2023年12月25日

コールドプレイの名曲「Fix You」と2023年をしめくくるメンバーからのメッセージ(おすすめ音楽動画集)


Coldplay - Fix You (Official Video)

(2005年リリース、2023年12月時点で動画が6億回以上再生されている、コールドプレイの代表曲のひとつ)

 世界的ロックバンド「コールドプレイ」が、2023年クリスマスに、Youtubeやインスタグラム上で、ファンの人々へのメッセージを送った。

(メンバーからのメッセージのブログ筆者意訳)
皆さん、こんにちは….。
2023 年は多くの人にとって困難な年でした…。 多くの痛み、苦しみ、喪失がありました…。
しかし、このような辛い状況でも、人々が与えうる最高のものに立ち会えた私たちは、とても幸運でした。
コンサートに来てくれた方たちが、毎晩一緒に歌い、踊り、笑顔で幸せになるのを見るのはとても光栄なことで、ファンの皆さんが素晴らしい人々である証です。
暗闇の中の光となってくれてありがとう。2024 年はより多くの愛、より多くの平和、より多くの音楽で溢れるだろうという希望を、私たちに与えてくれてありがとう。
皆さんに心からの愛を送ります。平和な休日と幸福な一年を願って。

W、C、G、J & P (ウィル、クリス、ガイ、ジョニー、そしてフィル〈※マネージャーのフィル・ハーヴェイ〉)

Hello Everyone… 2023 has been a difficult one for so many people… there has been so much pain and suffering and loss… and yet against this backdrop, we have been so privileged to witness the very best that humans have to offer. To watch audiences, night after night, come together to sing, dance, smile and be happy is such an honour and a testament to our amazing fans. So, thank you for being the light in the darkness and for giving us hope that 2024 will bring more love, more peace and more music. We send you all our love for a peaceful holiday and a Happy New Year.
W, C, G, J & P

 2023年、世の中を見渡すと、本当に悲しい、知るのも辛いような出来事が、国内外でたくさんあった。

コロナが落ち着いたら、それまで見過ごしていた、日常の輝きを大切にしようと思っていたのに。

 ただ、私個人は、ここ数年の難しい日々の中で、ひとつ学んだことがあった。

 誰かが心をこめて創った美しいものは、それに触れた人の心を、本当に力づけてくれるということだ。

 今年は、とくに音楽の力に助けてもらった。コールドプレイの音楽との出会いもそのひとつだ。

  幸運にも、チケット争奪戦の最後の最後にチャンスが巡ってきて、すべりこみで今年のコンサートに行くことができた。このライブの結びに、やはりボーカルのクリス・マーティンは、「今、世界中で辛い出来事が多いけれど、本当は、今ここに来ている皆さんのように、素晴らしい人たちが、世の中にたくさんいるんだよ」と、観客に語り掛けていた。

 私自身がクリスが言ってくれたほどいい人かどうかは怪しいけれど、きれいな音楽を聴いている間は、頭の中が透きとおった音の流れに洗われるような心地がするし、自分が好きな音楽に同じように感動して素敵な笑顔になっている人たちを見ると、とても嬉しく、心臓にぬくもりが宿る。それは本当だ。

 「Fix You」は、どんなに頑張っても願いがかなわずに、自分を無力な存在だと思ってしまっている人に向けた、心の傷をそっと包み込むような歌だ。

 歌の中に、今回のメッセージの「暗闇の中の光」の意味につながるようなことばがある。
Light will guide you home
 And ignite your bones
 I will try to fix you


 (ブログ筆者意訳)
 光は君の家路を照らす。
 そして、君の心の芯に火を灯す。
 僕は頑張ってみせるよ、君の痛みを治すために

 くりかえされる、このメインフレーズの響きが、魂の一番淡く柔らかい部分に囁きかける。そして、後半の演奏と歌声の音の高まりは、光の粒になって空に還っていく、涙と悲しみの昇華そのものようで、信じられないほど美しい。(上掲動画2:25ごろ

 (ライブ版動画)サンパウロの観客の方々の、一丸となった歌声も力強く温かい。
Coldplay - Fix You (Live In São Paulo)


 エド・シーランとのコラボ版動画もとても綺麗だ。(エド・シーランの神秘的な伸びやかさのある声が、この曲によく合っている)
Coldplay & Ed Sheeran - Fix You (Live at Shepherd's Bush Empire)

 歌の中の「君」のように、暗闇で無力になってしまったような気持ちのとき、思い出していただきたい。

(インスタグラム上の直筆画像つきメッセージ)





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posted by pawlu at 18:55| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月24日

名曲(苦笑)「クリスマスイズオールアラウンド」(映画「ラブ・アクチュアリー」より)(おすすめ音楽動画集)


Christmas is All Around - Billy Mack (Bill Nighy) (Love Actually)

「Christmas is all Around(クリスマスはいたるところにある)」は、クリスマスを迎える人々を描いた映画「ラブ・アクチュアリー」(イギリス・2003)の中で流れるクリスマスソング。

 映画の登場人物の一人、落ちぶれたロックシンガー、ビリー・マックが再起をかけた一曲だ。

 映画に合わせて作られたこのミュージックビデオでは、ビリーが、くたびれた気だるい声と眼差しやダンスで精一杯アピールし、かつてはあるいはセクシーだったのかもしれないと思わせるが、安っぽいセットと、バックの演奏とダンスを担当する美女たちの、露骨にげんなりとやる気のない様子が、曲の運命を予言しているようだ。

画像 ラブアクチュアリー450 - コピー.jpg
Image Credit:Youtube Christmas is All Around - Billy Mack (Bill Nighy) (Love Actually)

(すごく面倒くさそうな美女ドラマー)
MVやる気のない美女ドラマー - コピー.jpg
Image Credit:Youtube Christmas is All Around - Billy Mack (Bill Nighy) (Love Actually)

(降りすぎる雪)
MV降りすぎる雪 - コピー.jpg
Image Credit:Youtube Christmas is All Around - Billy Mack (Bill Nighy) (Love Actually)

(演出の炎で暖をとるビリー)
MV炎で暖をとるビリー - コピー.jpg
Image Credit:Youtube Christmas is All Around - Billy Mack (Bill Nighy) (Love Actually)

 この、「私たちは何を聴かされ、観せられているのだろう」という気持ちでいっぱいになる曲。

 信じがたいことに、物語の中で大ヒットし、ビリー以外の登場人物のクリスマスの運命も変えていく。

MVウィンク - コピー.jpg
Image Credit:Youtube Christmas is All Around - Billy Mack (Bill Nighy) (Love Actually)

 ビリー・マックを演じたのは、名優ビル・ナイ

 数々の名作映画やドラマに出演し、2022年には、黒澤明監督の映画『生きる』のリメイク作品で主演をつとめた(アカデミー主演男優賞ノミネート)というのに、「多分、自分が死んだときの訃報では、ビリー・マックの歌が使われるだろう」と、ご自分で予想するほど、今でもこのキャラが愛されている。

 本当に素晴らしい俳優さんで、私はアガサ・クリスティのミステリー「無実はさいなむ(Ordeal by Innocence)」のシリアスな演技に圧倒されてこの方を知ったので、「ラブ・アクチュアリー」を観始めてしばらくして「どこかで観た顔の人だ……」から、同一人物だと気が付いたときの衝撃が忘れられない。


 ところで、「Christmas is all Around」の原曲は、実在の名曲「Love Is All Around(邦題:愛にすべてを)」。

 Wet Wet Wetのカバー版は、映画「フォー・ウェディング」(1994年)のテーマソングとして大ヒットした。

Wet Wet Wet - Love Is All Around

 私はこの優しい音楽と「フォー・ウェディング」の名場面が重なるロマンチックなMVが大好きだったのに、ビリー・マックのアレンジが気持ち悪……凄すぎて、原曲がこれだと、映画を観終わるまで気づけなかった。

(実は映画内のインタビューで、ビリーがこれは昔の自分のヒット曲「Love Is All Around」のカバーだと言っていたのに思い出せなかった。深層心理が素敵な歌との紐づけを拒否したのかもしれない)

 それでも、映画のある場面での、ビリー・マックの大ヒット記念トンデモパフォーマンスは最高だった。

 イギリス映画ならではの、過激なユーモアを平気でかぶせた中から、奥深い世界観がじんわりにじみでてくる。
(自分でも腑に落ちないが、あの時のビリーを観ると毎回泣けてくる)

 「ラブ・アクチュアリー」は今年映画誕生20周年を迎える、イギリスでは知らない人のいない映画だ。

(映画20周年記念トレイラー)※店員役で「ミスター・ビーン」のローアン・アトキンソンが登場するなど、豪華キャストも見どころ
LOVE ACTUALLY | Official 20th Anniversary Trailer | STUDIOCANAL



 「Love Actually(愛は本当は〈いたるところにある〉)」というタイトルどおり、恋愛、家族愛、友情など、さまざまな愛が登場し、そのとき実を結ぶものも、そのときはそうでないものも、誰かを愛する人々の胸のときめきやざわめき、痛みや温かさが、観る者の心にも響いて残る。

 ビリーがカバーした歌のタイトル「Love Is All Around(愛はいたるところにある)」が、「愛は本当は」の後に来ることばになっていて、映画のいろいろな場面で流れる彼のひどい歌が、映画のテーマを教えてくれているのだと、後で気づく。気持ち悪いので、こんなに美しいことを教えてくれているとすぐには気づけないが、それも作り手の狙いなのだろう。そうやって、後で観る側自身に気づかせてくれる構成は、さりげなくて素敵だ。

 映画20周年にちなんで、イギリスの人気ロックバンド「Keane(キーン) 」も「ラブ・アクチュアリー」の曲をリリースした。
Keane - Love Actually (Lyric Video)


染み入るほどに美しい音楽が、映画の名場面とともに綴られている。







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posted by pawlu at 06:38| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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