2025年03月27日

BBC、オアシスの再結成を記念して、ものすごく失礼なドキュメンタリー映画(?)を製作

BBC制作「オアシス:再結成 ザ・ムービー」の動画
Oasis: The Reunion: The Movie | Red Nose Day 2025

(冒頭で、「これは真実の物語である。いくつかのシーンや登場人物には、ドラマの(演出)効果上の変更が加えられている」と断りがあるが、ものには限度がある)


イギリス伝説のロックバンド「オアシス(OASIS)」

2024年夏、彼らの15年ぶりの再結成のニュースが世界を駆け巡り、チケット争奪戦の果ての価格高騰は、イギリス政府の調査にまで発展した。

そんな彼らの再結成までの道のりをBBCが取材したドキュメンタリー映画がYouTubeで公開された。

……のかと一瞬たりとも思って真面目に観ようとしてしまった私が馬鹿だった。
(よく見るとサムネイルがすでに変なのに(とくに眉の毛量)BBCの権威に騙されて飛びついてしまった)


実はこの動画はBBCが作成したコント作品で、オアシスの主要メンバーで「世界一仲が悪い兄弟」と言われる(だから決裂した)「ギャラガー兄弟」のノエルとリアムが、オアシスを再結成するまでを、最大限失礼にジョーク化。

コント内では実にひどい理由(=純然たる金目当て)で再結成する彼らのチケットをオンラインで取ろうとしたファンが、チケット購入の順番待ちが長すぎて、パソコンに向き合ったまま命を落とすという悲惨な状況も描かれている(多分死因は待ちくたびれか餓死)。

実際、Youtube動画の書き込みで「大金を払う覚悟でパソコンの前で6時間待って、ようやくと思ったときに謎の理由で接続が切れた」とカンカンに怒っているファンの書き込みを読んだこともあるので、当たらずとも遠からずではある。

(ちなみに、来日公演はチケット購入が抽選式だったので、チケット代の高騰は(公式には)起きていない。私はもちろん落選した)

コント内でノエルとリアムと共謀して価格を釣り上げた悪の権化「チケットマスター」を人気司会者ピアーズ・モーガンが演じていて無駄に豪華、というか「チケットマスター」って人間だったのか(いや本当はチケット販売会社)。

それにしても恐ろしいのは、これがれっきとしたイギリス国営放送、しかもその鋭い取材力や、息を呑むような素晴らしいドキュメンタリーで、世界にその名をとどろかせるBBCが作ったこと。

さらに恐ろしいのは、これが「RED NOSE DAY」というチャリティ番組のために製作されたということだ。

日本の「24時間テレビ」のようなもので、社会福祉のために視聴者の寄付を募る、極めて真面目な意図があるのに、「コミックリリーフ」というお笑いをからめたコンセプトのときには、全力でジョークをぶち込んでくる。

(国営放送のチャリティ番組だというのに、あの兄弟の代名詞ともいえる、絶対に言ってはいけないFからはじまる4文字の放送禁止ワードもふんだんに含まれている。(字幕では「****!」ってなってるけどイギリス人は彼らが何言ってるかみんな知ってる、そしてそこを隠すための「ピー!」音の連打が凄い)

イギリス人ほどブラックジョークに慣れていないと、笑えるところとその笑いがひきつるところがある作品(ギャラガー兄弟のお母さまをジョークの巻き添えにするのはちょっと…本当はとても立派な方だし、彼女には頭が上がらないのがギャラガー兄弟の人間的魅力だから)。

とはいえ、BBCの「どこの国も追随を許さない」(この件に関しては、世間の非難が怖いわりにあまりにも馬鹿馬鹿しくてどこの国もついていけない)凄さを見せつけた。

ファンの方は怒らないで観られると思えたなら、一見の価値はあるかもしれない(怒っている人も相当数いたそうだ。そりゃそうだろう)。

私は原則面白かったけれど「イギリスとBBCの深淵」に改めて度肝を抜かれたのと、ギャラガー兄弟ご本人たちがどう思うだろうと、それだけは心配。


ということは一応は本人たちの許可をとっていたのだろうか……)


【参照URL】
BBC Comic Relief viewers make 'nonsense' complaint about Oasis sketch Manchester Evening News Elizabeth Cotton TV and Celebrity Writer 22:05, 21 Mar 2025



【参照】
(チケット高騰問題のニュース)
オアシスのチケット高騰 英政府が調査へ 正規ルートなのに額面の2倍


(「なんでコントの中のノエルとリアムはあんなに眉毛が濃いの」問題資料)※でもこれは本当にいい曲
Oasis - Whatever (Official Video)

実際のギャラガー兄弟の荒っぽいしゃべり方がよくわかるインタビュー動画、毒舌の中にえも言われぬセンスがあって不思議と癒される
ノエル・ギャラガー「本人」がTwitterでネット住民と直接対決!? | Actually Me | GQ JAPAN


リアム・ギャラガーに73の質問─オアシス、最近の音楽、真のロックスターについて | 73 Questions | VOGUE JAPAN

「オアシスはほんとうはものすごくかっこいい」こともお伝えしておきたくて貼った動画

Oasis - Champagne Supernova (Official Video)


【和訳】Slide Away - Oasis (Live at Knebworth)


(再結成時の「テレグラフ」のニュース動画)

Oasis reunion: Liam and Noel Gallagher announce 2025 tour dates


【当ブログ関連記事】


入り口リサイズ - コピー.JPG




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2024年12月03日

第一次世界大戦のクリスマス休戦を描いたイギリスの感動的なCM動画

握手をして名乗る二人 - コピー.jpg

1914年冬、クリスマスを迎えた第一次大戦下の戦場で、イギリス軍とドイツ軍の一部が戦闘を停止し、交流をしたという実話がある。

第一次大戦から100年経った2014年、イギリスの大手スーパーマーケット「セインズベリー」がこの出来事を映像化したコマーシャルを制作した。

1914 | Sainsbury's Ad | Christmas 2014


【ストーリー】



雪の降る夜の戦場。

塹壕の中にも雪がちらつく中、若いイギリス兵ジムは、缶の中に一枚だけ残された、配給の薄く堅いパンを、さびしく見つめていた。

塹壕で乏しい食事を見つめるジム - コピー.jpg

ふいに次々に名前が呼ばれ、故郷からの小包が手渡された。

包み紙を開いたジム、その顔にほほ笑みが広がった。

贈り物を見て笑顔になるジム - コピー.jpg

中には、愛する恋人ローズの写真。そして水色の包み紙に銀色の文字の、一枚のチョコレート。

送られてきた恋人ローズの写真 - コピー.jpg

送られてきたチョコレート - コピー.jpg

光輝くようなクリスマスプレゼントだった。

そのとき、ドイツ軍側の塹壕から歌声が聞こえてきた。

「きよしこの夜」

イギリス兵たちとまったく同じように塹壕で寒さをこらえながら、白い息とともにクリスマスを祝って歌う兵士たちの中に、ジムと同じ年頃の兵士、オットーがいた。

歌うオットー - コピー.jpg

歌詞はドイツ語だったけれど、メロディはイギリス兵にもおなじみのクリスマスの歌。

やがて、イギリス側の兵士たちも、英語で同じ歌を歌いだした。

英語で歌い始める兵士 - コピー.jpg

敵軍から聞こえてきた歌声に、オットーは驚きながらも笑顔で歌い続け、両軍の兵士たちはいつしかお互いの塹壕に向かって歌声を大きくし、それは、英語とドイツ語の合唱になって、深く掘られた塹壕に、雪の冷たさを忘れさせる音楽が降り注ぎ、広がっていった。

イギリス軍の歌声に驚きながら笑顔になるオットー2 - コピー.jpg

立ち上がって歌う兵士たち - コピー.jpg


塹壕の中で歌い合う兵士たち - コピー.jpg

翌朝。

鉄条網から飛び去るロビン - コピー.jpg

雪がやみ、鉄条網に、イギリス人が愛する「ロビン(コマドリ)」が小枝のように止まっていた。ふるさとではクリスマスの象徴でもある胸の赤い可愛らしい小鳥は、やがて軽やかに飛び立っていった。

塹壕の壁にもたれて休んでいたジムは、それを見つめたあと、両手をきつくにぎりしめ、それから立ち上がった。

塹壕を超えて歌い合った「きよしこの夜」、鉄条網から飛んでいったロビン。


ジムはゆっくりと塹壕のはしごを登っていった。

できるかもしれない。叶うかもしれない。

今日はクリスマスなのだから。


まずそうっと帽子をかかげ、それから両手を挙げ、ゆっくりと、ジムは塹壕から顔を出した。

塹壕から顔を出すジム - コピー.jpg

イギリス側の塹壕から人影が。

突撃してくるつもりなのか。ドイツ兵たちはいっせいに殺気立ち、休んでいた者たちも急いで臨戦態勢に入った。


ジムのそばでうとうとと眠っていたイギリス兵は、物音に目を覚まし、それからその目を疑った。ジムが塹壕から身を乗り出している。

「ジム!?やめろ!!」


ドイツ兵たちが一斉に銃を構える中、オットーは塹壕潜望鏡に駆け寄った。彼の目が、両手を挙げたジムの姿を捕えた。

状況を確認するオットー - コピー.jpg

「撃つな!!」

あのイギリス兵は武装していない。

それなのに、塹壕から這い出て、両手を挙げたまま、薄雪を踏みしめて、中間地帯(ノーマンズランド)に向かって歩いてくる。


オットーの頭の中に、音楽が響いた。

「きよしこの夜」。

あの兵士は、きのうの歌声の中の、誰か。


「オットー!?やめろ!!」

顔を真っ青にこわばらせて、だがオットーも塹壕から身を乗り出した。

塹壕から出るオットー - コピー.jpg

あのイギリス兵は敵ではない、少なくとも今この瞬間は。

でも、ドイツ軍があのイギリス兵を撃てば、あっという間に殺し合いが始まるだろう。

撃たせないためには、見せるしかない。

自分がイギリス軍に撃たれない姿を。

塹壕から歩みを進めるジム - コピー.jpg

塹壕から歩みを進めるオットー - コピー.jpg

ジムとオットーは、両手を挙げ、緊張と覚悟に大きく見開かれた目を、お互いの心の支えとしてしっかりと見つめ合いながら、一歩、また一歩と足を進めた。

オットーを見つめるジム - コピー.jpg

ジムに歩み寄るオットー - コピー.jpg

昨日歌い合った「きよしこの夜」のメロディの記憶が、二人の若者の、命をかけた歩み寄りの距離を縮めていく。


二つの塹壕の兵士たちは、息を呑んでその様子を見つめていた。

戦友は、撃たれずに進んでいく。彼を撃たない敵軍、戦友と同じ危険を冒して、こちらに歩いてくる敵軍の若者……。

やがてジムの後ろにイギリス兵たちが、オットーの後ろにドイツ兵たちが、続いた。


歩み寄る人々2 - コピー.jpg

雲の切れ目から薄紅色の光がのぞく空の下、クリスマスの朝に、人々が集った。

最初の一歩を踏み出した勇気のある若者同士が、しっかりと握手を交わした。


「ぼくはジム」

「ぼくはオットー」

少しぎこちない英語でオットーは言った。

「オットー、会えて嬉しいよ」

「ぼくも嬉しい」

それはドイツ語だったが、ジムには伝わった。


それからの彼らは、まるで古くからの仲間のように過ごした。

握手を交わす人々 - コピー.jpg

記念撮影 - コピー.jpg

握手をし、お互いの帽子を交換し、両国入り混じっての記念撮影をする人さえいた。

ただ着ている服と言葉が違うだけで、一緒に笑い合っていた。

(クリスマス休戦で実際に撮影された写真、左から二番目の人物はドイツ軍兵士)※Imperial War Museums動画より

一緒に写真におさまる英独の兵士たち - コピー.jpg


オットーに写真を見せるジム - コピー.jpg

ジムはオットーに大切な写真を見せた。

「ローズ、恋人なんだ」

「素敵な人だ」

オットーはドイツ語と身振りで、そう思っていることを伝えた。

やがて周囲から歓声が上がった、誰かがサッカーを始めたのだ。

行こう。

ジムはオットーの肩を叩いてゲームに加わった。



サッカーの試合 - コピー.jpg

サッカーの試合は白熱し、選手たちは思い切りぶつかり合っていたが、倒れても、誰も血を流していなかった。笑いながらすぐ立ち上がった。

観ている者たちも自軍を応援しながら、互いの良いプレーにも拍手を送っていた。

両軍に拍手を送る人々 - コピー.jpg

だが、温かなにぎわいを、遠くの鋭い音が断ち切った。

砲撃の音。

砲撃の音に気付いた人々2 - コピー.jpg

どこかで戦いが激しさを増している。

それは、こちらに向かってくるかもしれない。


あわただしく荷物をまとめ、兵士たちは自分たちの塹壕に戻る準備をした。それでも、別れの握手を交わすことは忘れずに。

別れの握手をかわす人々 - コピー.jpg

ジムは、試合中にオットーが脱いでいたコートを手渡した。

「ありがとう」

二人は真面目な顔で、もう一度しっかりと握手をした。

もう一度握手をするジムとオットー - コピー.jpg

「…よいクリスマスを」

ジムはそう言い、オットーもドイツ語で同じ言葉を返した。


やるせない思いで塹壕に降りてきたオットー。

コートのポケットに入れた手が何かに触れた。

何かに気づいたオットー - コピー.jpg

中に入っていたのは、水色の包み紙に銀色の文字のチョコレート。

チョコレートのプレゼント - コピー.jpg

ジムから、オットーへ。

命がけで塹壕から出てきてくれたことへの感謝をこめた、クリスマスプレゼントだった。

オットーは塹壕の向こうを見上げた。


塹壕に戻ったジム。

今、彼が持っている食べ物は、缶の中の一枚の薄く堅いパンだけ。

それでもパンを見つめるジムの目には、満ち足りた温かい光が宿っていた。

今、このパンだけになったのは、チョコレートを贈り物にしたから。

あの宝石のように光り輝いていたチョコレートは、オットーを笑顔にしてくれているはずだから。


乾パンを見つめてほほえむジム - コピー.jpg

ジムのプレゼントだと気づいたオットー - コピー.jpg




「Christmas is for sharing(クリスマスは分かち合うために)」

このメッセージとともに、真剣に作られた映画の、一番大切な場面を凝縮したような、心揺さぶられる、そして深く考えさせられる映像は、今も名作として語り継がれている。

当初は、クリスマスのコマーシャルとしては不適切ではないか(実際の戦争のエピソードを、企業がCMに使っていいのかなど)とも言われ、賛否両論があった作品だったそうだ。(※The Guardian記事より

しかし、こうして10年の月日も国も超えて、映像を観た私たちに、こんな人たちが互いに殺し合わなければならなかった戦争の残酷さと、人が「兵士」ではなく、人間同士として向き合ったときの心の交流の温かさを教えてくれた功績は計り知れない。

(それに現実問題として、企業の後押しがなければ、作品の配給で利益を得ることはできない、たった3分の映像に、これだけの人材を集め、セットや衣装などを準備することはできなかっただろう)

この作品は、ジムとオットーが、両手になにも武器を持たずに歩み寄ったように、国や時代や政治的思惑を切り離して、人と人との物語として考えたい。

歌、サッカー、チョコレート。

なにかで感情を分かち合えるなら、その人たち同士が殺し合う必要など、本当は無い。

もし、この日、彼ら自身が決めることができたなら、きっともう戦わなくて済んだ。

そこにいる人たちには感情を分かち合える可能性があるのに、そこにいない人間のプランに基づいて、分かち合うことの代わりに殺し合いを強制させられる、それが戦争。

けれど、そんな戦争の中でも、戦うのは生きた人間同士だったから、押し殺された心と心が、クリスマスをきっかけに解き放たれ、温かい交流につながった瞬間が、かつて本当に存在した。 

重要なのは、この出来事(クリスマス休戦)全体が伝えるメッセージです。それは、戦争の真っ最中の、最も困難な時期や、最も恐ろしい状況においてさえ、偉大な人間性が存在する可能性があるということです。

(アラン・クレーヴァ― 作家・第一次世界大戦研究者)CMメイキング動画解説より

この出来事は「110年前、第一次大戦中の戦線の一部で起きたこと」、「時間や場所が遠く離れた状況での話」、そんなふうには思わずに、こうした「人と人同士の真実の物語」として、今を生きる私たち自身の心の中に刻みたい。

一緒にサッカーをしながらみんなで大笑いした時間や、ジムがオットーにチョコレートを贈ったあとの満ち足りた笑顔のように、「誰かとなにかを分かち合えること」が、一番楽しく、心を豊かにしてくれる素晴らしいことだと誰もが思えたら、それをいつも忘れないでいられたら、あるいは、せめてそう思える人たちが自分たちで決めることができる世界なら、人は初めから戦争という選択をしないで済むのかもしれない。

そういう、平和への道筋が、つかのまでも本当に、垣間見えた瞬間だったのだから。

10年の月日が経ち、社会情勢が変わり、この作品にも、「偉大な人間性が存在する可能性」という言葉にも、10年前よりはるかに価値を感じる一方で、それだけ本当は心細くなっている今、もう一度放送してくれたら、そして、今度はこの作品に込められた思いとともに、世界中に広まってくれたらと思わずにはいられない作品だ。



(クリスマス休戦を伝える当時の新聞記事)
クリスマス休戦を伝える新聞見出し - コピー.jpg

(クリスマス休戦でのサッカーのエピソードに基づいて作られたイギリス軍とドイツ軍兵士の像)
クリスマス休戦でサッカーをする英独兵士の像 - コピー.jpg
Image Credit:BBC


【関連動画】
(作品メイキング映像)
The making of 1914 | Christmas Ad | Sainsbury's

(史実解説)
The story behind 1914 | Christmas Ad | Sainsbury's

(「Imperial War Museums」の史実解説動画(※遺体の映像が含まれています))


【関連作品】
クリスマス休戦をモチーフとした映画(2005年)

第一次大戦を題材とした傑作映画(1930年)


【参照】
Why do we associate robins with Christmas? (Scottish Wildlife Trust Molly Murray
Visitor Centre Assistant)

posted by pawlu at 19:32| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月08日

思い切ってビルボードライブでのマキシムのピアノライブコンサートに行ったときの頭の中


けれど行く前からもう緊張して、この漫画のコマが頭から離れなかった。
追い出されるクマ -.jpg
(事前にネットで情報収集したつもりでも、自覚が無いまま場違いな行動をしたために問答無用で追い出されるイメージ)

普段「洗練」とは程遠い暮らしをしていると、ライブレストランなどという外国の映画にしかないと思い込んでいた場所に、ピアノを聴きに行くなどという行為の心理的ハードルは、断崖絶壁の上の城壁よりも高い。

それでもどうにかチケットをとった後は、「ヌン。(出禁拘束)」に加えて、この場面もずうっと頭に浮かんでいた。
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本当に「がらでもないこと」だったので、行っても入るなり「ぬんぬん」と連行の果てにつまみだされるか、何らかの結界に弾き飛ばされるんじゃないかくらい緊張したけれど、むしろとても素敵な場所だった。

アメリカの芸能メディアブランド「billboard(ビルボード)」関連施設「Billboard Live横浜
ビルボードライブ横浜 - コピー.jpg
ビルボードライブ横浜カウンター - コピー.jpg
(上下画像出典:ビルボードライブ横浜HP

(ステージ外の壁には雑誌バックナンバーが飾られていた)
壁のディスプレイリサイズ - コピー.JPG
(ブログ筆者撮影)


みなとみらい線馬車道駅に直結でアクセス良好、スタッフの方たちもとても物腰柔らかにサポートしてくださった。
(ピアノコンサートだったので、お洒落な大人の観客のほか、ピアノを勉強しているのだろうなという若い方まで、年齢も服装もいろいろだった)

ライブによって異なるようだが、別のライブにはこういう説明があった。

❝【当日の服装に関して】

・本公演は、ドレスコード(服装指定)を設けさせていただきます。
Tシャツ、ショートパンツ、かかとの無い靴(ビーチサンダル、クロックス等)、CAP等、カジュアル過ぎる服装はご遠慮いただき、ジャケット・シャツ、襟付きの 服をベースとした服装でお越しください。 ※ヒールのある靴を履いてのご来場は問題ございません。


食事メニューの表紙にも音楽愛が行き届いている。
マイケルの絵のメニューリサイズ2 -.jpg
(ブログ筆者撮影)

(マイケル・ジャクソンを追悼特集した過去のビルボード誌の表紙らしい、すごく欲しい、ポスターとかグッズにしていただけないだろうか…)



1ステージ80分くらいの二回構成で、一般的なコンサートより短めかもしれないけれど、とにかく距離感がもの凄い。
(上の画像のピアノの位置にアーティストの方たちが出てくるので、感動を通り越して目を疑った)

私が行ったのは、超絶技巧のピアニスト、マキシムのコンサート。




過去の海外でのコンサート演奏動画
MAKSIM − Pirates of the Caribbean − Live at Mercedes-Benz Arena, Shanghai

MAKSIM − Mission Impossible − Live in Torino


こんなに美しい音楽の動画(しかも絶世の美男ピアニスト)を「殺人的歌声」と恐れられるジャイアンと同じページに引用するのは気が引けるが、「これだけ躊躇していた人間に、断崖絶壁の上の城壁級の心理的ハードルを超えて『がらにもない』一歩を踏み出させるだけの力を持った音楽はこちらです」、ということで。あとマイケルの格好良い絵も引用したので、それが埋め合わせということで許していただきたい。誰になんの言い訳をしているのかわからないけれど。

各国の公演動画にあるとおり、コンサートホールでの演奏活動が主な方なので、この距離で聴ける日が来るとは全く予想していなかった。

とにかく一生忘れられないだろうというくらい衝撃的な体験だった。

(あまりにもすごい音楽を生であの距離で聴くと、全身全神経が強制的にそれに殺到して、比喩ではなく本当に「目がくらむ」「心臓が波打つ」「息もできない」状態になる)

東京や大阪も同じように洗練された空間、近い距離で音楽を堪能できるらしい。

ビルボードライブ、音楽好きの方なら絶対おすすめの場所だ。

【当ブログのマキシムのライブ感想とおすすめ演奏動画集の記事】

本当に凄い演奏、そしてミュージックビデオとしても素晴らしいから、私の感想文はともかく動画だけでもご覧いただきたい


【参照】
 会場、ライブスケジュール、座席配置、食事メニューなどの情報。スタイリッシュな画像を見れば、なぜ私が足を踏み入れて大丈夫なのか不安がったかわかっていただけると思う。でも本当に大丈夫だったし、またぜひ行きたい。

【画像引用漫画】
現在「ちいかわ」で絶大な人気のナガノさんの食べ歩き漫画。
引用箇所は「カウンター天ぷら」を食べに行く前に必死でマナーの情報収集をしている場面。
こういう現実の場所や食べ物のレポ(高級天ぷらからカップうどんまで)にも、ユーモラスで鋭い状況と心理の描写が光る。「ちいかわ」好きの人にもおすすめ。
2巻には「ビルボードライブ東京」がある六本木ミッドタウンにお弁当を持ってピクニックに行く回もある)
引用箇所は「道に花を植えてきれいな町にする」というジャイアンの夢に対してのび太が放った失言。
 コールドプレイ「チャーリーブラウン」コマ - コピー.jpg
Coldplay - Charlie Brown (Official Video) ・『完全版 ピーナッツ全集 6』

  セントラルパーク・コンサート - サイモン&ガーファンクル

再結成ニュースサムネSkynews - コピー.jpg

モリコーネ 60 - エンニオ・モリコーネ


加古隆さん街角ピアノ - コピー.jpg
(画像出典:NHK HP

【当ブログ「クロアチア」のニュースご紹介記事】

クレペタンを待っているマレーナとステパンさん - コピー.jpg
Image Credit:Youtube
クロアチアの飛べなくなったコウノトリ、マレーナと、彼女を守るステパンさん、マレーナの夫になったクレペタンの物語

ラベル:音楽
posted by pawlu at 14:49| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月05日

クロアチア出身のピアニスト マキシム・ムルヴィツァ(MAKSIM)圧巻のbillboardライブコンサート

マキシム・ムルヴィツァ(MAKSIM)
Youtube冒頭画像 - - コピー.jpg

超絶技巧でクラシックからロックまで多彩な音楽を奏でる美貌のピアニスト、マキシム(MAKSIM)がライブレストラン「ビルボードライブ」に登場した。

(クイーンの「The Show Must Go On」のマキシム・ヴァージョン)



(大阪、横浜でのライブは終了、東京公演(六本木ミッドタウン)が11月7日2ステージ開催される)

(日本公演のトレイラー、曲はコールドプレイの「Clocks」)
MAKSIM is coming back to Japan!
世界的に活躍するクロアチア出身のピアニスト、マキシム・ムルヴィツァ(MAKSIM)がビルボードライブツアーを開催。クラシック音楽とポップ、ロックを融合させた独自のスタイルで知られ、情熱的かつダイナミックなパフォーマンスで世界中の観客を魅了する。今回のツアーは、日本国内での貴重な機会となるビルボードライブでの公演。伝統的なクラシック音楽を革新的に再解釈し、現代のリズムやテクノビートを組み合わせてアレンジするマキシムのショーはピアノの新たな可能性を引き出し、物語を紡ぐような感動を与える。唯一無二の卓越した技術と情熱的なパフォーマンスを体感して。

ビルボード東京HP内公演情報 MAKSIM “SEGMENTI” Billboard Live Tour 2024

私が観たライブでは、一曲演奏された後、観客の中から「(指の動きが速すぎて)残像しか見えない……」と呆然とした囁きが聞こえたが、まさに凄まじい音の乱舞。

最も速い旋律のときは、指の流れどころか手の輪郭すら目が追いきれなかった。
MAKSIM − In The Hall Of The Mountain King − Live
(劇音楽「ペール・ギュント」「山の魔王の宮殿にて」(1875)/E.グリーグ)


(映画「ミッション・インポッシブル」のマキシム・ヴァージョン 0:36〜頃からの高速のタッチが圧巻)
MAKSIM − Mission Impossible − Live in Torino

(驚異的なスピードの「Bumblebee」原曲はリムスキー=コルサコフ「熊蜂の飛行」)
Bumblebee

ライトを浴びて多彩な音とともに大きな手の残像が白く光るさまは、炎の閃きが明滅するような……この言葉でも十分ではない、とにかく見たことがない。

体幹の為せる業なのか、鋭い音とともに上半身が激しく動いても「ブレ」は一切無いのが印象的だった。

ビルボードは驚くほどステージと客席が近く、どこからでも演者がよく見える。
暗がりを照らすステージの照明に、この音を生み出すために鍛え抜かれた腕や肩の筋肉の陰影が浮かび上がって、まるでアスリートのようだった。


かつて戦禍のクロアチアで、音楽学校の地下室で演奏技術を磨いた経歴から「戦場のピアニスト」とも呼ばれたマキシム。

その集中力と技術が生み出す音は、爆発的エネルギーと透き通った流麗さを併せ持つ。

音楽は空間と人体を震わせる振動なのだとこんなに実感したことはなかった。

美しい音を浴びた心臓がビリビリと波立ち、鼓動が送り出す血が電流のような痺れを帯びたまま指先までかけめぐる、耳から入る美しい音と、皮膚にぶつかる空気の揺れで、思考が(それを形作る前の脳内の電気信号の状態で)奔流に呑まれていく。音に制されて、視覚の感触がうすらいでいく。
(吸い込む空気まで振動しているようだった。たぶん錯覚ではない。手を置いたテーブルからも、超音波の湧く液体のような小刻みな揺れが伝わってきた。もしも耳をふさいだとしても、その場のうねりを感じることができただろう)

速く大きい音ならそうなるというわけではなく、力強くも巧みな音階の高低やリズムの構成、強弱緩急が、空気を複雑な波状に揺るがし、体内にはっきりと響き渡る振動を生み出すのだろう。

(ゆるやかな演奏も情感に溢れている)
MAKSIM − All of Me [OFFICIAL VIDEO]

そしてこの音の複雑な震えが、「美しいと心打たれた時に早まる鼓動」や、「曲の感情に自分の思いを重ね合わせたときの心の動き」を増幅させ、共振に揺さぶられる。

曲が終わるたびに心臓の動悸を鎮め、忘れていた息を、次の演奏が始まる前に深呼吸で急いで確保する必要があった。
(その時は理由がわからなかったし気恥ずかしかったのだけれど、聴いているといつのまにか体が斜めにかしいだりのけぞったりしていて、こっそり直さなければいけなかった。けれど、そのうちその姿勢を正す意識もどこかにいってしまった。今思い返すと、あれが文字通りの「圧倒」だった。美しい音の響きの風のような圧を、全身に浴びたからだったのだ)

「音楽を聴く」というそれまでの意識を塗り替えたライブコンサートだった。

私が行ったときには、クイーンの「Show Must Go On」「ボヘミアンラプソディ」、コールドプレイの「Clocks」を聴けたので、音の広がりに魅了されながら、彼らのファンとしても感動した。

(「ボヘミアンラプソディ」マキシム・ヴァージョン 2023年公開イタリアでの演奏動画)
MAKSIM − Bohemian Rhapsody − Live


(コールドプレイの「Clocks」マキシム・ヴァージョン 2022年公開動画)
MAKSIM − Clocks − Coldplay 

(浮遊感のあるメロディの「Clocks」も、生演奏は、柔らかく端正な音運びの中にすさまじい迫力があった。今思い出しても目がくらむ感じがする)

そして演奏の節目には、お辞儀のために、ライトを浴びた2m近い長身の大変な美男が、暗がりを突き抜けるようにすうっと立ち上がるので、それまで聴いていた音と相まって、とにかく「凄い」。
(英語で曲の説明をしてくださるときの声は、長身のためか思いのほか響きが低く、華麗な演奏とは対照的な、静かな話し方をする方だった)

私が行った回の結びの曲は、あの方の演奏の中でも特に好きな「パイレーツオブカリビアン」で本当に美しかった。

(「パイレーツオブカリビアン」マキシム・ヴァージョン 2019年5月公開の上海での演奏動画)
MAKSIM − Pirates of the Caribbean − Live at Mercedes-Benz Arena, Shanghai

(「残像」級の高速で力強いタッチののちの、光とたわむれる清流のように滑らかな旋律に聴き惚れる〈動画1:30ごろ〉)

「ピアノのコンサート」、「飲食をしながら大人が楽しむスタイリッシュなライブレストラン」という二重に洗練された世界に、結界に足を踏み入れるほどの覚悟が必要だったけれど、期待以上の新しい体験で、行って良かった。もしまた来日してくださったら、必ず行きたい。
(今回の「ビルボードライブ」は演奏開始1時間前から開場で、その時間から飲食し、演奏を楽しむという構成。店員さんは、初心者の私にもシステムやメニューをとても丁寧に説明してくださり、安心して音楽に没入できた)

ビルボード東京HP内公演情報 MAKSIM “SEGMENTI” Billboard Live Tour 2024



マキシムの楽曲や動画の一部リンク。

MAKSIM − Game of Thrones [OFFICIAL VIDEO]

MAKSIM − Exodus − Live


Maksim Mrvica - The Godfather Theme (HD)

(英語のクラシック音楽ニュース、「世界最速のピアニストの一人」として紹介、クロアチア動乱期の練習についてもインタビューしている)
Maksim Mrvica: one of the fastest pianists in the world






【参照】

2メートル近い長身と端正な顔立ちで、日本をはじめ、アジア各国やヨーロッパなどでも熱狂的な人気を誇るマキシムは、1975年5月3日、クロアチアのアドリア海沿岸にあるシベニクという美しい街の生まれ。6歳で初めてピアノに触れ、9歳で音楽学校に入学。マリア・セスコのもとでピアノのレッスンを受け始め、12歳でオーケストラをバックに演奏。1991年、ユーゴスラビア紛争が勃発。彼の住む街も戦渦に巻き込まれましたが、そうした過酷な環境のなかで、彼は明日への希望をピアノに託し、音楽学校の地下室で練習を続け、1993年にクロアチアの首都ザグレブで開催された初めての本格的なコンクールでみごと優勝!! 一番戦火の激しかった地域からの出場者が優勝したことに会場の誰もが驚き、“戦場のピアニスト”と呼ばれるようになりました。

このコンクールでの優勝を契機に、マキシムはザグレブの音楽学院に進学。アルトゥーロ・ベネディッティ・ミケランジェリの弟子でもあったウラジミール・クルパン教授に5年間師事。さらに、その後の1年間をハンガリーの首都ブタペストにあるリスト音楽院で学び、その在学中にニコライ・ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクールで優勝。2000年にはパリに移住し、イゴール・ラツィコのもとでさらなるレッスンを重ね、2001年にはポントワーズ・ピアノ・コンクールにおいてもみごと優勝を果たしています。

こうした数々のコンテストでの優勝により、実力が認められたマキシムは、2003年にEMIクラシックスと契約。同年にリリースされたアルバム『ザ・ピアノ・プレイヤー』で衝撃的な世界デビューを飾り、その後もコンスタントにアルバムを発表。日本を含めたアジア圏内でも爆発的人気を集め、彼のアルバムは常にシンガポール、マレーシア、インドネシア、中国などではゴールド・ディスクに輝き、台湾と母国クロアチアではプラチナ・ディスクを獲得。香港ではダブル・プラチナに輝き、HMVインターナショナル・ポップ・チャートで12週間連続NO.1に輝くという大記録を打ち立てています。これまでのアルバムの総売り上げ枚数は、日本では40万枚以上、全世界では400万枚以上をそれぞれ記録。YouTubeにアップされた彼の映像は、全世界で1,100万回以上も再生され、世界中で一大旋風を巻き起こしています。




マキシム・インスタグラムアカウント




マキシムがアレンジしたクイーンとコールドプレイの曲
The Show Must Go On (Remastered 2011)


Clocks (コールドプレイ)


【当ブログ 音楽関連記事(一部)】

(このライブに行く前の緊張とビルボードライブ横浜の雰囲気をご紹介)

ウォード兄弟チャールズー re - コピー.jpg

・映画「ボヘミアンラプソディ」の重要シーンとイギリスのスタジオ「エア・スタジオズ・リンドハーストホール(AIR Studios Lyndhurst Hall)」

(引用枠付き)練習シーン - コピー.jpg


フレディ・マーキュリーの母親、ジャーさんの語る思い出

笑顔のジャーさん - コピー.jpg


フレディ・マーキュリーの素顔(クイーン)

フレディーの実家2(映画) - コピー - コピー.jpg


チャーリー・ブラウンとコールドプレイが歌う2つの名曲(「Charlie Brown」「Something Just Like This」)

 コールドプレイ「チャーリーブラウン」コマ - コピー.jpg
Coldplay - Charlie Brown (Official Video) ・『完全版 ピーナッツ全集 6』


  セントラルパーク・コンサート - サイモン&ガーファンクル

再結成ニュースサムネSkynews - コピー.jpg

モリコーネ 60 - エンニオ・モリコーネ


加古隆さん街角ピアノ - コピー.jpg
(画像出典:NHK HP


【当ブログ「クロアチア」のニュースご紹介記事】

クレペタンを待っているマレーナとステパンさん - コピー.jpg
Image Credit:Youtube
クロアチアの飛べなくなったコウノトリ、マレーナと、彼女を守るステパンさん、マレーナの夫になったクレペタンの物語

ラベル:音楽
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2024年09月10日

映画「フィールドオブドリームス」の作家テレンス・マンのことば(追悼 名優 ジェームズ・アール・ジョーンズ氏)


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アメリカ不朽の名作映画「フィールド・オブ・ドリームス」(1987年)で、作家テレンス・マンを演じた名優、ジェームズ・アール・ジョーンズ氏が、2024年9月9日に93歳でこの世を去った。

世界的な人気映画「スター・ウォーズ」のシリーズで、主人公の宿敵、ダース・ベイダー役の声を演じたことなどで知られるアメリカの俳優、ジェームズ・アール・ジョーンズさんが亡くなりました。93歳でした。

ジェームズ・アール・ジョーンズさんは、アメリカ南部ミシシッピ州の生まれで、長年にわたって映画やテレビドラマ、ブロードウェイの舞台など幅広い分野で活躍してきました。

中でも、世界中に熱狂的なファンを持つ「スター・ウォーズ」のシリーズで主人公の宿敵、ダース・ベイダー役の声や「ライオン・キング」で主人公の父親「ムファサ」役の声を演じ、その特徴的な重厚感のある声で多くのファンに親しまれました。

また、「レッド・オクトーバーを追え!」や「フィールド・オブ・ドリームス」など数多くの話題作に出演し、アメリカで、優れたテレビ番組などに贈られるエミー賞や、演劇界で最高の栄誉とされるトニー賞、それに映画のアカデミー名誉賞を受賞しています。

複数のアメリカメディアによりますと、ジョーンズさんは9日、東部ニューヨーク州の自宅で、家族にみとられながら息を引き取ったということです。

フィールド・オブ・ドリームス」は、不思議な声に導かれてトウモロコシ畑に野球場を作った男レイ(ケビン・コスナー)と、そこに天国から訪れる亡き野球選手たちの物語。

(畑で謎の声を聴くレイ)
それを作れば彼はやって来る - コピー.jpg
(トウモロコシ畑の野球場にやってきた選手たち)
やって来た選手たち - コピー.jpg

アール・ジョーンズ氏は、レイに頼まれて野球場を見に来た、引退した往年の作家「テレンス・マン」を演じていた。

1960年代に平和と自由を求めて活動していたテレンス・マンは、やがて変わってしまった時代と人々に失望して、長年表舞台から姿を消していた。

60年代に帰れ - コピー.jpg

当初、訪ねてきたレイにも非常に冷淡な態度をとっていたが、レイに懇願されて行動をともにするうちに、少しずつ心境に変化が訪れる。

レイと一緒に悲運の野球選手「ムーンライト・グラハム」を探し、地元の人たちから、既に亡くなっていたグラハムの思い出話を聞くときや、レイが疎遠なまま死に別れてしまった父親に抱く思いに接したときの静かな表情と声。

アール・ジョーンズ氏がテレンス・マンを演じてくださったから、映画の感動が、より深くなった。

(野球選手を引退したあとの「ムーンライト・グラハム」は、医者になり、生涯町に尽くした。グラハムの人柄を懐かしむ町の人に、温かい微笑みを浮かべるテレンス・マン)
グラハムの思い出を語る町の人 - コピー.jpg
町の人の話を聞くテレンス・マン - コピー.jpg

(旅の途中、レイが父にひどいことを言ってしまって後悔していると聞かされたテレンス・マンは、父の英雄だった選手たちの野球場のために奔走しているレイに「これがその罰だよ」と、そっと言う。「罰」という言葉に責める響きはなく、柔らかないたわりがある)
親父は戻らない - コピー.jpg
これがその罰だよ - コピー.jpg


彼の見事な演技は、ほかの数々の名作とともに、「『フィールド・オブ・ドリームス』のテレンス・マン」として、映画に心を打たれた私たちの思い出の中に、生き続ける。

感動を下さったことへの、心からのお礼として、テレンス・マンがレイに語り掛けたことばをご紹介させていただく。


【場面紹介】(※注:作品後半部重要シーン)

トウモロコシ畑を野球場にしたことで破産の危機に直面したレイは、義兄マークに畑を売り渡すよう、書類にサインを迫られる。

マークには、今、目の前で野球を楽しむ天国からきた選手たちの姿が見えない。売り渡せば野球場は潰される。

その時、レイの娘のカレンが言った。
畑を売ることはない。
「皆が、来るわ」

アメリカ中からここに人が集まってくる。そしてお金を払って、天国から来た選手たちの野球を観る。
だから畑を売らなくても大丈夫。

マークはカレンの話を聞こうとしなかったが、テレンス・マンも言った。

「レイ、皆、やって来るよ」

(テレンス・マンの言葉)
Field of Dreams (5/9) Movie CLIP - People Will Come (1989) HD

何かにひかれてアイオワに来る。
なぜかわからず君の家を目指し、
無心な子供に立ち返って、過去を懐かしむ。

君は言う「遠慮せず、どうぞごゆっくり」
一人、20ドル。
皆、当たり前のように払うよ。

金はあるが、心の平和がないのだ。

彼らはここに座る。
素晴らしい天気の午後、シャツ姿で…。
そして…ベースラインの近くに席があることを思い出す。
子供のころ、そこから自分たちの英雄たちを応援した。
そして試合を観る。
魔法の水に身を浸している気分でね。
手で払いのけるほど濃い思い出が甦る。

皆、やって来るよ、レイ。

長い年月、変わらなかったのは野球だけだ。
アメリカは驀進する。
スチーム・ローラー。
すべてが崩れ、再建され、また崩れる。
だが野球はその中で踏みこたえた。
野球のグラウンドとゲームは、
この国の歴史の一部だ。

失われた善が再び甦る可能性を、
示してくれている。

皆、やって来るよ。
間違いなく、やって来る。

驀進するアメリカの中で、それでも踏みこたえた野球のように、時代の波の中で失われかけた善もよみがえる。

それを必要としている人たちがいて、それを探し求めて、皆、やってくる。

失われた善、金と引き換えにした心の平和、それを思い出すために。

テレンス・マンは、レイとの旅、そしてトウモロコシ畑の中の野球場を見たことを通じて、一度は心から消し去ろうとした、アメリカという国と、そこに生きる人々への信頼を取り戻していた。

この国には「皆」がいる。
この野球場の価値を、「善」と「心の平和」の大切さを、わかってくれる「皆」が。

集まってきた選手たちの存在を背中に感じながら、テレンス・マンの声は、彼個人を超え、より大いなるものからの呼びかけのように、低く静かに、だが、力強く、レイに語り掛けた。

「皆、やって来るよ。間違いなく、やって来る」

アメリカは驀進する - コピー.jpg
金はあるが心の平和がないのだ - コピー.jpg
テレンス・マンと選手たち - コピー.jpg
間違いなくやって来る - コピー.jpg





【アール・ジョーンズ氏のもうひとつの名作映画「輝きの大地」(1995年 アメリカ・南アフリカ)】


(白人の大地主ジャービス(リチャード・ハリス)と神父クマロ(アール・ジョーンズ))
輝きの大地1995 - コピー.jpg

「輝きの大地」は人種差別に翻弄された1946年南アフリカが舞台。

強盗殺人事件の加害者と被害者、それぞれの父親の苦悩の果ての対話を描いた作品。

アール・ジョーンズ氏は、加害者の父、クマロ神父を演じた。

映画「輝きの大地(Cry, The Beloved Country) 」の英語版トレイラー(BGMはEnyaの「Exile」
Cry, The Beloved Country (1995) Trailer


【映画あらすじ】

ヨハネスブルクに出て消息不明になった息子が強盗殺人の犯人として逮捕されたという知らせを受け、刑務所に駆けつけたクマロ神父。
被害者は白人の社会福祉家で、黒人の貧困を救済しようと尽力していた人物だった。
一方、被害者の父親ジャービス(リチャード・ハリス)は、人種差別に疑問を持たない大地主だったが、事件をきっかけに、平等な社会を目指していた息子の思いを知ることになる。

クマロ神父が、ジャービスと偶然出会って激しく動揺する場面と、その後の二人の会話が忘れ難い。

差別による社会の荒廃がなければ起こらなかったはずの事件を裁く場面は、観ていて息が苦しくなるが、雄大な風景と、そこを吹き渡る風のような美しい音楽、名優二人の渾身の演技に心揺さぶられる。

そして、緑の大地で独り祈るジョーンズ氏の声が、一音一音、心臓に響く。

(南アフリカのTV放送局「SABC」で映画が放送されたときの予告編動画)

日本ではDVD化されていないのか、今は入手困難、レンタルでもなかなか出会えない作品だが、ぜひもう一度観たい。NHKで放送していただけたらと思う。



【海外の訃報ニュース】

ジョーンズ氏の映画代表作のほか舞台での演技も観られる。

(悲しいのに、こんな時でも「なんて存在感のある演技と良い声だろう」と、見とれ聴き惚れる)
New York City remembers the legendary James Earl Jones


【当ブログ関連記事】

映画「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年アメリカ映画)あらすじと2021年メジャーリーグゲームの動画ご紹介

(映画トレイラー)

映画のあらすじと、映画撮影のために作られたトウモロコシ畑の野球場を、実際にMLBの公式戦で使用した2021年「フィールドオブドリームスゲーム」についてご紹介した記事(※一部内容重複)


【参照】
'#RIP dad': Mark Hamill honors James Earl Jones with Darth Vader reference(TODAY News Sept. 10, 2024, 8:01 AM GMT+9 / Source: TODAY By Liz Calvario)



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2024年08月28日

NHK「アナザーストーリーズ」がサイモン&ガーファンクルのセントラルパークコンサートを紹介

予告編不可能と言われた再結成 - コピー.jpg
NHKのBS1で、1981年のサイモン&ガーファンクルのセントラルパークコンサートのドキュメンタリーが放送される。
(画像引用:NHK 「アナザーストーリーズ」、以下同)
「復活 〜サイモン&ガーファンクルとセントラルパーク〜」(「アナザーストーリーズ」)
初回放送日:BS1 2024年9月2日 午後6:45〜午後7:30

1981年9月、ニューヨークで伝説となるコンサートが開催された。この街で生まれ育ち、街の姿を歌に紡いできたサイモン&ガーファンクルの復活コンサート。しかし当時、二人は10年に及ぶ解散状態にあった。そして舞台となったセントラルパークはニューヨーク市の財政危機から荒廃、治安も悪化し、窮地に陥っていた。セントラルパークを救うため二人を同じステージに立たせるプランが浮上。復活と再生をかけた二つの物語。

アメリカ・ニューヨーク市出身のサイモン&ガーファンクルは「明日に架ける橋」など数々のヒット曲を世に送り出しながら、1972年以降解散状態にあった。

(「明日に架ける橋(Bridge Over Troubled Water)」の音楽動画)
Simon & Garfunkel - Bridge Over Troubled Water (Audio)

セントラルパークをサイモン&ガーファンクルの再結成コンサート会場にする計画の依頼を受けたプロモーターは、二人の説得にあたるが、当時の彼らの関係は最悪で、それは困難を極めることになる。(参照:番組紹介HP)
二人の関係は最悪だったリサイズ - コピー.jpg


40年以上を経た今も語り継がれる名コンサートが生まれるまでの、葛藤と紆余曲折が語られる番組。
復活サイモン&ガーファンクルとセントラルパークリサイズ - コピー.jpg



Youtubeの「サイモン&ガーファンクル公式チャンネル」ではこのセントラルパークコンサートでの19曲のパフォーマンスが公開されている。

こんなに美しいハーモニーなのに、二人がそれまで深刻な不仲だったとは本当に意外だ。

・幕開けの曲「ミセス・ロビンソン」

・「ボクサー」


・「明日に架ける橋」「天使の歌声」と言われたガーファンクルの声と温かなピアノ演奏が美しい
Simon & Garfunkel - Bridge over Troubled Water (from The Concert in Central Park)
(「彼はただポケットに両手を突っ込んでそこに立ち、音楽史史上最も偉大な歌声を届けた」という、動画に寄せられた、思いの溢れたコメントが、すべてを物語っている)

・「スカボロフェア」ざわめきに震える水面のような旋律の中に、戦争の悲しみがこもっているとも言われている

「サウンドオブサイレンス」

(Youtubeチャンネル内の楽曲プレイリスト一覧リンク)Simon & Garfunkel: The Concert in Central Park


【当ブログ音楽関連記事(一部)】 

サイモン&ガーファンクル コンサート イン セントラルパーク NY 1981 BSプレミアムで放送

(このコンサートの一部演奏動画と曲の意味についてご紹介させていただいた記事)


サイモン&ガーファンクルの名曲「サウンドオブサイレンス」をヘヴィメタルバンド「ディスターブド(Disturbed)」がカバー

(一部歌詞の意訳と、オリジナル動画、10億回再生を記録(2024年8月28日現在)し、ポール・サイモンご自身が公式に紹介したディスターブドの傑作カバー曲動画をご紹介。本当に美しいのでぜひ聴いていただきたい)


イギリス伝説のロックバンド「オアシス」再結成、2025年7月から英国ツアー開始(おすすめ音楽動画と情報リンク集)

(2024年8月27日に15年間の決裂から突然の再結成を発表した「オアシス」の当日時点情報と動画を集めた記事)




【参照URL】
・サイモン&ガーファンクル公式Youtubeチャンネル

・セントラルパークコンサートの英語版ウィキペディア記事


ラベル:音楽
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2024年08月27日

イギリス伝説のロックバンド「オアシス」再結成、2025年7月から英国ツアー開始(おすすめ音楽動画と情報リンク集)

再結成ニュースサムネSkynews - コピー.jpg
オアシス再結成のニュース動画より、左が弟リアム、右が兄ノエル

2024年8月27日日本時間午後4時に発表された、再結成ツアーのX(旧Twitter)ポスト



1990年代伝説のロックバンド「オアシス」が、2009年の決裂(ノエル脱退による活動停止)後、15年を経て、再結成されることが発表された。

メンバーでともにボーカルでもあるノエルとリアム「ギャラガー兄弟」は「世界でいちばん仲が悪い兄弟」と言われ、繰り返しの再結成のうわさを、主に兄ノエル(作曲、ギターも担当)が否定してきた。

しかし、前日にオアシス公式「X」で「2024年8月27日午前8時」とだけ書かれたポストがされて以来、「再結成か?」とニュースが駆け巡り、世界中のファンが固唾を飲んで見守る中、ついに悲願が実現した。



(正直このツーショットが公式に発表されるまで、ファンの夢が生み出した合成画像じゃないかとすら思った)




コンサートの開始直前キャンセルまで引き起こした壮絶な兄弟喧嘩、息をするように織り込まれる放送禁止用語入りの毒舌など、トラブルを連発したことで知られるギャラガー兄弟だが、イギリスでは知らない人がいない名曲「Don’t Look Back In Anger」(1995) 、日本でも繰り返しCMで使用された「Whatever」(1994)など、曲は聴く者の胸を熱くする。

(そして、以後15年ずっと、この、痛みの底から湧き上がってくる温かさややるせなさ、自由を掴もうとする心の感触を呼び起こす音楽を、ほかのだれかの曲が上書きし、オアシスの存在を埋もれさせることは無かった)

今回はイギリスとアイルランドでのツアーの日程だけが明かされているが、これはそこから始まるワールドツアーの一部だという示唆もあるそうだ(BBC記事より)。

ついに2025年10月25、26日東京ドーム来日公演も決定した(※2024年11月22日追記)





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以下、おすすめの楽曲、ドキュメンタリー映画、インタビューの動画などをご紹介させていただく。



Don't Look Back In Anger (Official HD Remastered Video)

ボーカルは兄ノエル、よく通るのに、呟きや囁きのような響きを持つ、独特の高音の持ち主

2009年フジロックでの演奏も感動的。大雨の直後の湿気を含んだ空気の中、優しい声とギターの音色が、人々の大合唱に染みわたっていく。
Oasis - Don't Look Back In Anger (Live @ Fuji Rock Festival '09)



Oasis - Whatever (Official Video)

弟リアムのボーカル、放り投げるような歌い方の中に、過ぎ去った懐かしい日々のような空気を醸す。適当そうを通り越して面倒くさそうにすら見えるのに、声は力強く温かい。

不仲になる前の二人とメンバーの姿、楽しそうに演奏するオーケストラの人々の様子も魅力的。


Oasis - The Masterplan(1998)

ノエルがボーカル。

彼らの生まれ育ったマンチェスターの当時の空気感を含むアニメ動画。
イギリスの労働者たちの街と群衆を描いた画家、L.S.ラウリーの作風をオマージュしている

閉塞感と希望が交錯する音楽と映像で、動画作品としても素晴らしい。

アニメの中でマンチェスターの町を歩くオアシスのメンバーの先頭、ふんぞりかえって歩いているのは弟リアム。

今でも本当にこんな感じの人。



Oasis - Live Forever (Acoustic) MTV 1994 (HD)

1994年のMTVでのパフォーマンス。
シンプルな音がとても優しく響く。
メインボーカルはリアム、高音コーラスはノエル。二人の声の個性がよくわかる。


オアシス全盛期は1日1曲の爆速レコーディングだった/映画『ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ』本編映像

2020年のドキュメンタリー映画『ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ』でリアムがインタビューに答えている場面。

ロックフィールドは農場に作られた音楽スタジオで、オアシスのほか、クイーン、コールドプレイなど数々のバンドが収録に訪れた。

不仲真っ最中なので、ノエルはこのドキュメンタリーには登場していない。

金銭面でも物理でも壮絶な喧嘩をしていながら、1995年という時代とみんなで作った音楽について、ロックフィールド滞在中にノエルと大乱闘になってぶん殴られた話まで含め、懐かしそうに語っているリアム。

そこには、他の家族間トラブルで見られる、ひたすら蝕まれるだけの確執とは別のなにかが垣間見える。 

そして、これがオアシスの音楽と、ギャラガー兄弟のキャラクターが、いつまでもファンを惹きつける魅力のひとつなのだろう。


(警察沙汰レベルの騒ぎの傍ら、これらの名曲が生まれた)
Oasis - Wonderwall (Official Video)

Oasis - Champagne Supernova (Official Video)

(個人的な話だけど、このロックフィールドのドキュメンタリーでオアシスとコールドプレイのファンになったので、この作品にものすごく感謝している)


リアムvsノエルの最低で最高な兄弟喧嘩、オアシス解散の一部始終/映画『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』本編映像

ノエル脱退後、公私どん底に陥ったリアムの道のりを追った2019年のドキュメンタリー映画の予告編。

オアシスが壊れていく過程と、リアムにとってのノエル不在の意味が描かれている。

(こうして動画のタイトルになっているし、リアムご本人がそう言っているから、失礼ながら書いちゃうけど、ほんとうに「最低で最高」というフレーズほど、この御方と彼らの大喧嘩に合うものはない)


Noel Gallagher's High Flying Birds - Council Skies (Official Video)

ノエルがオアシス脱退後結成した「ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バード」の曲(2023年アルバムリリース)。

「カウンシルスカイズ」とはイギリスの公営住宅から見た空という意味。

ファンが、「まるで熟成したワインのようだ」と讃える深みを増した声で、軽やかで優しいメロディに乗せ、マンチェスターの普通の人々の人生と愛を歌っている。

曲の空気は大きく異なるが、人々への眼差しは「The Masterplan」に通じるものがある。




Liam Gallagher - For What It's Worth (Live At Air Studios)

2017年発表の、リアムのソロ作品。

「自分は昔からこんな奴だった。もう手遅れかもしれないけれど、謝りたい」という、「誰か」への思いを歌っている。

若い頃のリアムは才能に溺れて無茶をし、プロ意識が高いノエルを激怒させていた。

あの頃を振り返って、ノエルに謝罪しているようにもとれる曲。

パワフルな歌声とコントラストを成す繊細な美しさの部屋は、教会を改築したロンドンの有名レコーディングスタジオエアスタジオズ・リンドハースト・ホール


Oasis - Acquiesce (Official Video)

ノエルとリアムが交互に歌う曲、なぜか日本人のコピーバンドが歌っているPVになっている。

オアシスの音楽は、90年代当時から日本でも人気が高かった。それに日本の若者が感じるだろう息苦しさに、オアシスの曲は特別な染み方をする。きっと今でも。

互いを必要としている者同士の歌。おそらく2025年夏のツアーで歌われるだろう。





Oasis - Oasis Live '25 [Official Trailer]

【参照】
・Oasis 公式X再結成アナウンスポスト

Oasis tickets and pre-sale ballot - everything you need to know about reunion(BBC) Bonnie McLaren and Annabel Rackham 2024年8月27日
(再結成後のツアーの情報)


Oasis reunite after 15 years to announce 2025 world tour(BBC News ニュース動画つき)

・Gallagher brothers tease Oasis reunion (BBC News) Share Tom McArthur & Noor Nanji 2024年8月27日



(オアシスの歴史とノエル脱退の経緯がまとめられた2024年7月末時点記事)

(オアシスの凄さと名曲の解説をした、PV動画つきSony Musicの記事)


世界でいちばん仲の悪い兄弟が激突! 小倉エージの「知新音故」 知新音故 小倉エージ Aera.dot 2017/12/22/ 16:00
(オアシスの音楽とギャラガー兄弟のキャラクター、ノエル脱退後のノエルとリアムそれぞれの音楽活動が学べる記事「世界でいちばん仲の悪い兄弟」というキャッチフレーズが素敵)


(ノエルへの2023年インタビュー。インタビュアーの方が丁寧な質問で、ノエルの曲作りの姿勢などを聞き出してくれている。楽曲動画も多く、「ハイフライングバード」での活動がよくわかる)



【当ブログ 音楽関連記事】
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ウォード兄弟チャールズー re - コピー.jpg

・映画「ボヘミアンラプソディ」の重要シーンとイギリスのスタジオ「エア・スタジオズ・リンドハーストホール(AIR Studios Lyndhurst Hall)」

(引用枠付き)練習シーン - コピー.jpg


フレディ・マーキュリーの母親、ジャーさんの語る思い出

笑顔のジャーさん - コピー.jpg


フレディ・マーキュリーの素顔(クイーン)

フレディーの実家2(映画) - コピー - コピー.jpg


チャーリー・ブラウンとコールドプレイが歌う2つの名曲(「Charlie Brown」「Something Just Like This」)


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2024年08月19日

野生動物カメラマンにぴったりと寄り添うチーター画像(2ch動物スレまとめ動画より)


カメラマンに見とれるチーター「ええ男やわ〜」リサイズ - コピー.jpg
Image Credit:Youtube/
「『なんか雰囲気ちゃうけどええ男やわ〜』とか思ってそう」
(Youtubeの「2ch動物スレ動物動画まとめ内コメントより」)

  かわいいし、コメントもなんとも秀逸。(ただ怒らせたら軽傷ではきっと済まない)

(※チーター以外にもライオンなどの動物動画に感想&ツッコミを寄せているページのまとめ動画)

 チーターとカメラマン氏の画像出典は、たぶんイギリスDaily Mailのこちらの記事

 記事によると、南アフリカで、一度人に救助されたことがある(今は自分で獲物を捕って暮らしている)、雌のチーター「ムトンビ(Mtombi)」が、野生動物カメラマンのクリス・デュ・プレシ氏を見つけて近づいてきたそうだ。

 クリス氏はプロの野生動物カメラマンとして必要な用心はしていたけれど、そのチーターは、約5分間猫のように喉をゴロゴロさせて、彼に体温が伝わるほど寄り添いながら、とてもリラックスしている様子だった。

(確かに明らかに好意的)
寄り添うチーター 切り取り - コピー.jpg
(画像引用:Daily Mail

 チーターはシャープな身のこなしと容姿のイメージに反して、ネコ科の猛獣の中では最も人慣れしやすいと言われている。

 昔、人間に親切にしてもらった記憶と、クリス氏がプロカメラマンとして身に着けた、自然と調和した空気が、彼女を惹きつけたのかもしれない。

 記事では、彼女がクリス氏にナデナデされてうれしそうな様子も映る一方、耳をピンと立てている姿も紹介されている。

 実はこの近くにライオンの群れがいて、彼女はそれを察知していたようだ。

 もしかして「『ええ男やわ〜』と思っている」半分、「近くにライオンいるから、念のため傍で見ててあげましょ」半分で寄り添っていたのかも。

カメラマンによりそうチーター(Daily Mail)リサイズ - コピー.jpg
(画像引用:Daily Mail

 クリス氏が撮影したチーターの画像6枚が観られるDaily Mail記事はこちら。とても優美で、そしてかわいい



当ブログのチーター動画ご紹介記事。

アッテンボローさんとチーター2 - コピー (2) - コピー - コピー - コピー.jpg
世界的に知られるアッテンボローさんの名解説でほめられながら、きれいなチーターがとても満足げに喉をゴロゴロさせている。


【参照】


By Ted Thornhill Published: 11:36 BST, 13 January 2014 | Updated: 11:46 BST, 13 January 2014





当ブログの(少しだけ)チーターに関連する記事
カメラを着けたチーター - コピー.jpgレンズはネコについた - コピー.jpg
(自然番組の「野生動物に小型カメラをつけてもらう撮影方法」に似たひみつ道具が登場するお話)



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2024年07月13日

NHK「ジュラ紀の怪物!プリオサウルス」(「イギリスの国宝」デイヴィッド・アッテンボローさん解説のドキュメンタリー)

 NHKEテレの「地球ドラマチック」で、BBC自然番組のレジェンドプロデューサー、デイヴィッド・アッテンボローさん解説の巨大恐竜番組が放送される。(BBC Studio制作番組)

BBC放送時の映像(英語音声・英語字幕表示可)
The Tyrannosaurus Rex of the Seas | Attenborough and the Giant Sea Monster | BBC Earth

BBCでの番組放送2023年時点で97歳ごろのアッテンボローさんご本人が、取材に赴いている。

(放送予定)
(見逃し配信)

 恐竜が繁栄していたジュラ紀。巨大な捕食者として海を支配していたのは、大きな顎と牙のような歯を持つ爬虫類、プリオサウルス類だ。発掘された化石から、謎多き生態に迫る イギリスの海岸に眠っていた1億5000万年前プリオサウルスの化石の発掘現場に密着!骨格を詳しく調べることで、その生態に迫る。発掘された化石は頭の部分だけでも長さが2メートル。研究者によると、全長はおよそ12メートルにもなるはずだという。巨大な怪物は、どのように海を泳ぎ、餌を捕獲していたのか?化石の骨格をもとに、狩りの様子をCGで再現!ジュラ紀を生きた巨大生物の全貌に迫る(イギリス2023年) c BBC Studios

 自然番組プロデューサーとして60年以上の驚異的キャリアを持ち、「イギリスの国宝」と呼ばれる最高の紳士が、海のモンスターの生態を追う必見のドキュメンタリーだ。

 BBCでの番組原題は「Attenborough and the Giant Sea Monster」で、タイトルに「アッテンボロー」と入るくらい「この方が解説している」こと自体がイギリス人にとっては大切な意味がある。
(だからNHKにひとつだけ注文をつけさせていただくなら、この番組の解説者がアッテンボローさんだと声を大にして宣伝していただきたかった。わからないとファンはすごく困る。私はとても困る)

(アッテンボローさん98歳のお誕生日をお祝いしたBBCの特別動画、長年の素晴らしい功績の数々がダイジェストで98秒に凝縮されている)
98 years of Sir David Attenborough in 98 seconds ❤️ | David Attenborough's Birthday - BBC

(アッテンボローさんの最新著書、自ら世界中を取材した経験と共に、環境問題とわたしたちにもできる取り組みを、わかりやすく解説した名著)

 今回は二重音声放送なので、アッテンボローさんの英語も、吹き替えと併せてお聴きいただきたい。
素晴らしいお人柄と、学者としての知性に裏打ちされた、温かな品格と熱意がこもる、まさに唯一無二の声だ。
(さすが、吹き替え版もとてもよく雰囲気がでているけれど、ファンとしてはご本人の声のすばらしさも、ぜひとも知っていただきたい)

同番組内で、プリオサウルスの生態について研究者に取材するアッテンボローさん
T-rex vs pliosaur 🦖 | Attenborough and the Giant Sea Monster - BBC

 こうしてご本人が登場する番組のほか、ナレーターとしても超有名な方で、この方のナレーション入り作品は、必ずそのことが大きく明記される、それだけの世界的知名度と価値があるからだ。

 こちらは、アッテンボローさんがナレーションを担当されたBBCのドキュメンタリー「Mammals(哺乳類たち)」(2024)公式トレイラー 
Mammals – Official Preview ft Coldplay | Trailers - BB

音楽は世界的ロックバンド、コールドプレイの名作「Paradise」(2011)をこのトレイラー用に再録したもの。

息を呑む映像に重なる、アッテンボローさんの厳かで暖かなナレーションとクリス・マーティンの優しく伸びやかな歌声の響き合いが本当に美しい




【関連動画】

(プリオサウルス発掘の様子とドーセット海岸の様子が紹介されている動画)
Pliosaur discovery on Jurassic Coast is 'very likely a new species'

150-Million-Year-Old Giant Sea Monster Found In Dorset Cliff



【参照記事】



posted by pawlu at 21:09| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年04月01日

ケンブリッジの名門合唱団が直面した、天使の歌声の危機と解決策(エイプリルフール動画〈※絶対に真似しないでください〉)

※注意:エイプリルフールのジョーク動画です。実際には非常に危険な行為なので絶対に真似しないでください

(キングス・カレッジ合唱団が重要な変更を発表した動画〈※ウソ〉

 ケンブリッジ大学所属の「キングス・カレッジ合唱団」は、15世紀に設立された、イギリスで最も有名な合唱団のひとつ。

 少年合唱団と大学学部生で構成され、彼らが歌声を披露するキングス・カレッジ・チャペルのクリスマスミサは、BBCでテレビ放映される。

(キングス・カレッジ・チャペル)

Kings_College_Chapel,_Cambridge,_July_2010_(01) - コピー.JPG

Image Credit:Wikipedia(Author Ardfern)

 ところが、この歴史と伝統ある合唱団が、WEB配信も大好評だった矢先の2014年に深刻な危機を迎えた。

 諸事情による規制で、天使の歌声を持つ少年たちを参加させることができなくなったのだ。

「大変残念なことです。少年たちの高い歌声は、500年以上の歴史を持つ、我々合唱団の一部でした」

少年合唱団の廃止 - コピー.jpg

Image Credit:@KingsCollegeChoir

 この問題を語る、合唱団の指導者リチャード・ロイド・モーガン氏。自身も歌手であるモーガン氏の深みと品格ある声にも、落胆がにじむ。

少年たちがいなくなっても、あの高く透き通るような声を合唱団に残す手立てはないものか。

(キングス・カレッジ合唱団の大学学部生メンバー)

クワイヤ― - コピー.jpg

Image Credit:@KingsCollegeChoir

「長い協議の過程で、『(声変わり前のような高音になるための)外科的解決策』が、学部生の歌手たちに驚くほど不人気であることも判明しました」

(何をさせるつもりだったんだ)

 しかし、イギリスの知の最高峰、ケンブリッジ大学は諦めなかった。

そして化学学部が、まったく別の、「非常に簡単な解決策」を考案したのだ。

「今、私たちに必要なのは、非常に大きなヘリウムタンクだけです」


(ヘリウムを吸って、歌の高音部を歌うシーン)(※ウソ)

 (左端の男性の、清らかに歌いながらも目を剥いて、ものすごくびっくりしている顔も味わい深い)




 ……というわけで、このエイプリル・フール動画は「キングス・カレッジ・合唱団公式Youtubeチャンネル」で公開され1200万回以上再生されている(2024年4月時点)。

 もちろん美声はこの歌手の方の本物の声で、ヘリウムは使われていない。

(※注意:現実には、風船内のヘリウムは濃度が高く、脳が酸欠状態になる危険性があるので、絶対に吸引してはいけない。未成年はヘリウムを含む「声を変えるスプレー」の使用も注意が必要)

 「※絶対に真似しないでください」という要素が含まれていてひやりとするが(動画の最後でも「Do not try this at home(ご家庭でやらないでください)」と警告メッセージが出ている)、イギリスのエイプリルフールニュースは、伝統的に全力豪速球

 この動画も、イギリス最高峰の合唱団の美声と、本物の合唱団指導者の上品な真顔の演技力、ケンブリッジの象徴でもある壮麗なキングス・カレッジ・チャペルを盛大に無駄遣いして、作品としては他国の追随を許さないクオリティに仕上がっている。

 ちなみに合唱団の方々の背後にうすぼんやりと見えている絵画は、巨匠ルーベンスの大作「マギの礼拝」(1633年頃作、キリストの生誕を祝う三人の賢者を描いている)。

マギの礼拝部分 - コピー.jpg

558px-Peter_Paul_Rubens_009 - コピー.jpg

 大富豪により、記録的高値で購入、寄贈された、キングス・カレッジ・チャペルの至宝。

 ルーベンスは「フランダースの犬」の主人公ネロも憧れた偉大な画家で、この絵も、もしも日本で展覧会に出品されたら、間違いなくメインになる傑作なのに、エイプリルフール動画の背景にされるなんて、ルーベンスもびっくりだろう。

 本当にイギリス、そしてケンブリッジの文化は底知れない。


 エイプリルフール動画で歌われていた「ミセレーレ(神よ、我を憐れみたまえ)」のフルバージョンはこちら。歌もチャペルも、本当はとても美しい。

(キングス・カレッジ・合唱団の公式Youtubeチャンネルはこちら




【参照】

・「危険!間違えないで!ヘリウムガスで声が変わる遊び」(バルーンワールド・お役立ちコラム)

(Wikipedia)

キングス・カレッジ・チャペル

ケンブリッジ・キングス・カレッジ・合唱団(Apple Music)

ケンブリッジのキングス・カレッジ・クワイヤ―(※英語)

posted by pawlu at 06:55| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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