2014年05月06日

「超絶技巧!明治工芸の粋(すい)‐村田コレクション一挙公開‐」おススメ作品(七宝編1 並河靖之作品)

 東京日本橋の三井記念美術館で、「超絶技巧!明治工芸の粋」が開催されています。
 明治時代、主に海外に向けて作られた工芸品の数々を集めた「村田コレクション」が、見られる展覧会です。

 ・公式HPのURL
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

 ・プレスリリースPDF(チラシ)URL
http://www.mitsui-museum.jp/pdf/pressrelease140419.pdf
 ・当ブログ過去記事はコチラ


 今回から数回に分けて、観てきた中で個人的に特に素敵だと思った作品群についてご紹介させていただきます。(一応Web上で画像を見られるものについてはURLを貼らせていただきました。)

 1,桜蝶図平皿(おうちょうずひらざら)
 緑地に桜と蝶の舞う皿。(展覧会チラシ左)

 日本の七宝の美を世界に轟かせた達人、並河靖之の作品。

 彼の作品の中で最も有名なのは黒地に写実的な花鳥の図の壺ですが、この作品のような独特の緑と大胆な装飾的構図もまた彼の持ち味でした。

 生で見ると抹茶ソーダというかなんというか、ちいさな粒子の一杯浮かんだ奥深くも華やかな緑の中に、赤茶、ターコイズ、黄色、黒などこまかな配色の羽を広げた蝶々たち、そして、つぼみの先や花びらの根もとのほんのりそまった桜の花びらと、緑から黄、赤へと色を変えるやわらかな葉があでやかに配されています。
 正直もう一さじ加減間違えば変だと思ってしまうような色合わせなんですが、感性のミリ単位の着地点をあやまたず……とでもいうか、ぴたりと色も構図もおさめてあります。現代人の頭一つ上を行く大胆さに脳が刺激されて面白い。

 ちなみに、画像では見られないんですが、「すごい色彩感覚と絶妙な装飾的構図」という点では「蝶に花の丸唐草文花瓶」という作品も素敵です。

 ほっそりしたシルエットの瓶に、黒枠でふちどられて縦長に均等に配されたモスグリーン、青、モカブラウン、クリーム(いやホワイトチョコレート色かな)の地。

 その上に紋章のような丸枠を土台に花々がぽんぽんとはみだして咲き、唐草が空間をくるくる走っています。

 隣り合った色をつなぐように散らされた蝶や花のオレンジや黄色が眼に心地よいアクセントとなっている。

 令嬢が大振袖を翻したような、はっとするほど華のある作品です。女性なら「かわいい!!」と叫ぶでしょう。
 
 個人的には今回の展覧会でどちらかというとこういう並河靖之の装飾的な作品が見られたのが面白かったです。「黒地リアル花鳥」のイメージが強かったので。

 残念ながらこの「蝶に花の丸唐草文花瓶」はチラシにも三年坂美術館にも画像が無かったので(なんでだろう……コレ絶対今回の展覧会で、蝶のお皿と並んで女性人気集めますよ。飾り映えするから三年坂でもポストカードになさればいいのに)、取材許可を得て撮影をしたという方の、画像入り展覧会記事URLを貼らせていただきます。
http://tourdefrance.blog62.fc2.com/blog-entry-2340.html

 このほか、装飾的名作というと、おそらく村田さんご自慢の品であろう(よくテレビで映る〉「蝶図瓢形花瓶」も見られます。ぽてっとした瓢箪型の花瓶に大きな蝶が舞っている作品。可愛らしい形と、地の漆黒、蝶の羽の山吹色や群青などの色合いのシックさというギャップが魅力。
(並河作品に蝶が多いのは家紋が蝶だったからだとか。)

 三年坂美術館のポストカード画像URL
http://www.sannenzaka-museum.co.jp/cart/shop.cgi?order=&class=all&keyword=%95%C0%89%CD&FF=10&price_sort=&mode=p_wide&id=6&superkey=1&popup=yes

 ちなみに展覧会内、並河「リアル花鳥」作品群のなかで、個人的に一番のおススメは「鳥に秋草図対花瓶」(画像が無いので拙文でご想像ください……)

 目録解説を見ると深い茶色だそうですが、非常に黒っぽく見える、口から底までぬめるようにしっとりとした地の細身の壺に、か細いながらも強弱のついた金線銀線でふちどられたススキ、おみなえし、牡丹、桔梗、萩などが伸び、そこに瑠璃色の羽に薄黄色いお腹のルリビタキという可愛らしい小鳥が飛んでいる、二組一対の作品。

 圧巻はススキ、暗い地に金色に細く長くついと伸び、小鳥が身をよじってその茎に留まっているので、そのささやかな重みに揺れて糸のような穂先が光っている……ように見える。

 この、しんとした暗闇の中の余韻が絶品です。

 並河の黒の最高傑作、「四季花鳥図花瓶(皇室所蔵)」が持つ魅力に一脈通じると思いました。

 日本人はなぜか描かれていない「間」にコーフンする性癖があるので、(理由はわかりませんが、自分を含めて、絵でも文学でも上述の「余韻」とか「ほのめかし」に弱い人が多いと思う)この並河の暗い地の中の花鳥はいかにも日本的な美といえます。

 清水三年坂美術館のHP内に並河靖之も手掛けた「有線七宝」の工程解説と動画がありましたので、併せてご覧になってみてください。
http://www.sannenzaka-museum.co.jp/jyosetu2.html#sipo

当ブログの明治工芸に関する記事(今回の物を含む)は以下の通りです。よろしければ併せてご覧ください

極上美の饗宴 並河靖之の七宝
極上 美の饗宴 「極上美の饗宴シリーズ“世界が驚嘆した日本”七宝 幻の赤を追う」
「超絶技巧!明治工芸の粋(すい)‐村田コレクション一挙公開‐」 展覧会概要ご紹介
「超絶技巧!明治工芸の粋(すい)‐村田コレクション一挙公開‐」おススメ作品(七宝編1 並河靖之作品)

 また何回かこちらの展覧会作品ご紹介や明治工芸にまつわる話題を書かせていただきたいと思います。

 読んでくださってありがとうございました。
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posted by Palum at 11:21| 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする