2024年11月05日

クロアチア出身のピアニスト マキシム・ムルヴィツァ(MAKSIM)圧巻のbillboardライブコンサート

マキシム・ムルヴィツァ(MAKSIM)
Youtube冒頭画像 - - コピー.jpg

超絶技巧でクラシックからロックまで多彩な音楽を奏でる美貌のピアニスト、マキシム(MAKSIM)がライブレストラン「ビルボードライブ」に登場した。

(クイーンの「The Show Must Go On」のマキシム・ヴァージョン)



(大阪、横浜でのライブは終了、東京公演(六本木ミッドタウン)が11月7日2ステージ開催される)

(日本公演のトレイラー、曲はコールドプレイの「Clocks」)
MAKSIM is coming back to Japan!
世界的に活躍するクロアチア出身のピアニスト、マキシム・ムルヴィツァ(MAKSIM)がビルボードライブツアーを開催。クラシック音楽とポップ、ロックを融合させた独自のスタイルで知られ、情熱的かつダイナミックなパフォーマンスで世界中の観客を魅了する。今回のツアーは、日本国内での貴重な機会となるビルボードライブでの公演。伝統的なクラシック音楽を革新的に再解釈し、現代のリズムやテクノビートを組み合わせてアレンジするマキシムのショーはピアノの新たな可能性を引き出し、物語を紡ぐような感動を与える。唯一無二の卓越した技術と情熱的なパフォーマンスを体感して。

ビルボード東京HP内公演情報 MAKSIM “SEGMENTI” Billboard Live Tour 2024

私が観たライブでは、一曲演奏された後、観客の中から「(指の動きが速すぎて)残像しか見えない……」と呆然とした囁きが聞こえたが、まさに凄まじい音の乱舞。

最も速い旋律のときは、指の流れどころか手の輪郭すら目が追いきれなかった。
MAKSIM − In The Hall Of The Mountain King − Live
(劇音楽「ペール・ギュント」「山の魔王の宮殿にて」(1875)/E.グリーグ)


(映画「ミッション・インポッシブル」のマキシム・ヴァージョン 0:36〜頃からの高速のタッチが圧巻)
MAKSIM − Mission Impossible − Live in Torino

(驚異的なスピードの「Bumblebee」原曲はリムスキー=コルサコフ「熊蜂の飛行」)
Bumblebee

ライトを浴びて多彩な音とともに大きな手の残像が白く光るさまは、炎の閃きが明滅するような……この言葉でも十分ではない、とにかく見たことがない。

体幹の為せる業なのか、鋭い音とともに上半身が激しく動いても「ブレ」は一切無いのが印象的だった。

ビルボードは驚くほどステージと客席が近く、どこからでも演者がよく見える。
暗がりを照らすステージの照明に、この音を生み出すために鍛え抜かれた腕や肩の筋肉の陰影が浮かび上がって、まるでアスリートのようだった。


かつて戦禍のクロアチアで、音楽学校の地下室で演奏技術を磨いた経歴から「戦場のピアニスト」とも呼ばれたマキシム。

その集中力と技術が生み出す音は、爆発的エネルギーと透き通った流麗さを併せ持つ。

音楽は空間と人体を震わせる振動なのだとこんなに実感したことはなかった。

美しい音を浴びた心臓がビリビリと波立ち、鼓動が送り出す血が電流のような痺れを帯びたまま指先までかけめぐる、耳から入る美しい音と、皮膚にぶつかる空気の揺れで、思考が(それを形作る前の脳内の電気信号の状態で)奔流に呑まれていく。音に制されて、視覚の感触がうすらいでいく。
(吸い込む空気まで振動しているようだった。たぶん錯覚ではない。手を置いたテーブルからも、超音波の湧く液体のような小刻みな揺れが伝わってきた。もしも耳をふさいだとしても、その場のうねりを感じることができただろう)

速く大きい音ならそうなるというわけではなく、力強くも巧みな音階の高低やリズムの構成、強弱緩急が、空気を複雑な波状に揺るがし、体内にはっきりと響き渡る振動を生み出すのだろう。

(ゆるやかな演奏も情感に溢れている)
MAKSIM − All of Me [OFFICIAL VIDEO]

そしてこの音の複雑な震えが、「美しいと心打たれた時に早まる鼓動」や、「曲の感情に自分の思いを重ね合わせたときの心の動き」を増幅させ、共振に揺さぶられる。

曲が終わるたびに心臓の動悸を鎮め、忘れていた息を、次の演奏が始まる前に深呼吸で急いで確保する必要があった。
(その時は理由がわからなかったし気恥ずかしかったのだけれど、聴いているといつのまにか体が斜めにかしいだりのけぞったりしていて、こっそり直さなければいけなかった。けれど、そのうちその姿勢を正す意識もどこかにいってしまった。今思い返すと、あれが文字通りの「圧倒」だった。美しい音の響きの風のような圧を、全身に浴びたからだったのだ)

「音楽を聴く」というそれまでの意識を塗り替えたライブコンサートだった。

私が行ったときには、クイーンの「Show Must Go On」「ボヘミアンラプソディ」、コールドプレイの「Clocks」を聴けたので、音の広がりに魅了されながら、彼らのファンとしても感動した。

(「ボヘミアンラプソディ」マキシム・ヴァージョン 2023年公開イタリアでの演奏動画)
MAKSIM − Bohemian Rhapsody − Live


(コールドプレイの「Clocks」マキシム・ヴァージョン 2022年公開動画)
MAKSIM − Clocks − Coldplay 

(浮遊感のあるメロディの「Clocks」も、生演奏は、柔らかく端正な音運びの中にすさまじい迫力があった。今思い出しても目がくらむ感じがする)

そして演奏の節目には、お辞儀のために、ライトを浴びた2m近い長身の大変な美男が、暗がりを突き抜けるようにすうっと立ち上がるので、それまで聴いていた音と相まって、とにかく「凄い」。
(英語で曲の説明をしてくださるときの声は、長身のためか思いのほか響きが低く、華麗な演奏とは対照的な、静かな話し方をする方だった)

私が行った回の結びの曲は、あの方の演奏の中でも特に好きな「パイレーツオブカリビアン」で本当に美しかった。

(「パイレーツオブカリビアン」マキシム・ヴァージョン 2019年5月公開の上海での演奏動画)
MAKSIM − Pirates of the Caribbean − Live at Mercedes-Benz Arena, Shanghai

(「残像」級の高速で力強いタッチののちの、光とたわむれる清流のように滑らかな旋律に聴き惚れる〈動画1:30ごろ〉)

「ピアノのコンサート」、「飲食をしながら大人が楽しむスタイリッシュなライブレストラン」という二重に洗練された世界に、結界に足を踏み入れるほどの覚悟が必要だったけれど、期待以上の新しい体験で、行って良かった。もしまた来日してくださったら、必ず行きたい。
(今回の「ビルボードライブ」は演奏開始1時間前から開場で、その時間から飲食し、演奏を楽しむという構成。店員さんは、初心者の私にもシステムやメニューをとても丁寧に説明してくださり、安心して音楽に没入できた)

ビルボード東京HP内公演情報 MAKSIM “SEGMENTI” Billboard Live Tour 2024



マキシムの楽曲や動画の一部リンク。

MAKSIM − Game of Thrones [OFFICIAL VIDEO]

MAKSIM − Exodus − Live


Maksim Mrvica - The Godfather Theme (HD)

(英語のクラシック音楽ニュース、「世界最速のピアニストの一人」として紹介、クロアチア動乱期の練習についてもインタビューしている)
Maksim Mrvica: one of the fastest pianists in the world






【参照】

2メートル近い長身と端正な顔立ちで、日本をはじめ、アジア各国やヨーロッパなどでも熱狂的な人気を誇るマキシムは、1975年5月3日、クロアチアのアドリア海沿岸にあるシベニクという美しい街の生まれ。6歳で初めてピアノに触れ、9歳で音楽学校に入学。マリア・セスコのもとでピアノのレッスンを受け始め、12歳でオーケストラをバックに演奏。1991年、ユーゴスラビア紛争が勃発。彼の住む街も戦渦に巻き込まれましたが、そうした過酷な環境のなかで、彼は明日への希望をピアノに託し、音楽学校の地下室で練習を続け、1993年にクロアチアの首都ザグレブで開催された初めての本格的なコンクールでみごと優勝!! 一番戦火の激しかった地域からの出場者が優勝したことに会場の誰もが驚き、“戦場のピアニスト”と呼ばれるようになりました。

このコンクールでの優勝を契機に、マキシムはザグレブの音楽学院に進学。アルトゥーロ・ベネディッティ・ミケランジェリの弟子でもあったウラジミール・クルパン教授に5年間師事。さらに、その後の1年間をハンガリーの首都ブタペストにあるリスト音楽院で学び、その在学中にニコライ・ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクールで優勝。2000年にはパリに移住し、イゴール・ラツィコのもとでさらなるレッスンを重ね、2001年にはポントワーズ・ピアノ・コンクールにおいてもみごと優勝を果たしています。

こうした数々のコンテストでの優勝により、実力が認められたマキシムは、2003年にEMIクラシックスと契約。同年にリリースされたアルバム『ザ・ピアノ・プレイヤー』で衝撃的な世界デビューを飾り、その後もコンスタントにアルバムを発表。日本を含めたアジア圏内でも爆発的人気を集め、彼のアルバムは常にシンガポール、マレーシア、インドネシア、中国などではゴールド・ディスクに輝き、台湾と母国クロアチアではプラチナ・ディスクを獲得。香港ではダブル・プラチナに輝き、HMVインターナショナル・ポップ・チャートで12週間連続NO.1に輝くという大記録を打ち立てています。これまでのアルバムの総売り上げ枚数は、日本では40万枚以上、全世界では400万枚以上をそれぞれ記録。YouTubeにアップされた彼の映像は、全世界で1,100万回以上も再生され、世界中で一大旋風を巻き起こしています。




マキシム・インスタグラムアカウント




マキシムがアレンジしたクイーンとコールドプレイの曲
The Show Must Go On (Remastered 2011)


Clocks (コールドプレイ)


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ラベル:音楽
posted by pawlu at 21:00| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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