今回は「未知とのそうぐう機」(コミックス17巻)の一部あらすじと幻のグッズ情報についてご紹介させていただきます。
コミックス17巻。(前回ご紹介「驚音波発振機」も収録)
宇宙人を呼ぶ電波を発するひみつ道具「未知とのそうぐう機」をのび太が勝手にいじったために、家に宇宙人が訪ねてきてしまうというお話です。
ドラえもんから「触るな!」ときつく言われただけで(見ていただけなのに、非常に感じ悪く注意されたので、あてつけに触るのび太。ドラえもんもしまっときゃいいのに……)、機械の説明をしてもらわなかったので、単に「UFOが見られる機械」と思い込んで面白がって何度もボタンを押してしまいますが、繰り返すうちにそうぐう機の電波発信源をつきとめた宇宙人ハルバルさん(ハルカ星在住)がのび太の部屋にUFOで乗りこんできます。
アザラシとおじさんと古風なオバケをミックスしたようなコワカワイイハルバルさん。(17巻表紙に登場)
異変に気付いたドラえもんが「あー!!やってくれちゃって!!」と。部屋に飛び込んできたとき、のび太はハルバルさんの「NMwwNwW」みたいな喋りに対し、「アハハなんか言っている」とのんきにかまえていましたが、ドラえもんは、のび太を部屋の外に連れ出し、
「態度に気を付けたほうがいい、なにしろ何百光年という遠い星からはるばるくるんだからな。用もないのに気やすく呼ぶなとカンカンに怒って、宇宙戦争になりかけたことさえあるんだぞ」
と深刻な表情で耳打ちします。
ホンヤクコンニャクを食べたドラえもん経由でハルバルさんのお話を聞いたところ、
「いいたかないけど地球までの燃料費が二千万円もかかった。ごはんの最中に呼び出されたので、はやく用事を言ってくれ」とのこと。
(個人的な話ですが、子供のときこれ読んではじめて「いいたかないけど」という言い回しを学び、以来これに類するフレーズを聴くたびハルバルさんを思い出すようになりました。児童向け漫画のわりに渋いセリフ……。)
もちろん用なんかなかったので慌てるのび太。
様子を察したのかハルバルさんはこうつけ加えます。
「まさか面白半分じゃあるまいな。話は変わるがハルカ星の連合艦隊はこれまでの宇宙戦争で一度も負けたことがないんだ」
震えあがりながらも、仕方なく食事をごちそうしてごきげんをとってごまかして帰ってもらうことにした二人。
(のび太にコーラをお酌されるハルバルさんの片肘をついたポーズがいかにも接待され中のおじさんっぽい。)
(ドラえもんのひきつった愛想笑いと、蓋がとれる炊飯器の昭和レトロなデザインも味わい深い)
地球の食べ物はうまい、と、はじめて眉間のしわを消して笑顔をみせたハルバルさん(可愛い)でしたが、地球の平和を守るためにおかわりをお出ししようとしたのび太を見とがめたママ、犬か猫でも拾ってきたのかと追及した挙句、ハルバルさんを見て、
「まあっ、アザラシなんかつれこんで……。シッ、シッ」
といきなりほうきでハルバルさんの後頭部を殴り倒します。
ドラえもんと同居しているから変わった出来事には慣れているのかもしれませんが、家にアザラシ(違うけど)がいても驚かず、しかも、いきなり派手に殴るなんてママもなかなかスゴイ感性の持ち主です。
当然激怒したハルバルさん、宇宙艦隊で地球へ攻め寄せる!と言い残してUFOに乗り込もうとします。
足(ヒレ?)にすがって止めようとするも、衝撃波を受けてふりほどかれてしまう二人。
「もうだめ!地球はほろびるんだ、君のせいだぞ!」
「そ、そんな……」
なすすべなくへたりこむ二人。
しかし、UFOに向かいかけたハルバルさんが畳に転がるあるものを見て立ち止まります。
前ヒレでそれを拾い上げると、鼻息荒く、なにやら「NMwwNwW!!」とまくし立てているハルバルさん。
「ビー玉を見て騒いでいる」
実はハルカ星ではガラスができず、地球のダイヤよりも値打ちがあるとのこと。
それを聞いたのび太は箱一杯のビー玉を差し出し、
「地球とハルカ星の友情のしるしとして、ビー玉を贈りたいと思って呼んだのです」
と笑顔で後付けの用事を伝えました。
ハートを一杯まき散らして前ヒレでのび太を熱烈に抱擁したハルバルさん、大喜びで帰宅。
「ついに地球は滅亡から救われたのであった!」
安堵して抱き合うドラえもんとのび太を見て、つい先ほど、息子との共同作業で地球を滅ぼしかけたとも知らないママが、
「テレビの観すぎです」
と、口を「3」にしてあきれていました。
(完)
さて、ハルバルさんの交通費片道2000万円は大いなる利益をもたらしたというのはあの熱烈ハグでよくわかりましたが、具体的にハルバルさんはどのくらいうれしかったのかということがちょっと知りたくなったので、ビー玉の大きさから、きわめていい加減に、ハルカ星のビー玉の価値を予想してみました。
一般的なビー玉(ラムネに入っている大きさ)は直径約17oだそうです。
(ウィキペディア記事「ビー玉」より)
(※のび太の手との対比ではもう少し大粒のビー玉にも見えますが一応標準的なサイズとします。)
複雑にカットされているので正確な体積は不明ですが、これに近い大きさのダイヤモンドは約10カラット程度と思われます。(ハリウッドセレブの指輪の記事で10カラットなら親指の爪大とあったので)
(本当は1カラット=200mgと重さで換算するそうですが、ダイヤとガラスでは重さが違うので、ここではおおまかな一粒の大きさで考えさせていただきます。)
上記記事のハリウッドセレブの10カラットの指輪で、石のランクはさほどでもない(らしい)指輪が査定8000万とあるので、カット、透明度、カラーが最高位のダイヤモンドの裸石(ルース ※カット済の粒のこと)以上の価値がビー玉にあるとすると、一粒一億円程度。
(参照:ウィキペディア記事ダイヤモンド)
箱の中に見えるビー玉は約15個、二段詰まっていると考えると合計30億円。
しかし、ダイヤと違ってその星に存在もしない物質となると、さらに高値である可能性があります。ダイヤでもピンクダイヤ等希少性があると数倍〜数十倍の値がつくので。
(それにしても、ハルバルさんきっかけで、かつてないほどダイヤ情報を読むとは思わなかった。)
なんとなくハルバルさんは星でそれなりの立場のアザラ…方なのかなという印象も受けますが(逆らえない呼び出し電波を受けたとはいえ、すぐに片道2000万の交通費を出しているところとか、連合艦隊とコネがありそうなところとか、接待され慣れた感じのコーラお酌されポーズとか)、のび太のはからいで、一瞬にして超富裕層資産に匹敵する宝石を得たわけですから、そりゃほうきの一撃くらいチャラにしますよね。
ところでこのコワカワイイハルバルさん、2007年に一度フィギュアになりました(ビー玉つき〈大笑〉)。
そしてそれから15年後の、2022年2月、再び、ぬいぐるみ、お茶碗、湯飲み、ビー玉風根付などグッズが登場。
(お茶碗、湯飲みは原作コマがプリントされていて特にファン心をそそる〈ハルバルさんのかわいい笑顔とか、ご飯をよそうドラえもんの作り笑いとか〉)
【公式情報】ハルカ星からやってきた!!ドラえもん未来デパート限定!「未知とのそうぐう機」のお話をモチーフとしたグッズが発売!(2月4日情報)
【ドラえもん未来デパート】
地球を滅亡させようとはしましたが、よく見るとマニアックドラキャラの大スター「ツチノコ」(毒すら持っていると噂されるUMAヘビなのに、藤子F先生のデザインにかかるとおもちみたいで人懐こい生き物に変身。こちらはあまりの可愛さにグッズ多数。)の次くらいに可愛いと思うので、今後もグッズ化に期待大です。
藤子F不二雄ミュージアムでハルバルさんディスプレイについてご紹介なさっている記事はコチラです。巨万の富(ビー玉)に囲まれて幸せそう。
是非、原作をお手に取って、この絶妙なデザインのハルバルさんとオチ(そしてママの冷静すぎる反応)をお楽しみください。
当ブログ関連記事:
(参照記事:ジェニファー・アニストンの婚約指輪、関節より大きな10カラット超のダイヤが不評
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