2016年09月13日

「贋作師 ベルトラッチ 〜超一級のニセモノ〜 (NHK BS世界のドキュメンタリー)」 番組情報ご紹介


 本日は日記の予定でしたが変更してNHK BS世界のドキュメンタリーの放送予定番組についてご紹介させていただきます。

「贋作師ベルトラッチ 〜超一級のニセモノ」(2014年 ドイツ 原題:BELTRACCHI - THE ART OF FORGERY)2016年9月15日(木〈水曜深夜〉)午前0時00分〜0時50分放送。
(番組公式HP url: http://www6.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/?pid=160915
 現代アートの贋作を約2000点制作、被害総額は45億円以上にのぼるという贋作師ウォルフガング・ベルトラッチ(Wolfgang Beltracchi)。

 豊富な知識と技術で「巨匠の未発見の作品」と、専門家をも欺き続けたベルトラッチは、当時存在しなかった色を使って贋作を仕上げるというミスを犯すまで、約40年にわたり贋作師として活動をつづけました。

(参照:東京大学大学院文化資源学研究室 小林真理ゼミブログ「一級品のニセモノ(2013年6月2日記事)」http://mari-semi.blogspot.jp/2013/06/blog-post.html


 このドキュメンタリーでは、ベルトラッチとその妻ヘレーネ(贋作制作でもパートナー)本人が登場し、画材の調達から絵画の完成まで、贋作制作の過程を紹介しているそうです。

 ドキュメンタリーフィルム「BELTRACCHI - THE ART OF FORGERY」のトレイラー動画はコチラです。(英語字幕付き、番組解説文があったので、当記事の資料とさせていただきました。)



https://www.youtube.com/watch?v=TS6a3XochQU

 彼にインタビューしている「Channel4 」のニュース動画はコチラです。(英語)



https://www.youtube.com/watch?v=zz6YXjSHFOI

 彼の制作風景を紹介している動画はコチラです(英語)。亡き巨匠の霊を感じながら描いているとか。



https://www.youtube.com/watch?v=6S2HgibGbb0

 以前イギリスBBCで「Fake or Fortune」という巨匠の絵画の真贋を鑑定する激面白番組があるということをご紹介させていただきましたが(放送希望×2!)、こうした真贋鑑定で大きな壁となるのが、ベルトラッチ氏のような、腕利きの贋作師の存在です。
(このような大規模な詐欺を働いた贋作師は、しばしば「Master Forger(贋作の大家)」と形容されます。浦沢直樹先生の名作「マスターキートン」みたいでなんかカッコよさげ……。)

MASTERキートン 1 完全版 (ビッグコミックススペシャル) -
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 巨匠と同時代のキャンバスを使い、タッチやサインを完璧に模倣した作品は、専門家でもその真贋の判断が非常に難しいと言われています。

 特に画材調達が比較的たやすく、古典的な作品に見られる制作に時間を要する緻密さよりも、斬新な発想を重視する現代アートは、ベルトラッチのような高い技術を持つ贋作師には模倣しやすく、現在マーケットに出回る現代アートには、多くの贋作が紛れ込んでいると言われています。

(そんな中、タッチも絵の表面に現れる経年変化も再現し、フェルメールの贋作を作ったハン・ファン・メーヘレン〈Han van Meegeren〉は、絵をナチス・ドイツに売りつけたという事実も手伝って、今でも伝説の贋作師として語り継がれています。〈「Fake or Fortune」によれば、彼の経年変化の再現方法は未だ謎に包まれているそうです。〉)

 そんな贋作師たちの制作の秘密それ自体も興味深いですが、もう一つ、日本人の目からはなんとなく意外なのは、足を洗った贋作師が堂々と出演するという海外のテレビ番組事情です。

 既に司法の裁きは終わっているというだけではなく、「高い技術を持った贋作師の絵と真作の本来的な意味での価値の違い」や、「権威主義的な市場や巨万の富を持つ人々を大胆に欺いて泳ぎ渡る」という贋作の側面が、どこか人々を引き付けるのかもしれません。
(「Fake or Fortune」を観ているとそういう贋作をつかまされてしまい落胆する人たちも目にするので、あまり軽く考えることもできないのですが……。)

 このベルトラッチ氏の他にも、イギリスではジョン・マイアット(John Myatt)という有名な元贋作師の方がいて、しばしば贋作技術解説の権威としてテレビに登場しています。
(今は二人ともちゃんとご本人の名で絵が高値で売れているそう。)

 (「Fake or Fortune」でメーヘレン作と疑われる作品の鑑定時に、メーヘレンの謎の制作技法にチャレンジしたのもこの人です。〈ちなみに鑑定対象だった絵は、フェルメールではなく、本物だとしてもそこまで価値のある絵ではなかったので、むしろ「あのメーヘレン」作を美術館のスタッフが期待していたのが印象的でした〈数十年前、美術館が偽物をそれと気づかず所蔵してしまったということなのに〉。さばけている……〉)

 日本でもおなじみの鑑定の世界を裏側から描いた面白そうな作品なので、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

 以上、おススメ番組紹介でした。

(この番組について、当ブログで書かせていただいたあらすじと感想記事はこちらです。
 (※ネタバレ)「贋作師ベルトラッチ 〜超一級のニセモノ」あらすじと感想(NHK BS世界のドキュメンタリー)

 
(まったくの余談ですが、この情報をチェックしている最中、当ブログでも繰り返しご紹介させていただいているイギリスの合唱団指揮者ギャレス・マローンさん〈合唱を心から愛する情熱的で礼儀正しい理想的リーダー、メガネ男子〉の番組の再放送について。番組スタッフブログ9月9日分内にこんなコメントがありました。

「なお、多くの方からご投票いただいた「ギャレス・マローンの職場で歌おう!」(全8回)は、
12月に放送を予定しています。詳細が決まり次第、HPにてお知らせいたします。どうぞお楽しみに。(「もう一度見たい!」ラインナップが決まりました。(9月9日記事)」より)

 さすがですギャレスさん……。〈当ブログでもまたこの方について書かせていただく予定です。〉)

 しかしこうなるとホントに「Fake or Fortune」も放送してほしいです。こういう贋作師や、眠れる絵画を探す目利きのディーラーや鑑定士たち、謎多きアートマーケット、鑑定のために科学技術を駆使する調査担当者たち(そしてもちろん所有者)全ての人々の動きが観られて無茶苦茶スリリングで面白いんです!

 こちらの番組についても、今後情報入手できる範囲でご紹介する予定ですので、よろしければまたお立ち寄りください。

 また、イギリスの元贋作師ジョン・マイアット氏についても紹介記事を書かせていただきましたので、こちらもよろしければご覧になってみてください。

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum. at 23:19| 番外編・おすすめテレビ番組 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする