Image Credit:Youtube/Glenmorangie Single Malt Scotch Whisky
(※お酒のCMのため、以下に引用した情報の一部視聴・閲覧には年齢制限があります)
ハリソン・フォードがスコッチウィスキー「グレンモーレンジィ」のCMに出演。
Once Upon a Time in Scotland... Harrison Ford met Glenmorangie
「スコットランドを訪れるハリソン・フォード本人のCM撮影とスコットランド滞在記」という構成で、12話にわたり、スコットランドのウィスキーの製造風景や豊かな自然と文化が紹介されている。
❝映画界のアイコン、 ハリソン・フォードを起用したグレンモーレンジィの新しいグローバル・キャンペーンでは、俳優であり映画監督でもある ジョエル・エドガートンが一連のエピソード映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ スコットランド」を手がけました。
ハリソンの軽快なユーモアが光る本作では、ハリソンが「俳優ハリソン・フォード」を演じる設定で、グレンモーレンジィの本拠地であるハイランド地方を訪れ、複雑でエレガントなウイスキーを製造する技術や職人技と出会います。スコットランドの発音やキルトのエチケットを 学んだり、シングルモルトを飲みながら地元の人々と親交を深めたり。絵のように美しいスコットランド北部のハイランド地方で撮影された数々のシーンは、180年以上にわたってグレンモーレンジィを製造してきたテインの歴史ある蒸留所から、 19世紀に建てられたアードロス城、グラス湖を囲むドラマチックな風景まで、地元の美しい自然を映し出しています。
全12話で構成されるこの作品でハリソンと共に登場するのは、グレンモーレンジィ蒸留所で 働く実在の職人たち。彼らは、世界的な映画界のレジェンドの指導のもと、初めての演技に挑戦しました。名優ハリソン・フォードの気難しくもチャーミングな一面と、蒸留所メンバーの名演技をお楽しみください。
今回のCMでは相変わらずかっこいいものの、大ヒット映画の中の彼とは大分異なるハリソン・フォードの姿を観ることができる。
・「(このCMでは)絶対にアクションはやらない(やりたくない)」と、暖炉の前に腰かけてウィスキーをたしなむ穏やかな演技を死守しようするハリソン・フォード。
・電話でマネージャーらしき人物に「「本当の俺」を見せたい。リラックスした、太陽の光のような……」とCMの演技プランを語ったら「本当の君は不機嫌だろ」と言われ、不機嫌になるハリソン・フォード。
・キルト(スコットランドの伝統的な男性用民族衣装、スカートに似た形状)を着たのはいいけれど、座り方の正解がわからなくて困るハリソン・フォード。
……まさかあのクールなタフガイの、こんな姿を見る日が来るとは(ほめ言葉)。
❝それまで彼が映画で演じたキャラクターとは違う一面を少し覗いてみたいと思ったんです。彼はポーカーフェイスで、時に少しナーバス、そして人に強気な雰囲気を出すイメージがありました。しかしながら彼のことを知り、時間をともにすることで、人間的な深みがあり、配慮深い性格で、そして子供っぽいところがあることを発見しました。そうしたハリソンのすべてを活かしたくなったのです。
監督のプランは見事に成功している。
(グレン・モーレンジィのHPで1話〜6話まで日本語字幕のついた動画を視聴できる ※2025年4月18日時点〈以降もとても面白いのでぜひ全話字幕つきにしていただきたい〉)
※ちなみに、2023年に、彼の妻のキャリスタ・フロックハートのドレスアップした姿に、ドアの陰から「ワーオ」みたいな感じで見とれるハリソン・フォードの画像が話題になった。これも「渋いハンサムからこぼれる思いがけない愛嬌」が素敵だった。(古き良き映画の一場面のよう)
【グレン・モーレンジィCM動画のおすすめエピソード】
・エピソード8:「山で語る」
Image Credit:Youtube/Glenmorangie Single Malt Scotch Whisky
CM撮影のために、ウィスキーのボトルを手に、スコットランドの雄大な山の頂きに佇む、とても格好良いハリソン・フォード。
(台詞を語る声も実に渋い)
しかし諸事情によりNGが出ると「(斜面が急で)足元が滑る」「(撮影効果の)スモークが煙たい」と、結構文句が多いハリソン・フォード。
それでも彼のメイク直しに来て転びかけた女性スタッフを助け起こしたりしているうちに、「俺を信じろ、お前はクールだ。この自然をどう思う?このウィスキーは?」と、彼を力づけ、今この瞬間の素晴らしさに気づかせようとする、彼自身の内なる聴く。
(内なる声に耳を澄ます)
(キルト姿のハリソン・フォード。非常に絵になる立ち姿はさすが)
(もしかしたらこの絵のオマージュなのかもしれない)
EPISODE 8: THE MOUNTAIN (Once Upon a Time in Scotland, Harrison Ford met Glenmorangie)
・エピソード7:「俺はクールか?」
Image Credit:Youtube/Glenmorangie Single Malt Scotch Whisky
山でのCM撮影前の出来事。
台本を傍らに、川べりに腰かけて「(このウィスキーのCMがさまになるほど)俺はまだクールなのだろうか」と思い悩むハリソン・フォード。
蒸留所の職人アンガス氏(本物のグレン・モーレンジィ醸造所のスタッフ)が、その悩みを聞いて、妻に電話。
「君はハリソン・フォードをどう思う?」と、彼がそばにいないふりをして尋ねてみる。
(この瞬間、アンガス氏に「そんなこと聞くな!」みたいな声なき抗議をしているハリソン・フォードが実に趣深い)
(そして抗議をしているわりに彼女の返事を固唾をのんで待つハリソン・フォード)
ナイーヴな大スターの心配をよそに、アンガス氏の妻は「彼は本当にクールでセクシーだわ」と率直に絶賛、アンガス氏は「ほらね」みたいな表情で、それをスピーカーホンごしにハリソンに聞かせてあげる。
ところがこの後アンガス氏の妻が「本音を言えばあなた公認で浮気しちゃいたいくらい」と、率直を通り越したレベルまで思いを語ってしまったために、すみやかに通話オフ。
しかも、それがきちんと切れていなかったために、感謝したハリソンが「君のカミさんは本当にクールだな」と言っているのが聞こえてしまい、
「ハリソン!私『エアフォース・ワン』のあなたが本当に好きで……」
とウキウキ声で重ねて余計なことを言い、今度こそ通話を切ったアンガス氏は、ハリソンを励ます側だったはずなのに、ちょっとムっとしていた。
それでも最後にはウィスキーで乾杯する二人。
この人間模様の間、美しい川の水が、絶え間なく穏やかに流れている。
(このCMは音の作品としても素晴らしく、バグパイプの音楽はもちろん、この川の流れをはじめとするスコットランドの様々な音がとらえられている。麦畑を撫でて吹き抜ける風、樽の並ぶ醸造所の空気の流れ、抜栓や乾杯のグラスが奏でる柔らかい余韻、暖炉の薪がはぜる音までもがくっきりと聴き取れて、その場にいるかのような感覚を味わえる。左右から音が響くイヤホンやスピーカーでの視聴がおすすめ)
EPISODE 7: AM I COOL (Once Upon a Time in Scotland, Harrison Ford met Glenmorangie
ハリソン・フォードの新たな魅力と、人々が大切に守り続けるスコッチウィスキーの制作風景。
そこに重層的に織り込まれた、ウィスキーのゆりかごとなる、スコットランドの豊かな自然と壮麗で繊細な文化。
そしてまさに熟成したウィスキーのような味わいを醸す、ハリソン・フォードの複雑で奥深い響きの声。
洗練とユーモアの絶妙なバランスの映像と音から、やがて数々の物語を含んだ、ウィスキーの香りと味わいの気配が立ちのぼって来る。
CMという枠を超えて、五感にも、そして心にも愉しさをくれるシリーズだ。
【関連情報】スコッチウィスキーを題材にした映画たち
イギリスの名匠ケン・ローチが、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞したドラマ。スコットランドを舞台に、恋人や家族からも見放されていた青年が、信じられる仲間を得たことで前向きになっていく姿を、笑いや涙を交えて描く。ケンカの絶えない人生を送るロビーは、恋人レオニーや生まれてくる赤ちゃんのために人生を立て直そうとするが、なかなかまともな職に就けず、またもトラブルを起こしてしまう。服役の代わりに社会奉仕活動を命じられ、そこで3人の仲間と出会ったロビーは、奉仕活動指導者でウイスキー愛好家のハリーからスコッチウイスキーの奥深さを教わり、テイスティングの才能が開花。仲間とともに1樽100万ポンド以上する高級ウイスキーに人生の大逆転をかける。
(HP内あらすじ)ナチスによるロンドン空爆が激しさを増す第二次世界大戦中のスコットランドのトディー島。島民たちがこよなく愛するウイスキーの配給が止まってしまい、皆完全に無気力に陥っていた。島の郵便局長ジョセフ(グレゴール・フィッシャー)の2人の娘はそれぞれの恋人との結婚を望んでいたが、周囲から「ウイスキー無しじゃ結婚式はムリ!」と猛反対されていた…。 そんな時、NY行きの貨物船が島の近くで座礁。沈没寸前の船内には、なんと5万ケースものウイスキーが積まれていた!「これはきっと神様からの贈り物に違いない!」島民たちは禁制品のウイスキーを秘かに“救出”しようとする・・・。
【参照】(※閲覧に年齢入力が必要な場合があります)
・グレン・モーレンジィスペシャルサイト(MHD モエ・ヘネシー・ディアジオ)
(「GQ」2025.02.2 編集&文・江部寿貴(ebeWork) ウェブ・堀川フミアキ(GQ)7)