2016年08月01日

「弟の夫」(漫画)Kindle(電子書籍)セール実施中

昨日のこうの史代さんに引き続き、おすすめ漫画のKindle版セール情報をお届けいたします。

「弟の夫」(田亀源五郎)

弟の夫(1) (アクションコミックス(月刊アクション)) -
弟の夫(1) (アクションコミックス(月刊アクション)) -

弟の夫 : 2 (アクションコミックス) -
弟の夫 : 2 (アクションコミックス) -
小学生の娘と二人で暮らす男のもとに、彼の弟が同性婚したカナダ人の夫が訪ねてくるというお話です。

急逝した双子の弟が男性と結婚していたという事実と、その夫マイクのセクシュアリティをすんなりとは受け入れられない男弥一のとまどいと、父の気持ちをよそに、優しいマイクとすぐに意気投合する娘夏菜。
そして、亡き夫との約束を果たしに日本に来たというマイクの三人での生活が描かれています。

ゲイであるがために、いやおうなく直面させられる社会の偏見や、家族との関係とともに、弥一のように、ゲイを差別する気は無いけれど、身内となるとどう接していいのかわからないという人の心理が、非常に丁寧に描かれています。

同性愛というテーマを直接集中的に描くのではなく、それを、弥一と夏菜の家庭の事情や、大切な人との死別という、セクシャルマイノリティではない人も体験しうる出来事と併せて描いている点も特徴的です。

同性愛について理解を深めるきっかけとしては勿論、ただ、さまざまに痛みを秘め、しかし絆のある一家庭の日常の物語として、とてもオススメしたい作品です。

双葉社の第一話ためし読みページはコチラです。

以下、見所をすこしご紹介させていただきます。
1、マイクの人柄と表情。

夏菜ちゃんが「サンタさんみたい」と一目で気に入ったとおり、暖かさと包容力が全身からにじみ出ています。(一方、さすが作者がゲイアートの巨匠、なんだかものすごく質感と説得力のある肉体の持ち主なんで、一読目はシャワーシーンなんか出てくると妙に焦ってしまいましたが。)

愛する人を亡くし、悲しみの中で思い出を追う心が、ささいなしぐさやふとしたきっかけにあらわれ、読む者の胸に響きます。

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亡き夫の部屋に泊まることになり、遠いぬくもりに触れるように畳に手を伸ばす場面。

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弥一の後ろ姿に、夫が重なってしまった瞬間のまなざし。

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2、弥一の心理描写

高校時代の弟の同性愛カミングアウト以来、少し精神的に距離ができてしまったまま、弟と死に別れた弥一。

兄弟の情は変わらないし、弟の夫のマイクがいい人なのはわかるが、自分の中でどう折り合いをつければいいのかがわからない。
(夏菜のように自然に接したいのは山々だけれど、どうしても色々考えこんでしまう自分がいる。)

そんなとまどいの中、マイクやマイクを慕う夏菜とのやりとりを通じて、少しずつ気の持ちようを調整していきます。

弟の夫3.png

一方で、周囲の人がマイクに持つかもしれない偏見から、どう夏菜の気持ちを守るかという問題についても父親として頭を悩ませます。

弥一が自分や周囲の同性愛に対する目について考え込んでいると、時おり、鏡の中、自分の足元から地面に伸びるシルエットに、弟の面影がよぎります。

この面影が、彼の心をどう変えていくかは今後の展開に託されています。

このように、身内の視点を通じ、自分の身近な人が同性愛者であることに対する悩みと理解の過程を描いた作品というのは非常に画期的な気がします。

弥一の弟の死や、マイクが日本に来た理由など、まだ多くが謎に包まれながら、すでに非常に読みごたえと魅力のある作品ですので、この機会に是非ご覧になってみてください。
(2016年8月1日時点で第一巻100円、第二巻が486円、二日前からはじまったセールのようです(※)。終了期間がわからないのでお早めに。私はまんまとセール期間外に定価で買ってますが〈苦笑〉、それでも満足なので、紙書籍等でも是非。)

読んでくださってありがとうございました。

(※参照)アオシマ書店(電子書籍の販売情報サイト)「ゲイ差別から目を背けるな。差別してしまう自分と戦え『弟の夫』1巻が100円」(7月29日記事)

posted by Palum. at 03:57| おすすめ漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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