「からだの部品とりかえっこ」
コミックス11巻収録です。(表紙カワイイ)

ドラえもん (11) (てんとう虫コミックス) -
かなりシュールなタイトル(※)ですが、内容はもっとシュールです。
前回ご紹介の「腹話ロボット」がどちらかというと台詞の妙で笑わせるタイプなら、こちらはずばり画面が面白い方です。
(※)ちなみにドラえもんの中には今見ると目を疑うほどシュールなタイトルが結構あります。「からだの皮をはぐ話」とか「人間切断機」とか。
(以下結末までネタバレなので、できれば先にコミックスをお読みください。)
のび太がテレビを見ているしずかちゃんを呼び出して、屋外のある大きな機械のある場所に連れて行きます。
その名も「人体取り替え機」(すごいそのままのネーミング……)。
二人の人間が左右のカプセルに入り、交換したい体の部分のボタンを押すと、そこを取り換えられるという機械です。
これでしずかちゃんと頭をとりかえて、すらすら宿題を解こうというプラン。
当然しずかちゃんは拒絶し、帰ろうとしますが、
「一生に一度でも冴えた頭を持ってみたいという、いじらしい願いをかなえてやってはくださるまいか」
と、ドラえもんに悲しそうな顔でせつせつと言われ(のび太、この発言に特に気を悪くする様子もなく、ひざまずいて泣きながらしずかちゃんにおがみ倒している)、しかたなくカプセルに入ったしずかちゃん。
ですが、頭をとりかえるということは人格をとりかえるということなので、のび太がしずかちゃんの体、しずかちゃんがのび太の体に変わっただけで、しかもテレビの続きが気になっていたしずかちゃんは、それに気づかずのび太の体で帰ってしまいます。
いいアイディアだと思ったのに……とがっかりしながら、しずかちゃんが異変に気づいて戻って来るのを待っているのび太。
しかし、スカート姿ののび太の(しずかちゃんの)足に、突然ドラえもんが鼻息を荒くして熱い視線を送り始めます。
気味悪がるのび太でしたが、ドラえもんいわく
「じつはね、ぼくには前からひそかに夢見ていたことがある」(妙にカッコイイ台詞)
短足だから、いっぺんでいいからスラリと長い足になってみたかった。そう言ったドラえもんはしずかちゃんの足のまたがし(笑)をのび太に頼み込みます。
怒られるんじゃないかとしぶるのび太に、ドラえもんは必死でくいさがり、
「そのへんをかけまわって長い足のスピード感を楽しんで、それからまたとりかえればいい」
と、いうわけで……。
スラー(脚線美)
「おお。この感激!このかっこいい姿を、記念写真にうつしてこよう」
細くてきれいな長い足にまるっこい体を乗せて、大喜びで力強く疾走してゆくドラえもん(気分がよくなる気持ちはなんとなくわかるが、しかしどう見ても「かっこいい姿」ではない)
すれちがったスネ夫はあっけにとられますが、やがて、しずかちゃんの上半身にドラえもんのかがみもちふたつみたいな足ののび太を見つけてもっと驚きます。
ところが、機械のことを聞いたら、スネ夫まで
「そんなら僕にも前からの夢がある」
スラリと長い腕と指が欲しかった。
「この腕を僕のものにしてみたいな」
と、のび太の(しずかちゃんの)手をとって、愛着たっぷりにハートを散らし、撫でまわさんばかりの様子。(のび太、とても嫌な顔〈そりゃそうだ〉)
のび太は一生懸命断りますが、結局押し切られ……。
「まあ……」
指先の細いしなやかな手をウットリと見つめるスネ夫(なぜかまつ毛がのびている)。
「これこそ僕にふさわしい。芸術家の手だわ」
ハート目で指先をクネクネさせながら帰るスネ夫。
ジャイアンがその様子を見ていました。
「聞いたぞ!おれにもおれの夢がある!」(なんでみんなこの台詞なんだ)
いっぺんでいいからスマートに痩せてみたかった。
断ろうにも、「俺にだけは貸せないってのか!」と胸ぐらをつかまれた結果……。
「すばらしい!この身軽さ、小鳥になったみたい!」
ジャイアンのふっくら顔にしずかちゃんの細い胴、ジャイアンのふっくら下半身という、ある意味「ボンキュボン」なスタイルだけど分布がちょっとだいぶ違う感じの体型で、本人はきわめて朗らかに走って行ってしまいます。
かくして「スネ夫の腕にジャイアンの上半身にドラえもんの足」となってしまったのび太(なんか全体的にもっちりしている)のもとに、のび太の体のしずかちゃんが戻ってきて仰天します(無理もない)。
「僕はいやだっていったのにみんなが無理やり……」
やがて戻ってきたドラえもん(美脚)、スネ夫(美指)、ジャイアン(華奢〈上半身のみ〉)が
「のび太と僕が腕をとりかえてね」
「待て、この腕は俺んだぞ」
「ややこしいことになったなあ」
と、入り組んだやりとりをし、しずかちゃんは知らない知らない!と呆れ怒ってしまいました。
(完)
ドラえもんという作品はひみつ道具ゆえに、ほかの作品ではまずおめにかかれないようなシュールエキセントリックな展開に平気でなだれこんでいけるんだなとこの手の話を読んでいて気づきました。
この手の名作はほかにもあるのですが(上記「からだの皮をはぐ話」「人間切断機」も面白いです。)、とりあえず「おお。この感激!このかっこいい姿を記念写真にうつしてこよう」と「まあ……(長まつげ)」と「小鳥になったみたい」の台詞と絵が、それぞれパンチきいていて忘れがたかったのでこちらを紹介させていただきました。(ドラえもんってさらりと読めてしまいますが、一コマを凝視するとなんかスゴイ状況になっていることが結構あるんですよ……。)
読んでくださってありがとうございました。















