2014年01月29日

「ジャイアンシチュー」※ネタバレあり (『ドラえもん』より)


 今回もドラえもん作品のうち個人的に好きな作品を文でご紹介させていただきます。
(なのでネタバレです。先にコミックをお読みになることを強くおススメいたします。)
 てんとうむしコミックス13巻、あるいはこのドラえもんジャイアン編に収録されています。

ドラえもん (13) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (13) (てんとう虫コミックス) -


ドラえもん (ジャイアン編) (小学館コロコロ文庫) -
ドラえもん (ジャイアン編) (小学館コロコロ文庫) -

 その存在自体はご記憶の方も多いと思われる「ジャイアンシチュー」

 この話、オチのシュールさ加減が児童漫画の領域を超えています。

カワイイ絵と子供たちのやりとりという一見なごやかな画面に隠された、このシュール&シビアと台詞のひねり。

私が「ドラえもんは卒業した」という大人の方々と、全世界に知っていただきたいのはこの魅力なのです。(ほかにも色々ありますけどね←どんだけ好きなんだ。)

以下結末までのあらすじです。

「人間はさ、趣味を広く持たなくちゃいけない」

かっこいいことを言ってジャイアンがはじめたのは「料理の研究」でした。
(だいたい初心者がレシピ通りに作らず、『研究』などという名のもとに、ありもしない勘に頼ってアレンジしたらドロドロのものができあがると相場が決まっているのです〈経験者談〉)

こうして「ジャイアン料理研究会」に招待されたのび太たち。

既にジャイアンの料理がどの程度のものか、ハイキングで食べて知っているのですが(「後ではいた」〈スネ夫談〉)、「食べないと殺される」という理由で、仕方なしにできるだけおなかを空かしていくことにします。

というわけで、ママの作った昼食を食べたがらないのび太。
「食べると命にかかわるんだよ!」
誤解したママ激怒(笑)。

とりなしにいったドラえもんがわけを聞いて、そんなことなら簡単だ、とひみつ道具「味のもとのもと」を出してくれます。
これさえかければどんなまずい料理でもおいしく食べられる。
「たとえばママの料理でも」
(ドラえもんってば、あんな人を和ませる容姿をしているくせにちょいちょい相当毒舌)

ふりかけられたママの料理(多分スパゲティ)は、匂いだけでもあらがえないほど魅力的で、「こ、こんなおいしいの、食べたことないや」というほどの味になります。

「ジャイアン料理研究会」は夕方から実施されました。

食卓にのび太たちをつかせ、エプロン姿のジャイアンシェフが挨拶に来ます。
「よしきた。今日はたっぷり食べてもらうからたのしみにな」
「ちょっぴりでいいのに」
「悪いけどもうちょっと待て」
「おそいほどありがたい」
 かろうじて笑顔を作りながらもダダ漏れてるスネ夫の本音は、なぜかジャイアンには届きません。

青ざめているスネ夫としずかちゃんのもとに、なにやら得体の知れない不気味な異臭がただよってきます。

こうして満を持して登場したのが、後に伝説の一皿として語り継がれることとなる「ジャイアンシチュー」です。

もう「ジャイアン」と「シチュー」っていうコラボを聞いた時点で、全日本国民「きっとおいしくないだろう」と察せてしまうのですが、……まあやっぱりそういうことです。

内容物は

・ひきにく
・たくあん
・しおから
・ジャム
・にぼし
・大福
・そのほかいろいろ

……とくに明らかに「シチュー」と名のつく料理と系統が違うであろう「ジャム」「大福」、あと「そのほかいろいろ」のくだりが気になるところです。

(ところで、驚いたことにネットの世界では実際にジャイアンシチューを作ってみたという話が散見されます。なかには本格的な料理ページみたいに画像・動画つきで見られるものも。意外とおいしいという意見もある一方で、ほんとうに具合が悪くなるほどマズイという話も。ググってみてください。世の中色々な方がいるなあと思いました。ただ、個人的には色とか本当に見てるだけで無理です……。)

「どう?うまいか、おいしいか、どっちだ」
 ……と感想を尋ねるジャイアンに、スネ夫は一言。
「……すごい!(蒼白涙目)」

うまいか、おいしいか、どっちだ.png


「と、とても、お、おいしいわ」
さすがしずかちゃんは「おいしい」の一言をどうにかしぼりだしていますが、実際はそうでないことは表情が物語っています。

のこり二人の悶絶をよそに、のび太だけは心の底から幸せそうにシチューをたいらげ、
「こんなうまいものはじめて食べたよ。おかわりほしいな」
と、笑顔でカラになった皿をさしだします。
唯一の味がわかる人間(……)としてジャイアンは「君こそ親友だ。心の友だ(ジャイアンの愛用語)」とのび太の手をにぎりしめます。(あっけにとられるスネ夫)

 しかし、おかわりを出された際に、のび太が「味のもとのもと」をかけているのに気付いたジャイアンは、
「なにをかけたんだ、見せろ」
 と、いやがるのび太からそれをとりあげようとして、もみあいになります。

 そのとき、はずみで蓋がとれ、「味のもとのもと」をドバっと自分の頭にかけてしまうジャイアン。

 ジャイアンの全身からただよう、あのえもいわれぬ香り……。

うまそう、ひとくちでいいからたべさせて.png

「うまそう」
「ひとくちでいいから食べさせて」

完全に目の中が「渦巻き」や「十」になってしまって、よだれをたらしたのび太たち3人(しずかちゃんまで……)がフォークとナイフをふりかざして、ジャイアン本人を追いまわし、「助けてくれえ!」と必死の形相で逃げ出すジャイアン。
(完)

たった6ページでこんなスゴイ話を書いてしまう藤子F先生はやはり本当に天才だったのだとつくづく思います。

そして、ジャイアンシチューは勿論ですがオチのブラックなパンチは全ドラえもん作品でも間違いなくナンバー1でしょう。

余談ですが、藤子F不二雄ミュージアムでは、このジャイアンシチューにちなんだお皿が販売中だそうです。

ドラえもん ジャイアン シチュー皿 藤子・F・不二雄ミュージアム限定 -
ドラえもん ジャイアン シチュー皿 藤子・F・不二雄ミュージアム限定 -

シンプルな白いお皿の底にエプロン姿のジャイアン
例の
「どう?うまいか、おいしいか、どっちだ」
の台詞入り
そして、ジャンアンが書いた達筆とは言えないジャイアンシチューのレシピつき(紙が「剛田雑貨店(ジャイアン宅のご家業)」のメモ用紙なのが泣かせる)。


さっきのジャイアンシチュー実作とかこのお皿とか、「きれいなジャイアン」のフィギュアの存在とかを聞くと、世の中は思っていたより、案外シャレのきいた面白いところかもしれないとふと思うのです。

ドラえもん きれいなジャイアン 藤子・F・不二雄ミュージアム限定 フィギュア -
ドラえもん きれいなジャイアン 藤子・F・不二雄ミュージアム限定 フィギュア -


藤子F不二雄ミュージアムのHPのURLはコチラです。
http://fujiko-museum.com/pc.php


読んでくださってありがとうございました。
【関連する記事】
posted by Palum. at 07:09| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする