2014年03月12日

「Dad’s Army」のボタン

 先日、映画「ライフイズビューティフル」のご紹介にちなんで、戦時下のボタンにまつわる記事を書かせていただきました。

 本日は、その番外編として、イギリスの超人気コメディ「Dad’s Army」内のボタンのお話をご紹介させていただきます。(「The Showing up of Corpral Jones」のエピソードより)


「Dad’s Army」は第二次大戦下のイギリスを舞台にした、コメディドラマです。

 
 戦時下がコメディって……、という日本人の呆然をよそに、放送終了後約30年経過した昨今でも再放送を繰り返す(元々は1968〜1977に放映された)怪物番組。(当ブログの過去ご紹介記事はコチラ。)

 私があまりの不謹慎ぶりに度肝をぬかれたオープニング映像をご覧ください。こんな第二次世界大戦の戦況紹介って……(作品自体のテイストは温厚なんですがね……)



そして全員集合のエンディング、なんかほほえましい。
(登場順にマインワリング隊長、ウィルソン氏、ジョーンズ氏、フレイザー氏、ウォーカー氏、ゴッドフリー氏、パイク青年)




 この作品では、若い男手不足のせいで(既に徴兵されてしまっている)、年配の男性たちが地元の防衛に奮闘しないといけないという状況が(ちょっとドリフターズ風味で)描かれています。

 
 無論、物資も非常に不足していて(日本ほどではないみたいですが、イギリスもかなり大変だったようです)、彼らに最初に支給された武器は「pepper(※)」でした(敵の顔に投げろ的な話らしい)。

(※「コショウ」だと思うのですが、もしかしたら「トウガラシ(red pepper)」のことかもしれません。ジャッキー・チェン映画の中には、トウガラシ噛み潰して噴きつけて敵を撃退していたシーンもありましたし【目に入ると痛い。噛む方も大変だけど】。まあ、いずれにしても「無茶」な武器ですが)

 そんな彼らなので、当初は軍服が無く(主にスーツ姿で活動している)、ようやく届いても、ボタンがついていない。

 仕方が無いので、手持ちの服のボタンを外して軍服につけることになりました。


 結果、フレイザー氏は、「トグル(toggle)」と呼ばれる木の棒状ボタン(よくダッフルコートについてる)つきの軍服に。
 
(フレイザー)
They come off my patrol coat. I haven't worn it since Jutland, and the moths got at it.
このボタンはパトロールコートからとってきました。ユトランド以来着ていなかったのでコートに虫食いが。

Jutland……デンマークのユトランド半島。1916年ユトランド沖海戦の頃に着ていたという意味かと。


moth……蛾、この場合は衣類を食べてしまう衣蛾(イガ)の幼虫のこと


(みんなの格好のチェックをしていた隊長マインワリング氏、困惑しながらも)
You’re lucky you didn’t get woodworm, too.

(ボタンがコレだから)木食い虫にまでやられなくて運がよかったな

woodworm……木食い虫


 そして、ゴッドフリー氏の軍服は、なんかキラキラしてカワイイ感じに。

(マインワリング氏)
Those are rather flamboyant.
少々派手じゃないか?

rather……少々、幾分、かなり
flamboyant……けばけばしい、はでやかな

My dress studs, sir. That’s all I could manage. I’m afraid the diamonds aren’t real.

私の礼服の飾りボタンです隊長。これしかありませんでした。残念ながらボタンのダイヤモンドは本物ではありませんが。

stud……飾りボタン


 洋服にとってボタンって大事なんだなとよくわかりました。二人とも、もはや何の服だかわかりません。

 ところで、全員の軍服のボタンが無いと気づいたマインワリング隊長が家に戻って手持ちのボタンをつけてくるようにと申し渡した際、こんなことを言っています。

Be back here in 45 minutes, by which time I expect to have everything buttoned up.

45分後には戻ってくるように、その頃にはみんな出来上がっているだろう。

button up」には「ボタンを留める」と「完成させる」の意味があるそうです。ダジャレですね。

 それを傍で聞いていたウィルソン氏の「Nice little joke sir(良いジョークですな隊長)」という乾いた愛想笑い……。

 このドラマ本当に面白いんですが、多分日本では放映されることが無いでしょう。

 しかしイギリス人にとってはユーモアの中のユーモアとも呼ぶべき名作なので、このブログでは折にふれそのウィットをご紹介させていただきたいと思います。

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum at 23:25| イギリスのテレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする