2016年08月29日

ツチノコ追加情報(ドラえもん界ツチノコとは真逆の世界ご紹介)


ちびまる子ちゃん 田中さんの証言.png

 前回、「ドラえもんに登場するツチノコは激カワ」ということをご紹介させていただきましたが、本当は(?)かわいくない(らしい)ということがわかる、作品掲載時の1970年代近辺のツチノコ情報や本について追記させていただきたいと思います。

ツチノコ3.png
(藤子F先生デザインだけ、当時からなんでこんなにかわいいのか〈×大泉逸郎〉まったく謎。)

1,『ちびまるこちゃん』「まぼろしのツチノコ株式会社」(コミックス4巻収録)

ちびまる子ちゃん (4) (りぼんマスコットコミックス (472)) -
ちびまる子ちゃん (4) (りぼんマスコットコミックス (472)) -

 ツチノコブームに沸いていた当時、『小学3年生』に掲載されていた、田中さん(58歳・農業)の目撃証言を固く信じたまるちゃんが、デパートの懸賞金100万円を目当てに、親友たまちゃんとエキセントリックな学級委員丸尾君とともにツチノコ探しに出かけるというお話です。

「当時、ツチノコ発見者には懸賞金が贈られるイベントがあった」
「ツチノコには毒があり、飛ぶ(らしい)」
という情報を広く後世に知らしめた作品です。

ちびまる子ちゃん ツチノコの恐怖.png

(当時の子供たちが抱いたツチノコのイメージを象徴するコマ)

※今でも岐阜県東白川村「ツチノコフェスタ」、新潟県糸魚川「ツチノコ探検隊」といったイベントでは懸賞金制度は続いているそうです。
http://higashishirakawa.info/event.htm(ツチノコフェスタHP)
http://nunagawa.ne.jp/tsuchinoko/index.html(ツチノコ探検隊HP)

 「捕獲の暁には(丸尾)スエ夫、タマエ、モモコ(まるちゃん)の頭文字をとり、スタモツチノコ株式会社を経営しましょう」という丸尾君のネーミングセンス(社長丸尾君〈予定〉)や、どう考えてもあてになりそうにない「田中さん(58歳)」の証言を、家族からクラスメートに至るまで失笑されても、熱心によりどころとするまるちゃんの純真(含100万への欲望)が味わい深い名作回です。

ちびまる子ちゃん 見ず知らずの田中さん.png

 まるちゃんの奮起を促すべく、「アナタの業績次第ではあなたをわたしの秘書にしてあげてもよいですよ。ズバリ頑張るとよいでしょう」という丸尾君の提案に対する、「そんな条件でよーしがんばるぞ、と言うとでも思っているのであろうか」というナレーションや、100万を手に入れた後の夏休み、ヨットでカクテルを飲みながら「ヘーイ、カモンジョージーイ♪(誰)」と南国を満喫するビキニ姿のまるちゃんのコマ(妄想)も大人心に響きます。
(前者はドラえもんの至言「いい!いい!どうでもいい!」に通じる一脈のわびがある。)

 2、恐怖の子供向けオカルト図鑑情報

 おそらく丸尾君も「スタモツチノコ株式会社」社長(予定)として参照したのではないかと思われる、1970年代のオカルト系図鑑や児童向け雑誌の記事では、藤子F先生のきゃわゆいぷっくりツチノコと完全に対立する、「短い凶暴なコブラ的ヘビ(跳躍力つき)」の情報が紹介されていました。
 
 この手の本ときたら、仮名遣いこそひらがなを多用していますが、それ以外は話題から絵から子供向け配慮が限りなくゼロに近く、むしろ大人でもそれなりにグロ耐性がある人でないとキビシイものがあります。

 レトロ系ライター(※)初見健一さんのブログで紹介してくださっている、1970年代の怖いツチノコ(想像)が見られるページはコチラです。(こちらは週刊誌の挿絵のようですが、幼少時の私が見たのもこんな感じの絵でした。)

 キャプションは
「『なぜなに学習図鑑』の挿絵などで、ちびっ子たちの脳内に凶悪なトラウマを植えつけまくった石原豪人画によるツチノコ画。なんか、毒性120%増しって感じ。」
……そう、そうなんです。まさに「トラウマ」としか形容しようが無い……。
http://tokyoretro.web.fc2.com/tsuchinoko.html
(ブログ、「東京レトロスペクティブ」より〈ブログ自体レトロとサブカルを満喫できてとても楽しいです〉)

 なんでこんなに質感豊かに、恐ろしく描くのでしょうか。当時「藤子F版ツチノコ」しか知らなかった(そして「カーワイー、ツチノコカーワイー♪」と思っていた)私には大ショックでした。
(しかもなんかその本〈図書館蔵〉が古い&大人気だったらしくズタボロだったのが、触ると血や湿気がつきそうなくらいのリアル画と相まって禍々しかった。)

(※)初見健一……サブカルチャー研究家、著作家。今も現役で活躍する昭和レトロな品々やデザインを紹介してくださった心温まる名作「まだある」シリーズの作者でもある。自称「懐かしがり屋ライター」(粋なフレーズ)

まだある。文具・学校編 改訂版 (今でも買える“懐かしの昭和"カタログ) -
まだある。文具・学校編 改訂版 (今でも買える“懐かしの昭和"カタログ) -

まだある。キャラクター編 改訂版 (大空ポケット文庫) -
まだある。キャラクター編 改訂版 (大空ポケット文庫) -

(※2)石原豪人……1950年代から長期にわたり活躍したイラストレーター。映画看板画家からキャリアをスタートさせ、子供向け雑誌、劇画、新聞小説、ゲーム雑誌、(別名義で)SM雑誌やゲイ雑誌まで、依頼があればジャンルを問わずに手掛けた。

石原豪人 妖怪画集 -
石原豪人 妖怪画集 -

新装版 石原豪人---「エロス」と「怪奇」を描いたイラストレーター (らんぷの本/マスコット) -
新装版 石原豪人---「エロス」と「怪奇」を描いたイラストレーター (らんぷの本/マスコット) -

石原豪人 (らんぷの本) -
石原豪人 (らんぷの本) -

 しかし、当時の挿絵画家の方々の絵は、いい意味でも悪い意味でも妥協や手抜きが一切感じられず、高い技術と、非常に広範囲な仕事ぶりに裏打ちされた、徹底的な絶望感やケレン味、秘めた妖艶さがあって、子供のときにはあれだけ怯えまくったのに、今となるとフラフラと吸い寄せられる魅力があります。

 (ツチノコの話題があるかは未確認ですが)初見さんがこの手の子供向け(だけど全然配慮が無い)情報紙面をまとめた「昭和ちびっこ怪奇画報」という本を出版されています。
(「ちびっこ」と「怪奇」の組み合わせが既に「ナンカチガウ」感満載。)

昭和ちびっこ怪奇画報 - ぼくらの知らない世界1960s-70s (青幻舎ビジュアル文庫シリーズ) -
昭和ちびっこ怪奇画報 - ぼくらの知らない世界1960s-70s (青幻舎ビジュアル文庫シリーズ) -


 立ち読みだけさせていただきましたが、当時の紙面の未だ色あせぬインパクトと、今だから言いたくなる突っ込みどころが大量にあってすごく面白かったです。初見さんの的確な評も楽しい。

 でも「欲しいんだけど家の本棚にあると、幼少期の記憶がよみがえって怖い」と未だに購入を躊躇しています……。

 ところで、ウィキペディア記事によると、ドラえもん人気に影響され、台湾の若者たちは幼少期の私同様ツチノコを非常に可愛らしいものだと思っていらっしゃるそうです。

 世の中に架空とはいえこれほどイメージギャップのある存在は無いと思うので、海を隔ててドラえもんを好いてくださっている若い人々が、これからこの手のイメージを知って、私と似たようなショックを受けるのかもしれないと思うとなんかちょっとアンニュイになります。

 以上、ツチノコ追加情報でした。

 読んでくださってありがとうございました。

※(訂正)一時「ちびまるこちゃん」引用画像のさくらももこ先生のお名前を「さくらもここ」(汗)としてしまっていたので、おわびして訂正させていただきます。なんで間違えたんだろう……(汗2)大変申し訳ありませんでした。

【関連する記事】
posted by Palum. at 23:10| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする