2020年05月27日

のび太の大魔境(大長編ドラえもん3) あらすじご紹介(ジャイアンの男気は必見)

 探検隊出発 - コピー.png


 『のび太の大魔境』は、不思議な犬「ペコ」に出会ったのび太たちが、前人未到のアフリカの魔境にある謎の王国を探して冒険の旅に出る大長編漫画です。



大長編ドラえもん (Vol.3) のび太の大魔境 (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
大長編ドラえもん (Vol.3) のび太の大魔境 (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄



 大長編ののび太とジャイアンはかっこいいというのはファンの間では有名な話ですが、そのかっこいいジャイアン(×きれいなジャイアン)の男気が見られるという点で『のび太の恐竜』と並ぶ名作です。


大長編ドラえもん1 のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
大長編ドラえもん1 のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄



(2020年6月4日AM10時まで、ドラえもん公式サイト「ドラえもんちゃんねる」で作品全ページ無料公開中、その後、大長編シリーズからさらに3作が公開予定)

 https://dora-world.com/daichohen2020sp




【あらすじ】


 今年の夏休みは、まだ誰も行ったことが無い魔境へ大探検旅行に出てみたい。


 ジャイアンとスネ夫にそう頼まれたのび太とドラえもんは、「自家用衛星」を打ち上げ、上空から写真を撮影し、アフリカのジャングルの中に隠された場所が無いかを探してみることにしました。


 魔境探しの合間にお使いに行ったのび太は、空き地で、汚れているけれどどこか上品な犬を見かけます。

 お腹を空かせていた犬に同情してエサをあげていると、ジャイアンとスネ夫が通りかかりました。 

 今、アフリカを探している、と、二人に経過を説明していると、犬が急に耳をそばだて、のび太の家までついてきてしまいました。


 動物嫌いのママをどうにか説得して、犬を飼えることになったのび太。

 腹ペコだったからと、その犬に「ペコ」と名付けました。


 ペコ(人間なら出来杉君級と思われるイケワン。実はある秘密を持っている)

ペコ - コピー.png

 ペコを飼い始めてからものび太たちは魔境探しを続けましたが、アフリカの広大なジャングルを写真で確認する作業は果てしなく、心がくじけかけていたとき、ペコが一枚の写真を見つけました。


 写っていたのは謎の巨大な石像。

巨神像 - コピー.png

 そこは「ヘビースモーカーズフォレスト」と呼ばれ、常に雲がかかって衛星写真が撮影できないことで知られる場所でした。


 さっそく巨神像のある謎の王国を目指して探検に出かけることにしたのび太たち。ペコも一緒です。

(この時は巨神像の100km手前を出発点に歩き、毎日夕方には日本に戻るという旅を繰り返すつもりでした。)


 ところが、

 「0点の答案を隠し忘れた」

 「上級フランス語講座の録画をしたい」

 「お手洗いに行きたい」

 という理由で、こまめにジャングルからどこでもドアで帰国し、ドラえもんの道具に頼り切って危険を回避しようとする隊員たちに激怒するジャイアン。

(自分もかあちゃんに呼び出されて一時帰国したのだが)。

魔境のムードぶちこわし - コピー.png

 (ひそかにあきれかえるペコがかわいい。)


 自分ばかり猛獣に襲われた(ドラえもんが「猛獣さそいよせマント」をこっそり着せたから)きまり悪さもあってすっかりふてくされてしまい、「石ころの神様がなんだ!見たくもねぇや!!」と探検を中止させてしまいます。


 その夜、ジャイアンのもとに巨神像の幻が姿を現しました。

 「一度思い立った探検を簡単にあきらめるとは、それでも男か!」

 巨神像は、自分の台座の下に財宝が隠されていると告げ、ジャイアンに巨神像までの地図を渡して姿を消しました。

 がぜんやる気を取り戻したジャイアンは、翌日、再びのび太たちを召集して地図を見せます。
 (アフリカの神様から授かったはずが、なぜかわら半紙にサインペンで書かれていたので、みんなの反応はいまひとつだった。)

 こうして、再び探検の旅に出ることになりましたが、出発前、ジャイアンはドラえもんにタケコプターや武器になる道具を全部出させて、土管の中に置いて行ってしまいます。
  
 「あんなものに頼るのは卑怯だ、この腕と勇気で危険をくぐりぬけるのだ」

 しかし、探検中、空き地に残しておいたどこでもドアが清掃中の近所の大人たちに燃やされてしまったために、みんなは日本に帰れなくなり、ワクワクドキドキの探検は一転、命がけの旅となってしまいます。



 「行こうよ、ぼくらには前に進むしか道はないんだ」

 ドラえもんの言葉どおり、退路を断たれた状態で、のび太たちは、「永遠の霧に閉ざされた神の国」として、人々に畏敬の念で語り継がれる巨神像の王国へと向かうことになります。


 一方、深い谷に囲まれた王国には、人々に知られることがないまま、外界と全く別の文明が存在しており、5000年間続いた王国の平和は、今、危機に瀕していました。


 ある古い言い伝えを信じ、奇跡を待ち望む王国に、数々の困難を乗り越え、のび太たちが徐々に近づいていきます。





【見どころ】ジャイアンの男気(※ネタバレあり)


 実質ジャイアンが主人公と言ってもいいほど、彼の男気が光る作品です。

 自分たちの力で困難を乗り越えたいという冒険心と、人の意見に耳を貸さない普段からの横暴さが裏目に出て、みんなを絶体絶命のピンチに追い込んでしまったジャイアン。


 探検に来たことを後悔するのび太たちに対し、こんなことになったのは全部俺のせいですよ!どうせ俺は元々嫌われ者なんだ!!と、わめき散らして、自分の部屋にこもってしまいます。

 内心は深く自分を責めていましたが、謝って済む問題ではないとわかっていただけに、何も言えなかったのです。


 そんなジャイアンの苦しい気持ちを察して、ペコがそっと慰めにきてくれました。

 「ペコ!お、おれ……どうすれば……」

 そう言った後、ジャイアンはペコを抱きしめ、声を上げて泣くことしかできませんでした。

ジャイアンとペコ - コピー.png


 その日以来、ジャイアンはペコに特別な友情を感じるようになります。




 物語後半、のび太たちがジャングルの中で危険にさらされたとき、ペコは敵を引きつけて、そのすきに、のび太たちを逃がそうとします。


 敵の落とす爆弾の火の手が上がる中、たったひとりでジャングルに消えたペコの運命を思い、言葉も無いのび太たち。


 腕組みをし、厳しい顔をしていたジャイアンは、やがて、のび太たちに言いました。

 「ペコだけじゃどうにもならん、俺も行くぜ」

 「ばかな!死にに行くようなもんだよ」

 「うるせえ、さっさと逃げないと火にかこまれるぞ!」


 「ジャイアン!!」

 「やめろ!帰ってこいよう!!」

 のび太たちの声を背に、覚悟を決めたまなざしで歩き始めるジャイアン。

ジャイアンの覚悟 - コピー.png


 全大長編の中でも屈指の名場面です。



 自分の間違いを認めて、誰にも責められていなくても、償いの思いをこめ、命がけで戦おうとする。


 そんなことができる人間は、自分を含め、この世にほとんどいないと知っている大人になった今、読み返すと、ジャイアンの男気が、子供の時に読んだ以上に心に沁みます。


 そして、それまで素直になれなかったジャイアンの本心と覚悟に気づいたのび太たちがとった行動。


 これはぜひ本編でご覧いただきたいと思います。

 (ドラえもんは、子供たちに向け、常にわかりやすさを最大限意識して描かれていますが、この場面では台詞が約三ページにわたり省略されており、絵だけで展開するドラマと、その後の彼らの言葉が際立ちます。)



 当ブログでは今後も大長編ドラえもんのシリーズあらすじと見どころについて何度かご紹介させていただく予定です。本編と併せてお読みいただければ幸いです。


【参照URL】

ドラえもんチャンネル

https://dora-world.com/



posted by pawlu at 19:09| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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