2011年06月26日

あなたのお店蘇らせます!(ディスカバリーチャンネル)


 ディスカバリーチャンネルでやっていた面白い番組が、いったん放送を終えるようなので、ご紹介させていただきます。

 HPによると、明日(2011年6月27日【月】)の正午と19:00から二作品が再放送されるようなのですが、どうも番組の放送時間がややこしくてよくわからないので(汗)、スケジュールについてはとりあえずこちらの番組表HPをご覧ください。

ディスカバリーチャンネル6月27日の番組表はコチラです。

番組のコンセプトはタイトルの通り、窮地に陥ったお店を一流の建築業者チームが、短期かつ低予算でよみがえらせるという、アメリカ版「ビフォアアフター」です。

この番組の魅力の主な以下の3点。
@チャーリー(建築業者リーダー)とたのもしい仲間たち。
Aアメリカらしいパワフルな番組構成。
B依頼者とスタッフたちの人間ドラマ。


 人や仕事というものの魅力を前面に押し出した番組です。

魅力@ チャーリーとたのもしい仲間たち。

 この番組の、いい意味でアメリカっぽいなあと思うところは、建築という堅実で地道な仕事を、ヒーローたちの活躍の場として描いているところです。

 まず、建築を請け負うチームのリーダー、チャーリー・フラティーニ氏。

 がっちりとして、日焼けして髪は短い。しゃべりかたは荒っぽいけれど、情が濃くて仲間を大事にしている。

 見れば見るほど「実写版ジャイアン(大長編の※)」。

 ジャイアンがイタリア系アメリカ人で、働き者の建築業者として、中年まで突っ走ったらあんな感じだろうという人です。

※ジャイアンをただの乱暴者だと思っている人は、大長編をお読みください(とくに「のび太の恐竜」「のび太の大魔境」「のび太の海底鬼岩城」がオススメ)。仲間のためなら命を惜しまない男です(例、のび太をさらった大王イカ【体長約三十メートル】相手に、バットを持って飛び出していく。)

 あんなんで良いのかと、心配になるくらい現場で怒鳴り散らしているチャーリー氏ですが、意外と筋が通っているようで、「論理的に追い込んで、限界以上のものを引き出す」というスキルは、ビリーズブートキャンプのビリー隊長に似てなくもありません。チャーリー氏も海軍に所属していたことがあるみたいで、ああいう流儀なんですかね……。

こういうチャーリー氏に「なにやってんだバーロー!ンナロー!!」みたいにドヤされながら、それでも、彼の指揮下でセッセと働く仲間たち。

 たまには、いやしょっちゅう、内心「………(怒)。」となっているのかもしれませんが、彼が自ら動き、有能で、信念があるということには疑いを持っていないようで、その罵声と作業音の喧騒の奥底に流れる、静かな信頼関係がカッコイイです。

魅力A アメリカらしいパワフルな番組構成。

 日本の「劇的ビフォアアフター」と見比べると、番組の相違点と共通点が鮮明に浮かび上がります。

 日本の劇的ビフォアアフターは、日数も厳格には区切られておらず、おもに古びた個人のお宅をリフォームするというものです。

この番組の見ものは、それまでの生活の不便を解決してゆくリフォームの匠の繊細な創意工夫です。たとえば、思い出の家具や木材を再利用して収納を作るなどですね。

 「なんということでしょう……あの○○が、新たな××として生まれ変わりました。(BGMカロヤカなピアノ音)」

 女性の穏やかなナレーションとともに、見ているだけで真新しい木の匂いが漂ってくるようなまぶしい住空間(なぜか自動で開く扉)が広がる瞬間のすがすがしさは、何度見ても見飽きません。

 一方、「あなたのお店蘇らせます!」のほうでは、まずスタート地点で、たいていの場合、古いとか狭いとかを超えて、失礼ながら、店が半分壊れていると言ってもいい状態です。なんか色々むき出しになってる。

老朽化や、持ち主の指示ミスの場合もありますが、悪徳業者にだまされ続けて、文字通り店が潰れる寸前というケースも少なくないです。怖いですね……。

この惨状を見たチャーリーが、ひとたび依頼を引き受けると、ガタイのいい男たちが巨大ハンマーやチェーンソーとともにドドドッと襲来し、元々の内装をあっという間にコテンパンにしている最中に、モノクロCGで建築計画が一気に展開し、建物の各パーツが超合金ロボみたいにジャキーン!ドカーン!ガコーン!と合わさって視聴者へのプラン説明が済んだかと思うと、それを形にするべくチャーリーはのべつまくなしわめき……。

 とにかくパワフル&ダイナミックなのです。

 この騒々しさが合わないと思う人もいるかもしれませんが、出来上がりのいかにも外国らしいカラフルさ(床や壁や家具が日本には無い感じの鮮やかな色使い。)と使い勝手の良さには、彼らとデザイナーのセンスと心配りが光ります。

 わたしは「ヘイ、ビーマン!!」
と、チャーリー氏が彼の片腕を呼ぶ声とともに、スタッフ数十人が有無を言わさず押し寄せてくる場面だけで、そのスケールの違いに、ひゃひゃひゃとウケてしまいます。

 見比べるたび、いかにも「日本」と「アメリカ」の味の違いがあって楽しいのです。

 一方で、依頼人の思い入れを大切にしているのは、二つの番組にしっかりと共通している点です。

 日本の匠が主に古いものを再生してどこかに活かすように、チーム・チャーリーはよく家族の写真や、依頼人の歴史がわかるものを店に配置しています。

 それらを見ていると、華やかでなくても、こつこつ真面目に生きてきた人々の人生の軌跡は、英雄のモニュメントと同じように輝かしく偉大であると思い知らされます。

 お亡くなりになった方のためのメモリー・プレートや、店の特別席はとくに胸に迫るものがありました。

魅力B 依頼人とスタッフたちの人間ドラマ

 依頼人たちの事情をみていると、アメリカという社会の縮図のように、様々な境遇や人間ドラマが浮かび上がってきます。

 テロで事業が危機に瀕したパブの兄弟、悪徳業者に騙されたイタリアンレストランのオーナーと、父親の苦悩に心を痛める家族、子供たちの心のより所だった、町の父のような理髪店の主人……。

 人を騙す人間がいる一方で、自分たちの仕事をしながら、それを通じて家族や地域の人々のことを心から思いやる人々が、アメリカにはたくさんいるのだということにも気づかされます。

 こうした人の絆や思いやりには、1990年代前半あたりの暖かいアメリカのドラマや映画にも通じる魅力があります。

 どの回にも印象深い人々が出てきますが、わたしが見た中で、とくに再放送を切望するのは、前述の理髪店のご主人の回です。

 裕福ではなくても、いつでも町の人々のために力をつくしてきたという主人は、見るからに長年の努力と思いやりに磨かれた、寛大な光のある瞳をなさっていて、業者に騙されてしまった彼を救いたいと奔走する家族たちや、彼からの恩義を忘れない元少年たち(髪を切ってもらうだけでなく、店に集まって遊んだり勉強をしたり、ご主人に相談に乗ってもらっていたりした)の心意気が伝わる、名作回でした。

 本当にいい人だから、仕事にやりがいがあった、というスタッフたち、完成した素晴らしいお店(古いポスターにでてくるような、タイルや色使いの、小粋でぬくもりのあるお店に仕上がっていました)の椅子にどっかと腰を降ろし、
「俺の髪も頼むよ。簡単だろう?」
と言うスキンヘッドのスタッフもいい味出していました。

 この回でとくに面白かったのは、理髪店にあった「悪態禁止」という子供向けのステッカーを見たスタッフたちが、それを守ろうとした場面です。

 普段が普段なので、当然無理。

 罰金1ドルを入れるバケツは、ああっという間にいっぱいになり(出どころのほとんどがチャーリー氏【笑】)、それは理髪店のご主人に寄付されていました。

 わたしはこの回からこの番組の存在に気づき、蘇った店を万感の思いで見つめるご主人と家族の表情にハラハラと涙しました。

ぜひもう一度観たいですし、ほかの回も勿論再放送してほしいです。

 「建て直す」「人のために働く」ということの素晴らしさが伝わるこのような番組が、もっと多くの人たちの目に触れてほしいと思います。こうした感動と希望が、とくに今の日本に必要だと思うのです。
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posted by Palum. at 22:02| 日本の海外テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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