2010年05月05日

「サイコ」と「忘れられたスター」(刑事コロンボ)

 本日(2010年5月5日)22:00〜23:51、ハイビジョンシネマで、いよいよ、サスペンスの神様ヒッチコック監督の代表作「サイコ」が放映されます。

 この「サイコ」でヒロインを演じた美女ジャネット・リーは、さらに明後日金曜(2010年5月7日)の22:00〜23:40の「刑事コロンボ(同じくハイビジョン)」で名作「忘れられたスター」の犯人役を演じます。

(聡明なNHKのこと、意図的に番組を組んだんでしょうか……粋なはからいだなあ。)

 いかにもヒッチコック好みの、パーフェクトなブロンド美女が、年月の経過とともに、悲哀を醸す演技派女優となっている姿にもご注目ください。


(以下、ややネタバレです。あらかじめご了承ください)


@「サイコ」とその他ヒッチコック映画のオススメ。

「サイコ」は 美しい女性が金を横領して、訪れたモーテルで、身の毛もよだつ惨劇に遭遇する物語。
 
 シャワーを浴びる女性に襲い掛かるナイフのシーンは、あまりにも有名です。
 
 いや、「サイコ」をご存知でなくても、十人中十二人が、あの神経を逆なでする不気味な音楽が流れれば、「あーあー!!」と思われるでしょう。

 個人的な話をさせていただくと、昔観たうす〜い記憶しかないんで、今回初めてちゃんと観るといえなくもありません。
 
 基本ビビリなんで、推理物は好きなくせに、ショッキングなものは苦手という、ややこしい嗜好でお届けしております。

(というわけで、キツイ場面をほとんど映さない「刑事コロンボ」好き)

 
 昔は「鳥」(※1)も駄目だったなあ。身内も嫌がってましたが(ビビリの一族)。

 おまえ「ヒッチコックは良い」とか書いといて、じゃあなにを観てそう思ったんだぁよ、おぁぅ?(志村けん氏風詰問)と問われたら返すことばがないのですが、「裏窓」(※2)と「ハリーの災難」(※3)が面白かったのです……。

(今回は放映されないみたいで残念です)。

 ストーリーの妙味や洒落た台詞回し、ギリギリの線で、下品にもグロテスクにもならない作品全体の空気感が、非常に新鮮でした。

(※1)「鳥」
 なぜか、あらゆる種類の鳥が、突如として襲い掛かってくるという不条理に見舞われた人々の恐怖を描いた作品。

 高度な合成映像技術と鳥たちの演技は驚異的。

 むしろ鳥が人を襲っている最中よりも、いつのまにか「その時」を前に大挙して群れている鳥の静けさが怖い。

(※2)「裏窓」
 撮影中の事故で足を怪我してしまったカメラマンが、暑さと退屈さのために、家の窓を開けて眺めていたことからわかる、向かいの家々の人間模様。

 ある日を境に、その中のひとつの部屋から、妻の姿が消えたことに気づき、不審を抱いて真相を調べ始める。

 カメラマンがやっていることは、平たく言えばのぞきなんで、現実ならご近所から警察に通報されますが、主役ジェームス・スチュアート(「アメリカの良心」ともいわれた名優【ウィキペディア記事より】)の知的な端正さが「ま、映画だから……」と観る者をなんとなく納得させてしまう。

 ヒッチコック作品に、整った感じの美男美女が多いのは、陰鬱あるいは扇情的になりがちな筋に、圧倒的な美貌という非現実のヴェールをかけて、受け入れやすくするためなんですかね。

 窓から見渡せる各家庭の斬新なセットや、恋人役のグレース・ケリーの魅力とファッションも見所です。


(※3)「ハリーの災難」
 とあるのどかな雰囲気の町で発見された、男(ハリー)の死体。

 発見した人々は、それぞれの理由で自分が彼を殺してしまったと思い込み、死体を隠すために奔走する。

 描き方ひとつで不気味になるストーリーを、愛嬌ある登場人物たちにより、ユーモラスにまとめている異色作。

 

 話を「サイコ」に戻させていただきますが「描き方」といえば、そもそもこの作品でも、「人の体にナイフが突き刺さる映像」はなく(※)、効果音と音楽、悲鳴、カメラワークで、あの有名な恐怖シーンが描かれたそうです

(※……NHKのプレミアム8「シリーズ巨匠たちの肖像 ヒッチコック・サスペンスの深層」という番組で紹介されていたかと……。違う特集番組だったかな……うろおぼえですみません。)
 
 この、映画製作上の工夫と抑制(しかし、だからこそいっそう印象的)がヒッチコック映画の魅力です。


A 刑事コロンボの「忘れられたスター」

 ジャネット・リーは再起を夢見るベテラン女優を演じます。

 女優グレース(ジャネット・リー)はカムバックを賭けた舞台のために、裕福な医師である夫に資金援助を求めますが、彼はそれを拒絶します。

 思い余った彼女は、財産目当てで夫を殺害、この事件にコロンボが挑みます。

 彼女を愛していた男性(誰であるかは是非ごらんになってみてください)との物語がからみ、コロンボ・シリーズの中でも屈指の余韻をもつ作品です。

 単なる推理物ではなく、愛情や、役者の執念、過去の栄光を忘れられない悲哀などが絡んだ人間ドラマとして印象に残ります。

 「別れのワイン」と「祝砲の挽歌」に並ぶ、僕的コロンボ三大傑作です。

 「忘れられたスター」ネタバレ編はコチラです。よろしければ併せてお読みください。

(刑事コロンボは「祝砲の挽歌」「愛情の計算」「ロンドンの傘」についても、既に記事を書かせていただいておりますので、よろしければクリックしてお読みください。)

posted by Palum. at 14:05| 日本の海外テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
カテゴリ