2014年01月19日

『ドラえもん』「きこりの泉」きれいなジャイアン登場(※ネタバレあり)



 今や、ドラえもんファンの間では伝説的存在となった「きれいなジャイアン」は、「きこりの泉」(てんとうむしコミックス36巻収録)の回に登場するキャラクターです。




(文庫版『ドラえもんジャイアン編』にも収録されています。)




 全ドラえもん作品の中でも、最高傑作に挙げる方も多いであろう「きこりの泉」。


 以下、結末までのあらすじです。



 のび太が大事にしていたぴかぴかのグローブを、

 「のび太はエラーばっかりでボールに触っていないからグローブがきれいなんだ。ジャイアンの(ボロボロの)ととりかえたほうが良いよ。グローブも役に立てて喜ぶさ」

 というスネ夫の残酷にして無茶苦茶な提案で強引に交換させられてしまったのび太。


 当然、「ドラえも〜ん!」と泣いて帰ってきますが、「のび太〜!」とドラえもんも泣きながら出迎えます。


 ドラえもんの大事などら焼きをパパが知らずにかじってしまったのです。


 残り半分になってしまったどら焼きをあきらめきれないドラえもんが、出した秘密道具が

「きこりの泉」。



 童話「しょうじきなきこり(※)」を下敷きにした機能をもつ道具です。

(※)きこりが大切なオノを泉に落としてしまったら、泉の中から女神が現れ、「あなたの落としたのは、この金のオノですか銀のオノですか」と尋ねてきたので、正直に「いいえ、鉄のオノです」と答えたら、そのオノと一緒に金銀のオノも貰ったというお話。

 ドラえもんが食べかけのどら焼きを泉に落とすと、座布団大のどら焼きを持って女神があらわれ、「あなたの落としたのはこの大きなドラやきですか」と尋ねます。


 ドラえもんが正直に「いえいえ、食べかけのどら焼きです」と答えると、女神は正直のご褒美に座布団大のどら焼きをくれて、泉の底に戻っていきました。

(ただし、童話と違い、最初に落としたものは戻ってきません。あくまで交換です。)


 これにならってボロボログローブをぴかぴかのにしたのび太は、しずかちゃんにも使わせてあげることにします。


 小さくなって着られなくなった洋服を、素敵な服に交換してもらい喜ぶしずかちゃん。


 その様子を通りがかりに見たジャイアンは、自分にも使わせろと言います。


 のび太のグローブも平然と強奪したジャイアンのこと。当然、欲の皮がつっぱっているので、家から大きな段ボール山盛りに古い品物を持って出てきます。


 しかし、その重さによろけて、ザンブと泉に転落。


 「これですか」

 現れた女神が連れて出てきたのは「ジャイアンのフォルムに出木杉君をもしのぐ端正な目鼻立ちの少年」。

画像 きれいなジャイアン いえ、もっときたないの - コピー.png


 驚いたのび太とドラえもんが反射的に

 「いえ、もっときたないの」

 と、正直にもほどがある返答をしてしまうと、女神はにっこりと微笑みました。


 「しょうじきのごほうびに、きれいなジャイアンをあげましょう」



画像 きれいなジャイアン「どうする?」 - コピー.png


 「どうする?」

 二人にフレンドリーに手を置いて、すがすがしい笑顔を見せる「きれいなジャイアン(心もきれいな模様)」を見上げ、迷う(←……)のび太とドラえもん。


 背後では「交換されたきたないの」として泉の底に回収されそうになっているジャイアンが、女神の白い御手に引っ張られながら

 「たすけてくれ〜〜!!」

 と、必死で叫んでいました。


(完)



 それまでいかにも児童漫画的に、「あんなこといいな、できたらいいな♪」風に進んでいたお話が、突然「きれいなジャイアン」のビジュアルと、ドラえもんとのび太の「いえ、もっときたないの」という、思わず言うには失礼すぎるセリフに続く、大胆な構成。

  長年の友人が泉の底に引きずり込まれそうになって、助けを求めているのに、「どうする?」と考え込む二人もシュールです。


 ところで、この話にちなんだきれいなジャイアンのフィギュアというものも存在します。



 ※2014年当時限定版が1万円程度で販売されていましたが、そちらは完売済みの模様です。


 作った方と買った方のセンスと英断に心から賛辞をお送りしたいと思います。


(また、藤子F不二雄ミュージアムでは、この話にちなんだきれいなジャイアンが登場するスポットというのがあり、人気を集めているそうです。やっぱりファンにとって最も印象深い作品のひとつなのですね。)



posted by pawlu at 07:00| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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