まれ、動植物学者で、英国国営放送BBCの重鎮、自然番組を作り続けて50年、ナレーターとしても超一流、お兄さんは俳優で監督のリチャード・アッテンボロー氏。

 かいつまんでプルフィールを紹介させていただくと上記のようなものですが、この方がどれだけ、どれだけ(二度言った)魅力的な紳士かは、既に記事に書かせていただいているので、よろしければ、「自然番組制作者 デヴィッド・アッテンボロー氏」とその続編記事を併せてお読みください。(「今回はBS朝日HPに合わせて、お名前を「デビッド」と表記させていただきました。)

  わたしはイギリス滞在時、一度この方を肉眼で拝見する機会がありましたが、紳士歴数十年の輝きは、温かくも燦然と圧倒的で、冗談抜きで「これがオーラというものか……」と目がくらむ心地がいたしました。

 以来ギャレス・マローンさん(イギリスの合唱団指揮者)とは別系統で、メロメロにご尊敬申し上げております。どれだけって、のび太君を心の師とするほどの睡眠愛好家が、慌てて早起きして、このブログを復活させるくらいです。

 この番組は、アッテンボローさんの真骨頂、ご自分で自然の風物の中にじかに立ち、紹介する対象に触れ、生き生きとしたことばでご紹介するという構成です。

 いくつになられても知的で上品なだけでなく、エネルギーに溢れた御方なのです。

 BBCの自然ドキュメンタリーは、一般人に学術的な内容をわかりやすく伝えてくれるばかりでなく、命の神秘と躍動というロマンを教えてくれますが、そうした番組スタイルを作ったおひとりがこのアッテンボローさんです。

 こういう番組を観ていると、小さな小さな虫から大型動物、石ころから地球そのものにいたるまで、そのそれぞれに、なんと多くの、力強くも繊細なドラマの中で息づいているのだろうと気付かされます。

 「視野が広がる」ってこういうことなんですかね。

 今回の番組は二ヶ国語放送なので、音声切り替えで、イギリスでは大変名高い彼のナレーションも併せてお楽しみいただくことをお勧めいたします。

 わたしは、勉強大嫌いと言う点でも、のび太君を心の師としており(そこはしないでよ)、加えて、普段は「見た目カワイイorステキ生物」以外を喜んで観るタイプではないのですが、この方の重厚にして温かなナレーションで英語のリスニングをし、生命の歴史や生きものの驚くべき知恵を堪能することは、なんの抵抗も無く出来ます、というか好きです。

 もしも、このブログ記事に番組開始前に気付いて下さったら、アッテンボローさんご自身と、番組の素晴らしさを是非ご覧いただきたいと思います。


 そして、よかったらまたこのブログにも立ち寄ってみてください。ご紹介したい話題が溜まってしまったので、今度は近々更新いたします(汗)。では。

2009年10月19日

続 自然番組制作者 デヴィッド アッテンボロー氏 

どうも今回(2009年十月十九日【月曜日】夜八時〜九時半)BSハイビジョンで放映された
「アッテンボローの世界 両生類・は虫類 脅威の上陸大作戦」というイギリス国営放送BBC発の番組、二重音声でなかったようです……。
(か、わたしの周囲が個人的に録画設定を間違えたか……)。

アッテンボロー氏のあてたナレーションも一部聞こえますが、音声切り替えはできないみたいでした。どうもすみません。

日本の吹き替え技術と、声の味わいは世界一だと勝手に思っていますが
(滑川和男さんの声も、アッテンボロー氏同様、温かく、くっきりして知的で趣があります)、

「吹き替えで意味をきっちり理解→英語に切り替えてリスニング」
というのが英語の勉強にはなるので、どっちも聞けるようになっていなかったのは少し残念です。

どうやら、イギリスのBBC放送の番組をそのまま輸入したのではなく、NHK独自の取材や編集を経て構成された番組のようです。だから英語切り替えが無いのかもしれません
(かえすがえすも、こちらの機械の都合かもしれませんが)。

NHKBSハイビジョンでの、同シリーズ続編の放映は、2009年十月二十六日月曜日夜八時〜のようです。

※「アッテンボローの世界」の情報が掲載されたNHKのHP
http://www.nhk.or.jp/wildlife/
※次回放映「アッテンボローの世界 大型は虫類 進化の謎に迫る」の情報。
http://www.nhk.or.jp/wildlife/program/next.html

今回の番組「アッテンボローの世界」の中で、動物のすぐ側に座り、穏やかな中に、動物たちへの親しみと熱意をこめて解説をしている銀髪の紳士、このお方が、イギリス人に広く敬愛される偉大な自然番組制作者、デヴィッド アッテンボロー氏です。

彼は2009年四月、イギリスのアカデミー賞的な大賞、BAFTA(British Academy of film and television art)賞を受賞なさった際、
(受賞番組名「Life In Cold Blood【たぶん今回NHKで放映された番組はこれを土台にしていると思うのですが……】」受賞スピーチで、彼の番組に登場したコブラ、カエル、ウーパールーパー、カメレオン、亀にお礼をおっしゃっていました。

細かいことですが、授賞式で名前が呼ばれた際、座っていた席を立ち上がり、自分が通路に出てから、他のスタッフの肩を叩いて、先に送り出していたのも印象的でした……。

才能と実績豊かな年長者でありながら、とても謙虚なお方なのです。

スピーチの中でも、この賞が、自分ではなく、スタッフの働きによってもたらされたものであるというようなおっしゃりかたをなさっていました。

そして、共に受賞の壇上に上がっていたスタッフの名前をひとりひとり紹介し、最後には若い世代のスタッフに、BAFTAのトロフィーをお渡しして、栄誉を分かち合うことをお忘れになりませんでした。
一挙一動気配りが行き届いて、激カッコエエのです。

さっさと自分だけ壇上に行って、

「ありがとうございます。わたしが長年がんばったおかげです。わたしの才能と努力万歳。皆、見習うように。」

と、なってしまう人だって多いでしょうに。

ほんとうに人の上に立つ人とは、むしろ自分が控えめであっても、いや、あればあるほど、その実力と謙譲の輝きで、周囲が勝手に畏敬のまなざしで見上げずにはいられない人のことなのだなあと思わされました。


アッテンボロー氏のBAFTA賞受賞の際の動画が見られる、BAFTAのHPです。このページの左側、テレビのマークのついている隣の「Specialist factual」という見出しをクリックなさるとご覧になれると思います。
(「Factual」とは「事実の・事実に基づく」という意味なので、この場合、日本で言うところの「ノンフィクション」や「ドキュメンタリー」部門といったところでしょうか。動画内のほかのノミネート作品の気合入りっぷりにもご注目ください。イギリスのテレビは面白いものが多いです)。
http://www.bafta.org/awards/television/tv-noms-2009,709,BA.

アッテンボロー氏のスピーチ等の様子が紹介された、新聞「ガーディアン」誌の記事です。よろしければご参照ください。
http://www.guardian.co.uk/culture/2009/apr/26/bafta-television-david-attenborough-media-bbc



(訂正)
前の記事でアッテンボロー氏の受賞歴について、
「50年ぶりのBAFTA賞再獲得」とご紹介してしまいましたが、
「最初のBAFTA賞獲得から50年後の獲得」でした。
アッテンボロー氏が関わってBAFTA賞を獲得した作品はほかにもいくつもあるので、最初の文では不適切かと。

どうもすみませんでした。お詫びして訂正させていただきます。

自然番組制作者 デヴィッド アッテンボロー氏


本日(2009年十月十九日【月曜日】)夜八時〜九時半、NHKのBSハイビジョンで

「アッテンボローの世界 両生類・は虫類 脅威の上陸大作戦」

という番組が放映されます。


十月二十五日(日)、二十六日(月)に再放送されるみたいです。



番組制作者のデヴィッド アッテンボロー氏は、全イギリス人の尊敬を集める御方です。

番組それ自体のレベルの高さも間違いありませんので、両生類とは虫類をハイビジョンでご覧になっても大丈夫な方にはとてもお勧めです。

(本文)

実は、わたしもまだ、今回NHKで放映される番組を拝見したことが無いのですが、デヴィッド アッテンボロー氏という方が、いかに素晴らしい番組をお作りになり、またそのお人柄も魅力的であるかは、イギリス滞在時に多少知る機会がありました。


八十三歳になられた今も、優れた自然.文化を紹介する番組を作り続け、イギリスの国営放送BBCの草創期最大の貢献者のお一人とも言える御方。


自然に親しみ、化石を集めていた少年の頃そのままの生き生きとした好奇心に、今も世界中を飛び回るパワー、豊かな知性、謙譲の美徳を併せ持つ、イギリスの最高の紳士のお一人と申し上げて過言はないでしょう。


滞在中出会ったイギリス人十人中十二人が、「あの方は本当に素晴らしい人だ」と言っていました。

(そして、その十人中十二人が皆、「あの方のお兄様のリチャード アッテンボロー氏もまた、素晴らしい方なのだ」と付け加えていました。

リチャード アッテンボロー氏は、役者で映画監督、「ガンジー」でアカデミー監督賞を受賞、「ジュラシックパーク」で実業家ジョン ハモンド氏を演じたことでも有名です。)


英語がよくわからないままイギリスに行き、テレビの英語など「???」だったわたしが、最初に

「あ、この人のおっしゃっていることは少しわかる……」

と思ったのは、このアッテンボロー氏の、ゆったりと落ち着いてくっきりとしたナレーションでした。


(ナレーションの名手としても有名で、この方の「This! is(以下略)」という力強い解説の始め方は、よくイギリスのテレビでモノマネされています。今回の番組でもお聞きになれるかと。)


おそらく今回の作品、原題は「Life In Cold Blood」だと思います。2009年BAFTA賞(イギリスのアカデミー賞的なもの)を受賞し、「最初の受賞から、ほぼ50年後にBAFTA賞を獲得した」その長年の一貫してすぐれたキャリアを賞賛されました。


彼がいかに自分の番組制作スタッフを尊重し(名誉独り占めとかしない)、動物にも愛情と敬意を払っているかはBAFTAの授賞式のスピーチからもよくわかりました。


は虫類と両生類ですから、苦手と思う方もいらっしゃるでしょうが、このアッテンボロー氏のチームが映像に捉えた動物たちは、種族を問わず、強く、賢く、生きることに真剣で、魅力的です。



デヴィッド アッテンボロー氏については、もっと書かせていただきたいのですが、とにかく今回のBS放映前に取り急ぎご紹介させていただきます


NHKプレミアム8「ワイルドライフ」のページのアドレスは下記のとおりです。



「ワイルドライフ」内のアッテンボロー氏の番組の紹介ページアドレスは下記のとおりです。



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