2016年09月22日

「驚きの明治工藝」(おすすめ展示作品4 宮川香山「色絵金彩鴛鴦置物」「「菖蒲文花瓶」)

 先日概要をご紹介させていただいた上野の東京芸術大学大学美術館で開催中の「驚きの明治工芸」について、引き続き個人的におススメだった展示品について書かせていただきます。

 展覧会公式HPは以下のとおりです。
 http://www.asahi.com/event/odorokimeiji/

 初代・宮川香山(こうざん)「色絵金彩鴛鴦置物」(白磁 幅18cm 高さ11.3cm)

宮川香山 縮小版.png

 穏やかな目をしたつがいのオシドリが向かい合って寄り添う、愛らしい作品です。
 シンプルな姿のようですが、よく見ると、金で羽毛の流れが一筋一筋微細に書き込まれており、このふっくらとした質感をつくりあげています。

 宮川香山は京都の楽焼の家に生まれ、幼いころから焼き物に親しんでいましたが、のちに、輸出用陶磁器を製作するために、横浜に窯を開き、「眞葛焼(まくずやき)」を生み出しました。

 眞葛焼の特色として「金襴手(きんらんで)」と呼ばれる、彩色した陶磁器に金彩を加えた技法と、「高浮彫(たかうきぼり)」という、陶器からはみ出すように立体的な彫刻的表現があります。

 高浮彫の作例は「田邊哲人コレクション」HPで観ることができます。「渡蟹水盤」は圧巻。
 http://www.tanabetetsuhito-collection.jp/makuzu_select01.html#img_top 

 強烈な印象を残す「高浮彫」の作品は、1876年開催のフィラデルフィア万国博覧会で評判を集めましたが、一方でこのあまりにも緻密な作品は時間がかかり、焼いた際の縮みで失敗する可能性もあるという問題があったため、新たな技法として、中国清朝陶磁などに見られる「釉下彩(ゆうかさい)」技法(※下地に着彩し、上から透明な釉薬をかけて焼き上げたもの)を採り入れ、作風の幅を大きく広げ、清澄で淡く優しい色合いの作品でも高い評価を得ました。

 展覧会出品作品の中の釉下彩作品「菖蒲文花瓶」(青磁)

宮川香山 菖蒲文花瓶.jpg

 鴛鴦は、ビックリする感じの典型的高浮彫の真葛焼とは異なり、ややデフォルメしたような穏やかな曲線で作られています。
しかし、羽毛の描き方には卓越した集中力と技量が感じられ、だまし絵のようなくっきりと立体的な技巧と、釉下彩にみられるような穏やかな作風とのちょうど中間に位置するような作品です。

 当記事で参照させていただいたネット情報は以下のとおりです。

 宮川香山真葛ミュージアムHP
  http://kozan-makuzu.com/

 ウィキペディア記事
 https://ja.wikipedia.org/wiki/宮川香山

 没後百年「宮川香山」(サントリー美術館)HP
 http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2016_1/index.html

 各地美術館、博物館、展覧会を紹介してくださっているHP「インターネットミュージアム」で記事とともに「驚きの明治工芸展」動画を公開してくださっていました。肉眼では細部の鑑賞が難しいほどの緻密な作品も数多くあるので、こちらでご覧になってみてください。

 インターネットミュージアム取材レポート「驚きの明治工芸展」( 取材・撮影・文:古川幹夫氏)
http://www.museum.or.jp/modules/topics/?action=view&id=863

(会場全体と陶磁器)

https://www.youtube.com/watch?v=ezWCq3mMgJw

(主に自在作品)


https://www.youtube.com/watch?v=1mT5K2D03-E

(壁掛、天鵞絨〈ビロード〉友禅)


https://www.youtube.com/watch?v=Qc5DF4z99Z0

(根付と木工)


https://www.youtube.com/watch?v=ZMIaeh0GxPA

 当ブログのこの展覧会関連ブログ記事は以下のとおりです。よろしければ併せてご覧ください。
  「驚きの明治工芸」(台湾の宋培安コレクション 東京芸術大学で開催中)

  「驚きの明治工芸」(おすすめ展示作品1 加納夏雄 「梅竹文酒燗器」)
  「驚きの明治工藝」(おすすめ展示作品2 海野勝a 「背負籠香炉」海野a乗「犬図薬缶」)
  「驚きの明治工芸」(おすすめ展示作品3 虎爪「蒔絵螺鈿芝山花瓶」、易信「蒔絵螺鈿芝山硯屏」)
 「驚きの明治工藝」(おすすめ展示作品3 宮川香山「色絵金彩鴛鴦置物」「「菖蒲文花瓶」)

 読んでくださってありがとうございました。
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posted by Palum. at 20:20| 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする