「ロボットがほめれば…」(小学館てんとう虫コミックス8巻収録)は、絵を誉められたい(けれど実力が伴わない)のび太が、どんな絵でも褒めてくれて、皆もそれに影響されてしまうという「ひょうろんロボット」を出してもらうというお話です。
(以下、ネタバレですので、未読の方は先にコミックをお読みください。)
(あらすじ)※セリフの仮名遣いを一部改めてあります。
しずかちゃんの家で、美術評論家のおじさんを紹介してもらう、のび太、ジャイアン、スネ夫。
みんなの絵を見てもらうことになりました。
しずかちゃんとジャイアンの絵の構図や色遣いについてアドバイスをしてくれていたおじさんが、恥ずかしがりながら差し出されたスネ夫の絵を見た瞬間、真剣な表情になりました。
「いわゆるうまい絵ではないが……、ひらめきのようなものが感じられる」
君には素質があるよ、伸ばし方次第ではかなりのものになるだろう、と、絵を返され、スネ夫は目を輝かせました。
言われてみれば良い絵だ、と、しずかちゃんとジャイアンがスネ夫の絵に感心している間に、のび太もいそいそと絵を差し出しました。
「どう?なんかひらめきますか?」
のび太の期待をよそに、「あん?」と声を発した後は、「+ +」目になっていたおじさんは、
「これ、幼稚園のころ描いたの?」
と、昨日描いた絵に、残酷な質問をしてきました。
(小学生相手に忌憚が無さすぎる。)
いたたまれずに逃げ帰り、「よ、よ、よ……」と、古風にドラえもんに泣きつくのび太。
「もう泣くな、君のくやしさはよぉくわかる」
つまり君も、ほめられれば文句は無いわけだ、と、確認し、のび太が、そうなんだよ!と、強くうなずくと、
「うそでもいいから」
「ひとこと多い!」
唇を「3」にとがらせるのび太をよそに、穏やかな笑みを浮かべて、ポケットからひみつ道具を取り出すドラえもん。
「ひょうろんロボット」
ベレー帽をかぶり、髭をはやした、2頭身のおじさん型ミニロボット。
(ドラえもんのひみつ道具の中でも屈指のゆるかわデザイン。フィギュア化もされています。未来デパート製〈笑〉)
「かならずほめてくれる。ロボットがほめればみんながほめる」
のび太に「なるべくひどい絵」描いてもらい、実験してみることに。
出来上がったのは、プリミティブなタッチの、太陽の下に立つ動物の絵(種類は不明)
「こりゃひどい」(失礼)
(個人的意見ですが、のび太画伯の作品の中では、可愛いしおしゃれなほうだと思う。〈他の回でもっと線が死んでる感じの絵がある。〉)
「何らかの動物の絵」を手に、まずはママに感想を聞くことに。
「絵を見て感想を述べてくれですって?よしましょう!うそはつきたくないし、ほんとのことを言えばあんたが傷つくし」
言ったも同然の態度で、批判の明言を避けようとするママに対し、のび太、苦々しい顔でひょうろんロボットを作動。
画伯作「何らかの動物の絵」を、ママに見せながら、ひょうろんロボットのスイッチ(ベレー帽部)をオン。
ひょうろんロボットがジーっと絵を見た後、ママに向かって「イーイー!」と叫びだすと、ママの表情が一変します。
「いい絵だわ!これほんとにのびちゃんが描いたの!?」
持っていたバケツを取り落とし、スケッチブックを手にパパのところに走っていきます。
「のび太の絵なら見たくない!うそはつきたくないし、ほんとのことを言うと」
「イーイー!」
「……天才としかいいようがない」
じんわりと熱い涙を浮かべるパパ。
「僕は画家になるのが夢だったが……のび太がその夢を実現してくれそうだ」
「『ひょうろんロボット』の意見にさからえるものはいない」
実験結果と、ドラえもんの太鼓判に、すっかり安心したのび太は、家を飛び出していきます。
「人の絵を幼稚園だなんて!みてろ!」
ところが、勇んで歩いているうちに、ポケットからひょうろんロボットが落ちてしまいます。
コロンコ、コロンコ、と、坂道を転がり落ちるひょうろんロボット。(かわいい)
行きついた先で、看板職人のおじさんが、パンの絵を描いていました。
どうも、パンのふっくらとした感じが出ない……。
首をひねった末、「もういやになった!」と、筆を投げ出してしまいます。
それが偶然、ひょうろんロボットのスイッチにぶつかりました。
「イーイー!!」
プロの仕事のためか、ひときわ高らかに、パンの看板絵をほめたたえるひょうろんロボット。
そこに、しずかちゃんのおじさんが通りかかりました。
一方、ジャイアンとスネ夫に絵を見せにいったのび太。
「ふうん、また絵を描いたの」
「見せろ、笑ってやるから」(酷い)
今見せてやる、驚くな、と、ロボットを出そうとしたのび太は、ようやく、ロボットを落としたことに気付きます。
「わあ、勝手に見ちゃだめ!!」
「何らかの動物の絵」を二人に大爆笑され、慌ててロボットを探しに行くことに。
のび太が、もと来た道を戻っていくと、道端に人だかりが。
「おお、この感動!これぞ真の芸術です!モナリザなんか問題にならん!」
「ふかふかパン」の看板の前で、感動のあまり膝をついて、むせび泣く評論家のおじさんと、迷惑がっている看板職人さんの前に、列をなす人々。(おじさん同様涙を流す人多数。)
「立ち止まらないで!一人三分で見てください!」
どこから来たのか、警備の人まで動員され、詰めかける人々を誘導していました。
(完)
「ひょうろんロボット」の意見には逆らえない。という、ちょっと怖い、しかし、大人になると結構思い当たるフシが出てくるシニカルな実態と(本当は自分では良いかどうかわからないアート作品では、こういう不確かな鑑賞の仕方結構する)、人気作品の前でしばしば発生する、人だかりのすきまから時間限定で鑑賞するという現象を、7ページに可愛く凝縮している名作です。
タイトルページもひど面白い(笑)
是非、漫画で、テンポの良さとともにこのウィットをお楽しみください。
読んでくださってありがとうございました。
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