
面倒くさがりの自分を認めたら部屋がもっとキレイになりました 三日坊主の後回し虫退治術 (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -
以前、汚部屋の大掃除、35kgの減量に成功したわたなべぽんさん。

ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -

スリム美人の生活習慣を真似したら 1年間で30キロ痩せました (メディアファクトリーのコミックエッセイ) -
今回は、「せっかくキレイになった部屋が何故か少しずつ散らかっていく」現象を通じて、自身の「面倒くさがり」「三日坊主」という問題に気づいたぽんさんが、「そうじや片づけを楽に楽しく続ける方法」を探すお話です。
現在作品の一部が「コミックエッセイ劇場」HPで公開されています。
・作品概要紹介、一部内容公開ページURL:
http://www.comic-essay.com/episode/204/
(見どころ)
「汚部屋脱出」や「大幅減量」のようなインパクトある題材ではありませんが、その分いろいろな人が思い当たるであろうエピソードがちりばめられています。
「ゴミ出しし損ねた段ボール」
「しばしシンクに放置される洗い物」
「未確認のダイレクトメールの束」
「なぜかソファーのまわりにたまるバッグ」
「畳まれていない洗濯物」
「不潔とまではいかないけれど、うすく水垢がついた水回り」
……などなど、「今すぐやらなくてもいい」という理由でつい先送りしてしまう用事たち。
それが、見て見ぬ振りをしても、じわじわと視界と罪悪感を圧迫し、時間とやる気を奪い取って行く……という、一見地味だけれどものすごくリアルな恐怖を克服していくための試行錯誤が描かれています。
(ため込んだが最後、全部片づけるまでに実は何時間もかかる恐怖の空間の図)

うずうずとつきまとう「後回し虫」「面倒くさい虫」(見た目はかわいいが人の充実した人生を蝕む恐ろしい奴)のささやきに負け、色々なことをやらずに一日を終えてしまうことに悩むぽんさん。

子供の頃から根気がないから、所詮無理なのではと弱気になっていたものの、好きなことは長期間毎日欠かさず続いていることに気づき、今おっくうに思っている用事を、気持ちや体調に左右されずにこなすにはどうすればいいのかを模索し始めます。
掃除と片づけに焦点をあてた作品ですが、ぽんさんが編み出した工夫の原理(心理的ハードルの下げ方)は、仕事やその他気乗りしない用事など、あらゆる場面に応用でき、「すぐやる」「続ける」ができずに困っている人全員におススメしたい作品です。
解決方法自体は地道なものが多いけれど、「見やすい絵のまんが」で読めることにも大きな意味がある。
「苦手を克服したい本人が、専門用語ではなく体感した言葉で書いてくれている」のもわかりやすいです。
何度も読み返すうちに、次第に効果が増していく作品だと思います。
個人的な感想ですが、既に「後回し防止」にはどうすればいいかを知るためにしこたまハウツー本を買い込んだ私の経験から言わせていただくと(それを読んでいるうちにやればいいじゃないという理屈は脳が全力で拒む〈なんでだ〉)後回し気分に捕まってしまったときは、まめな人、あるいは朝のすっきりした頭の自分ですら、なんでこんなことができないんだと思うことができなくなってしまいます。
「お風呂に入る」などの、ごくあたりまえの習慣でも、文の前に「山奥の秘湯場に行って、自分でシャベルで掘って」がついているかのごとく重労働に感じられて動けなくなってしまう。
(個人的には「(脳の)ブレーカーが落ちる」と呼んでます。)
(ぽんさんいわく「何もかも面倒な時期」の状態)

こういうとき、なんとか行動しようと救いを求めて字だけの本を開いても、頭が嫌なフィルターにどんよりずっしりくるまれているようで、文章の羅列はただの縞模様に見えてしまうので、具体的な視覚イメージが必須です。
(さらに、「すっきりとした絵柄」「ある程度太さのある線」「安定したタッチ」だと脳に届きやすい。その点ぽんさんの絵は理想的です。)
軽作業を、すぐ終わる等身大の作業として視覚で教えてくれる、「よーし!これくらいなら今やっちゃおう!」という一覧イラストも便利。
(例:シャンプーの詰め替え、PC・スマホのデータ整理、など)

これは、読む人の立場・仕事ごとに思い当たる作業があると思うので、作中の図のように、「今やっちゃおう!」というギザギザフキダシをイメージしながら、自分なりにピックアップしていくといいと思います。
明るい色使いのオールカラーで過去作以上に見やすいのもうれしい。
勿論、お掃除本単体としても優秀です。
前作「駄目な自分を認めたら…」から、さらに美しくなったぽんさんのお部屋もカラー写真で公開されていてわかりやすいですし、個人的には、第十章の「大掃除作業一覧」と「予定表」を、もうそのまま無心に我が家に取り入れたい。

掃除片づけは自分の担当じゃないから……という方も、その他の行動に応用できますし、誰かに作業を手伝ってもらうときの頼み方、掃除を手伝うメリットなど、他にも参考になることが多いので(シリーズを通じていい味出してる夫さんが相変わらずお優しい)是非ご覧になってみてください。
読んでくださってありがとうございました。