2014年03月24日

「ラファエル前派展」おススメ絵画2ミレイ作「釈放令」

本日は引き続いて4月6日まで開催中の「ラファエル前派展」の名画について書かせていただきます。
本日は現在開催中の「ラファエル前派展」で展示中のおススメ絵画について少しご紹介させていただきます。
 この展覧会に関する当ブログ過去記事はコチラ。
 1,ラファエル前派展
 2,「オフィーリア」ミレイ作
 3,ミレイの「オフィーリア」と夏目漱石の『草枕』
 4,エリザベス・シダル(オフィーリアのモデル)
 5,「ラファエル前派展」混雑状況と展示の工夫
6,おススメ絵画ミレイ作「両親の家のキリスト」

 「オフィーリア」で有名なエヴァレット・ミレイ作「釈放令」
釈放令.jpg

 拡大画像をご覧になりたい方はコチラ(テート美術館HPより)


 戦いに敗れとらわれたスコットランド兵(スコットランドの民族衣装であるキルトをまとっています)に出された釈放令を示す紙を、彼の妻が看守に差し出し、夫が自由の身となった瞬間を描いた作品です。

 妻と、妻の腕の中で眠っている幼い子供に手を回し、長い不安から解放されて妻の肩に寄りかかる夫。
 彼を連れて帰れる喜びと誇りを秘めた厳かで力強いまなざしの妻。

 そして、家族の一員として一緒に来て、後ろ脚で立ち上がり夫に前脚をかけながら、「おかえりおかえり」と言うように、妻につながれた夫の手を舐める犬。

 この犬がホントチョーカワイイです。……生で観ると、背中のツヤツヤした毛並と、喜びにふぐふぐ鳴っていそうな鼻周りのあたたかい感じが圧巻。

 動物を描いたら天下一品と言われた同時代の画家ランドシーアの犬にもひけをとらない魅力がありました。(ただ、「鼻しっとり湿ってそう度」「あったかい鼻息聞こえてきそう度」ではやはりある意味その道を極めたランドシーアの傑作群が紙一重一枚上手ですが〈変態か〉)

 ランドシーアの傑作「老羊飼いの喪主」……(ウィキペディアより)犬が共に暮らした亡き羊飼いの棺に悲しげに顎を乗せている姿です。今気づいたんですがこれもしかして「釈放令」の犬と種類同じなんですかね。これもスコットランドの犬なのかな……。
 
ランドシーア 老羊飼いの喪主.jpg

 余談ですが、この「釈放令」の中のやわらかい顔立ちながら気丈そうなまなざしの女性のモデルは、エフィー(ユーフェミア)・ラスキン。(旧姓グレイ)
(エフィーとミレイと子供たち ウィキペディアより)

エフィーとミレイ.jpg

 元はミレイを高く評価した評論家ジョン・ラスキンの妻であった女性でした。

 エフィーとラスキンの結婚は実態をともなわない不幸なものであったらしく、ミレイに惹かれたエフィーはラスキンに対して婚姻無効を申し立て、ミレイの妻となります。

 当時ミレイを支持していたヴィクトリア女王でしたが、この出来事を機に、ミレイと疎遠になり(夫アルバート公を熱愛していた女王には妻が夫を捨てるという行為が許し難く思われたのかもしれません)、エフィーには謁見を許さなかったそうです。

 しかし、ミレイの晩年、ヴィクトリア女王は死の床にあった彼に「なにかできることは無いか」と伝言で尋ね、ミレイはそれに対し、「妻の謁見をお認めください」と言ったそうです。

 女王はそれを承諾し、ついにエフィーは女王に謁見することが叶いました。

 ミレイの死後、エフィーも1年ほどして亡くなったそうです。(ウィキペディア記事より)


 ラファエル前派は画家とモデルたちの間で複雑な愛憎劇が繰り広げられたことでも知られますが、個人的にはミレイとエフィーの話は、はじまりこそ波乱に満ちたものであったかもしれないけれど、その後については、なにかもっとひっそりと長年積み重ねられた運命の愛のたたずまいがあるような気がします。 

 イギリステート美術館HP内のこの絵に関する解説URLは以下の通りです。
http://www.tate.org.uk/art/artworks/millais-the-order-of-release-1746-n01657/text-summary

 次回記事では、この展覧会で観られる、ミレイ以外の画家のおススメ作品についてもう少し書かせていただこうと思います。

 読んでくださってありがとうございました。

 参考資料
・「ラファエル前派展」朝日新聞社
・ウィキペディア「エヴァレット・ミレイ」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%AC%E3%83%BC
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posted by Palum. at 20:47| 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする