2014年02月05日

「オフィーリア」(ミレイ作)(「ラファエル前派展」より)

 今回は、先日ご紹介させていただいた「ラファエル前派展」の目玉作品ジョン・エヴァレット・ミレイ作「オフィーリア」について書かせていただきます。

(ウィキペディアより)

オフィーリア.jpg

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「オフィーリア」とはシェイクスピアの戯曲「ハムレット」の中に登場するハムレットの婚約者の名前です。

 叔父が父を殺して王位についたということを知らされたハムレットの数奇な復讐劇の中で、愛するハムレットが自分を突き放し、父を殺したという衝撃に耐えられなかった彼女は、精神を病み、自殺とも知れない形で川に落ちて命を落とすという悲劇的な死を迎えます。

 さまよいながら花を摘み、水に落ちた後は、歌いたゆたい、やがて人魚のように沈んでいったという彼女の姿は、その情景と語りの不幸な美しさから様々な芸術家の創作意欲を刺激し、絵画の世界でも数々の名作が生まれました。

ドラクロア作「オフィーリア」(ウィキペディアより)

ポール・アルベール・ステック作「オフィーリア」(ウィキペディアより)

 その中でももっとも有名なのがこのミレイのオフィーリアです。

 イギリス独特の、奥底は渦巻きながら、流れの筋や飛沫のうかがい知れない、水面と緑の岸との境目の曖昧な川に、虚ろな、あるいは夢見る瞳の美しい娘が、水草とからまりあうような長い髪を広げ、色の失せた唇に歌をたたえ、とりどりの花々に彩られ、命の終わりへとゆるやかに押し流されています。

 個人的には同時代の画家ウォーターハウス作「シャーロットの女(※1)」と双璧を成す、ヴィクトリア朝時代の最も美しい絵だと思います。(ウィキペディアより)

John_William_Waterhouse_The_Lady_of_Shalott.jpg

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(この作品が展覧会に入っているかどうかは不明です。ウォーターハウスはラファエル前派ではないという位置づけもあるそうなので残念ですが来てないかも。)

(※1)塔から出ては生きられない運命のままはたを織るシャーロット姫が、ある日、魔法の鏡に映った騎士ランスロットに心を奪われ、彼に会うために小舟に乗って川を下る途中で命を落とすという物語(テニスン作の詩)を描いた作品。

 死を間近に、悲しい恋にうかされ、歌を口ずさんで水に流れてゆく乙女というモチーフも、緻密な描写力も、イギリスの湿気をふくんだ自然が小さな草花に至るまで描かれている点もよく似ています。

この「オフィーリア」の幻想的で寂しげながら、完璧な端正によって構築された美は、似通う個性を持つ漱石の心をとらえ、漱石の名作のひとつ「草枕」の中で大きく取り上げられます。

 次回は、「草枕」の中での「オフィーリア」の描かれ方をご紹介したいと思います。

 公式HP内の「オフィーリア」の解説はコチラです。

(補足)ウォーターハウスについては過去記事でも少々書かせていただいたのでよろしければ御参照ください。(過去記事はコチラ

読んでくださってありがとうございました。
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posted by Palum. at 19:26| 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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