明日(2018年7月15日〈日〉)21時から、TBSでこうの史代さんの傑作漫画『この世界の片隅に』の実写ドラマが放送されるそうです。
舞台は戦時中、広島から呉に嫁いだ、絵を描くことのほかは不器用だけれど、素直な人柄の女性、すずさん。
そして、お互いのことをほとんど知らずに彼女の夫になった周作さんや、二人の周辺の人々、すずさんの友人となった娼館の女性リンさんたちの物語です。
2016年にはアニメ映画化され、原作を丁寧に踏襲した世界観と、美しい映像、音楽で、驚異的な大ロングランを記録しました。
漫画およびアニメ版が、戦時下を描いた作品として突出している点は、そのときの暮らしぶりと、人々の心の機微が非常に丁寧に描かれているところです。
何を食べ、縫い、どう働いていたのかが、こうのさん独特のぬくもりと質感のある絵柄でつぶさに追われていました。
そして、戦争だけでなく、あの時代に生きることそれ自体の難しさの中で、年月を重ねてきた人々の思いが、声高ではない、さりげない台詞やしぐさによって、読む者の心に、柔らかく、しかし、深くしみとおっていきます。
戦争が、どんな恐怖と悲嘆をもたらしたかということ以外にも、我々が知るべきものがあるのではないか、そうでなければわからない戦争や人間の真実があるのではないかという、私の長年の疑問の答えが、この作品の中にありました。
なお、漫画版は、漫画でなければできない実験的なコマ割りや、多様な描線(口紅など異なる画材が使われている)があったのですが、映画版では、観客の年齢層を考慮してか、この場面はほぼ省略されています。
しかし、漫画の極めて重要な部分であり、抒情も表現力も、漫画史史上語り継がれるであろう傑作シーンなので、今回テレビ版ではこの場面が出てくるのか、実写でどう表現するのかが注目されます。
なお、今年は同じくこうの史代さんの広島を題材とした漫画『夕凪の街、桜の国』もNHKで実写ドラマ化されるそうです。(2018年8月6日総合テレビ 19時半〜20時43分)
原爆投下後の人々の人生や心の葛藤と、現代、被爆した家族を持つ若者たちの、家族に対する思いを描いた作品で、こちらも『この世界の片隅に』に勝るとも劣らない名作です。
(2時間できれいにまとめられる分量なので、こちらもいずれアニメ映画化されるかもしれません。)
当ブログのこうの史代さん作品ご紹介記事の一覧です。よろしければご鑑賞のお供にご覧ください。
(ネタバレがありますので、未読の方は先に漫画をお読みください。本当に素晴らしい作品です。)
【関連する記事】
- (おすすめ漫画)『犬神家の一族』(長尾文子作画)原作の世界観を、往年の挿絵画家た..
- 『サザエさん』の作者長谷川町子さんのコーギー(エリザベス女王のご愛犬の親戚)
- MLB「フィールドオブドリームスゲーム」と映画の名場面「皆、やって来るよ」(おす..
- NHK「アナザーストーリーズ」で漫画「この世界の片隅に」特集を放送
- 「みる?」(名言・名場面ご紹介〈漫画『動物のお医者さん』カンガルーの営業部長〉)..
- 弥助と利休(漫画『へうげもの』より)(※一部ネタバレ)
- NHKドキュメンタリー「Black Samurai 信長に仕えたアフリカン侍・弥..
- 『灼熱カバディ』漫画紹介、アニメ放送情報
- おすすめ本『まんがでわかる自律神経の整え方』(身近なところからはじめられる心と体..
- 木炭パーマと口紅(「あちこちのすずさん」と漫画『この世界の片隅に』)



![この世界の片隅に [Blu-ray]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61H6QDOdBJL._SL160_.jpg)


