2021年10月09日

名言「だれにもじゃまされず、いねむりできる勉強べやがほしいなあ」(のび太「人食いハウス」より)



ドラえもん14「人食いハウス」 誰にもじゃまされず居眠りできる勉強部屋 - -.jpg

「『勉強』べや」の概念を根底から覆す名言。

(場面紹介)

 部屋にカギをつけてほしいとママに頼み込んだのび太、「一日中、ひるねする気でしょう!」と一蹴され、「どうしてわかったの?」と驚いた後(たいていわかる)、すごすごと自室に戻る途中で、不満そうに漏らしたひとこと。

 「だれにもじゃまされず、いねむりできる勉強部屋」の陰に隠れているが、何気に「一日中、ひるね」も、「『ひるね』とはなにか」について考えさせられる。


(作品紹介)

『ドラえもん』てんとう虫コミックス14巻「人食いハウス」(19778月号『小学三年生』掲載)の台詞。

ドラえもん (14) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・ 不二雄
ドラえもん (14) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・ 不二雄


 名言を発した直後、のび太が部屋にもどると、大きな組み立て式の家が床に放置されている。

 「ドラえもんよ。口にださなくても、きみにはぼくの心がわかるんだねえ…。ありがとう、ありがとう」

ドラえもん14「人食いハウス」   君にはぼくの心がわかる - コピー.jpg

 のび太はドラえもんのこまやかな思いやりに涙し、勝手に空き地に組み立てハウスを持って行ってしまう。

 仮にドラえもんがのび太の「いねむりできる勉強べや」が欲しい心を察したとして、そんな怠惰助長設備を出しておいてくれるのかという読者の疑問どおり、ドラえもんにそんな気はさらさらないし、置いてあったのは、ただの組み立てハウスではない。

 のび太が空き地に組み立てハウスを建てたあと、しずかちゃんを招待しようとそこを離れた間に、ジャイアンやスネ夫ら、家を見かけた人たちが次々と家の中に入ったきり出てこなくなる。

(家を見た人は、なぜか、そこに入らずにはいられなくなる)

ドラえもん14「人食いハウス」 入った者が出てこない家 - コピー.jpg

 白昼、人々を飲み込んで沈黙する、小さなかわいらしい家。

 一方、のび太から招待を受けたしずかちゃんは、ついこの間観に行った「不思議な家の映画」の話をする。

「こわあいの。おばけみたいな家よ」

ドラえもん14「人食いハウス」  おばけみたいな家 - コピー.jpg

 入った人を食べてしまう家。


 同じ頃、部屋に戻ったドラえもんは、「あの組み立てハウス」が無いことに気づく。

まさか、のび太が……。

「たいへんだ!」

 動転したドラえもんは、急いでのび太を探しに行く……。



※元ネタは、大林宜彦監督の、カルト的人気を誇るホラー映画、「HOUSE(ハウス)」(1977年公開)と思われる。

 HOUSE (ハウス) - 池上季実子, 神保美喜, 大場久美子, 松原愛, 南田洋子, 大林宣彦, 桂千穂
HOUSE (ハウス) - 池上季実子, 神保美喜, 大場久美子, 松原愛, 南田洋子, 大林宣彦, 桂千穂

親戚の女性の家を訪ねた女子高生たちが次々と姿を消していく物語。

ファンタジック・ホラーと呼ばれているらしいが、今観てもかなり不気味。

(この時代特有の、サイケデリックな映像や音楽と俳優達の存在感による、精神的不協和音をかきたてる世界観は、今の作品とは別の迫力がある)。

しずかちゃんがわざわざ映画館に観に行ったというのは意外だ。


 「組み立て式の」「なぜか入らずにはいられなくなる」謎の家。

家の中に吸い寄せられた人々が迎えた、恐ろしい結末とは……。(笑)


 14巻には、「からだの皮をはぐ話」「ムード盛り上げ楽団登場!」「無人島へ家出」「すてきなミイちゃん」「ぐうたらの日」などの名作も収録されている。

ドラえもん (14) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・ 不二雄
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ラベル:名言・名場面
posted by pawlu at 22:01| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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