2021年11月23日

ドラえもん「ぐうたらの日」(「だれもはたらいちゃいけない日」の光と影)(※ネタバレあり)


日本人は遊ぶことにさえ必死になる - コピー.jpg


 「ぐうたらの日」は、6月に一日も祝日が無いことを嘆いたのび太が、「日本標準カレンダー」で、祝日「ぐうたらの日」を制定する話。

(てんとう虫コミックス14巻収録)

ドラえもん(14) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(14) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄

 「だれもはたらいちゃいけない日」として、全国民のぐうたらが法律で義務化されたことにより、思わぬ事態が起こる。


(あらすじ)※ネタバレご注意


 「ついに今年もきたか、ああ……」

カレンダーをむなしく見つめるのび太。

 6月、一年を通じてもっとも不愉快な月。 

6月には国民の祝日が一日も無い。日曜のほか一日も休めない。こんなつまんない月があるか。

「ああ、ゆううつ……」

ドラえもんに一通り6月への愚痴をこぼすと、ぐったりと寝そべる。


 「そんなに休みたきゃ休日を作ればいい」

ドラえもんが出したのは「日本標準カレンダー」

ごくシンプルなデザインのカレンダーだが、日本中のカレンダーを変えることができる。

休日を作るには、その日にちに日の丸マークシールを貼ればいい。

そう聞いたのび太は喜んで休日を作ろうとするが、

「しかし……日本中に影響するとなるとちょっと……」

「休みがふえておこる人がいるかい。みんながよろこぶならいいことだろ」

「やるか!」

「やろう!」

ふたりともごく軽いノリで、6月2日を祝日に制定。

「勤労感謝の日」があるのだから、この日は「ぐうたら感謝の日」。

「だれもはたらいちゃいけない日!法律でそう決まったの!」

ぐうたらの日制定 - コピー.jpg


 翌日。

寝坊した、学校に遅刻する!と焦るのび太。

しかし、パパもママも「ぐうたら感謝の日を忘れるなんて」と、そんなのび太を笑って、のんびりしている。

外に出れば、どの家も国旗をかかげて「ぐうたら感謝の日」を祝っている。

「底抜けに遊ぼう」

のび太とドラえもんは、喜び勇んで空き地に行ったが、意外にも誰もいない。


 家で何かしているのかな、と、訪ねて行ってみると、

「べつになにもしてないわ。一日ごろごろするつもり」

 窓に肘をついて、とろんとした目で答えるしずかちゃん。

「いっしょうけんめい遊ぶなんて、ぐうたら精神にそむくことになるんだぞ」

ぐうたらを中断されたのか、「++」目で唇を「3」にとがらせて、のび太たちをたしなめるジャイアン。

ぐうたら精神にそむくことになる - コピー.jpg

 「言われてみればもっともだ。ぼくらもダラーっとして過ごそう」

ぐうたらの意味をはき違えていたことを反省し、家に戻ってテレビを観ることにする。


 「とかく日本人は遊ぶことにさえ必死になりますからねえ。こういう日が定められたことはとてもいいことですな」

ブラウン管の中では、評論家とアナウンサーが、二つ折りにした座布団に片肘を突いて寝っ転がり、グダグダな空気を醸しながら適当なことを話していた。

(ちなみに事前収録されたものをコンピューターで自動放映している)


 ぐうたらしていてもお腹は空く、腹の虫が鳴いて、朝ご飯を食べていないことに気づいたのび太とドラえもん。

 しかしママは、はたらいちゃいけない日だから、食事のしたくなんかしませんよ、と言った。

 そ、そんな!

 顔面蒼白になる二人に、

「一日ぐらいたべなくても死なないわよ」

「法律は守らんといかん」

と、冷静に諭すパパとママ。

一日ぐらい食べなくても死なない - コピー.jpg

 ラーメンの出前を頼もうとすると、

「きょうがなんの日か知ってるの?ラーメンくいたきゃ自分で作りな!」

とガチャ切りされるが、家には食料が何も無い。


 ないとわかったらなおさら飢餓感が増し、ドラえもんは「ぐうたらの日が終わるまでスイッチ切っておこう」としっぽを引っ張って自ら機能停止してしまう。

しっぽのスイッチを切る - コピー.jpg


 ずるいずるい!

 苦しみを共有できる友に離脱され、

「ううう、目が回って死にそうだ。なんでもいいからたべたい」

と、よだれをたらしながら食料を探しに外に出るのび太。


 偶然家から魚を盗んで飛び出した猫に出くわし、激しい格闘の末、魚を奪い取ることに成功。

「ゴロニャン!」

ボロボロになりながらも、四つん這いで魚をくわえて鳴くのび太。

猫の魚を奪い取るのび太 - コピー.jpg

 空き地で焼いて食べようとしていたところ、

「おれによこせ!よこさねえと……」

今度は飢えで目が「##」になったジャイアンが乱入し、いきなりのび太に火をつける。

「火事だ。どろぼうだ。110番。119番」

のび太に火を放つジャイアン - コピー.jpg

しかし、どこも休みだ。

(警察にかかった「本日休業」の札のなげやりな字体が怖い〈あとのび太のお尻まだ燃えてる〉)

警察も休み - コピー.jpg

 限界を感じたのび太は、ドラえもんのしっぽを引っ張って再起動する。

「なんとかしてくれ」

目を覚ましたドラえもんは、ためらいがちにつぶやく。

「シールをはがせば、もとにもどるけど……」

「もどそう!」

シールをはがすと事態は急変。


 「けさから私たちは、何をかんちがいしていたのでしょう」

 ねぐせをなでつけきれないまま、ニュースデスクのアナウンサーも、何が起きているのかわからないようす。

「どうして、今日が休みだなんて思いこんだんだろう」

 スーツの袖に腕を通しながら家から飛び出すパパ。

 のび太を含めた人々が、大慌てで平日行くべき場所に走っていくのを見ながら、ドラえもんは、

「みんなにめいわくかけたな」

と、「3」唇でつぶやいた。


(完)


 全国民がぐうたらする日、働いちゃいけない日、とは、何も食べられず、安全も健康も守られない日のことだった。

 結果、のび太は猫が盗んだ魚を「ゴロニャン」と四つん這いで鼻息荒く奪い取り、ジャイアンはついさっき予定を聞きに来た友人に火を放つという、人間性を見失った行為に出る。

(せいぜい朝昼抜き程度なのに、我の忘れ方が早すぎる&強烈すぎる気もするが)



 「いっしょうけんめい遊ぶなんて、ぐうたら精神にそむくことになるんだぞ」

 「とかく日本人は遊ぶことにさえ必死になりますからねえ。こういう日が定められたことはとてもいいことですな」

 「ぐうたらの日」の意義を説くこの二つの台詞は、何かとせわしない現代人の胸を突く、名言のような気もするのだが、度が過ぎると、「勤労感謝の日」以上に、日ごろは見落としがちな他者の勤労に痛烈に感謝することになる、意義深くも全然ぐうたらできない日となってしまうようだ。


(出典)

 (このほかに「人食いハウス」「からだの皮をはぐ話」「ムード盛り上げ楽団登場!」「無人島へ家出」「すてきなミイちゃん」などの名作も収録されている)


posted by pawlu at 14:14| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月09日

(名言)「だれにもじゃまされず、いねむりできる勉強べやがほしいなあ」(のび太 「人食いハウス」より)



ドラえもん14「人食いハウス」 誰にもじゃまされず居眠りできる勉強部屋 - -.jpg

「『勉強』べや」の概念を根底から覆す台詞。

(場面紹介)

 部屋にカギをつけてほしいとママに頼み込んだのび太、「一日中、ひるねする気でしょう!」と一蹴され、「どうしてわかったの?」と驚いた後(たいていわかる)、すごすごと自室に戻る途中で、不満そうに漏らしたひとこと。

 「だれにもじゃまされず、いねむりできる勉強部屋」の陰に隠れているが、何気に「一日中、ひるね」も、「『ひるね』とはなにか」について考えさせられる。


(作品紹介)

『ドラえもん』てんとう虫コミックス14巻「人食いハウス」(19778月号『小学三年生』掲載)の台詞。

ドラえもん (14) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・ 不二雄
ドラえもん (14) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・ 不二雄


 名言を発した直後、のび太が部屋にもどると、大きな組み立て式の家が床に放置されている。

 「ドラえもんよ。口にださなくても、きみにはぼくの心がわかるんだねえ…。ありがとう、ありがとう」

ドラえもん14「人食いハウス」   君にはぼくの心がわかる - コピー.jpg

 のび太はドラえもんのこまやかな思いやりに涙し、勝手に空き地に組み立てハウスを持って行ってしまう。

 仮にドラえもんがのび太の「いねむりできる勉強べや」が欲しい心を察したとして、そんな怠惰助長設備を出しておいてくれるのかという読者の疑問どおり、ドラえもんにそんな気はさらさらないし、置いてあったのは、ただの組み立てハウスではない。

 のび太が空き地に組み立てハウスを建てたあと、しずかちゃんを招待しようとそこを離れた間に、ジャイアンやスネ夫ら、家を見かけた人たちが次々と家の中に入ったきり出てこなくなる。

(家を見た人は、なぜか、そこに入らずにはいられなくなる)

ドラえもん14「人食いハウス」 入った者が出てこない家 - コピー.jpg

 白昼、人々を飲み込んで沈黙する、小さなかわいらしい家。

 一方、のび太から招待を受けたしずかちゃんは、ついこの間観に行った「不思議な家の映画」の話をする。

「こわあいの。おばけみたいな家よ」

ドラえもん14「人食いハウス」  おばけみたいな家 - コピー.jpg

 入った人を食べてしまう家。


 同じ頃、部屋に戻ったドラえもんは、「あの組み立てハウス」が無いことに気づく。

まさか、のび太が……。

「たいへんだ!」

 動転したドラえもんは、急いでのび太を探しに行く……。



※元ネタは、大林宜彦監督の、カルト的人気を誇るホラー映画、「HOUSE(ハウス)」(1977年公開)と思われる。

 HOUSE (ハウス) - 池上季実子, 神保美喜, 大場久美子, 松原愛, 南田洋子, 大林宣彦, 桂千穂
HOUSE (ハウス) - 池上季実子, 神保美喜, 大場久美子, 松原愛, 南田洋子, 大林宣彦, 桂千穂

親戚の女性の家を訪ねた女子高生たちが次々と姿を消していく物語。

ファンタジック・ホラーと呼ばれているらしいが、今観てもかなり不気味。

(この時代特有の、サイケデリックな映像や音楽と俳優達の存在感による、精神的不協和音をかきたてる世界観は、今の作品とは別の迫力がある)。

しずかちゃんがわざわざ映画館に観に行ったというのは意外だ。


 「組み立て式の」「なぜか入らずにはいられなくなる」謎の家。

家の中に吸い寄せられた人々が迎えた、恐ろしい結末とは……。(笑)


 14巻には、「からだの皮をはぐ話」「ムード盛り上げ楽団登場!」「無人島へ家出」「すてきなミイちゃん」「ぐうたらの日」などの名作も収録されている。

ドラえもん (14) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・ 不二雄
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ごきぶりホイホイ+デコボコシート [5セット入x2個パック]
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ラベル:名言・名場面
posted by pawlu at 22:01| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月14日

ドラえもん「こっそりカメラ」(隠し撮りと野次馬たちへのブーメラン)

いつだれに見られても恥ずかしくない生活 - コピー.jpg


 「こっそりカメラ」は、スネ夫にビデオカメラで私生活を隠し撮りされて大恥をかいたのび太が、復讐のために未来のビデオカメラで、スネ夫を撮影しようとするお話。(てんとう虫コミックス15巻収録)

 (この巻には「ゆめのチャンネル」「階級ワッペン」「どくさいスイッチ」などの名作も収録されている。)

 スネ夫の盗撮行為をいさめずに、一緒になってのび太を笑いものにした友人たちも、思わぬ事態に巻き込まれていく。


 


あらすじ(ネタバレご注意)


 道を歩いていても、家で昼寝をしていても。

「へんだなあ、この二、三日、誰かに付け回されている気がする」

のび太が目を向けるたび、誰かがすばやく隠れるような気配がするのだ。

誰かにつけ回されている気がする - コピー.jpg

 気のせいでなかったことは、わりとすぐに判明した。

 「苦労したよ、気づかれないようにとるんだからね。」

 ビデオカメラを片手に、「ありのままのすがたがとれたよ。」と得意がるスネ夫に、おもしろそうだな、見せろよ。と、ジャイアンたちがニヤついて立ち話をしていた。

ありのままのすがたがとれた - コピー.jpg


 「ぼくにも見せて!」

のび太が混ざろうとしたら、スネ夫は、「のび太は見ない方がいいのに」と、妙にそっけなかった。


 おもしろいものならぼくも見たい!と、食い下がって、上映会に参加するのび太。

(このほかに、ジャイアン、少年二人(はる夫と安雄〈よく登場する脇役友人、野球帽の少年が安雄、丸顔のほうがはる夫〉)、しずかちゃんが参加。)

 野鳥か昆虫の観察記録なのかと期待していたら、

「のび太のしっぱい日記」

失礼なタイトルと、スネ夫の解説とともに次々と映し出される、のび太の「ありのままのすがた」。

のび太の失敗日記 - コピー.jpg

 「女の子に見とれているところ。」

そして、水たまりに足をつっこむのび太。(観客〈ジャイアンたち〉から笑い声が上がる)

「おい、へんなところとるなよ。」


「いいところを見せようと思って。」

道で遊ぶ小さな子に、けん玉を借りてお手本を見せようとしたものの、繰り返し失敗してこぶだらけになり、笑われながら立ち去るのび太。


「おひるね。あどけないお顔。」

鼻ちょうちんにヨダレを垂らし、熟睡するのび太。

「おやつのあとは、おさらもきれいにペロペロ。」

「もういいよ、やめろよ」

電柱に用を足そうとして立ち止まったら、その足めがけて犬に用を足されるのび太。

「やめろってば!!」


 猛抗議するのび太に、「だから見ないほうがいいと言ったろ」と、スネ夫はニヤつき、ジャイアンも「怒ることないだろ」とヘラヘラのび太を制止した。

「ほんとにおまえがやったことばかりだろ」

安雄とはる夫も、ジャイアンに同意した。

「たとえばさ、かがみにうつした顔がみにくいからって、かがみにおこるのはまちがいだよ。」

と、はる夫。

「ようするにいつだれに見られてもはずかしくないように、生活してればいいんだ」

と、安雄。

「イエース」

スネ夫がなぜか英語でとどめを刺した。

かがみにおこるのはまちがい - コピー.jpg



 「フーン……、みんなりっぱなこというなあ」

帰ってきて悔しさにむせび泣くのび太の話を聞いたドラえもんは、冷ややかな目にへの字口をとんがらせた、もの言いたげな顔で腕組みをしていた。

みんなりっぱなこというなあ - コピー.jpg


 もちろん、この残酷な仕打ちを許す気は無い。

復讐として、スネ夫を撮影し返すために、未来のビデオカメラを取り出すドラえもん。

撮影機は昔ながらの8ミリビデオカメラに似ているが、「電送レンズ」は、小豆粒くらいに小さい。


 機能を説明するために、通りすがりのママに、その小さな電送レンズを投げてくっつけた。

「うつさないの。行っちゃうよ」

「いまうつしてる」

ドラえもんはカメラを床に転がしたまま、のんびりねそべっていた。


 そろそろいいか。

ビデオカメラの時間を戻すと、カメラがそのまま映写機になって、壁に映像が映し出された。

映像の中では、一階に降りたママが、鏡台に向かっていた。

鏡の前で少し不満そうなママ。

「ふしぎねえ……。だれにもいわれたことがないわ。こうしてニーッとわらうと……。池内淳子そっくりだと、思うんだけどな。」

池内淳子そっくり - コピー.jpg

(池内淳子 上品な色香漂う美人女優。『男はつらいよ』8作目「寅次郎恋歌」でマドンナを演じた。)


 この映像を観たのび太とドラえもんはお腹を抱えて笑いながらやってきて、

「ママは池内淳子ににてるなあ」と、言ってあげた。

そして、な、なによ突然、と赤面するママから、ひそかにレンズを回収。


 「ぼくはこそこそぬすみどりなんかしない。どうどうと予告する!」

カメラを手に表に出たのび太は、スネ夫たちを前に高らかに言った。

「スネ夫のありのままのすがたをとって、今夜大公開する!」

「ぼくの!?」

おもしろそうだな。必ず見にいくぜ。

さっきはのび太を笑っていたジャイアンたちが、また無責任に面白がっていた。

スネ夫のありのままのすがたを大公開する - コピー.jpg


とれるものなら、とってみろ!

走り去ろうとするスネ夫の背中に、のび太は電送レンズを投げた。

しかし、このとき風が吹いて、小さなレンズはスネ夫のそばを歩いていた猫にくっついた。

のび太もドラえもんもこれに気づかず、家に帰ってしまう。


 夕方、みんなに見せる前に試写をしてみたところ……。

猫の歩いている姿が映った。

続いて、しずかちゃんが両手で口を左右に広げ、目を上下にぎょろぎょろさせながら、あかんべーをしている顔。

「顔の美容体操ってほんとにきくのかしら。ベロベロバー。」

しずかちゃんの家の中を通り道にしているらしき猫が、しずかちゃんの変顔美容体操を見ながら廊下を歩いて行った。

しずかちゃんの美顔体操 - コピー.jpg




 「電送レンズをネコにくっつけたな!」

 ふたりはようやく失敗に気づいたが、猫の行く先々が映し出されたその映像を「すごい記録映画になるぞ」と見続けた。

すごい記録映画になる - コピー.jpg

 「きょうは塾へ行くのをさぼって、ゆっくりとマンガを立ち読みしよう」

 本屋に入りびたり、サボり時間を堪能する安雄。(幸せそうに読んでいるのは『オバQ』)

塾をさぼる - コピー.jpg

 「ひそかにためたハナクソがこんなボールになった。」

野球ボールを二回りほど大きくしたようなキングサイズハナクソを前に、嬉しそうに鼻をほじって引き続いての増量にいそしむはる夫。

鼻くそボール - コピー.jpg

 窓の向こうで気持ちよさそうにお風呂に入るジャイアン。

湯に浮いてきた大きなあぶくにすかさず定規をかざすと、もろ手を挙げて満面の笑みとともに叫んだ。

「やったあ!!ついに直径五センチのおならアブクをつくったぞ」

おならのあぶく - コピー.jpg

 そして、スネ夫。

ママのお使いも断り、カーテンも閉め切って隠れていたが、ついにママに引きずり出された。

「どうしておもらしするまで、おしいれにこもっていたざますか!」


 夜、スネ夫以外の四人が野比家を訪ねてきた。

「スネ夫はきたくないって。」

「ぼくたちだけにみせてよ。」


 のび太の部屋で待つ四人を前に、のび太とドラえもんは小声で話し合った。

「これうつしたらおこるだろうね。」

「……だろうね。」

「もったいぶらずにさっさとうつせよ」

「スネ夫のありのままのすがた」「だけ」を観られると思い込んでいるジャイアンはのび太たちをせかし、ほかの三人もそう信じて、ニコニコと笑っていた。


(完) 

(結末部に、記録再生後、忍び足で去るドラえもんとのび太のカットが添えられている。)







注目ポイント1 凄腕潜入カメラニャン


入浴中のジャイアン - コピー.jpg

 ネコは、家々の塀を越え、窓際を歩いても、家によっては勝手に上がり込んでも気に留められない。

 そしてターゲットは、ネコに見られたからといって、逃げたり見栄を張ったりする必要がないと思い込んでいるので、「ありのままのすがた」をさらしてしまう。

 2017、8年頃から、アメリカやイギリスの自然番組で、小型カメラを野生動物自身に取り付ける、または、動物や雪の塊や卵などにそっくりの姿をしたカメラ付きロボットで撮影する手法が登場した。


(小型カメラを装着したチーター)

カメラを着けたチーター - コピー.jpg

Image Credit: Yotube

(ウミガメ型のロボットカメラ)

ウミガメ型ロボットカメラ - コピー.jpg

Image Credit: Yotube

(NATURE | Animals with Cameras, Episode 2: Official Trailer | PBS)


Best of Wild Animals Caught on Spy Cam | BBC Earth

 こうした自然番組の「見えていても、気に留められない存在」のカメラは、警戒されずにターゲットのテリトリーに潜入し、至近距離から動物たちの「ありのままの姿」を記録している。

(家族にふざけて顔面パンチするチーター)

家族にパンチをしてふざけるチーター - コピー - コピー.jpg

Image Credit: Yotube


(海水で薄めたフグ毒でハイになろうと、つかまえたフグを口にくわえて悪い笑みを浮かべるイルカ)

フグでハイになるイルカを撮った映像 - コピー (2) - コピー.jpg
Image Credit: Yotube

 「こっそりカメラ」のかわいいカメラニャンは、このアイディアを1970年代前半(197310月発表)に実行して、衝撃映像をものにしているのだ。

レンズはネコについた - コピー.jpg

頭に小型カメラをつけたチーター - コピー.jpg

Image Credit: Yotube


 すぐにその価値に気づいて「すごい記録映画になるぞ」と言ったのび太も鋭い。

(マナーとしてはアウトだが。でもまあ、最初に盗撮されたのび太をバカにしたのはジャイアンたちだし……。)

 そして、カメラが、スネ夫ではなく、人々のテリトリーの越境者である猫についたことで、盗撮を肯定し、他人のプライバシーを笑っていた友人たちの秘密も等しく暴かれていくことになる。



注目ポイント2 友人たちの発言とドラえもんのまなざし


 「いつ誰に見られても恥ずかしくない生活をすればいいんだよ」

 ゴシップとプライバシーの問題はいつもぶつかり合い、人の私生活の秘密を暴く側とそれを娯楽にする側の理屈は、安雄のこの台詞によく似ている。

しかし、彼らがのび太に投げたブーメランは、のび太を傷つけた後、見事に自分たちに戻ってきた。

 いつ誰に見られても恥ずかしくない生活を24時間365日続けるなんて誰にもできない。

ドラえもんの「ふーん、みんなりっぱなこと言うなあ……」と言った時の、全然同意していない表情が、それを物語っている。

(ドラえもんの表情の中でも名作の一つだろう。「のび太の痛みに思いをはせながら、人生の幾山谷を越えた長老のような、世の中の裏表を知り抜いているような冷めた達観を漂わせ、相変わらずかわいくておもしろい」顔をしている)

みんなりっぱなこというなあ2 - コピー.jpg

 きっとドラえもんは、自分だってそんな生活は無理だと自覚している。どら焼きがかかると意地汚いし、ネズミを見れば地球破壊爆弾を出そうとするし。

 だから、ドラえもんは即座に「よしっ、きみも8ミリでスネ夫を撮れ!」と言う。

堂々と宣言して撮っても、プライベートを追い回せば、「イエース」と小憎らしい顔で笑っていたスネ夫だって、必ずどこかでボロを出すとドラえもんにはわかっていたのだ。

(そして案の定スネ夫は〈よっぽど身に覚えがあるのか〉即座にうろたえ、ありのままの姿で暮らすどころかトイレにもいかずに籠城してしまう。)

 しかし、この作品でより印象深いのは、ストレートに復讐されたスネ夫よりも、自分たちだけは品行方正なつもりで面白がろうとしていたジャイアンたちのほうだ。

 彼らは、自分が現在進行形で行っている「見られたら恥ずかしい」ことをきれいさっぱり忘れてのび太を嘲笑し「かがみにおこるのは、まちがいだよ」だなんて追い打ちをかけている。

そんな「りっぱなこと」を言う前に、ほんのちょっとも、塾カバンを下げたまま立ち読みする本屋、机の中のキングハナクソ、おなら計測用の定規が頭をよぎらなかったのか。

発言と秘密 安雄 - コピー.jpg

発言と秘密 はるお - コピー.jpg

発言と秘密 ジャイアン - コピー.jpg

 よぎればスネ夫にやめろと言えたかもしれないし、少なくともあんなかっこいいがゆえにかっこ悪い台詞を言わずに済んだし、そうすればのび太は復讐を思いとどまり、まわりまわって自分たちの秘密を暴かれずに済んだのに。

 しかし、人が人をあざ笑っているときの脳内は、そんなものなのかもしれない。

 腕組みしたドラえもんの冷めた目は、彼らの「(ご)りっぱな」言葉が棚上げしたものを見つめているようだ。



注目ポイント3 のび太のために怒るドラえもん


 泣いているのび太の話を静かに聞いた後、どこに隠れようが全てを映し出してしまう恐ろしいビデオカメラを取り出すドラえもん。

 確かにのび太はだらしないし、落ち度もあるが、そこを付け込まれ、みんなの笑い者にされて泣くのび太に、教育と世間体ありきの大人のように、そのタイミングで説教をしたりしない。

※(もちろん、ふだんのドラえもんは、のび太の生活態度を何度も注意している)(例:コミックス23巻「ぼくのまもり紙」)

ドラえもんのお説教 そこがきみの悪いところなんだ - コピー.jpg

 そして、付け込んできた相手のことは許さない。

「のび太くんをばかにするということは、ぼくをばかにするということだ、ゆるせぬ!」(4巻「のろいのカメラ」より)

のび太君をばかにするということはぼくをばかにするころだ - コピー.jpg

 そんなふうに、まず、のび太の悔し涙に寄り添い、残酷なことをした加害者に対して一緒に腹を立ててくれるドラえもん。

 味方としては理想的だが、ひみつ道具できっちり「目には目を」的な復讐をするので、敵にまわすと非常に恐ろしい存在でもある。

ふくしゅうはおわった - コピー.jpg




 時代を40年以上先取りしたかわいい潜入カメラニャン。

 正論風のことを言いながら他人のプライバシーを娯楽にする人々自身が棚上げしているもの。

 そしてドラえもんの冷めた達観と、味方としての頼もしさ、復讐者としての容赦無さ。

 『ドラえもん』の奥深い魅力が凝縮された一作だ。






posted by pawlu at 20:27| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月11日

新種恐竜「のび太」命名記念、漫画名場面ご紹介

ノビタサウルス - コピー.jpg

のび太くんの願いをかなえてくれたシン先生 - コピー.jpg
(Image Credit:Youtube

 2021年7月、中国で足跡の化石が発見された新種の恐竜が、ドラえもんファンの研究者、シン准教授によって、のび太にちなんだ名前、「エウブロンテス・ノビタイ」と名付けられた。




 (ニュースをご紹介した当ブログ前回記事「新種の恐竜の名前「のび太」になる(恐竜の足あとの化石発見ニュース)」はこちら)

 今回はこのニュースに関連する漫画版『ドラえもん』の名場面をご紹介させていただく。




『のび太の恐竜(原作漫画版)』の化石発掘シーン 


大長編ドラえもん1 のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
大長編ドラえもん1 のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄


 『のび太の恐竜』は、のび太が発掘した恐竜の卵から生まれた首長竜の「ピー助」とのび太たちが、ピー助の生まれ故郷の白亜紀で繰り広げる冒険の物語。

 大長編ドラえもんシリーズの中でも傑作のひとつで、繰り返し映画化されている。

 最新の2020年公開リメイク版では、発掘体験に行ったのび太が新種の恐竜二頭をふ化させるという話になっているが、原作の化石発掘の経緯は次のようなものだった。



 ティラノサウルスの爪の化石をスネ夫に自慢され(しかもあまりよく見せてもらえなかった)、くやしさのあまり、自分で恐竜まるごとの化石を発掘してみせる!!と、うっかり宣言してしまったのび太。


 「できることかできないことかよく考えてからしゃべってくれ!!」

 だいたいきみは…無責任というか……。かるはずみ!おっちょこちょい!

 助けてもらうつもりだったドラえもんに立て続けにお説教をされたのび太は、「もういい!」と、自力で発掘をするべく、本をかき集めて勉強をはじめる。

のび太の恐竜 山のように本を積み上げて - コピー.jpg

 (かき集めた五冊の本のうち『太古の動物』『恐竜の発見』『化石の見つけ方』はいいとして、のこり二冊が『怪獣図鑑』と『回虫のおろし方』なところがのび太らしい。〈藤子F先生の緻密なギャグ〉)

のび太の恐竜 怪獣と回虫の本 - コピー.jpg

(※回虫……人間などの腸に棲みつく寄生虫)

 「あの頭では半分も理解できないと思うし……。すぐあきて投げだすだろうけれど……」

(半分理解できたとして、そのうちの五分の二は怪獣と回虫の知識になるけれど……。)

「自分の力でやってみようという心がけはりっぱだ!失敗してもいいさ!温かい目で見守っててやろう!」

のび太の恐竜 すぐ飽きて投げ出すだろうけど - コピー.jpg

 そう思ったドラえもんは、読書にいそしむのび太を「あったかーい目……のつもり」で見つめるが、振り向いたのび太は、

「なんだよ。ニタニタとしまらないうす笑いなんかうかべて……」

と、バッサリ切り捨て、ドラえもんを憮然とさせる。

(「あったかーい目……のつもり」の丸っこい手書き文字が味わい深い)

のび太の恐竜 あったかーい目 - コピー.jpg


 独学の結果、近所のガケを有望とにらんで、朝から発掘を始めたのび太。

 しかし、手が痛くなるまで掘っても、化石が出てこない。

「こらあ!そんなところで何してる!」

ガケ下の家のおじさんの怒鳴り声がした。


 「どうも今朝から屋根や庭に泥が降ってくると思ったら……」

ガケから降りてきたのび太は言った。

「よろこんでください、いやになってやめるところです」(言い方)

「やめればいいというものではない!」

のび太の恐竜 いやになってやめるところです - コピー.jpg


 おじさんは、罰としてゴミを捨てる穴をのび太に掘らせることにした。

(当時、生ごみは庭に穴を掘って埋める家が多かった。)

 これもドラえもんが手を貸してくれなかったせいだ、と、あんなに「あったかーい目」で見守ってくれていたドラえもんを逆恨みしながら、穴掘りをしていたのび太だったが、そのシャベルが恐竜の卵の化石を掘り当てた。

のび太の恐竜 卵の化石発見 - コピー.jpg


 卵をタイムふろしきでよみがえらせ、孵化させると、かわいい首長竜(フタバスズキリュウ)の赤ちゃん「ピー助」が生まれた。

のび太の恐竜 ピー助誕生 - コピー.jpg


 ピー助は、布団の中で卵をあたためてくれたのび太によくなつき、ふたりは固い絆で結ばれることになる。

のび太の恐竜 のび太が大好きなピー助 - コピー.jpg

 (この作品は、のび太のピー助を守ろうとする姿や、ジャイアンとの友情、しずかちゃんへの思いなど、感動的なシーンがたくさんあって本当におすすめだ。)




「恐竜さん日本へようこそ」(てんとう虫コミックス31巻収録)




「中国の恐竜展」に行ったのび太たち - コピー.jpg


 「中国の恐竜展」(1981年上野国立科学博物館で開催)を観に行ったのび太。

 日本でも中国のように恐竜の化石がたくさん見つかってほしいと思い、飲んだ相手を招待できる薬「招待錠」を使って、大昔の中国の恐竜たちを、日本に招待しようとする。

 (当時はフタバスズキリュウ以外、日本の恐竜の化石はあまり見つかっていなかった。)


 「ぼくがうちの庭から掘りだしたりして」

 「ノビタサウルスなんて名前がついたりして」

ノビタサウルス - コピー.jpg

 ワクワクしながらタイムマシンに乗り込んだ二人は、来てほしい恐竜たちを探して「招待錠」を飲んでもらうが……。

恐竜に招待錠を飲んでもらう - コピー.jpg




「恐竜の足あと発見」(てんとう虫コミックス44巻収録)



古新聞を手に盛り上がるのび太 - コピー.jpg



 「すごいと思わない?恐竜の足あとの化石だって!」
興奮してみんなに新聞を見せるのび太。
ところがそれは古い新聞で、みんなとっくにそのニュースを知っていた。

 おくれている、と笑われてしまい、挽回したいのび太は、今度化石が見つかるのはいつだろうとドラえもんに聞く。
「そんなことわかるもんか。足あとが化石となって残るのは、ひじょうにめずらしいことだからねえ」
こういう大発見は二度とないんじゃないの。
足あとが化石になるのはめずらしい - コピー.jpg


 がっかりしたのび太だが、恐竜のいた9000万年前に行き、足跡をつけさせて化石を作ることを思いつく。

足あとをつけてもらって化石にしよう - コピー.jpg


 恐竜の生息地に「そくせき岩のもと」をまき(地面がセメントのようになる)、足形をとろうとしたが、恐竜に追いかけられたのび太が「岩のもと」の中に転んでしまい、恐竜の足あとではなくのび太のかたがつく。

のび太のかたがついちゃった - コピー.jpg


 それは「サルのような生き物が転んだあとの化石」となり、9000万年前にサルがいたはずがないと、大騒ぎを巻き起してしまった



のび太の「足あと」の夢


足あとを残したい - コピー.jpg

 昼寝をこよなく愛し、怠け者のイメージの強いのび太だが、実は、大きな夢があった。


 「とにかくこの世に生まれたからには、何か一つ足あとをのこしたい!」

野比のび太の名を歴史の一ページに残したい!


 「ツチノコ見つけた!(てんとう虫コミックス9巻収録)」の中で、そう決意したのび太は、そのためにはどうすればいいのか、真剣に考えながら寝落ちしてしまい、鼻チョウチンとともにいびきをかく。

真剣に考えて寝落ち - コピー.jpg

 しかし、この直後、ドラえもんから、幻のヘビ「ツチノコ」の第一発見者として、ジャイアンが未来の図鑑に名を残していることを知らされ、ジャイアンより先にツチノコを見つけようと捜索に乗り出す。

ドラえもん(9) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(9) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄


 また、「歩け歩け月までも」(てんとう虫コミックス26巻収録)でも、

「せっかくこの世に生まれたからには、歴史に名を残したいんだよ。だれもやっていないようなことをして…………」

と、人生について、夜更けまで考え込んでいる。

名を残すために人生について考える - コピー.jpg

 感心したドラえもんが、「たとえばどんな?」と、真剣に耳を傾けると、

「さか立ちで世界一周するとか、大仏さんの手で、世界一のあやとりを作るとか」

あれこれ考えているとねむれなくて……。

ドラえもんが無言で押入れの寝床に戻る中、のび太は引き続いて物思いにふけっていた。(そして翌朝寝坊した。)

(省略の効いた絶妙のテンポ。あとドラえもんのお尻かわいい)

あれこれ考えて眠れないのび太と寝床に戻るドラえもん - コピー.jpg

ドラえもん (26) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん (26) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄

 どちらも、オチはいつもののび太だが、とにかく、彼にはそういう少年らしい夢があったのだ。

 ツチノコ探しに奔走したり、大仏さんの手で世界一のあやとりを作ろうかと考えたり、恐竜の足あとの化石を発見しようとして「サルのような生き物がころんだ跡の化石」を作ってしまって進化論を大混乱に陥れたりしていたのび太だが、今回、足あとの化石が見つかり、シン先生が、その足あとを残した新種の恐竜の名前を「ノビタイ」にしてくださったことで、「この世に生まれたからには何かひとつ足あとをのこしたい!野比のび太の名を、歴史の一ページにのこしたい!」というのび太の夢が実現した。

 ピー助を育て、庭で発見した化石に「ノビタサウルス」なんて名がついたりして、と、ドラえもんと嬉しそうに話し合っていたのび太にとって、最高の「足あと」を、ついに残すことができたのだ。



大長編ドラえもん1 のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄





posted by pawlu at 21:31| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

新種の恐竜の名前「のび太」になる(恐竜の足あとの化石発見ニュース)

足あとを残したい - コピー.jpg

(歴史に野比のび太の足あとをのこしたい!と夢を語るのび太〈「ツチノコ見つけた!」てんとう虫コミックス9巻より〉)

 新種の恐竜が、ドラえもんファンの研究者によって、「のび太」と名付けられた。

 そんなニュースが中国から届いた。

 (当ブログ関連記事「新種恐竜「のび太」命名記念、漫画名場面ご紹介」はこちら



 (ANNYoutube動画「新種恐竜に「のび太」の学名 中国の研究者(202178)」解説)※カッコ部ブログ筆者補足

 中国で見つかった新種の恐竜の名前が驚きです。ドラえもんの「のび太」の名前が付いたという、まさに映画のエピソードが現実になったわけですが、なぜなのか、その真相を記者が緊急取材しました。

 去年公開の「映画ドラえもん のび太の新恐竜」。恐竜に自分の名前を付けられたらいいな・・・。そんな、のび太の夢がかないました。

(「のび太の新恐竜」で卵からかえした新種の恐竜の赤ちゃんたちに「ノビサウルス」と名付けるのび太)

映画のび太の新恐竜 - コピー.jpg

 かなえたのはドラえもんではなく、中国地質大学のシン・リダ准教授(39)です。

 化石に付いた名前は「エウブロンテス・ノビタイ」。

ノビタイ想像図 - コピー.jpg

 化石に命名した中国地質大学・シン准教授:「私たちの世代は小さいころからドラえもんの影響を受けていました」

 ドラえもんの大ファンだというシン准教授。

 化石に命名した中国地質大学・シン准教授:「今回、発見した足跡は新種で、可愛いですし、のび太くんの夢を一つかなえてあげたいと思いました」

(シン准教授、眼鏡や温厚そうな笑顔がどことなくのび太に似ていらっしゃる)

のび太くんの願いをかなえてくれたシン先生 - コピー.jpg
(Image Credit:Youtube

(『のび太の新恐竜』の本を持つシン准教授)
新恐竜を手にした笑顔のシン先生 - コピー.jpg
(Image Credit:Youtube

 一体、どんな化石なのか。化石が見つかった中国・四川省金魚村のさらに山の奥へ。

 第一発見者の男性は去年7月の集中豪雨の後、川の中で岩を発見したといいます。

ノビタイの足跡の化石 - コピー.jpg

(Image Credit:Youtube

 第一発見者:「岩をひっくり返したら裏にあった足跡を見つけました」

 ノビタイの想像図では足の裏の長さは約31センチ、体長は推定4メートルです。


 化石に命名した中国地質大学・シン准教授:「白亜紀の時、日本は中国と陸上でつながっていました。日本で発見される可能性も十分あります」

 このノビタイの貴重なレプリカが今後、「藤子・F・不二雄ミュージアム」で展示される予定です。




 藤子・F・不二雄ミュージアム公式ブログでは、「ノビタイ」の名前がついたいきさつと、シン准教授からのメッセージとについて紹介している。

シン准教授は1982年生まれの39歳。子どもの頃からの『ドラえもん』ファンで、
2020
12月に中国で公開された『映画ドラえもん のび太の新恐竜』(日本では20208月公開)の中で、
のび太が新種の恐竜に自分の名前をつけているのを見て、今回の足跡にのび太の名前をつけたとのこと。
学名はラテン語の文法でつづられるのが基本で、「のび太」に人名を示す接尾辞「i()」をつけて
「エウブロンテス・ノビタイ(Eubrontes nobitai)」と命名したそうです。

(出典:「恐竜の足跡化石が新発見!「のび太」由来の名前がつけられました! | 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム (fujiko-museum.com)


シン准教授からのメッセージ
のび太とドラえもんは多くの中国の子どもたちにとって非常に大きな存在です。
『ドラえもん』は想像力、好奇心、そして優しさにあふれた作品で、
私にとってもかけがえのない楽しい子ども時代の思い出です。
感謝の気持ちをこめて、新発見のこの化石に「のび太」の名前をつけました。

(出典:同上


1130日から東京・上野の「国立科学博物館」でノビタイの足跡化石のレプリカが公開される予定です。
レプリカを見ることで、12500万年という悠久の時に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
※ノビタイの足跡化石のレプリカは、今後「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」でも公開予定です。

(出典:同上


 この二つのニュース動画には、『ドラえもん』を愛する沢山の人たちから、あたたかなコメントが寄せられている。


・ちなみにのび太には歴史に名を残したい夢があったので同時に叶って良かったね

・まさにのび太は歴史に"足跡"を残したってね。

・大雄(のび太の中国語名)じゃなくてのび太な所に愛を感じる

・藤子・F・不二雄先生がご存命だったなら、きっとお喜びになったでしょうね。

(出典:Youtube 新種恐竜に「のび太」の学名 中国の研究者(2021年7月8日)コメント欄)


・教授、見た目はのび太中身は出木杉君

・世界中で争いや諍いは絶えないけど せめて同じ漫画やアニメを好きな者同士でくらいは仲良くしたい

(出典:Youtube 新種恐竜に「のび太」命名 映画から出た本当の話(2021年7月8日) (2021年7月8日)コメント欄)


 これを記念して、「ドラえもんチャンネル」でも特集記事を掲載。併せてのび太が恐竜の足跡の化石を発見しようと奮闘するお話「恐竜の足あと」(てんとう虫コミックス44巻収録)も7月14日まで無料公開されている

恐竜の足あと発見 タイトルページ - コピー.jpg

足あとをつけてもらって化石にしよう - コピー.jpg

 次回記事「新種恐竜「のび太」命名記念、漫画名場面ご紹介」では、このニュースをお祝いして、漫画『ドラえもん』に登場する恐竜のエピソードと、のび太の夢についてご紹介させていただく。


参照

恐竜の足跡化石が新発見!「のび太」由来の名前がつけられました! 川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム (fujiko-museum.com)

中国で新種の恐竜の足跡化石発見!!「のび太」に由来する名前がつけられました! - ドラえもんチャンネル (dora-world.com)

ドラえもん (9) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん (9) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄


ドラえもん(44) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(44) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄

posted by pawlu at 19:52| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月20日

ドラえもん「トレーサーバッジ」あらすじ(すでに存在する技術とリスク)

うすっきみわるいなあ - コピー.jpg

 「トレーサーバッジ」は、友人たちの連絡係に四苦八苦したのび太が、全員の位置情報がわかる「トレーサーバッジ」を、機能を伏せたまま配って、皆の行動を覗き見るというお話。(てんとう虫コミックス9巻収録)

ドラえもん (9) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん (9) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄

 (この巻には「ツチノコ見つけた!」「王かんコレクション」「世の中うそだらけ」などの名作も収録されている。)

 『ドラえもん』には珍しく、現代の技術で完全に再現可能なひみつ道具、そして、この技術の抱えるリスクが、笑いの中にさりげなく描かれている。



あらすじ(ネタバレご注意)



 太陽の照り付ける昼下がり。

 のび太は友人たちを探して、町中を歩き回っていた。

 (いやだと言ったのにやらされている)野球チームのマネージャーとして、伝言を届けるためなのだが、みんな親にも行先を言っていないので、のび太はさんざん無駄足を踏まされる。

 空き地にたむろしていたジャイアンたちは、のび太の苦情に、にやにやしながら「文句言うな、それがおまえのしごとだ」というだけで、ちっとも感謝も反省もしない。

  疲れ果ててブツブツ言いながら畳にぐったり突っ伏しているのび太を見て、ドラえもんは

 「つまりだれがどこにいるのか、いつでもわかればいいんだね。」

 と言うと、ポケットからたくさんのバッジを取り出した。

 星や月、スペード、ダイヤ、エース、ハートなど、いろいろな形のバッジ。

「ピカピカ光ってきれいだな。」

 きれいなバッジ - コピー.jpg

 高価そうな美しいバッジをのび太に配られた子供たちは、全員喜んでそれを受け取った。

 なんであんないいものやっちゃうんだろ。

 のび太本人も納得していなかったが、ドラえもんは帰ってきたのび太に

 「あれはトレーサーなんだ。」と言うと、ポケットからタブレット状の「モニター地図」を出した。

地図モニター - コピー.jpg

 「トレーサーの発信した電波で地図にマークがあらわれるんだ。」

 だれにどのバッジをやったか覚えていれば、どこにいてもすぐにわかる。

どこにいるのかすぐわかる - コピー.jpg

 さっき空き地にたむろしていたジャイアンたち4人が、まだそこにいるのが地図モニター上の、バッジと同じマークでわかった。

 と、突然入り乱れる、四つのマーク。

 けんかがはじまったらしい。

 地図上でジャイアンのスペードマークが、山田君の十字手裏剣マークを追いかけている。

 ああ、つかまった、殴られているな。

 スペードマークと接触している手裏剣マーク。

 地図上の山田家に手裏剣マークが入り、どうにか家に逃げ込んだことがうかがえた。


 のび太はニヤニヤしながら電話をかけに行った。

 「やあ、山田くん、いたかっただろうね。」

 どうしてわかった!?

 コブだらけで電話に出た山田君(手裏剣マークバッジ装着中)はあっけにとられた。

山田君に電話 - コピー.jpg

 星マークのバッジを身に着けたスネ夫は角のパン屋さんに止まっている。いつものアイスの買い食いのようだ。

 店を去ろうとしたスネ夫を店員さんが呼び止めた。店にスネ夫宛ての電話がかかってきたのだ。

 「スネ夫、アイスうまいか?」


 一方、ジャイアンのスペードマークが猛スピードで走っていた。

 「わかった、ジャイアンのママに見つかって追い回されているんだ!」(店の手伝いをさぼったから)

 「ゆっくり楽しみな。」

 モニターに見入るのび太にそう言ってドラえもんは部屋を出ていった。

ゆっくり楽しみな - コピー.jpg


 ジャイアンは空き地に逃げ込んだらしい。スペードマークは空き地の片隅で止まっている。

 そこへ、しずかちゃんのハートマークが空き地に入ってきた、かと思ったら……。

 ジャアン!!

 スペードとハートがぴったりとくっついた。

 「くっついたきりはなれない!な、な、なにやってんだ、このふたり。」

くっついたきりはなれない - コピー.jpg


 ゆるせぬ!

 モニターを手に、半狂乱で空き地に突撃したのび太。

 ところが、空き地には土管に座ってスケッチをしているしずかちゃんしかいなかった。

 「ずうっとわたしひとりよ?」

 しかしモニター地図では。

 やはりハートとスペードが密着したままだった。

 「いやらしい!あんなバカジャイアンのくそジャイアンなんかと!!」

 完全に取り乱し、泣きながらわめき散らすのび太。

 「もういっぺん言ってみろ!!」

 土管に隠れていたジャイアンが激怒して顔を出し、のび太は慌てて空き地から逃げ出した。

バカジャイアンのくそジャイアンなんかと - コピー.jpg

 帰り道、安雄君のお母さんが息子を探しているのに出くわしたので、急ぎの用なら、と、地図モニターで居場所を教えてあげた。

 「だれがどこにいるか、ぼくにはちゃあんとわかるの。」


 「いま聞いたんだけど、あんた、だれがどこにいるかわかるんだって?」

 のび太の家に来たジャイアンの母ちゃん。

 「タケシがどこにいるのかおしえとくれ、かくすとひどいよっ!」

 「空き地の土管の中。」

 震えあがったのび太は、あっさりジャイアンの位置情報を母ちゃんに提供してしまった。

かくすとひどいよっ - コピー.jpg

 うわさがひろまり、親たちが次々とのび太の家にわが子の居場所を聞きにくる。


 「めちゃめちゃにおこられた。のび太が教えたに違いない。」

  こぶだらけのジャイアンと、首をかしげるスネ夫たち。

 「のび太にはぼくたちのいる所がすぐわかるらしいよ。」

 「うすっきみわるいなあ。」

 「どうしてわかるんだろ。」

 スネ夫は「ひょっとして……!」と、胸のバッジを見た。


 「あれ!?」

 部屋で地図モニターを眺めていたのび太が声を上げた。

 「五人が公園の池に飛び込んだぞ」

 五つのマークが池の中に。

 まさか集団自殺!?


 公園に駆け付けると、五つのバッジだけが袋に入って、池に釣り竿でぶらさげられていた。

 のび太の背後から五人がぬうっと姿を現した。

 へんなバッジをつけさせやがって。のび太につけちゃえ!!

 げんこつとともにバッジまみれにさせられたのび太は、どうにか制裁から逃げ出した。


 「……じつにふしぎだ」

 ドラえもんが部屋に残された地図モニターを見つめていた。

 「一時間前に五人が公園のトイレに入ったきりでてこない」

 様子を見に行くと、困り果てたのび太(バッジ五個付き)がトイレの窓から小声で呼びかけてきた。

 「ここだよ。みんなに見つからないように連れ出して。」

 公衆トイレの向こうでは、怒りのおさまらない少年たちが、まだ執念深くのび太を捜索していた。

 (完)




注目ポイント



 『ドラえもん』には、ひみつ道具でプライバシーを侵害する話が結構ある。


 「㊙スパイ大作戦」

スパイ大作戦 スネ夫をさぐれ - コピー.jpg


 「こっそりカメラ」

こっそりカメラ スネ夫への宣言 - コピー - コピー.jpg


 「のぞき穴ボード」

のぞき穴ボード - コピー.jpg

ドラえもん(29) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(29) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄

 どれもタイトルからしてダメな空気が漂っているが(こんなことができる道具を子守りロボットに販売する未来デパートのユルさが怖い)、日ごろずる賢く立ち回っている者や、横暴な者(つまり主にスネ夫とジャイアン)の裏の顔や、それを暴かれる側の恐怖を描いていて、作品としては切れ味鋭い。

 その中で、この「トレーサーバッジ」が印象的なのは次の点だろう。

 ・現代の技術で完全に実現可能である
 ・バッジの美しさで相手の気を惹いて身につけさせている
 ・収集された位置情報が第三者の圧力で漏洩され、個人の自由と安全が失われる

 現在、スマホなど多くの電子機器に搭載されているGPSは、トレーサーバッジと同じ機能を持っている。

 家族を見守ったり、仕事で現場の最寄りにいるスタッフに連絡をとるには、便利な機能だ。 

 ところがのび太は「連絡係としてチームメイトの居場所を知りたい」という当初のオフィシャルな目的を、地図モニターをオンにすると同時に忘れてしまい、町内の子供たち全員の行動を不必要に追い続けて、みんなのプライバシーを侵害してしまう。

 「おもしろいなあ」と、友達の行動を覗き見て喜ぶのび太に、「ゆっくり楽しみな」と、にこやかに言うドラえもんも、どうもズレている。

家に逃げ込んだ - コピー.jpg

 (連絡係ののび太の苦労を知っても、ジャイアンたちが非協力的で横柄だったことが、二人の感覚を麻痺させたのかもしれない。)


 現代のデジタル社会では、位置情報のほかにも様々な個人情報を登録する動きがある。

 バッジの機能を伏せていたのび太と違って、これらは、基本的に提供者本人の同意によって成り立つものであり、そこには様々な特典があり、何重にもセキュリティが設けられている。

 だからきっと大丈夫だろう、と、思って、たくさんの人が便利さと引き換えに情報を入力している。

 だが、どんなものでも完璧ではない。

 技術の悪用や、コンピューターウィルスの危険性は、たびたびニュースになっている。

 それに、もしも、ジャイアンの母ちゃんのような圧倒的強制力を持つ存在が登場し、「かくすとひどいよっ!」と、情報を取り上げたらどうなるのか。

 (ジャイアンの場合は、店の手伝いをさぼった身で、さらに山田くんを殴ったのだから自業自得だが。)

 世の中が不安定になれば、個人の自由やプライバシーがいかに軽視され、利用されるかは、歴史が何度も証明している。

 高度なテクノロジーやインターネットは、私たちにとって、バッジの輝きよりもはるかに魅力的で、必要不可欠なものになっている。

 だが、あまりにも無防備に「わあい、もうかった」と、なんでも取り入れてしまうのは危険なのではないか。

バッジをくばる - コピー.jpg

 そんなことを考えさせられる。

 のび太がきれいなバッジを配った時、「あんないいものなんでやっちゃうんだろう」と首をかしげたとおり、魅力的なものを、ただ相手のためだけに配布するということはまず無いし、ウィルスでも、ジャイアンの母ちゃん的な圧力でも、鉄壁と信じられていた防御を、突破したり、有無を言わさず破壊する存在が現れないという保証も、残念ながらどこにも無い。

 そして、ただ、きれいなだけだったバッジと違って、スマホなどの電子機器は、あまりにも私たちの生活と深く結びついていて、もう、「へんなものつけやさせがって!」と、肌身から離すことが、できないのだ。

 物語はオチまで含めて笑えるけれど、「既に実現可能な技術」と思うと、ジャイアンの母ちゃんの尋問になすすべなく情報を漏らすのび太や、「うすっきみわるいなあ」と顔を曇らせる子供たちの姿に、ふっと寒いものもよぎる、技術の進歩が読後感を変えた作品だ。

ドラえもん (9) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん (9) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄

ラベル:鋭い作品
posted by pawlu at 17:04| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月20日

ドラえもん「ハロー宇宙人」あらすじ(かわいい火星人登場)

地球には人間がいる - コピー.jpg
おそろしい地球人たち - コピー.jpg

 「ハロー宇宙人」は、UFOマニアの近所のおじさんにUFOの写真を見せて、おこづかいをもらおうとしたのび太とドラえもんが、火星に宇宙人を創るというお話。(てんとう虫コミックス13巻収録)


(コミックスの表紙もかわいい〈この巻には「ジャイアンシチュー」「お金のいらない世界」などの名作も収録されている。〉)

ドラえもん(13) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(13) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄


 壮大なようなそうでもないような展開と、キノコ風の火星人の可愛さがみどころ。



(あらすじ)  ※ネタバレご注意

 ある夏の日。

 のび太、ジャイアン、スネ夫は空き地にたむろしていた。

 「あついな、氷あずきなんかくいてえな」

 「先立つものがなくちゃな」

 小学生男子のわりに渋い嗜好と台詞のジャイアンとのび太をよそに、スネ夫が「ぼくはよく冷えたメロンでもごちそうになってこよう」と、立ち上がった。

 驚く二人に、「ぼくのやり方を見てな」と言い残し、ある家を訪ねていった。

 この家にはUFOマニアの「円番さん(←笑)」が住んでいて、近隣の目撃情報を収集していたのだ。



 スネ夫が、またUFOを見たと(でまかせを)言うと、地図まで持ち出して真剣に聞き取りをする円番さん。

 (その間にメロンをごちそうしてくれる。)

 興奮して矢継ぎ早に質問する円番さんに、ゆうゆうとメロンを食べ、冷たい飲み物を飲みながら、こまやかに嘘をつくスネ夫(酷い)。

メロンを食べるスネ夫 - コピー.jpg

 いい写真をとってきたらお小遣いをあげるよ、と、円番さんに送り出されたスネ夫が、外から一部始終を見ていたのび太たちに「あんな話をするとむちゅうになってよろこぶよ」とUFO詐欺の手口を教えると、ジャイアンは、「おれもよろこばせてごちそうになろう」と手を打つ。



 「やり口がきたないと思うんだ!」

 帰宅後、円番さんの情熱を踏みにじるスネ夫(と、詐欺に乗っかる気満々のジャイアン)に憤慨するのび太。

 「そうだ!じつにきたない!」

 さすがドラえもんは同意してくれるかと思いきや

 「そんないいことをなぜもっとはやく教えない!」

 すぐに写真をとろう。と、なにやらとりかかろうとする。

 インチキなんかよせよと、のび太は止めようとするが、ドラえもんは、ほんもののUFOを宇宙人に作らせるのだと言った。

 火星には空気や水があり、コケがある。そのコケの進化を加速させて宇宙人にしたら、10日もすればUFOを作るだろう。

 メロンとお小遣いほしさに、創世記の神のような発想で、火星に「進化放射線」をロケットで送り込んだドラえもん。



 のび太とドラえもんが地球からモニターで見守っていると、進化放射線の効果でまたたくまに進化した火星の植物は、やがて水をもとめて動けるようになり、ついにキノコのような「火星人」が登場した。

(かわいい)

火星人誕生 - コピー.jpg

 洞窟暮らしから、カビを育てて収穫する集団農耕生活、人口増加、都市の誕生……と、人類の歴史のように発展を遂げるかわいい火星人。


 ちなみに、この間、

 UFOのおもちゃでインチキ写真を撮影中のスネ夫とジャイアンを、のび太が余裕の笑みで見下しているところが写りこんでしまい「みるからにインチキくさい写真になった」と暴力をふるわれたり、

(たしかに)

見ろ! - コピー.jpg


 スネ夫たちから、ドラえもんに本物そっくりのUFOを出してもらうなら、「おれたちもインチキのなかまにいれろ!」と言われ、黙秘を通したら重ねて暴力をふるわれたり、

インチキの仲間 - コピー.jpg

 それでも口を割らなかったのび太に、ドラえもんが、「えらい!あんなのなかまにいれたらろくなことないからな」と、シビアな発言をしたり、

あんなのなかまにいれたらろくなことないからな - コピー.jpg

 スネ夫たちが撮りなおした写真を円番さんに見せに行ったが、「おもちゃみたいにも見える」と言われ、ジャイアンが「今度はもっと本物らしいものをとります」と口をすべらせたり、

 ……と、地球は地球で、いろいろあった。



 やがて生まれた火星の近代都市で、夜空に浮かぶ地球を見ながら語り合う火星人父子。

 (子供はもちろんかわいいが、チョビひげのお父さんもかわいい。おしゃれなネグリジェと髪形のお母さんもかわいい。)

火星人家族 - コピー.jpg

 「ぼくはぜったいにいると思うよ。」

 「ほう、地球に人間がかね」

 そして、火星に攻めてくるんだ。「宇宙戦争」という本に書いてあったよ。

 SF小説を信じていた少年は、いつかロケットを作って地球を探検したい、と、お父さんに将来の夢を話した。


 (補足1)この火星人の少年の台詞はH・G・ウェルズ作のSF小説『宇宙戦争』のパロディ。

 小説の「火星人が地球に攻めてくる」という設定を逆にしている。

334px-War_of_the_Worlds_original_cover_bw(宇宙戦争) - コピー.jpg
 (画像出典:Wikipedia

 (補足2)「宇宙戦争」は名優オーソン・ウェルズのラジオドラマでも有名。「火星人襲来」を告げるニュース場面のあまりのリアリティに、視聴者が事実と誤解してパニックを起こしたという都市伝説がある。



 月日は流れ、成長した火星人の少年は、宇宙飛行士になって地球へと飛び立った。

(国家の最高権力者らしき人物も、見送る群衆もかわいい)

火星人の旅立ち - コピー.jpg

 (ちなみに、のび太とドラえもんは、この歴史的瞬間を、テレビの特撮番組「UFOレンジャー」を観ていたために見逃した。)


 大気圏を越え、雲を抜けた先に姿を現したのは、大都会東京。やはり地球には文明があった!

 しかし、なんという汚れた空気と騒音!

 宇宙服越しにも伝わる不快感に、火星人はかわいい顔をゆがめた。


 そして。

 「これが地球人?おおっ!なんという凶暴な顔つきだろう!」

 ジャイアンとスネ夫が、いまだにしらばっくれて「インチキのなかま」に入れようとしないのび太を、脅迫尋問している真っ最中だった。


 逃げ出すのび太の襟首をつかまえ、ボカボカと殴るジャイアンとスネ夫。

 「野蛮人だ!!」

 どこかのお宅の庭木の陰に隠れ、一部始終を見ていた火星人は戦慄した。

(コケから生まれてキノコ状に進化したためか、火星人もUFOも小さい〈UFOは灰皿程度の大きさ〉ことが、このコマで判明する。)

野蛮人だ! - コピー.jpg

 どうにか逃げ帰ったのび太だが、なかなかUFOが来てくれないことにしびれを切らして、また、ドラえもんと一緒に、お茶の間に「UFOレンジャー」を観に行ってしまう。


 「UFOレンジャー」は特殊部隊が地球の平和を守るために宇宙人と戦うというストーリー。


 飛来するUFOを撃墜するレンジャーに「やれ、やれぇ!」「宇宙人なんかに負けるな!やっつけちまぇ!」と結構乱暴な言葉遣いで声援を送るのび太とドラえもん。


 野比家の窓から、「火星のものに似た乗り物を次々攻撃する特殊部隊と、他星人の殺戮映像を娯楽扱いする地球人たち」の様子を覗き込み、UFOごとおののき震える火星人。

 「な……なんというおそろしい……。地球人は血を見るのが大好きなんだ……。」

 もう、とてもこんなおそろしい星には居られない。早く帰って火星の皆にも知らせよう。


 動揺が操縦を狂わせたのか、灰皿大のUFOはフラフラと危うげな軌道を描きながら野比家を離れ、近くを歩いていた円番さんにぶつかった。

 なんじゃこれは、と、道に落ちたUFOを拾い上げた円番さん。

 UFOのおもちゃではないか、さてはこれを使ってインチキ写真を……。

 「わしはだまされていたのか!」

 「宇宙人は地球人よりもずっと小さいかもしれない」という発想がなかった円番さんは(スネ夫たちの写真にうさんくささを感じていたこともあって)、あれほど恋焦がれていたUFO(かわいい火星人入り)をおもちゃと決めつけ、空に向かってポキャ!と蹴り飛ばした。


(円番さん……!!)

UFOのおもちゃ? - コピー.jpg

 「あっ!UFOだっ!!」

 円番さんの怒りの一蹴で飛んでいくUFOを見たジャイアンとスネ夫がそれを撮影し、歓喜の涙ともに手を取り合った。

 ついに本物の撮影に成功した!!

ついに本物を撮影した - コピー - コピー.jpg

 メロンも、お小遣いも超え、彼らの中にも宇宙人のロマンに感動する少年の心があったのだ。



 一方、帰星した宇宙飛行士からの報告を受けた火星人たち。

 地球人の凶暴さを知り、いつ「地球人襲来」が現実のものになるかわからない、と、すみやかに地球から離れた星への移住を決定した。


 飛び立つUFOの大群を(こんどはちゃんと)モニターで見たドラえもんとのび太は、地球にUFOが来る!と、屋根の上でカメラを構えて心待ちにしていたが……。

 UFOは来ず、モニターに映る火星の都市は、みるみるうちに廃墟になっていった。

 「むだ骨だったみたいね」

 二人はあきらめて眠りについた。


 翌日。

 「信じてよっ!今度こそ本物なんですよ!」

 「ええい、まだわしをだます気かっ!!」

 スネ夫とジャイアンが、「円番さんが蹴っ飛ばしたUFOの写真(本物)」を手に円番さんを追いかけ、「写っているUFOはおもちゃ」と固く信じている円番さんは、ぷんすか怒りながら二人を追い払っていた。


(完)



 せっかくとてもかわいい火星人が来てくれたのに、第一星人発見がジャイアンとスネ夫(しかも欲に目がくらんで、ついこの間まで「氷あずきでも食べたい」とか一緒に言っていた友達を恐喝している瞬間)だったばっかりに台無しになってしまった。

 (しずかちゃんか出木杉くんあたりにでも出くわしてくれれば、両星間に交流が生まれたかもしれないのに。)

 大人になってから再読すると、少年のように目を輝かせてUFOの情報を集める円番さんと、少年なのに堂々とうそをつきながらメロンを食べ、そつなく調子を合わせるスネ夫の笑顔の対比が味わい深い。

スネ夫と円板さん2 - コピー.jpg
スネ夫と円番さん - コピー.jpg

 (そしてジャイアンの「おれもよろこばせてごちそうになろう。」という台詞は、「だまして」という重要な問題を気に留めず、「よろこばせて」と、あたかもWin-Winであるかのように考えているあたりが、まんま詐欺師の発想だ。)

よろこばせてごちそうになろう - コピー.jpg

 しかし、円番さんはUFOが絡むと財布の紐までガバガバになる人のようなので、本物のUFOを撮影したと思えば感涙できる、根は悪人ではないスネ夫とジャイアンレベルの少年たちにちょっと騙された程度で済んでよかったと言えなくもないかもしれない。

 (リッチなスネ夫がわざわざ食べにいくほどおいしいメロンを常備しているところをみると、それなりに金銭的余裕のあるお宅のようだし、もっと悪質な詐欺に狙われる可能性だってあっただろう。)


 ドラえもんにはこのほかにも「小さな宇宙人」が登場する作品がある。どちらもおすすめだ。


・『大長編 のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ)』

大長編ドラえもん のび太の宇宙小戦争 (Vol.6) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
大長編ドラえもん のび太の宇宙小戦争 (Vol.6) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄

 円番さんには結構たちの悪い詐欺を働いていたスネ夫が、ラジコン制作のスキルと男気を見せる。スネちゃまファン必見の名作

(※2021年3月20日現在、コロナの影響でリメイク版「映画 のび太の宇宙小戦争2021」の公開延期中)


・「天井裏の宇宙戦争」(てんとう虫コミックス19巻収録)

ドラえもん(19) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(19) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄

 映画「スターウォーズ」のパロディ色の濃い作品。

 キャラや建築物のスタイリッシュなデザインと、スケールの小ささのギャップが見事。



ドラえもん (13) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん (13) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄


posted by pawlu at 13:37| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月10日

きれいなジャイアン(ドラえもん「きこりの泉」)が公式HPで期間限定無料配信中

画像 きれいなジャイアン いえ、もっときたないの - コピー - コピー.jpg


 あの伝説のきれいな男が帰ってくる。

 ドラえもんの公式HP「ドラえもんチャンネル」で、名作「きこりの泉」が「STAY HOME 特別企画」として期間限定で無料配信されている。
 (2021年2月13日〈土〉午前10時まで)


 泉に物を落とせば、泉に住まう女神に、落とした物よりずっときれいなものと交換してもらえるというひみつ道具「きこりの泉」。

(てんとう虫コミックス36巻収録)


 ドラえもん史上最高傑作とも言われる名作、そしてファンの熱狂的支持のもと、今もグッズ化され続けている「きれいなジャイアン」を一話まるごと観られる貴重な機会だ。

 ドラえもんのファンは、この作品のジャイアンがあまりにもきれいなので、もはや「きれいな」という言葉の後ろには「空」でも「海」でも「花」でもなく「ジャイアン」を思い描くようになってしまった。

 (「ちはやふる」といえば「神」、「ひさかたの」といえば「光」、「きれいな」といえば「ジャイアン」、状態。)

 ドラえもん公式チャンネルでは、ステイホームを楽しく過ごすために、定期的に藤子・F・不二雄先生の作品が無料配信されている。

 (同時配信「見た!パー子の正体」(『パーマン』より)、「ノスタル爺」(SF短編))


 いつまでも大人と子供に笑顔と感動を届けてくれるドラえもんと藤子Fワールド、今後も目が離せない。

 (当ブログ、「きこりの泉」あらすじご紹介記事はこちら。)




posted by pawlu at 22:10| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月07日

(※ネタバレあり)ドラえもん「かがみのない世界」(もしも誰も自分の顔を見たことがなかったら……)

ゴリラみたいなひどい顔 - コピー.jpg


 最近、かわいらしい猫動画をふたつ見つけた。

 ひとつめは美猫の「ミモ」さんが鏡を観て、自分に耳があることに気づいている動画だ。


 最初、その鏡にはミモさんの両耳だけが映っていて、ミモさんには、そのちらちら見える三角ふたつが何なのかわかっていない様子だったが、伸びあがって、それが自分の姿であることを確認すると、その賢そうな大きな瞳を見開く。

 それから、まじまじと鏡に映る自分を見つめながら、自分の頭を前脚でそっと撫でまわし、鏡の中そのままに、確かに自分の頭上に耳がついていることを、静かに、でも本当に意外そうに、確認している。

自分の耳に気づいた猫 (2) - コピー.jpg

 もうひとつは、小さな黒猫「ゴースト」ちゃんが、自分の後ろ脚に気づいてびっくりしている動画だ。

 寝っ転がって毛づくろい中、後脚の存在に生まれて初めて気づいたゴーストちゃんは、飼い主さんの「まあ!それはなにかしら!?」という言葉に合わせて、ほんとうに「にゃっ!?にゃに!?にゃに!?」という顔で、じぶんの後ろ脚をかわりばんこに両前脚で持ち上げて見つめている。

 (猫の「あっけにとられた」顔を初めて観た〈かぁわいい〉)



脚に気づいた猫 (2) - コピー.jpg


  ところで、『ドラえもん』にも「自分がどんな姿をしているか知らないとどうなるか」を描いた作品がある。



 「かがみのない世界」は、自分のルックスに自信がないのび太が、誰もひけめを感じたりうぬぼれたりしない「鏡の無い世界」を「もしもボックス」で作り出すというお話だ。

(てんとう虫コミックス27巻収録)





(あらすじ)  ※ネタバレご注意

 「かがみをみるたび、いやになっちゃう」

 洗面所の鏡を見つめ、のび太は口を「3」にとがらせた。

 「どうしてぼくのかおは、まんがみたいなんだろう」

  (まんがだから)

 「気にするな、人間のねうちは顔じゃない、頭だ、力だ!」

人間のねうちは顔じゃない - コピー.jpg


 のび太は深くうなだれて部屋に戻っていった。


 のび太の場合、どちらもかなりいまいちで、「全体的に値打ち無し」と言ったも同然であったことに気づいたドラえもんは「わるいこといったかしら……」と口をおさえた。



補足:

 実際には、眼鏡をとったのび太は、出木杉君級とはいかないまでも、藤子Fワールド内では標準〜比較的整った容姿をしている。

眼鏡をはずしたのび太 - コピー.jpg

(小さいころは非常に可愛らしい)。

 小さいころののび太 - コピー.jpg赤ちゃんのころののび太 - コピー.jpg


 それに、ドラえもんはのび太の親友で、子守りロボットなのだから、容姿については「そんなことないよ」と言い、人間の価値については、のび太最大の長所である「性格の良さ」をほめてあげてほしかった。



 鏡なんかあるから悪いんだ。

 自分の顔を知らなければ、引け目を感じたり、うぬぼれたりする者もいないはずだろう。

 ということで、「もしもボックス」で、「もしも誰も自分の顔を見たことがなかったら……」という世界を作ってみることにした。


 さっそくどうなったか見に行ってみると、世界から鏡が消えていて、ママはお化粧に、パパは髭剃りに苦戦していた。

 (人に確認してもらうしかないのだが、なかなかうまくいかない。〈特にママは、のび太たちのでたらめなアドバイスで変顔に仕上がってしまった〉)

 ガラスにも顔が映らない、カメラも無い。だから、誰も自分の顔を知らない。

 これはいい、と、思いながら二人で外に出てみたのだが。



 「スネ夫さ〜ん」

 スネ夫を女の子二人が追いかけていた。

 「おねがい。」「にがおをかいて。」

 「またかい」

 「だってこうでもしないと自分の顔をみられないもの」


 スネ夫は差し出されたスケッチブックに手慣れた様子で鉛筆を走らせると、「これでいいか」と女の子に手渡した。


 スネ夫さんって絵がじょうずねえ - コピー.jpg

 きらきらと輝く大きな瞳が長いまつげにふちどられた美少女たちの絵。

 「そっくり!」「スネ夫さんて、絵が上手ねえ。」

 ぽっちゃり系の女の子とスネ夫系の女の子(親戚ではというほど似ている)は、うっとり「自分の顔」の「にがお」絵を眺めていた。

 (「自分の顔」しか観ていないから、互いの絵の違和感に気づいていない。)


 「あたしにもかいてえ。」

 しずかちゃんも、スケッチブックを手に、スネ夫に頼みに来ていた。


 「すっかり人気者だ。」

 「かがみがないからさ」

 この世界では、絵がうまくて空気が読める男が女の子にちやほやされると気づいて、非常におもしろくないのび太。


 一方空き地では。

「こうしてさわってみると……、おれってどうしてこんなに、男らしいりっぱな顔してるんだろう」

男らしいりっぱな顔 - コピー.jpg

 ジャイアンが自分の顔を両手で撫でまわし、その手触りから伝わる己の美貌に酔いしれていた。

「高い鼻、ひきしまったくちびる……。毎日なでていてもあきないや。」


 そうだ!おれタレントになろう!!

そうだ!おれタレントになろう! - コピー.jpg


 土管に腰かけ、夢を叫ぶジャイアンを見かけたのび太とドラえもん。

 「そんなばかな!!」

 「かがみがないからだよ。」

 (二人とも酷い。)


 「かがみをみせてやろう!!」

 身の程を知るべきだと言わんばかりののび太に、ドラえもんは「せっかくかがみのない世界にしたのに」と、唇を「3」にするが、「鏡を見たことがない人間が、初めて鏡を見たらどうするか実験しようよ。」と言われ、「なるほど、おもしろいかもね。」とポケットに手をいれた。(実験動物扱い)


 「箱入りかがみ」

 等身大の鏡の入った試着室のような箱を出されて、ジャイアンは「なんだいそれ」と、扉を開けてみた。

 「おっ、おまえだれだ。」

 ウ〜〜。

 顔をしかめて中を覗き込んだ後、ジャイアンは笑った。

 「ハハハ…。ゴリラみたいなひどい顔。」

 箱入り鏡の中の「『ゴリラみたいなひどい顔』の少年」も、ジャイアンを指さし、歯をむき出しにして笑っていた。

 「おれの顔見てわらったな!!でてこいこのやろ!!」

 「男らしいりっぱな顔」をあざ笑われたジャイアンは、「ゴリラみたいなひどい顔」の少年に殴りかかるが、相手はガラスのむこうに隠れているので拳をいためてしまった。


 「だれにおこってるの。」

 大きな箱の前で「ずるいぞ!!」と鼻息を荒くしているジャイアン(そしてなぜか側で大爆笑しているのび太とドラえもん)に、通りすがりのスネ夫としずかちゃんが声をかけた。


 ジャイアンから「ゴリラみたいな、生意気な男の子」が隠れていると聞いたスネ夫は、箱の中を覗き込んでみた。

箱入り鏡とスネ夫 - コピー.jpg


 「なるほど。みるからにずるそうな、感じのわるいやつ!(ムカッ)」

見るからにずるそうな感じの悪い奴 - コピー.jpg


 でもゴリラというよりキツネだよ。

 ばかいえ、あんなキツネがいるか。

 印象の良くない顔の男の子というところは一致したが、目鼻立ちについては二人の意見が大きく食い違っているので、しずかちゃんも箱を覗き込んでみた。

 「うそお、かわいい女の子よ」


 3人が決してかみ合うことのない議論をし、のび太とドラえもんがますます抱腹絶倒していたとき、サラリーマンらしき男性が通りかかり、箱の中の人物に目を見張った。

 「こ、これは!!十年前に家出したふたごの兄さんじゃないか!どうしてこんなところに!!」

 ガラスの檻に閉じ込められているのか!!誰がこんな酷いことを!!

 しかし、どう頑張っても兄を助け出せなかった男性は、箱入り鏡を背負って走った。


 あれ、鏡が無い。誰が持って行ったんだろう。

 笑い転げていたドラえもんとのび太が、ようやく異変に気付き、タケコプターで行方を探し始めた。


 「おまわりさ〜〜ん」

 箱入り鏡を背負った男性は、息せき切って交番に駆け込んでいた。

 「なに、その箱に兄さんが?」

 警官が箱を開けると、男性の「ふたごの兄さん」の前に、警官の制服を着た男が立っていた。

 「きみ、みたことがない顔だが、どこの署の者かね。」

 「きっとにせ警官だ、そいつがゆうかい犯人です!!」

 警官の後ろに立つ男性の言葉に、警官も「む、どおりで人相が悪い!」と思わずピストルを抜いた。

 「むこうもピストルをぬいた!」

 「きさま!ていこうするか!!」


 平和な町に激しい銃声が響いた。

 上空から事態に気づいたドラえもんは、大慌てで家に飛んで帰り、「もとの世界に!!」と、受話器に叫んで「もしもボックス」の効果を解除した。


 「なんでかがみなんか撃ったんだろう」

 「なんでかがみなんかはこんできたんだろ」

 穴だらけになった「箱入り鏡」を前に、警官と男性がきょとんとしていた。

 「かがみがなくなってもいいことなかったね」

 大人二人が我に返ったのを見届けたのび太とドラえもんは、タケコプターでこっそりその場を離れた。


(完)




 ジャイアンが、自分を指さして「ゴリラみたいなひどい顔」とあざ笑うのも見ものだが、スネ夫が自分の容姿に「みるからにずるそうなかんじの悪い奴!(ムカッ)」と嫌悪感をあらわにしているのは珍しい。


 他の話では、スネ夫は自分のことを非常に美しい少年だと思っているのだ。

 鏡を見ながら、

 「美しいということばはぼくのためにあるんだなあ」

美しいということばは僕のためにある - コピー.jpg


 「いくら見ても見飽きないや、どうしてこんなに美少年なんだろ」

どうしてこんなに美少年なんだろ - コピー.jpg


 と、ためいきまじりに言ったり(1巻でも29巻でも、ゆるぎなく何コマもかけて自分に見とれている。)、夢の中に登場する自分は、顔立ちも態度も凛々しい少年(しかも長身)だったりする。

先生!生徒にぼう力をふるってはいけません - コピー.jpg


 スネ夫はデザイナー志望だし、この回でも披露されている絵の腕前は、美術評論家にも「ひらめきのようなものが感じられる」と言われるほどで※てんとう虫コミックス8巻「ロボットがほめれば……」、美的センスは確かなのだが、「自分」だと思った瞬間に、大幅に認識が甘くなるらしい。

 (まあ、そのくらい自己肯定感が高いほうが人生は楽しい。)


 「鏡」が登場する作品としては、このほかに、極端に美しい虚像を映しだした挙句、お世辞まで言って観る者の精神を依存状態に引きずり込む「うそつき鏡」(てんとうむしコミックス2巻収録)がある。こちらもおすすめだ。

ドラえもん(2) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(2) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄

ドラえもん(27) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(27) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄


posted by pawlu at 16:01| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月06日

(ネタバレ)ドラえもん「十戒石板」 「きまり」と「裁き」の危うさを描いたシニカルな名作

悪口を言うな - コピー.png


 「十戒石板(じっかいせきばん)」は、してはならないきまりを刻むと、それを破った者に裁きの雷が落ちるというドラえもんのひみつ道具。

十戒石板 - コピー.png

(てんとう虫コミックス『ドラえもん』39巻収録)


 ママの家庭内での厳格なルール決めに閉口したのび太が、対抗手段として使い始めるが、絶大な力を手にしたのび太が、わりと早い段階から増長し、単なる横暴な権力者と化してしまう。

 誰の心にも秘められた「裁く者の快楽」と、スマートなオチが印象的な名作だ。


【補足】

 「十戒」の石板は、旧約聖書の預言者モーセが神から与えられたもの。殺人や盗みの禁止など、十の戒めが記されている。

 (ドラえもんのひみつ道具や設定の中には、聖書やギリシャ神話などをもとにした、格調高いものがある。)

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ホセ・デ・リベーラ作『モーセ』(1638年):十戒が書かれた石板を持つモーセが描かれている(出典:Wikipedia



(あらすじ)  ※結末までネタバレです。

 トイレのドアは開けっ放し(スリッパも片方ひっくり返っている)。

 電話の受話器も戻さない。

 使った道具も戻さない(しかも、はさみを開いたまま床に転がしておくという、かなりダメな行動)。


 のび太のあまりのだらしなさに業を煮やしたママが、とうとう厳罰化に乗り出した。


 「くつはそろえてぬぎなさい」

 玄関にある貼り紙(なかなか美文字)に、靴を脱ぎ散らかしながら気づいたのび太。

貼り紙 - コピー.png

 「かいだんはしずかに」

 「ふすまの開けはなしを禁ず」


 家中の貼り紙を見て、ママにわけを尋ねると、「いくらいってもわすれるから。紙にかいておきました。このきまりを一つやぶるごとにおこづかいから十円ひきます。」と罰金制度の発動を申し渡されてしまう。


 「むちゃくちゃだ…。」

 青ざめうなだれ、力なく部屋に戻ろうとするのび太の背中に「ふすま!(開けっ放し)十円引くわよ」と、ママの容赦ない声が飛んだ。


 「ざんこくだ!!あれが親のすることだろうか。」

 ほんのちょっとも「自分のせいでこうなった」とは考えずに、厳罰化を嘆くのび太に、ドラえもんは、いいことじゃない、と言った。

 「そのうちにはきみもキチンとした人間になるだろう。」(わりと失礼な台詞)

きちんとした人間 - コピー.png

 「その前にぼくはスッカラカンになっちゃう。」

 さめざめと泣くのび太に

 「そういえばそうかも……。」

 と、真顔で同意するドラえもん。

 (「大丈夫、きっとできるよ」とか「きまりを破らなければいいのだから、そうならないように気を付けよう」とは言わない。)


 なんとかやめさせてくれえ!と泣きつかれ、

 「きまりにはきまりで対抗するか。」

 と、ドラえもんらしくなく、何か大切なことを見落としたまま取り出したのが「十戒石板」。


 「戒め」を十まで記すことができ、それを破った者は、雷に撃たれるという石板に、第一のいましめとして

 「のび太の小づかいをへらすな」

 と、鉄筆(石に文字を刻める道具)らしきペンでカリカリと刻み込む。


 もしもおこづかいを減らしたら、ママは雷に撃たれる、と聞いたのび太は、石板を手に、わざと騒がしく階段を下りてみた。

 「十円へらすわよ!!」

 次の瞬間、ふすまの向こうで、鋭い落雷の音。


 「すごい力……」

 ママは茶の間で黒焦げになって気絶していた。


 「こんな使い方するならかさない!」

 「ちょっとテストしただけさ。」

 ドラえもんの叱責を(母親をわざと雷に撃たせておきながら)、ごく軽い調子でかわすと、のび太は「第二のいましめ「かした道具を取り返すな」」と刻み始め、邪魔者(ドラえもん)をすみやかに追い払った。


第二のいましめ - コピー.png


 「あと八つ。どんないましめをきめようかな」

 石板を手に、いたずらっぽい笑顔で外出したのび太。


 おあつらえ向きに、立ち話をしているジャイアンとスネ夫を見かけたので、

 「のび太をいじめるべからず」

 と、さっそく石板に刻んでみた。


 そのまま鼻歌交じりに通過しようとすると、「やい、待て!」と呼び止められる。

 「そらきた。」

 のび太はひそかにニヤついて舌を出した。

 「おまえ、きのうはよくも……」

 「うん、うん。」

 笑顔で因縁をつけられるがままののび太に、薄気味悪いものを感じた二人は、「いじめてやる!!」と、つかみかかった。

  落雷。

「やったあ!!」

 効果の再確認と日ごろの復讐を果たしたのび太は、満面の笑みで拳を振り上げた。

いじめるべからず - コピー.png

 その後。


 すれ違った後、のび太の学校での失敗を密かに笑ったクラスメート二人に「のび太のわる口をいうな」と書いて制裁。

 「ぼくをばかにすると、こうなるんだよ」


 ラジコンで遊んでいた少年に、貸してと言って「のび太にかすとこわすから。」と渋られたら「のび太のたのみをことわるな」と書いて制裁。

 「いうこときけばいいのに」

 (別に落ち度は無いのに黒焦げにされて倒れた少年のつま先と、酷いことを言いながら楽しそうにラジコンを走らせるのび太の落差が怖い。)

頼みを断るな - コピー.png

 いつものび太を噛む犬にうなられ。

 「のび太にかみつくな」

 と書いて制裁。


 「ぼくにさからう者はみなこうなるのだ!!」

さからう者はみなこうなる - コピー.png


 昼寝を愛し、おっとりとしたいつもの彼は、もうそこには居ず、某「死神のノート」を手にした某天才青年が暴走したかのような発言とともに、石板を小脇に勝ち誇って去っていく。


 「すっかりいい気になって。夜おそくまであそびまわっている」

 夜、タケコプターでのび太を探し回るドラえもん。


 「あと一つのこっているけど、あしたの楽しみにとっておこう」

 「裁きの落雷」を「楽しみ」と言いながらのび太が帰宅すると、野比家の玄関のドアに貼り紙がされていた。

 「夜あそびするべからず」


 「ママだな!!またこりないできまりを作って!!」

 大きな雷を落としてこらしめなくちゃ、と、石板に最後の一文を刻み込む。

 「かってなきまりをつくるな」

 落雷がのび太に。

かってなきまり - コピー.png

 石板を刻んでいた手から、衝撃でペンが跳ね飛ばされた。


 「わるく思うな。こうでもしなくちゃ、とりかえせなかったからね。」

 黒焦げになって気絶しているのび太を前に、石板を回収するドラえもん。


石板回収 - コピー.png

 「わるく思うな」と言いつつ、その表情にはうしろめたさも哀れみもなく、ただ、冷静だった。


 (完)





 「階級ワッペン(てんとう虫コミックス15巻)」「のび太の地底国(同26巻)」などのび太が絶大な力を手にして暴走する物語は名作が多い。



 弁護しておきたいのだが、普段ののび太は、とても人柄がいい。


 しずかちゃんのお父さんが、結婚前夜のしずかちゃんに

 「のび太君を選んだきみの判断は正しかったと思うよ。あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね。」

 (「のび太の結婚前夜」てんとう虫コミックス25巻収録)

 と、言ってくれたほどで、その心根の優しさは本物だ。


ドラえもん(25) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(25) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄


 そんなのび太でも、強大な力を手にすると、たやすく自分を見失う。


 地底の「のび太国」で首相になった際には、国を豊かにするという名目で「の」印の国旗を振りかざしながら、未来の愛妻しずかちゃんと、最強の恋敵出木杉君を強制的に田植え労働させ、自分は昼寝に行くという暴挙にすら及んでいる。(よく挽回できたものだ。)

地底国の独裁者 - コピー.png

 そのくらい、「権力」は魅力的な猛毒なのだ。


 「こんなにいばったことは生まれてはじめてだもの」(「階級ワッペン」より)

こんなにいばったことは生まれてはじめて - コピー.png

 と、すがすがしい笑顔で言っていたことがあるので、のび太の場合はとくに、日ごろ馬鹿にされたりいじめられたりで溜まった鬱屈が、より彼を暴走させてしまうのかもしれない。


 「十戒石板」でのび太が手にしたのは「きまりに違反した者を裁く力」だ。


 そのきまりには「こづかいをへらすべからず」「いじめるべからず」「かみつくな」など、一応はのび太の財産と安全を確保するためのものもあるが、「かした道具をとり返すな」から、早くも道を踏み外しており、裁きの落雷を受ける直前の石板に至っては「のび太のめいれ(い)」「のび太におやつをや(れ)」などの横暴極まりない文言が垣間見えている。

かってなきまり2 - コピー.png


 その他の「のび太暴走回」は、大抵ジャイアンたちの反乱によって報いを受けるが、「十戒石板」の

 「人を裁く力に酔って自分を見失い、勝手なきまりで人を裁こうとしたために、それまで自分が裁きに使っていた手段で、自分自身が裁かれる」

 という物語は、短編としてきれいにまとまっている上に、今までもこれからも繰り返される人の世の真理を突いている。

 (そしてそれは、今やネットで世界中に意見を発信できるようになった私たち全員が陥るかもしれない、危険な落とし穴でもある。)


 イエス・キリストは、

 「人をさばくな。自分がさばかれないためである。あなたがたがさばくそのさばきで、自分もさばかれ、あなたがたの量るそのはかりで、自分にも量り与えられるであろう。」

 と、戒めている。(新約聖書・マタイ伝第七章1~2節)

 のび太はまさにそのとおりの結末を迎えてしまったのだ。



 一方、石板を見事回収したドラえもん。


 作中省略されているドラえもんの動きは

  1. いい気になって夜遊びをしているのび太は、自分の非を認めず、他者が「きまり」でのび太の行動(夜遊び)を制限しようとしたら、それを裁こうとするだろうと予測
  2. ママに夜遊びを禁止する貼り紙を書いてもらう(あの美文字はママの筆跡。おそらく、「ママに二度目の雷が落ちることはない」と、説明済)
  3. のび太の自滅まで待機

 ということになる。


 一種の賭けなのだが、石板を回収するときの、ドラえもんのフラットな表情を見るに、のび太の増長がそのくらい酷いことと、石板が書き手自身も容赦なく裁くことに、全能感に目がくらんでいるから(あとのび太だから)、気づかないだろうということを、100%確信していたようだ。

 そして、計画通り、静かに賭けに勝利した。


 ドラえもんはコロコロと可愛らしい外見をしていて、のび太の大親友だ。

 一緒にはしゃいで遊ぶこともたくさんあるが、一方で、こんな、老練な軍師のように相手の心理を見極め、自滅にいざなう罠を張るという一面も持ち合わせている。

 (最初に「きまりにはきまりで対抗するか」と石板を渡してしまったのだけは、らしくないミスだったが。)


 優しくのんきなのび太が裁きの力に酔いしれ、ドラえもんは大親友を冷徹な知略で打ち負かす。


 この、一見、明るく楽しく夢いっぱいの作品世界に秘められた底知れなさもまた、あるいはこれこそが、生誕50年(2020年は連載開始から50周年記念)を迎えても、『ドラえもん』が圧倒的存在感を放つ理由だ。


 (絵に子供向けマンガらしい親しみやすさと暖かみがあり、普段の彼らは仲が良く、原則素直で善良なだけに、そのシニカルなギャップには、ときに現代アート超えのシュールさすら漂う。)



シュールな対比 - コピー.png

もんくいうとたいほするぞ - コピー.png


 ドラえもん側の行動は完全に省略され、最後の一コマだけですべてを物語る、洗練された展開も、何かと説明が過剰な今読むと、新鮮だ。

 「十戒石板」が収録されたてんとう虫コミックス39巻には、「さとりヘルメット」「ジャイアン殺人事件」などの名作が収録されている。

ドラえもん(39) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(39) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄


 また、『コロコロ文庫デラックス ドラえもんテーマ別傑作選ドキリ風刺編』は、「十戒石板」以外にも「階級ワッペン」「Yロウ作戦」など、エスプリに富んだ傑作が数多くまとめられている。とくにおすすめしたい一冊だ。



ラベル:鋭い作品
posted by pawlu at 11:12| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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