彼らの絆は世界的に有名になり、ドキュメンタリー番組「ステパンとマレーナ 老人とコウノトリの物語」でも紹介された。番組放送予定:NHK Eテレ 2022年9月23日(金)午後11:00
(番組紹介HPより)
クロアチアの田舎町に暮らす妻に先立たれた老人と怪我をして飛べなくなったメスのコウノトリとの不思議な絆を描いた、もの悲しくも心温まるドキュメンタリー。 クロアチアで老齢の男性と暮らすメスのコウノトリのマレーナのもとには、毎年春になると夫のコウノトリが、子作りのために越冬地から戻ってくる。今年も5羽の雛が誕生、老人も、子育てのサポートに奮闘する。そして、秋になると夫のコウノトリは、飛べないマレーナを残し、子供とともに旅立ってゆく。老人は、悲しむマレーナの姿に、妻に先立たれた自分を投影する。 原題:STORKMAN(クロアチアほか 2020年)
ステパンさんとマレーナとクレペタンの物語
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(「みなさんにご挨拶しよう」とステパンさんに言われてクチバシを鳴らすマレーナ)
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1993年、釣りに行ったステパンさんは、銃で羽を撃たれた若いコウノトリを見つけた。
家に連れ帰って保護したが、彼女の片羽はもう元には戻らなかった。
助けたからには責任がある。そう思ったステパンさんは、彼女を「マレーナ」と名付けて世話をすることにした。
妻に先立たれ、三人の息子も独立したステパンさんにとって、マレーナは新しい娘になった。
コウノトリは渡り鳥だ。寒さを避けてアフリカまで飛んで行く彼らは、クロアチアの寒い冬を越すことはできない。
ステパンさんは、マレーナのために家の屋根に巣を作り、寒くなったらマレーナを薪ストーブで温めた倉庫に入れた。
(巣材の枝を渡すステパンさんと受け取るマレーナ)
この生活が続くと思っていたが、2002年のある日、一羽のオスのコウノトリがマレーナを見初めた。
「彼がマレーナの巣に降り立った時、私に4人目の息子ができました」
ステパンさんは、オスのコウノトリを「クレペタン」と名付けて、このコウノトリ夫婦の幸福を喜んだ。
(マレーナとクレペタン)
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(マレーナのヒナたち)
ステパンさんはコウノトリ夫婦とヒナたちのために、魚を釣ってくる。
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マレーナは飛べないので、私が毎日(釣りで)食べ物をとってきます。私が彼女の翼なのです。(ステパンさんのことば〈Youtube動画より〉)
マレーナはステパンさんをとても信頼しているのだろう、屋根の上の巣で、ステパンさんがヒナに魚をあげるのをそばで見ている。
(その信頼ゆえか、彼らを至近距離で撮る取材班にもおびえた様子を見せない。)
「おちびさんたち」とステパンさんに言われるヒナは、はた目には思いのほか「大きいさんたち」だが、巣の中に白いパンが三つ並んでいるみたいでかわいらしい。そしてつぶらな瞳はまさしくヒナのあどけなさで、ステパンさんを人懐こく見上げている
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秋になりヒナが巣立つと、クレペタンは、マレーナを気づかいつつも、越冬のためにアフリカのケープタウンへと旅立っていく。
その距離、14000km。
マレーナはその後しばらくふさぎこんでしまうので、ステパンさんは彼女にテレビでコウノトリの映像を見せたり、車で釣りに連れていったりして、彼女に気晴らしをさせてあげる。
コウノトリは基本的に片方が死ぬまで一羽のパートナーと添い遂げる。クレペタンは毎年、長い距離を飛んで、マレーナのもとに帰ってきて、たくさんのヒナを生み育てた。
毎年、春にクレペタンがマレーナのもとに戻ってきてくれるのを見るよりも大きな喜びはありません。彼女のためにアフリカから戻ってきてくれたときは、ビンゴとロトくじの両方に当たったような気持ちです。私の魂にとってどんな大金にも代えがたいものです。(ステパンさんのことば〈Youtube動画より〉)
(クレペタンが戻ってくるころになると)マレーナは落ち着かなくなり、しきりにあたりを見回すようになります。クレペタンが到着する五日前からは、まったく何も食べなくなります。(ステパンさんのことば〈Youtube動画より〉)
この物語は、クロアチアの人々の心をとらえ、毎年、クレペタンが長旅の果てに巣に降り立つ姿は、変わらぬ愛の象徴として、人々に見守られてきた。
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(クレペタンの帰郷をライブ映像で観て喜ぶ人たち)
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2021年夏、マレーナは天国へと旅立った
2021年4月、クレペタンは再び無事にマレーナのもとに帰り着いた。
クレペタンがマレーナと出会ってから19年、ステパンさんがマレーナを助けてから28年が経っていた。
6月、マレーナは巣から落ちた。クレペタンについていきたがっているようなそぶりをしたときのことだった。
ステパンさんが看病したが、マレーナはエサも水も受け付けなくなってしまった。
ステパンさんの目には、まるで彼女が自らの意思で生涯を終わりにしたがっているように見えた。巣から落ちるということは、コウノトリである彼女にとって、屈辱だったからだ。
そして、11日後、マレーナは静かに息をひきとった。
【ステパンさんとマレーナたちの動画】
【参照URL】(2018年時点の彼らの様子を動画付きで紹介してくださっている記事)
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