2021年02月22日

サイモン&ガーファンクルの名曲「サウンドオブサイレンス」をヘヴィメタルバンド「ディスターブド(Disturbed)」がカバー

(「ディスターブド(Disturbed)」がカバーした「サウンドオブサイレンス」の動画、息が止まるほどの迫力と美しさ)

サウンドオブサイレンス(Sound of silence)」は1964年に発表された、サイモン&ガーファンクルの名曲だ。

   (※以下歌詞和訳部はブログ筆者の意訳)




 やあ、暗闇、古い友達。

 また話をしにきたよ。


 そんな不思議な歌い出しから始まるこの曲は、暗闇に語り掛ける者が、夢の中で見た、孤独な群衆と、彼らに差し伸べようとしても届かなかった手、届かなかった言葉について歌っている。


 夢の中の孤独な群衆を描いた


人々は喋っているけれど語っていなかった。

人々は聞こえているけれど耳を傾けていなかった。

人々は歌を書いていた、誰ともその声を分かち合うことのない。

誰も、この沈黙の音色を破る勇気がなかった。

(People talking without speaking

People hearing without listening

People writing song that voices never shared

And no one dare

Disturb the sound of science)


 という歌詞は、まるで、現代の予言のようだ。

 (本当は、こういう、世の中を覆う得体のしれない沈黙に心を押しつぶされ、想いを分かち合うことのできない、本当の自分を見せられない孤独が、既に1964年に、いや、歌が生まれるよりもずっと前から、存在していたのだろう。)


 暗闇と語る者は、孤独な群衆に、沈黙は病のように広がる、と、警告し、彼の言葉と彼の腕を差し伸べようとした。


でも、言葉は、沈黙の雨のしずくのように落ち、

沈黙の井戸にこだました

(But my words like silent raindrops fell

And echoed in the wells of silence.)


 彼の想いが沈黙に吸い込まれていったことにも気づかずに、寒々しくネオンが光る街で、孤独な群衆は、彼らの創った「ネオンの神」に頭を垂れて祈る。

 ネオンはまたたいて警句を告げる


 「預言者の言葉は地下鉄の壁や安アパートの玄関に記されている。」

 そして沈黙の音色の中でささやいた。

“The word of the prophets are written on the subway walls

  And tenement halls.”

 And whisper’d in the sound of silence.)


  謎めいているが恐ろしいほど現代にも通じる歌詞と、優しく悲しい目をした天使のささやきのような歌声が、神秘的な余韻を響かせる。

  そして、その余韻が、それに打たれるすべての者の胸に、沈黙の井戸があることを教える。



 今も人々に愛されるこの名曲が、2015年、意外な形で再び話題になった。


 アメリカのヘヴィメタルバンド「ディスターブド(Disturbed)」が、カバーを発表したのだ。


 大地を震わせ湧きあがるような低音と激しい叫びを織り交ぜた歌声、打楽器の際立つ重厚な演奏の、心臓に叩き込むような音楽。


 サイモン&ガーファンクルの対極にあるような彼らの音楽は、しかし、この歌の本質を、別の形で鮮烈に表現し、Youtube動画の再生回数は約6億8000万回を記録した。 (2021年2月現在)※2024年5月に10億再生を突破


 ディスターブドの動画は、分かち合うことのできない歌の譜を手にして佇む人々の岸辺に、霧を抜けて楽器を携えた人々の舟が向かい、互いに見つめあう光景で終わり、救いの訪れをかすかに予感させる。

サウンドオブサイレンス 動画 サイズ変更版 - コピー.jpg

サウンドオブサイレンス サイズ変更版2 - コピー - コピー.jpg

訪れる船 - コピー.jpg
画像出典:Youtube


 この動画を観て心を揺さぶられた人々は

 「天使と悪魔の声を持つ男」

 「サイモン&ガーファンクルの歌は警告、ディスターブドの歌はその警告が無視された怒りだ」

 など、たくさんのコメントを寄せている。(2021年2月時点約18万件)


 そして、ポール・サイモン本人もこのカバーに感銘を受け、彼の公式ページで紹介した。

 今まで「サウンドオブサイレンス」のカバーはいくつも作られてきたが、ポール・サイモンご本人による紹介はこれがはじめてだったという。

 (ポール・サイモン氏が言及している番組でのパフォーマンス)

Disturbed "The Sound Of Silence" 03/28/16 | CONAN on TBS

※この番組中最高再生数をたたき出した動画(番組動画公式コメントより)。※2022年2月時点約1億2千万回

視聴者からは、この素晴らしいパフォーマンスへの賞賛とともに、

「(普段のこの番組によくある)セレブの大騒ぎショーを観るつもりで来た観覧者は、これを聴いてどれだけ驚いただろう」

「(司会者の)ディスターブド紹介時の熱量から、これから記念すべき瞬間が始めるとわかっていることが伝わる」

などのコメントが寄せられている。

 (Youtubeインタビュー動画内、ディスターブドがポールサイモンの反応について語っている場面、1:19頃



 「ディスターブド」はオジー・オズボーンから「メタルの未来」と言われた実力派グループだ。


 私は音楽にうといので、メタルバンドというと無軌道な音楽やパフォーマンスをイメージしてしまっていたが、ディスターブド版「サウンドオブサイレンス」の様々なバージョンを聴いて、それがひどい誤解だったと知った。


 ボーカルのディヴィッド・ドレイマンの「天使と悪魔の声」も、演奏も、静も動もその音は揺るぎなく、どんな舞台でも、巌のような存在感を見せつけている。


 ディスターブドは、ライブで「アルター・ブリッジ」のリード・ボーカル、マイルズ・ケネディとも「サウンドオブサイレンス」を歌っている。



  こちらも圧巻の歌声の競演。是非聴き比べてみていただきたい。






楽曲収録CD(Amazon Musicでもダウンロード可能)

(サイモン&ガーファンクル、「サウンドオブサイレンス」)


(動画の1981年ニューヨークセントラルパークコンサート版「サウンドオブサイレンス」収録アルバム)

(ディスターブドの「サウンドオブサイレンス」収録アルバム)

Immortalized - Disturbed
Immortalized - Disturbed


(ディスターブドがライブでマイルズ・ケネディと共演した「サウンドオブサイレンス」を収録したアルバム)




 参照:

How Paul Simon Felt To Have Disturbed Transform Classic Song to Heavy Metal(Youtube動画)

 EXCLUSIVE: Disturbed Reveals Paul Simon’s Reaction To Their Cover Of ‘The Sound Of Silence’ By  Michael Cerio RADIO.COM

ディスターブド、サイモン&ガーファンクルの名曲カバー「The Sound of Silence」MVが10億再生突破(billboard-Japan.com 2024年5月23日記事)


posted by pawlu at 23:28| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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