2013年09月10日

アンコール!(イギリス映画)@あらすじとイギリス合唱事情

本日は現在公開中のイギリス映画「アンコール!(原題:Song for Marion)」についてご紹介させていただきます。

せつないけれど心温まる、文句なしに素敵な映画です。個人的には「リトルダンサー(Billy Elliot)」級のイギリス映画の傑作と思っています。(以前映画について書かせていただいた記事はコチラです)
「アンコール!」の公式HPはコチラです。
お近くの方は是非お出かけになってみてください。きっと好きになってくださると思います。そしてイギリスにはこういう良さが本当にあります。わたしはイギリスのこういうところをとても好きになったのです。

 (あらすじ)
 主人公アーサー(テレンス・スタンプ)は見た目通りの気難しい性格の70男。近所に住んでいる息子ともぎくしゃくしているが、彼とは正反対に朗らかな性格の妻マリオンとは睦まじく暮らしている。
 マリオンの趣味は近所のシニア層で結成されている合唱団で歌うこと。アーサーは体調が思わしくないマリオンのコミュニティセンターまで付き添うが、歌の内容にも彼らのテンションの高さにも全くなじめず、いつも練習が終わるまで外で待っていた。
 指導者で音楽教師のエリザベスの提案で、合唱団はコンクール参加を目指すことになる。しかし、予選に向けて練習に励んでいたマリオンが、突然倒れてしまう。
 ガンの再発。そして、余命宣告。
 マリオンは延命治療を諦め、自宅でアーサーと好きなように暮らして生涯を終える道を選ぶ。
 残された日々、マリオンのためにアーサーは渋々ながら合唱団に付き添い続け……。
 見どころについてご説明させていただきたいのですが、少し長くなりそうなので、本日から何回かに分けてご紹介させていただきたいと思います。

(見どころ1)イギリス合唱事情
 このあらすじを読んで、多くの方がイギリスの若き合唱指導者ギャレス・マローンの存在を思い出すことでしょう。私のブログでも何度か紹介をさせていただきましたが、イギリス国営放送BBCのドキュメンタリー番組の出演者で、番組を通じてさまざまな合唱団を結成し、指導とコンクール参加を通して、人や地域を活性化させるというプロジェクトを成功させている人です。
 このドキュメンタリーの山あり谷あり困難を乗り越えていく姿は、まるですがすがしい映画のようだ……。と思っていたら、逆に何をどう考えても彼の影響だろうというこの映画が作られました。
ちなみにこの映画のパンフに彼についての言及がありました。(以下引用)

 近年イギリス人の合唱に対する関心に新風を吹き込み、合唱にルネッサンスを起こしたのが、日本でもおなじみのガレス・マローン(Gareth Malone)だ。2007年BBC2で放送された「The Choir(日本でのテレビ放送時タイトル:クワイアボーイズ)」は、合唱の活動を通して(略)人生観を変えるような効果をもたらした。以後彼は同じような合唱のテレビ番組をシリーズで担当。そこから次々にヒットが生まれ、現代イギリスの大衆音楽の世界に大きな衝撃を与えた。今や合唱は十代の表現を借りるなら“クール”なのだ。
(以上 ロンドン在住ライター高野裕子さん筆)

※「クワイアボーイズ」のYoutube動画はコチラ。



 最初は歌うこと自体を非常に恥ずかしがっていた男子校の少年たちが、イギリス最高の劇場、ロイヤル・アルバートホールでの合唱コンクールに参加するというプロジェクトのクライマックスシーンです。少年たちののびやかな声と気迫に満ちた表情が素晴らしい!
(ちなみにこの番組はNHKで「なんどめだ」というくらいに繰り返し放送されています(笑)。いえ、それはとても素敵なことです。なんかちょっとココロ和む。)

 とにかく今、イギリスにおける合唱は、単に歌って楽しいとかキレイとかを超えて、自分の可能性を広げ、地元コミュニティの結束を深める特別な力があるものとされているのです。
 そんなわけで、合唱の人気は非常に高く、BBCでは各地の合唱団が技を競うコンペ番組「Last Choir Standing」も人気を集めていました。
 審査員やお客さんを魅了するために、歌の最中にダンスを交るなど、様々な工夫があり、その辺はアメリカ映画の名作「天使にラブソングを(原題Sister Act)」(※)のノリも彷彿とさせます。(※犯罪を目撃したクラブの歌手が裁判で証言に立つまで身を隠した修道院の合唱団を立て直してしまうというコメディ。)(ちなみに、「アンコール!」の中でも、そういう目立ち方をするためにシニアの皆様方が試行錯誤、四苦八苦する姿がチャーミングに描かれています (笑)。)

 そんなコンペ番組から生まれたスター「Only men aloud!」(※)の動画はコチラです。
 (※)ウェールズ地方の青年たちで結成されたグループ。ちなみにウェールズは何故か美声の男性が多いことで有名。
 

 以上、「アンコール!」あらすじとイギリス合唱事情について書かせていただきました。次回は、映画内で描かれた「イギリスの観客」の魅力についてご紹介させていただきます。

posted by Palum. at 00:09| おすすめ映画(英米) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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