2014年03月18日

(台詞編@)刑事コロンボ「忘れられたスター」

2014年3月15日(土)15:30〜17:08 BSプレミアムで刑事コロンボの「忘れられたスター」が放映されました。


 往年のミュージカル女優グレース(ジャネット・リー〈サスペンス映画「サイコ」でシャワールームで殺害される美女マリオンを演じたことで有名〉)が、自身の再起をかけた舞台への出資を断った富豪の夫ヘンリーを殺害するという筋立てです。

 当ブログでこの作品についてご紹介させていただいた過去記事は以下の通りです。
1,ご紹介編
2,ネタバレ編

本日は、この作品の中の名場面の英語の台詞についてご紹介させていただきます。

(場面)振付師ネッドとコロンボのやりとり

早くから夫ヘンリーの死が自殺ではなくグレースの手によるものではないかと疑っていたコロンボ。

捜査のために何度も彼女の前に姿を現しますが、ネッドはそれにいらだつグレースを心配します。

今回は彼女の復帰舞台の指導者として彼女を支える立場でしたが、ネッドはかつては役者として彼女とコンビを組み、その名演で喝采を浴びた大スターであり、またひそかにグレースを愛してもいました。

そんなネッドはグレースの精神状態を気遣って、コロンボにこれ以上無駄に彼女の周辺をうろつくのはやめるようにと強く迫ります。

以下、そのときの二人の会話と私的直訳です。

Let me tell you something, Lieutenant, about being a star,which Grace was.
君に教えておいてやろう警部補(=Lietenant〈コロンボのこと〉)グレースがそうであったようなスターであるということを。

It’s a crazy, ecstatic, explosive blow to the ego.
それは狂気じみていて、有頂天で、爆発的に自己顕示欲に打ち付けてくる(=自己顕示欲を満足させる)。
ecstatic……有頂天の
exploseve……爆発的な

Very few people are lucky enough to be able to handle it.

それをうまくさばける運の良い人間というのはほんどいない。
 ・handle……(動詞)操縦する

And unfortunately Grace wasn’t one of those.
気の毒だがグレースはそういう人の一員ではなかった。

She’s really ambitious. I know that.
彼女は確かに野心的だった。それは知っている。
ambitious……野心のある

But murder? By someone I ‘ve known……and loved for years. I can’t accept that. I won’t accept that.

だが殺人(を犯した)だって?僕のずっと知っている……愛している人が。
僕は受け入れられない。そんなのは認めない。

(コロンボ、つらそうにうつむき、片手をあげてネッドをさえぎり。)

I think she did it.
彼女がやったんです。

(ネッドのオフィスを出て行こうとするコロンボ、足を止め)

She invited me to her house tonight to watch a film. I'm going.
今晩、彼女の映画を観に来るようにグレースさんに招待されました。行くつもりです。

If she means anything to you, you ought to be there, because I think she did it.

もし彼女があなたにとって大切な人なら、あそこに行くべきです。私は彼女が犯人だと思って居ますから。
ought……〜すべきである


ちなみにX means 〜 to 人で、「人にとってXは〜という意味がある」というニュアンスになるようです。
なので「She means a lot to me」で「彼女は僕にとって大切な人なんだ」ととることができます。

それにしても、このネッドの言葉から、スターとして成功するということの、栄光と表裏の危険がまざまざと浮かび上がってきます。

どんなに成功した人でも永遠に同じ境遇に居続けるということはできません。

老いや時代の移り変わりなど、なんらかの形で立ち位置を変えざるをえない。

それが「若くて美しい、喝采を浴び続けるスター」という立ち位置だった場合、これはもう、時とともに絶対に、ゆるやかにその場から滑り落ちていかざるをえない。

だけど、その陶酔を知ってしまった人は、ある種強すぎる酒におぼれるように、その快感でしか満足できなくなる。

アメリカが迎えた歴史上まれにみる未曽有の繁栄、その富と文化の頂点ともいえるエンターテイメントの世界。

そうした、トップの中のトップの光を燦然と浴び、それに目がくらんだ人間が、あたりまえの人生に戻っていくことの難しさ。

 いかにして、「スター」という生き物から「等身大の人間」に帰っていくか。あるいは、はじめから等身大の自分を見失わずにいられるか。

それは今現在も続くあの世界の大きな、非常に難しい課題なのでしょう。

こうして、コロンボと一緒にグレースの家に行ったネッド。

真相を知った彼はここでなおもグレースをかばおうとします。

(この場面の描写はネタバレ編に書かせていただきました。)

このラストシーンの台詞もいずれご紹介させていただきますのでよろしければまたいらしてください。

 読んでくださってありがとうございました。
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posted by Palum. at 06:13| 日本の海外テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする