2014年02月08日

「ジャイ子の恋人=のび太」(『ドラえもん』より)

今回もドラえもん作品のうち個人的に好きな作品を文でご紹介させていただきます。
(ネタバレですので。先にコミックをお読みになることを強くおススメいたします。)
てんとうむしコミックス22巻に収録されています。


ドラえもん 22

 のび太がジャイ子に片思いしているらしいと知ったジャイアンのせいで、のび太がえらい災難に見舞われるという話です。

 「笑える」という点では、過去記事で書かせていただいたものと並びトップ10に入る名作だと思います。

 (以下結末までネタバレでご紹介)

 道を歩きながら、どうも最近女の子につけられているらしいというのび太
 ドラえもんはギャハハと笑いながら「天地がひっくり返っても絶対無い」と、全否定しますが(ドラえもんちょいちょい超失礼)、じゃ、見てろ、と物陰で待ちかまえるのび太に確かに近づいてくる女の子の人影……。

 二人が覗き込んでみると、女の子はなんとジャイ子。

 びっくりして逃げ帰ってきた二人でしたが、ジャイ子がつけてくる理由がわかりません。
「まさか、ぼくがすきになったとか…」
「それはない!たとえジャイ子でも絶対ない」(ドラえもんちょいちょい…〈以下略〉)

 そこへニコニコ笑ってジャイアンが訪ねてきます。
「のび太よ。お前幸せな奴だなあ」
 きょとんとしているのび太に、最近ジャイ子の様子がおかしい(ためいきばかりついて、飯も5杯しか食べない〈←……〉)が、聞いても悩みを打ち明けようとしないので、さぐってみたところジャイ子の机からこんなものが出てきた、とジャイアンが差し出したのは、のび太の写真でした。

 妹は俺に似て内気な奴だから(←……2)ひとり悩んでいたと思うといじらしくて……と涙したジャイアンは、そういうわけでからお前からデートに誘ってやってくれ、と、有無を言わさずのび太を家に連れて行ってしまいます。

 しかし、無理やり部屋にジャイ子と二人きりにされると、ジャイ子はきわめてアッサリと「忙しいから用がないなら早く帰ってほしい」とのび太に言います。

 ほっとされたようなバカにされたようなと思いつつ、帰り道でしずかちゃんに会ったので一緒に公園に行こうとしたところ、ジャイアンにつかまってしまいます。

 帰れって言われたから……と正直に言うのび太のに、ジャイアンは、女心のわからん奴だなあ。と口をとがらせます。

(女の子は)好きな奴にはわざとツンツンするもんなんだから(今でいう「好き避け」とか「ツンデレ」?)、男のほうから好きだとうちあけるべきだと言われ、のび太が、そんな、好きでもないのに、と拒否しようとした瞬間に、ジャイアンの様子が一変。
「きらいだってのか?」

すき!大すき!.png


「言っとくがな、妹を泣かせる奴がいたら、俺が殺してやる!!」と、拳を固めたジャイアンに胸倉をつかまれたのび太は大慌てで「好き!大好き!」と答えます。(かわいそう)

 これで機嫌を治したジャイアンは、空き地でのび太に「女の子のハートのつかみ方をコーチ」する(笑)ことします。

 土管に座ったジャイアンに
「俺をジャイ子と思ってすきだと言ってみろ」と言われたのび太は
「オエー」とわりと正直な音声をもらし、何か言おうとしてもしどろもどろになってしまいます。

「俺だと思うからダメなんだ。ジャイ子と思えってば」
「どっちにしてもなあ……」(←さすがにこれは口には出せないのび太)

 で、どうにか思いついたのがこの台詞。

ジャイ子さん、友達になってくれない?22巻.png

「ジャイ子さん友達になってくれない?いやならいいけど」

 勿論ジャイアンからパンチが飛んできます。

「まるで心がこもっていない!心の底から好きだと言ってみろ!」
「す、好き!すき!ウキー」と涙ながらに言うのび太。

 一応合格と思ったのか、土管の上のジャイアンは
「好きなら態度で示せ。もっとこっちに来い。手ぐらいにぎれ」
 と、より具体的な指示を出してきます。

うれしいわ、のび太さん22巻.png



「ぼ、ぼく、ほんとにきみのことすきなんだ」
「うれしいわ、のび太さん」
……そう言いながら土管に寄り添って座るのび太とジャイアン(ジャイアンがのび太の肩を抱いている)を見つけて完全に誤解したスネ夫顔面蒼白(大笑)。

 ほうほうのていで帰ってきたのび太に、なんとかジャイ子に嫌われるようにしてくれと泣きつかれたドラえもんは「スカンタコ(笑い)」という変な顔のタコを出します。

 そのスミをかぶった人間は誰からも嫌われるという、開発者の意図も元来の用途も全く分からない秘密道具ですが、なにはともあれスミをかけてもらったのび太。

 これで大丈夫かと聞こうと思ったら、もうドラえもんにもママにも大いに嫌われて家から叩き出されます。

 しかし、ジャイ子に嫌われるためなら仕方ないと、ジャイアンの家に行くと、出迎えたジャイアンは「すまん、俺の勘違いだった」と苦笑いして真相を話します。

 なんでも、漫画家志望のジャイ子がネタにつまって悩んだ挙句、のび太の動向をギャグ漫画にしようと取材のつもりでつけまわしたり、のび太の顔をネタにおかしな顔を考えたりしていたとのこと(ド失礼)。

 そう話し終えた直後、はじめてまともにスカンタココーティング済ののび太の顔を見たジャイアン。
「とっとと帰れ!」
 と、とたんにのび太を家から蹴りだします。

 憤慨しつつ(無理もない)、ぼくの相手はやっぱりしずちゃんなんだ、と公園に向かいますが、しずかちゃんからも思い切り逃げられ、ドラえもんに「どこまで運のない男なんだろう」とつぶやかれるというオチです。

「俺だと思うからダメなんだ。ジャイ子と思えってば」
「どっちにしてもなあ……」
と、
「ジャイ子さん友達になってくれない?いやならいいけれど」
ののび太の、本当にこの上なく見事に心のこもっていない台詞と表情、
そしてやっぱり
「ぼ、ぼく、ほんとにきみのことすきなんだ」
「うれしいわ、のび太さん」
 を目撃してしまったスネ夫の驚愕の表情が最高です。

 全コマ全台詞脳裏に焼付くゆるぎない完成度という点で、ドラえもんとサザエさんって本当に圧巻ですね(国民的ほのぼの作品の皮をかぶって結構シビアなところも共通している)。忘れがたいという意味でなら別腹で岡田あーみん先生(※)もいらっしゃいますが……。
(※)岡田あーみん……「りぼん」誌で活躍した伝説のギャグ漫画家。代表作は娘を溺愛するあまり、周囲に迷惑をかけまくる奇抜な中年佐々木光太郎氏が主人公の「おとうさんは心配性」(こちらも機会があったらご紹介したいものです)。

 
お父さんは心配症 1

 さて、ジャイアンがらみの作品のご紹介に偏ってしまったので、今度は別の味わいの名作もご紹介させていただきたいと思います。よろしければまた見にいらしてください。
 過去記事はコチラになります。(全てネタバレですのでご注意ください)
 「ジャイアンシチュー」 
「ジャイアンへのホットなレター」
「ジャイアンリサイタルを楽しむ方法」
「きこりの泉」

 読んでくださってありがとうございました。
【関連する記事】
posted by Palum. at 19:22| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
カテゴリ