2016年08月31日

(閲覧注意)日英恐怖CM情報

(注意:今回は怖がりの方には閲覧注意の記事です。そうでない方も、できれば朝になってからお読みください。〈書いといてなにその言いぐさ。〉)





 先日、子供の頃トラウマだったちびっこ向け図鑑や雑誌のオカルト記事(高い画力で落武者の霊とかをボカシ一切無し超緻密に丹念に描いた見開き挿絵つき)のお話をしましたが、今回は大人になってから見たイギリスのトラウマCMについて書かせていただきます。

 誰得情報だよというご指摘がありそうですが、どうしても忘れられないんで……。

 以下CMの内容です。

 朝、蛍光灯に照らされ薄暗がりで歯磨きをする男。
 男の手が一瞬止まる。
 洗面台の鏡に映る男の姿、その足元に青いトレーナーを着た少年が倒れている。
 上半身は大きくねじれ、両足は背中側に不自然に曲がっている。
 鏡の中の少年に視線を落としたあと、歯磨きを続ける男。

 電話や書類をめくる音がせわしなく響くオフィス。
 仕事をする人々の側のカーペット敷きの通路に、あの少年が倒れている。
 同じようにねじれた姿で。
 倒れている少年のすぐ横を通りすぎていく男。

 エスカレーターで下る男が顔を背ける。
 視界の片隅、エスカレーターの降り口の傍らに、あの少年が倒れている。

 バスの中。
 窓際に座り、力なくこめかみを窓ガラスにもたせかけている男。
 窓の外の、人々が行き交う歩道に、あの少年が倒れている。
 少年にゆっくりと近づき、通りすぎていくバス。

 晴れた日の公園。
 芝生に挟まれた遊歩道を歩く男。
 芝生でサッカーに興じる人々の間に、あの少年が倒れている。

 夜更け、暗がりの中、パソコンに向かう男。
 ふと、腰掛けたまま、椅子を引くと、机の下に、あの少年が倒れている。
 同じようにねじれた姿で。男の足元に。
 少年の青白い顔、半ば閉ざされたまま、凍りついたうつろな目。
 うなだれた男は、口元に手をあて、小さく嗚咽する。

 ベッドに横たわる男。
 苦しげなため息と共に寝返りをうつ。
 眠れぬ男の目の先の床に、ドアの下から漏れる薄明かりを受け、あの少年が倒れている。

 真っ暗な画面に浮かび上がるメッセージ。

Kill your speed, or live with it.
(減速しなさい。さもなければ「それ」と生きなさい)

It’s 30 for a reason.
(制限速度時速30マイル〈時速48km〉の理由です。)

 男は制限速度を守らずに走らせていた車で少年をはね、少年が亡くなった。その過去の記憶が、男の日常を片時もはなれない。

 朝から晩まで、何をするときも、いつも、男の心の中には、少年のなきがらが、はねられた姿のまま、横たわり続けている。

 これはそういう男の心の中を描いた映像なのだ。

 それまで、「これはなんだ……?」と、不自然な姿勢で横たわる少年と、彼を見ないようにする男、少年に無反応なそのほかの人々という奇妙な状況を、一言の台詞も無く、リアルな生活音以外なんの音もしない映像の中で見続け、二行のメッセージによって、謎が、「交通事故による少年の死と加害者である男を苛む記憶」という答えに変わった瞬間、私のつま先からつむじまで、皮膚のよじれるような寒気が、鳥肌とともに駆け抜けました。

 制限速度の厳守(市街地では30マイル)を呼びかける政府広報CMだったそうですが、非常に恐ろしかったです。

 脳科学者の茂木健一郎先生がしばしば言及する「アハ体験」という言葉があります。

 何かがわからず、うずうずした先に答えをみつけた瞬間の脳のひらめきを指すそうですが。40秒近い謎の果てに、メッセージを示して、視聴者自身に「今まで見続けていたあの倒れている少年は死んでいる。ずっと重苦しい顔をしていた男が加害者だ」という回答を悟らせるというこのCMの構成は、まさにこの「アハ体験」を利用したものになっています。

 ただし、あの「わかった」瞬間は「アハ」などという生易しいものでなく、「あっ!?……(戦慄絶句)体験」でしたが……。

 公式に公開された動画が見つけられなかったので貼り付けられないのですが(あっても怖くて貼れない)、「Kill your speed or live with it」で探してみると、どのようなものかご覧になれるかもしれません。

(ただし、著作権違反をしている物かもしれませんし、本当に怖いし、関連して類似恐怖動画が出てくる可能性が高いので、自己責任でお願いいたします。)

 ちなみに、私同様戦慄の鳥肌に見舞われた視聴者は多かったようで、「しばらく悪夢を見た(I had nightmares)」「冗談抜きで机の下に足が入れられなくなり、椅子の上にあぐらをかいてすわるようになってしまった(I now can’t put my feet under my desk and have to sit cross-legged on my chair. I’m not joking.)」という感想が寄せられていました。

 いくらなんでも恐ろしすぎると思います(それは事故を起こしたらこの比ではないのはよくわかりますが……)が、「警告を視聴者の印象に強く残す」という目的は完璧に果たしているCMです。
 BGMと売り文句がにぎにぎしく繰り広げられるその他のCMに挟んで、この台詞の無い、音も極限までそぎ落とした奇妙な映像は自然と視聴者の関心を引き、謎の答えを視聴者の脳内に立ち昇らせることで、警告をその内面に強く刻み付けました(同時に心に傷が刻まれましたが……)。

 イギリス政府広報のこの「スピード減速CMキャンペーン」に関する記事はこちらです。
 主に加害者のトラウマに焦点をあてた構成だという説明がなされていました。
http://www.politics.co.uk/news/2009/1/30/kill-your-speed-or-live-with-it
(ぼんやりとですが画像つきなのでご注意ください)

 後に、この話を知人にしたところ、昔、日本にも恐ろしい政府公共広告機構(AC)CMがあった、と教えてもらいました。

 1980年代初期に放送された、通称「母と子」または「キッチンマザー」と呼ばれる覚せい剤の危険性を訴えたCMです。

 白い机に向かって並んで座る、
男の子とじっと突っ伏す母親。


 子供がはげしくしゃくりあげているのにも気付かない様子で、髪を振り乱し、うつろな目をした母親が顔をあげると、注射器で覚せい剤をうつ。

 広い世代に広がりつつある覚せい剤の危険性を警告する、淡々とした男性のナレーション。

 徐々に周囲が暗くなり、うつぶせた母親は闇に消え、「ママー!!」と繰り返して泣き叫ぶ男の子の姿も、次第に
小さく遠ざかってゆき、最後には完全なる暗闇。


 浮かび上がった「覚せい剤を追放しよう」という文字のメッセージに「ママー!!」という子供の声が重なる……。


 教えてくれた知人の共感者も多いらしく、ネット上では「最恐」と形容されている作品です。

 私は子供の頃非常に怖がりで、ありとあらゆる事象を怖がっていましたが、長ずるにつれ、江戸川乱歩&エドガー・アラン・ポーに美を見出し、伊藤潤二のホラー漫画を愛読するようになり、近頃は、「子供の頃超怖がってたあの子供向けオカルト情報の挿絵ってよく見ると独特のパワーがあるな、なんといっても画力が凄いし」なんて思っていましたが、公共広告CMだけは未だに、本当に駄目です。生理的に無理。

 それが、娯楽・芸術ではなく現実の警告だからでしょう……。

 イギリスCMの沈黙の恐怖と真逆の、日本的絶叫の恐怖表現ですが、この場合は非常に効果的に視聴者に危険性を訴えています。

 このACCM恐怖症、わからない人にはとことんわからないようですが、わかる人にはものすごくわかり(なぜか私の親しい人たちは、強心臓の祖母を除き男女問わず全員アウトだった〈いい年してその手のCMになるとリモコンをお手玉するようにしてアタフタチャンネルを変えていた僕に対する祖母の「何やってんの?」的真顔マナザシが忘れられない。〉)、ゆえにイギリスでも日本でも、いくつかのある種の傑作が今でもネット上で語り草になっている模様です。

 いつもと違ってまったくご覧になることをお勧めしませんが、どちらも構成的には観る者の心理を巧みにとらえている(この情報過多時代にどちらもシンプルな表現なところが印象に残る)と思ったので書かせていただきました。

 次回は、太宰治の『人間失格』(含漫画バージョン)について書かせていただく予定です。

人間失格 ─まんがで読破─ -
人間失格 ─まんがで読破─ -

(ついこの間まで勝手にドラえもんご紹介ウィーク繰り広げていたのに、いきなりものすごくダークになってしまいすみません。別に自分が荒んでるとかではないんですが……。)

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 23:46| イギリスの暮らし | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月30日

(100日間リベンジ再び)5週目 (ダイエット停滞気味、絶賛夏バテ中 おススメ本発見)


※今回は日記です。

100日間、文書きとか悪習慣断ち(無駄酒、無駄インターネット)とか、ダイエットとか英語とか頑張ります!と宣言させていただいた、その経過とその他つれづれを書かせていただきます。
 これまでの経過一覧はコチラです。

1,ダイエット

 先々週、1.2kg減ですバンザーイとご報告いたしましたが(先週もキープだったのですが)、そこから1kg増えました……。

 結構不摂生(寝不足+ヌルイカロリー制限+夏バテウォーキングサボり)なクラシだったんで仕方ないかなと思いますが、毎週こうパッとしない経過をご報告するのも哀しいものがあります。

 明日からなんとしてでもウォーキング復活させます。

 ところで、この「100日間リベンジ再び」4週目の言い訳を見てくださったかたの人数が一時期増加したことがあり、ま、まさか、このグダグダ経過に関心を持ち始めた方々が?と、焦りましたが、同じ記事内で、NHKのイルカ番組(「地球ドラマチック 海からの使者 イルカ」)ご紹介をしていたせいだと気づきました。

 アイルランドの孤高のイルカ、ダスティと、彼女を愛し共に泳ぐオランダの人類学者ヤン・プローグ(Jan Ploeg)氏の魂の交流について調べていて偶然このブログにたどり着いてしまった人は、私のダイエット挫折言い訳も併せ読まされさぞ不毛な思いをしたことでしょう。ヤン・プローグさんのブログ探すのに結構頑張ったのでどうか許してください(汗)。
 ヤン・プローグ氏のブログ英語版はコチラです。
 http://www.janploeg.nl/english.html

 恥ずかしいんで今後は日記とその他の話題はきっちり分けようと思います。

 余談なのですが、このヤン・プローグさんのブログを探しの際、お名前の綴りがわからず、こんな流れで目当ての情報にたどりつきました。

「オランダ人の『ヤン』ってどう書くんだろう」
→「オランダ人画家で、ヤン・ステーン(※)っていたな」
→(ヤン・ステーンで検索、ウィキペディアに「Jan Steen」の綴りあり)
→「Jan dolphin Ireland」をキーワードに検索
→「Jan Ploeg English Version」ブログに到着

(※)ヤン・ステーン 
 風俗画で有名な17世紀の画家。静謐な画風のフェルメールと異なり、酒場で騒ぐ人々などを教訓を織り交ぜながらも生き生きと描いた。本人が兼業で居酒屋を営んでいたという異色の経歴の持ち主。

 何故「ヤン・ステーン」について知っていたかと申しますと、絵が好きだけどアナログの申し子な親に命じられて、ウィキペディアからすでに著作権切れになって掲載されている彼の作品をしこたま印刷させられたからです。(日本で入手できる画集が少なかったので)。
居酒屋にて(部分)(撮影者 The Yorck Project: 10.000 Meisterwerke der Malerei.)

ヤン・ステーン.png

 親しい友人が撮ったスナップショットのような生き生きとした情景。オランダの風俗画には当たり前のように犬が一員として混ざりこんでいるのが個人的には好感度高いです。
 ヤン・ステーンウィキペディア画像集はコチラ

 確かに良い絵だなーとは思いましたが、サイズがバラバラだったから印刷時に調整したりして地味に大変でした。
 
 でもおかげでプローグさんのブログにたどりつけたんで、親に、あの作業が役に立ったと伝えたら、「ほら見ろ、きっとそういうことになると思ったから頼んだんだ」とあまりにも見え透いた嘘をつかれました。なにが「ほら見ろ」なんだ……。

2,無駄ネット

 ゴシップ記事閲覧禁止は順調に更新できています。わたなべぽんさんの「やめてみた」情報が本当に効きました!

やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方 -
やめてみた。 本当に必要なものが見えてくる暮らし方・考え方 -


 でも、ニュースとか、Kindleセール本を探すとか、「無駄とは言い切れないけど、今読まなきゃダメか?」的部門の閲覧がまだ完全にはやめられていません。

 それでも昔よりは本当に減らせたと思うのですが、まだ、ヘトヘトなときや、やらなきゃいけないことがあるときほど手が伸びてしまいます……。

 ついこの間、この状況を見事に分析してくださっている本を見つけました。
『ストレスが消える「しない」健康法』(小林弘幸 著)

ストレスが消える「しない」健康法 (角川SSC新書) -
ストレスが消える「しない」健康法 (角川SSC新書) -


(以下「【ストレスのサイン】ネットニュースをだらだら見続けてしまう」部より引用)
 「ストレスを感じてるときにやってしまう行動」というのも一つのサインとして注目すべきポイントです。
(中略)ネットニュースに没頭し、特に興味があるわけでもないのに次から次へとニュースを読み続け、気が付けば一時間以上たっていた。
 これこそ体がストレスを感じ、無意識に現実逃避をしている典型的なサインの一つです。(中略)
 最初は「嫌だな」「つらいな」という感情を抱きますが、しばらくすると、「あ〜あ、もうどうでもいいや」と投げやりになったり、考えることをやめて、心に蓋をしてしまうことがあるでしょう。
 そんなときは、ただぼんやりと「与えられる情報」を受け続けるという行動をとりがちになるのです。
 ネットニュースを見続けるというのは、まさにその典型的なパターンです。
(中略)このように頭を使って主体的に行動するのではなく、単なる反応としてその行為を繰り返してしまうときは、体がストレスを受け、アクティブになれない状態だと考えられます。
 こんな状態のとき、一気に「さあ、仕事に戻ろう」と気持ちを切り替えるのは簡単ではありません。「ああ、またネットニュースに没頭しているな」「自分はストレスを受けているんだな」と認識し、「いったい何にストレスを感じているんだろう……」と考えるだけでも、冷静で、客観的な思考になれます。



 こっ小林先生………!!!(キラキラ目+祈り手)

 ネット中毒という問題があることについては色々な本で言及されていますが、「よくないストレス→思考停止→与えられる情報を受け続ける(無駄ネット閲覧)」という流れを専門家の先生がつぶさに書いてくださっている文章になかなか出会えなかったので、非常にありがたかったです。

(ストレスが原因で見ちゃうんだなとは自分でもうすうすわかっていた〈楽しくてやめられないときと明らかに心境が違う〉けど、理路整然と説明していただけるととても助かる。中毒者は自分で自分がコントロールできないので混乱しているのです。)

 この本では、「ストレスを恐れすぎず、しかし、ストレスを感じた際、気力で乗り切ろうとするのではなく、まずはストレスに起因する自律神経の乱れを整える行動をとる」ということを勧め、その方法(席を立つ、深呼吸、朝食をとる、等)を理由とともに具体的に説明してくださっている模様です(感動して読み終えて無いのにフライングご紹介〈汗〉)

 自分の状況にはとても合っていると感じたので、熟読してできるだけ生活習慣にとりいれたいと思います。

3,減酒

 先週よりちょっと酒量が増えてます。「くぴ飲み(半缶)」が「ぐび飲み(ほぼ一缶)」くらいに……。
元々は「人と一緒に適量しか飲んじゃダメ」って決めてたのに、ズルズル堕落している……(汗)。

 このままではイカンので、わたなべぽんさんが上記「やめてみた」で書いてらした、「炭酸水への切り替え」頻度を増やすべく、ちょっとフンパツしたレモン果汁(国産オーガニック)を買ってきました(オリゴ糖で割るとヘルシー美味しい)。今週は上記目標を厳守いたします。

 これもネット同様、別に好きだからではないので、ストレス対処についても鍛えていきます。

 ……というわけで、先週より全体的にちょっと後退してしまいました。ですが「これはマズい」とアタフタしていたら良著との出会いがありましたので、来週は挽回したいと思います。

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 23:13| 100日間リベンジ再び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月29日

ツチノコ追加情報(ドラえもん界ツチノコとは真逆の世界ご紹介)


ちびまる子ちゃん 田中さんの証言.png

 前回、「ドラえもんに登場するツチノコは激カワ」ということをご紹介させていただきましたが、本当は(?)かわいくない(らしい)ということがわかる、作品掲載時の1970年代近辺のツチノコ情報や本について追記させていただきたいと思います。

ツチノコ3.png
(藤子F先生デザインだけ、当時からなんでこんなにかわいいのか〈×大泉逸郎〉まったく謎。)

1,『ちびまるこちゃん』「まぼろしのツチノコ株式会社」(コミックス4巻収録)

ちびまる子ちゃん (4) (りぼんマスコットコミックス (472)) -
ちびまる子ちゃん (4) (りぼんマスコットコミックス (472)) -

 ツチノコブームに沸いていた当時、『小学3年生』に掲載されていた、田中さん(58歳・農業)の目撃証言を固く信じたまるちゃんが、デパートの懸賞金100万円を目当てに、親友たまちゃんとエキセントリックな学級委員丸尾君とともにツチノコ探しに出かけるというお話です。

「当時、ツチノコ発見者には懸賞金が贈られるイベントがあった」
「ツチノコには毒があり、飛ぶ(らしい)」
という情報を広く後世に知らしめた作品です。

ちびまる子ちゃん ツチノコの恐怖.png

(当時の子供たちが抱いたツチノコのイメージを象徴するコマ)

※今でも岐阜県東白川村「ツチノコフェスタ」、新潟県糸魚川「ツチノコ探検隊」といったイベントでは懸賞金制度は続いているそうです。
http://higashishirakawa.info/event.htm(ツチノコフェスタHP)
http://nunagawa.ne.jp/tsuchinoko/index.html(ツチノコ探検隊HP)

 「捕獲の暁には(丸尾)スエ夫、タマエ、モモコ(まるちゃん)の頭文字をとり、スタモツチノコ株式会社を経営しましょう」という丸尾君のネーミングセンス(社長丸尾君〈予定〉)や、どう考えてもあてになりそうにない「田中さん(58歳)」の証言を、家族からクラスメートに至るまで失笑されても、熱心によりどころとするまるちゃんの純真(含100万への欲望)が味わい深い名作回です。

ちびまる子ちゃん 見ず知らずの田中さん.png

 まるちゃんの奮起を促すべく、「アナタの業績次第ではあなたをわたしの秘書にしてあげてもよいですよ。ズバリ頑張るとよいでしょう」という丸尾君の提案に対する、「そんな条件でよーしがんばるぞ、と言うとでも思っているのであろうか」というナレーションや、100万を手に入れた後の夏休み、ヨットでカクテルを飲みながら「ヘーイ、カモンジョージーイ♪(誰)」と南国を満喫するビキニ姿のまるちゃんのコマ(妄想)も大人心に響きます。
(前者はドラえもんの至言「いい!いい!どうでもいい!」に通じる一脈のわびがある。)

 2、恐怖の子供向けオカルト図鑑情報

 おそらく丸尾君も「スタモツチノコ株式会社」社長(予定)として参照したのではないかと思われる、1970年代のオカルト系図鑑や児童向け雑誌の記事では、藤子F先生のきゃわゆいぷっくりツチノコと完全に対立する、「短い凶暴なコブラ的ヘビ(跳躍力つき)」の情報が紹介されていました。
 
 この手の本ときたら、仮名遣いこそひらがなを多用していますが、それ以外は話題から絵から子供向け配慮が限りなくゼロに近く、むしろ大人でもそれなりにグロ耐性がある人でないとキビシイものがあります。

 レトロ系ライター(※)初見健一さんのブログで紹介してくださっている、1970年代の怖いツチノコ(想像)が見られるページはコチラです。(こちらは週刊誌の挿絵のようですが、幼少時の私が見たのもこんな感じの絵でした。)

 キャプションは
「『なぜなに学習図鑑』の挿絵などで、ちびっ子たちの脳内に凶悪なトラウマを植えつけまくった石原豪人画によるツチノコ画。なんか、毒性120%増しって感じ。」
……そう、そうなんです。まさに「トラウマ」としか形容しようが無い……。
http://tokyoretro.web.fc2.com/tsuchinoko.html
(ブログ、「東京レトロスペクティブ」より〈ブログ自体レトロとサブカルを満喫できてとても楽しいです〉)

 なんでこんなに質感豊かに、恐ろしく描くのでしょうか。当時「藤子F版ツチノコ」しか知らなかった(そして「カーワイー、ツチノコカーワイー♪」と思っていた)私には大ショックでした。
(しかもなんかその本〈図書館蔵〉が古い&大人気だったらしくズタボロだったのが、触ると血や湿気がつきそうなくらいのリアル画と相まって禍々しかった。)

(※)初見健一……サブカルチャー研究家、著作家。今も現役で活躍する昭和レトロな品々やデザインを紹介してくださった心温まる名作「まだある」シリーズの作者でもある。自称「懐かしがり屋ライター」(粋なフレーズ)

まだある。文具・学校編 改訂版 (今でも買える“懐かしの昭和"カタログ) -
まだある。文具・学校編 改訂版 (今でも買える“懐かしの昭和"カタログ) -

まだある。キャラクター編 改訂版 (大空ポケット文庫) -
まだある。キャラクター編 改訂版 (大空ポケット文庫) -

(※2)石原豪人……1950年代から長期にわたり活躍したイラストレーター。映画看板画家からキャリアをスタートさせ、子供向け雑誌、劇画、新聞小説、ゲーム雑誌、(別名義で)SM雑誌やゲイ雑誌まで、依頼があればジャンルを問わずに手掛けた。

石原豪人 妖怪画集 -
石原豪人 妖怪画集 -

新装版 石原豪人---「エロス」と「怪奇」を描いたイラストレーター (らんぷの本/マスコット) -
新装版 石原豪人---「エロス」と「怪奇」を描いたイラストレーター (らんぷの本/マスコット) -

石原豪人 (らんぷの本) -
石原豪人 (らんぷの本) -

 しかし、当時の挿絵画家の方々の絵は、いい意味でも悪い意味でも妥協や手抜きが一切感じられず、高い技術と、非常に広範囲な仕事ぶりに裏打ちされた、徹底的な絶望感やケレン味、秘めた妖艶さがあって、子供のときにはあれだけ怯えまくったのに、今となるとフラフラと吸い寄せられる魅力があります。

 (ツチノコの話題があるかは未確認ですが)初見さんがこの手の子供向け(だけど全然配慮が無い)情報紙面をまとめた「昭和ちびっこ怪奇画報」という本を出版されています。
(「ちびっこ」と「怪奇」の組み合わせが既に「ナンカチガウ」感満載。)

昭和ちびっこ怪奇画報 - ぼくらの知らない世界1960s-70s (青幻舎ビジュアル文庫シリーズ) -
昭和ちびっこ怪奇画報 - ぼくらの知らない世界1960s-70s (青幻舎ビジュアル文庫シリーズ) -


 立ち読みだけさせていただきましたが、当時の紙面の未だ色あせぬインパクトと、今だから言いたくなる突っ込みどころが大量にあってすごく面白かったです。初見さんの的確な評も楽しい。

 でも「欲しいんだけど家の本棚にあると、幼少期の記憶がよみがえって怖い」と未だに購入を躊躇しています……。

 ところで、ウィキペディア記事によると、ドラえもん人気に影響され、台湾の若者たちは幼少期の私同様ツチノコを非常に可愛らしいものだと思っていらっしゃるそうです。

 世の中に架空とはいえこれほどイメージギャップのある存在は無いと思うので、海を隔ててドラえもんを好いてくださっている若い人々が、これからこの手のイメージを知って、私と似たようなショックを受けるのかもしれないと思うとなんかちょっとアンニュイになります。

 以上、ツチノコ追加情報でした。

 読んでくださってありがとうございました。

※(訂正)一時「ちびまるこちゃん」引用画像のさくらももこ先生のお名前を「さくらもここ」(汗)としてしまっていたので、おわびして訂正させていただきます。なんで間違えたんだろう……(汗2)大変申し訳ありませんでした。

posted by Palum. at 23:10| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月28日

(※ネタバレ)「ツチノコみつけた!」(『ドラえもん』 脇役キャラトップスター登場の回)


ツチノコ1.png

 今回はドラえもんの「ツチノコみつけた」(コミックス9巻)の一部あらすじと周辺情報についてご紹介させていただきます。
(このキャラ大好きなんで、当ブログで、今まで何度か言及させていただいており、一部内容が重複しますが、今回はどんなストーリーなのかの概要をお伝えしたいと思います。)


 コミックス9巻。
ドラえもん (9) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (9) (てんとう虫コミックス) -

 のび太が体の短い幻のヘビ「ツチノコ」の第一発見者になろうと奮闘する話です。

 以下あらすじです。結末までネタバレですのであらかじめご了承ください。(一部仮名遣いを改めています。)

 「この世に生まれたからには、なにかひとつ足あとを残したい!野比のび太の名前を、歴史の一ページに残したい!それにはどうしたらいいか、真剣に考えよう」
 と真剣な面持ちで目を閉じたのび太、すぐに寝落ちしてしまいましたが(……)未来から帰ってきたドラえもんにたたき起こされます。
(ちなみに、のび太はわりとこの手の思索にふけりますが、寝落ちしなかった場合、思いつくのは「逆立ちで世界一周」とか「大仏様の手で世界一のあやとりを作る」等です。〈真面目に聞こうとしていたドラえもん、このアイディアを聞いた時点で無言で寝室である押し入れにもぐりこむ〉〈コミックス26巻「歩け歩け月までも」より〉)

ドラえもん (26) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (26) (てんとう虫コミックス) -


 見せられたのは未来の百科事典の「ツチノコ」の章。

「昔は単なる想像上の生物とされていたが1975年東京の剛田武さんによって発見され……」
なんと幻のヘビの第一発見者としてジャイアンが歴史に名を残していることが判明。

 それなのに君はのんきに昼寝なんかして……とお説教するドラえもんに対し、ジャイアンの先を越して自分が見つける!と勢いよく飛び出したのび太。

 空き地を捜索中、ジャイアンとスネ夫に、「なんか落とし物か?」と聞かれて、慌てるあまり「関係ない、あっちへ行け!シッシッ!」と失礼極まりない返事をしてしまった結果、尋問にかけられ、ツチノコ探しを白状させられてしまいます。

 しかし、ツチノコの実在を信じていないジャイアンとスネ夫は失笑して立ち去りました。

 ライバルが消えた!と喜ぶのび太。
「必ず見つけてやる。たとえ何か月かかろうと、発見するまであきらめないぞ」
と空き地捜索を再開。

 「あきらめた」
 「まるっきり根性がないんだから」
 舌の根も乾かぬうちにげんなり顔で部屋に戻ってきたのび太にあきれるドラえもん。

 こんな町中にいるなんておかしいよ、と、ふて寝してしまうのび太。しかし、ドラえもんが、未来ではすでに実在が確認され、ペット化されている(笑)ツチノコを連れてきて発見者のふりをすることを思いつきます。

 さっそく、ツチノコブームが起きている2040年代へ行く二人。

 公園では人々に連れられ、たくさんのツチノコが集まっていました。
 
 ヘビがいっぱいいる公園なんてイヤダと思う方もいらっしゃるでしょうが、このツチノコは「オシシ仮面」「宇宙人ハルバルさん」など個性的なキャラを世に送り出した藤子F先生のデザインセンスがさく裂、顔も体ももっちりぷっくりしてごまつぶのような罪の無い目をして、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ!カワイイです。へびってか、オモチの妖精って感じ。

 世間では毒蛇との噂もあるツチノコですが、藤子Fワールドのツチノコは性格も可愛らしくて、おとなしくリードにつながれ、お洋服や赤ちゃん帽子を身に着け、呼ばれると喜んで人の後について歩き、直立してあーんと口をあけておやつをもらい、イイコイイコされるとニコニコ顔で短い尻尾をぴこぴこ振ります。(悩殺)

ツチノコ2.png

ツチノコ3.png

ツチノコ4.png

 ちなみに大福顔の口元にヒゲ?があるタイプと無いタイプがいます。
(大人と子供の違いでしょうか。蛇にヒゲというのが考えてみればフシギですが、それぞれ可愛い。)

 ペットショップでツチノコを入手しようとするも、未来のお金が無かったというミスがありましたが、公園で捨てられかけていたツチノコ(お巡りさんが「ノラツチノコ(←笑)が増える」と無責任な飼い主を注意していた。)を引き取り、喜びいさんで現代に戻る二人。

ツチノコ5.png

 さっそくマスコミに連絡しましたが、記者の人たちが来る前にツチノコがケージから逃げだしてしまいました。

 慌てて探しに行った二人、そこに「あっ!ツチノコ!!」という叫び声。

 興奮した様子のジャイアンの手につかまれ無心にぶら下がるツチノコ。

 ちょうど集まっていたマスコミに取り囲まれ、「僕が見つけたんです!偶然この空き地で!!」と、取材に答えるジャイアンを、二人は渋い顔で見つめるしかできませんでした……。

(完)

 この可愛らしいツチノコは、後年さまざまな形で商品化され、今やドラえもんグッズの常連ともいえる存在です。


ドラえもん ツチノコ のびのびパスケース ぬいぐるみ -
ドラえもん ツチノコ のびのびパスケース ぬいぐるみ -


ドラえもん ツチノコ ティッシュボックスカバー -
ドラえもん ツチノコ ティッシュボックスカバー -

 藤子F不二雄ミュージアムHP内のツチノコグッズ記事はコチラ。
http://fujiko-museum.com/blog/?p=8550/
(ミュージアム公式ブログ「ツチノコ」グッズが大人気!2012年12月28日より)


 しかし、実はツチノコって1970年代のオカルトブームの中では、「体の短い飛ぶ猛毒ヘビ」という存在として「発見者に贈られる懸賞金は欲しいが怖い」と当時の少年少女の間では認識されていたそうです。

 本物の(?)ツチノコのイメージで作られた、フィギュア界の名門、海洋堂さんのツチノコ。
(跳躍して口をカッと開き、攻撃を加える姿〈毒ありげ〉)

カプセルQミュージアム UMA大全 世界の未確認生物 [4.ツチノコ](単品) -
カプセルQミュージアム UMA大全 世界の未確認生物 [4.ツチノコ](単品) -

 当時の「藤子F先生版でないほうのツチノコ」の恐怖イメージについては「ちびまる子ちゃん」(りぼんコミックス4巻)で詳しく描かれています。(こちらも名作です。)

ちびまる子ちゃん (4) (りぼんマスコットコミックス (472)) -
ちびまる子ちゃん (4) (りぼんマスコットコミックス (472)) -

 私は藤子F先生のツチノコしか知らなかったので、後年、図書館で、子供向けオカルト図鑑(※)的なものを見て、ツチノコのカワイイイメージが大崩壊してショックを受けた記憶があります。(海洋堂さんのフィギュア同様、短いコブラ的なものが跳躍して人に襲い掛かる図だったような記憶が……。)
(※)昔そういう絵も話題もまったく子供向けじゃない、異様に緻密で高い画力でトラウマページを繰り広げる恐怖図鑑があった。

 怖いツチノコのイメージ真っ盛りの中で、藤子F先生がどうしてツチノコをあんなに可愛らしくて人懐こい生き物として描かれたのかは謎ですが、夢と温かみに溢れた藤子Fワールドを象徴するようなエピソードです。
 
 是非コミックスをお手にとってみてください。

 次回記事ではツチノコ追加情報として上記の「ちびまる子ちゃん」の作品と、子供向けオカルト図鑑についてご紹介させていただきます。
 
 読んでくださってありがとうございました。

※(補足)今回Seesaaのネットワーク障害で8月28日中の更新ができませんでしたが、100日連続記事更新を目指している最中なので、これを28日分記事とさせていただきます。29日記事は夜更新予定です。よろしければまたご覧ください。
http://trouble.seesaa.net/article/441431247.html(障害報告)
posted by Palum. at 21:00| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月27日

(※ネタバレ)「未知とのそうぐう機」(『ドラえもん』 コワカワイイ宇宙人ハルバルさんと秀逸なオチ)



未知とのそうぐう機1.png

 今回は「未知とのそうぐう機」(コミックス17巻)の一部あらすじと幻のグッズ情報についてご紹介させていただきます。

 コミックス17巻。(前回ご紹介「驚音波発振機」も収録)

ドラえもん (17) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (17) (てんとう虫コミックス) -

 宇宙人を呼ぶ電波を発するひみつ道具「未知とのそうぐう機」をのび太が勝手にいじったために、家に宇宙人が訪ねてきてしまうというお話です。

 ドラえもんから「触るな!」ときつく言われただけで(見ていただけなのに、非常に感じ悪く注意されたので、あてつけに触るのび太。ドラえもんもしまっときゃいいのに……)、機械の説明をしてもらわなかったので、単に「UFOが見られる機械」と思い込んで面白がって何度もボタンを押してしまいますが、繰り返すうちにそうぐう機の電波発信源をつきとめた宇宙人ハルバルさん(ハルカ星在住)がのび太の部屋にUFOで乗りこんできます。

 アザラシとおじさんと古風なオバケをミックスしたようなコワカワイイハルバルさん。(17巻表紙に登場)

 異変に気付いたドラえもんが「あー!!やってくれちゃって!!」と。部屋に飛び込んできたとき、のび太はハルバルさんの「NMwwNwW」みたいな喋りに対し、「アハハなんか言っている」とのんきにかまえていましたが、ドラえもんは、のび太を部屋の外に連れ出し、
「態度に気を付けたほうがいい、なにしろ何百光年という遠い星からはるばるくるんだからな。用もないのに気やすく呼ぶなとカンカンに怒って、宇宙戦争になりかけたことさえあるんだぞ」
 と深刻な表情で耳打ちします。

 ホンヤクコンニャクを食べたドラえもん経由でハルバルさんのお話を聞いたところ、

「いいたかないけど地球までの燃料費が二千万円もかかった。ごはんの最中に呼び出されたので、はやく用事を言ってくれ」とのこと。

(まったく個人的な話ですが、子供のときこれ読んではじめて「いいたかないけど」という言い回しを学び、以来これに類するフレーズを聴くたびハルバルさんを思い出すようになりました。児童向け漫画のわりに渋いセリフ……。)

 もちろん用なんかなかったので慌てるのび太。

 様子を察したのかハルバルさんはこうつけ加えます。

「まさか面白半分じゃあるまいな。話は変わるがハルカ星の連合艦隊はこれまでの宇宙戦争で一度も負けたことがないんだ」

 震えあがりながらも、仕方なく食事をごちそうしてごきげんをとってごまかして帰ってもらうことにした二人。
(のび太にコーラをお酌されるハルバルさんの片肘をついたポーズがいかにも接待され中のおじさんっぽい。)

未知とのそうぐう機2.png

 地球の食べ物はうまい、と、はじめて眉間のしわを消して笑顔をみせたハルバルさん(可愛い)でしたが、地球の平和を守るためにおかわりをお出ししようとしたのび太を見とがめたママ、犬か猫でも拾ってきたのかと追及した挙句、ハルバルさんを見て、
「まあっ、アザラシなんかつれこんで……。シッ、シッ」
といきなりほうきでハルバルさんの後頭部を殴り倒します。

未知とのそうぐう機3.png

未知とのそうぐう機4.png

 ドラえもんと同居しているから変わった出来事には慣れているのかもしれませんが、家にアザラシ(違うけど)がいても驚かず、しかも、いきなり派手に殴るなんてママもなかなかスゴイ感性の持ち主です。

 当然激怒したハルバルさん、宇宙艦隊で地球へ攻め寄せる!と言い残してUFOに乗り込もうとします。

 足(ヒレ?)にすがって止めようとするも、衝撃波を受けてふりほどかれてしまう二人。

 「もうだめ!地球はほろびるんだ、君のせいだぞ!」
 「そ、そんな……」
 なすすべなくへたりこむ二人。

 しかし、UFOに向かいかけたハルバルさんが畳に転がるあるものを見て立ち止まります。
 前ヒレでそれを拾い上げると、鼻息荒く、なにやら「NMwwNwW!!」とまくし立てているハルバルさん。
 「ビー玉を見て騒いでいる」
 
 実はハルカ星ではガラスができず、地球のダイヤよりも値打ちがあるとのこと。

 それを聞いたのび太は箱一杯のビー玉を差し出し、
「地球とハルカ星の友情のしるしとして、ビー玉を贈りたいと思って呼んだのです」
 と笑顔で後付けの用事を伝えました。

未知とのそうぐう機5.png

 ハートを一杯まき散らして前ヒレでのび太を熱烈に抱擁したハルバルさん、大喜びで帰宅。

未知とのそうぐう機6.png

「ついに地球は滅亡から救われたのであった!」
 安堵して抱き合うドラえもんとのび太を見て、つい先ほど、息子との共同作業で地球を滅ぼしかけたとも知らないママが、
「テレビの観すぎです」
と、口を「3」にしてあきれていました。

 (完)

 さて、ハルバルさんの交通費片道2000万円は大いなる利益をもたらしたというのはあの熱烈ハグでよくわかりましたが、具体的にハルバルさんはどのくらいうれしかったのかということがちょっと知りたくなりました。

 で、ビー玉の大きさから、きわめていい加減に、ハルカ星のビー玉の価値を予想してみました。
 (寝不足とか具合悪いとか日記回に書いておきながらこういうことには労を惜しまない人)

 一般的なビー玉(ラムネに入っている大きさ)は直径約17oだそうです。
(ウィキペディア記事「ビー玉」より)
 
 (※のび太の手との対比ではもう少し大粒のビー玉にも見えますが一応標準的なサイズとします。)

未知とのそうぐう機7.png

 複雑にカットされているので正確な体積は不明ですが、これに近い大きさのダイヤモンドは約10カラット程度と思われます。(ハリウッドセレブの指輪の記事で10カラットなら親指の爪大とあったので)

(参照:【イタすぎるセレブ達】ジェニファー・アニストンの婚約指輪、関節より大きな10カラット超のダイヤが不評 
http://japan.techinsight.jp/2012/10/yokote2012101017270.html

(本当は1カラット=200mgと重さで換算するそうですが、ダイヤとガラスでは重さが違うので、ここではおおまかな一粒の大きさで考えさせていただきます。)

 上記記事のハリウッドセレブの10カラットの指輪で、石のランクはさほどでもない(らしい)指輪が査定8000万とあるので、カット、透明度、カラーが最高位のダイヤモンドの裸石(ルース ※カット済の粒のこと)以上の価値がビー玉にあるとすると、一粒一億円程度。
(参照:ウィキペディア記事ダイヤモンド)

 箱の中に見えるビー玉は約15個、二段詰まっていると考えると合計30億円。

 しかし、ダイヤと違ってその星に存在もしない物質となると、さらに高値である可能性があります。ダイヤでもピンクダイヤ等希少性があると数倍〜数十倍の値がつくので。
(それにしても、ハルバルさんきっかけで、かつてないほどダイヤ情報を読むとは思わなかった。) 

 なんとなくハルバルさんは星でそれなりの立場のアザラ…方なのかなという印象も受けますが(逆らえない呼び出し電波を受けたとはいえ、すぐに片道2000万の交通費を出しているところとか、連合艦隊とコネがありそうなところとか、接待され慣れた感じのコーラお酌されポーズとか)、のび太のはからいで、一瞬にして超富裕層資産に匹敵する宝石を得たわけですから、そりゃほうきの一撃くらいチャラにしますよね。
 
 ところでこのコワカワイイハルバルさん、2007年に一度フィギュアになったみたいですが(ビー玉つき〈大笑〉)今は特にグッズ化されていないようです。

VCD 1/6計画限定 ハルバル メディコム・トイ -
VCD 1/6計画限定 ハルバル メディコム・トイ -

 地球を滅亡させようとはしましたが、よく見るとマニアックドラキャラの大スター「ツチノコ」(毒すら持っていると噂されるUMAヘビなのに、藤子F先生のデザインにかかるとおもちみたいで人懐こい生き物に変身。こちらはあまりの可愛さにグッズ多数。)の次くらいに可愛いと思うので、またなんかグッズ化されたら見てみたいです。

UDF ツチノコ (警戒色&アルビノセット)(ノンスケール PVC製塗装済み完成品) -
UDF ツチノコ (警戒色&アルビノセット)(ノンスケール PVC製塗装済み完成品) -


 藤子F不二雄ミュージアムでハルバルさんディスプレイについてご紹介なさっている記事はコチラです。巨万の富(ビー玉)に囲まれて幸せそう。
http://fujiko-museum.com/blog/?p=10608/

 是非、原作をお手に取って、この絶妙なデザインのハルバルさんとオチ(そしてママの冷静すぎる反応)をお楽しみください。

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 18:13| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月26日

(※ネタバレ)「あやうし!ライオン仮面」(『ドラえもん』 超マニアックキャラがまさかの人気)


ライオン仮面5.png

 今回は「あやうし!ライオン仮面」(コミックス3巻)のあらすじと、ここに登場するキャラのこぼれ話をご紹介させていただきます。

コミックス3巻。
(泣ける「ペロ生きかえって!」、ドタバタ恋愛劇(?)「ああ、好き好き好き!」が読めるおすすめ巻。〈結局全巻好きなんだろ〉)

ドラえもん (3) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (3) (てんとう虫コミックス) -


 以下あらすじです。(結末までネタバレですのであらかじめご了承ください。)一部仮名遣いを変更させていただいています。


 「ワハハハハ、ライオン仮面。もはやのがれることはできんぞ!」
 ヒーローライオン仮面が、少女とともに悪の組織に取り囲まれ、絶対絶命のピンチに。

ライオン仮面1.png

 「ワーッ!!」
 一斉にレーザーガンで撃たれ、叫び声をあげるライオン仮面。

ライオン仮面2.png
 (10月号につづく)

 「いいところで切れちゃうんだいつも」
「ライオン仮面」を読んでいたのび太とドラえもん。
「10月号ではどうやって助かるんだろう」
 どう考えても助かりそうにないけれど、主人公が死んじゃおしまいだから、きっとなんとかするんだろう。
 でもその展開が知りたい。
 「そうだ!!本人に聞けばいいんだ」
と、ご近所にお住いの作者フニャコフニャ夫(笑)の家へ直接訪ねていくドラえもん。
(※初期ドラえもんは後ののび太の保護者っぽい性格とやや異なり、率先して動く傾向があります。)

 フニャコ先生は売れっ子らしく、家には数人の編集者が不機嫌そうに原稿待機中。

 それなのに、ライオン仮面の続きをさっぱり思いつけずに机に向かって途方に暮れているフニャコ先生。
(細身でお人柄のにじみ出た穏やかなお顔のリアル藤子F先生と異なり、ぽっちゃり体形で不機嫌そうな顔つきですが、フニャコ先生もF先生のトレードマーク、ベレー帽をかぶっています。)
 「あれからどうして助けていのか、見当もつかん」
 そんなことはじめに考えておくべきだと文句を言う担当さんと、あのとき君がせきたてたからだと言い返すフニャコ先生。

 大人同士の責任のなすり合いを見て、本人にもわかっていないんじゃしょうがないと家を出るドラえもん。

 それでも続きが知りたいので、タイムマシンで来月に行って発売済みの10月号を立ち読みします。

 ところが半分しか読んでいないうちに、古風にはたきで本屋のご主人に追い払われるドラえもん。

 今月に戻ってくると、空き地でみんなにライオン仮面の続きについて話しはじめます。

 「あれからね、場面が変わるんだ。ライオン仮面の弟のオシシ仮面が登場する」
 兄を追ってくらやみ団本部へ乗り込んでいく!けど、あとは秘密。
 と、話を終わらせようとした瞬間、「きみっ、ぜひその先を教えてくれたまえ!!」と土管から飛び出してドラえもんにすがりつくフニャコ先生。

 「あんたの描いた漫画だよ」
 「まだ描いてないんだ」
 追いかけっこの末押し問答をする二人を、担当さんが追いかけてきます。

 気分を変えて土管の中で考えていたんだ(珍しい思索スペース)、と言い訳をするフニャコ先生を、早くしてくれないと間に合わない、と急かす担当さん。

 早く続きを教えて!!と先生に激しく揺さぶられ、しかたなくもう一度来月に行って続きを買ってくることになりました。

 担当さんを部屋から追い出し、来月号を読み始めるフニャコ先生。
「死んだはずのライオン仮面をどうやって助ける?」
「それが、オシシ仮面もつかまるよ」

 ドラえもんの言葉通り、紙面の中には、縛り上げられて吊るされ、悪の組織にとりかこまれているオシシ仮面。

ライオン仮面3.png

(獅子舞の面をかぶり、うずまき模様風呂敷風マント(?)姿。アメコミヒーローを思わせる二枚目マッチョの兄と自身を比べてなにか思うところがないのかが、どうしても気にかかる。)

「グエーッ!!」という絶叫とともに、炎に包まれるオシシ仮面。

ライオン仮面4.png

(11月号に続く)

「なんだこりゃ?こんな終わらせ方じゃあ、あとが困るじゃないか!」
「描いたのあんたでしょ」
フニャコ先生の逆ギレに唇が「3」になるドラえもん。

「あとのことは来月号までに考えようというわけか。」
「そうらしいね」
「なんという無責任なわしだ!!」
「ぼくは知らないよ」

 そうは言っても続きが気になって仕方がないフニャコ先生のために11月号を買いに行くドラえもん。

 「場面が変わって、オシシ仮面のいとこのオカメ仮面が出てる」(もはや「獅子」ですらない。)

 ここで「原稿まだですかっ!」と担当さんに怒鳴られ、12月号に物凄い不安を残しながらも、丸写しをはじめるフニャコ先生。

 その他雑誌の担当者も我慢できずに急かしはじめ、パニックを起こしたフニャコ先生は、ドラえもんにすべての雑誌の来月号を買ってこさせます。

 ドラえもんが戻ってくると、机の前で過労とストレスで倒れていた先生。

 「きみ、その雑誌を見て描き写してくれ」
そう言って強引に仮眠に入ったフニャコ先生を背に、とりあえずベレー帽をかぶらされ、一生懸命模写をするドラえもん。
 「ぼくのうつしたまんががのって、この雑誌がでるとすると……、まんがのほんとうの作者はだれだろう??」

(完)

 読者に期待させておいて難しい物語構成は来月に先送りする大人の事情とか、その渦中で「ライオン仮面」→「オシシ仮面」→「オカメ仮面」と、どんどんキャラ設定からしてシュールになるところとか、そんな自身の仕事ぶりに対するフニャコ先生の「なんという無責任なわしだ!!」という一部大人の深い共感を呼ぶ(含僕)セリフが見所です。

この作品、発表より約40年の月日を経て(1971年「小学4年生」掲載)現実世界で後日談が発生します。

1、2008年「オシシ仮面フィギュア化」
たった二コマしか登場しない、しばりあげられて「グエーッ!!」と叫ぶだけのこのキャラが、フィギュア化されて発売。

しかも、捕まって吊り下げられている姿の「通常バージョン」と、炎に包まれている「グエーッ!!」姿の「バーニングバージョン(大笑)」の二種類。

UDF オシシ仮面 (ノーマルVer.)(ノンスケール PVC製塗装済み完成品) -
UDF オシシ仮面 (ノーマルVer.)(ノンスケール PVC製塗装済み完成品) -


UDF オシシ仮面 (バーニングVer.)(ノンスケール PVC製塗装済み完成品) -
UDF オシシ仮面 (バーニングVer.)(ノンスケール PVC製塗装済み完成品) -
アマゾンの購入者レビューには、「友人の誕生日プレゼント用に購入しました」、「会社の机に飾っています」等、原作ファンの方たちのお喜びの声が届いていました。
ちなみに二個セットで買った方が多い模様です。

 (補足、このフィギュアを作られた「メディコム・トイ」様、かの「きれいなジャイアン」等、原作マニア心をくすぐるセレクトのフィギュアを多く作っておいでて、商品紹介ページと愛に溢れた購入者レビューを見ているだけで楽しいです。なお、つい先日〈2016年8月24日〉「美男子のび太(コミックス8巻「消しゴムでのっぺらぼう」)」「カッコイイドラえもん(コミックス2巻「うそつき鏡」)の普及版が発売されたそうです。当ブログの同原作ご紹介記事はコチラです。)

UDF きれいなジャイアン(ノンスケール PVC製塗装済み完成品) -
UDF きれいなジャイアン(ノンスケール PVC製塗装済み完成品) -

UDF ウルトラディテールフィギュア 「藤子・F・不二雄作品」シリーズ8 かっこいいドラえもん 『ドラえもん』 ノンスケール PVC製塗装済み完成品 -
UDF ウルトラディテールフィギュア 「藤子・F・不二雄作品」シリーズ8 かっこいいドラえもん 『ドラえもん』 ノンスケール PVC製塗装済み完成品 -

UDF ウルトラディテールフィギュア 「藤子・F・不二雄作品」シリーズ8 美男子のび太 『ドラえもん』 ノンスケール PVC製塗装済み完成品 -
UDF ウルトラディテールフィギュア 「藤子・F・不二雄作品」シリーズ8 美男子のび太 『ドラえもん』 ノンスケール PVC製塗装済み完成品 -

2、「オシシ仮面Lineスタンプ化」

藤子・F・不二雄プロ制作の公式高品質カラー作品。
「ドラえもん(泣いて笑って)」から購入可能。「グエーッ!!」という気持ちを表明したいときにおススメです。

(結局いつ使うんだと思いましたが、ご紹介者様いわく、「大ピンチを表すときに使えます」とのことです。なるほど……)

(参照:Neverまとめ 【ジワジワくる】よく使う?「LINEスタンプ」10選 まとめ作成者:eight-threeさん http://matome.naver.jp/odai/2143990485605740001) 

 この文を書くにあたり、ウィキペディア記事も参考にさせていただきましたが、こちらも非常にこまやかなウィットに飛んだ名文で、みなさんのオシシ仮面愛に胸が熱くなります。

 なんでよりによってこのキャラにこれほどの人気が発生するのかとやや不思議ですが、あの前代未聞のキャラデザインと(兄との差異と)、「グエーッ!!」のインパクトの前には理屈など無力です。

 フィギュア化情報を得てパソコンの前でギャハハと笑った僕もまた、心のどこかで長年オシシ仮面を愛していたのですから。

 たった2コマを約40年間ファンの記憶に刻み付けたフニャコ……いや藤子F先生はやはり素晴らしい。

 ときにはフニャコ先生同様ご苦労をして、土管にこもったこともあったかもしれませんが(それはないんじゃない?)先生の努力の結晶は、こうして不滅のものとして、2コマであってすら多くの方々を魅了し続けています。(オリンピック閉会式にもドラえもんが出てきてくれてうれしかったなあ……。)

 すぐれた作品構成、鮮烈なキャラデザインとギャグセンス、そしてファンの方々の不滅の愛情に心なごむ名作です。是非お手にとってみてください。

 読んでくださってありがとうございました。



posted by Palum. at 06:10| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月25日

(※ネタバレ)ドラえもん「ホンワカキャップ」(飲めばホンワカ、でも飲みすぎると……)

ホンワカキャップ.png

本日はドラえもんのひみつ道具「ホンワカキャップ」(コミックス30巻収録)についてご紹介させていただきます。

(コミックス30巻 表紙でドラえもんが持っているのがホンワカキャップです。〈※この巻、前回ご紹介の「ねむりの天才のび太」も入っていておススメです〉)

ドラえもん (30) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (30) (てんとう虫コミックス) -

 これを瓶につけて注いだ液体はホンワカ放射能なるものを帯びて、アルコールによく似たホンワカした気分になれるというひみつ道具です。

 なんと素晴らしい、と、思ったら、酔いすぎると危険というところまでアルコールに似ていて、大人の飲み会そっくりのトラブルが起こってしまいます。

 以下あらすじです。
(結末までネタバレですのであらかじめご了承ください。)
一部仮名遣いを変更させていただいています。

 自慢の切手コレクションを、「一緒に切手を集め始めて、おまえばっかりたまるのはどういうわけだ」と逆ギレされたジャイアンと公平に分ける(=大量に持っていかれる)ことになったスネ夫。

 この件についてのび太に愚痴ったら「見せびらかしたりするからだよアハハ」とノー同情だったのに腹を立て、「他人の不幸を笑うな!!」と膝を蹴っ飛ばしてむしゃくしゃ顔で家に帰ります。

 口を滑らせたとはいえ、いきなり蹴られたのび太も非常に面白くない思いで家に帰ると、パパがお友達と家呑み中でした。
「いやなことはみんな忘れて楽しくやろうじゃないの」

 「大人はいいよな。お酒飲んで良い気持ちになれて」
不公平だと嘆くのび太に、ドラえもんが「ホンワカキャップ」を出してくれます。

 ジュースにキャップを付けて注いだものを飲んでみると、ホワ〜といい気持ちになるのび太。

 一口だったのですぐ覚めましたが、これはいい、と、キャップを持ってドラえもんと一緒にしずかちゃんの家に遊びに行きます。

 ホームサイズのコーラでさっそく家呑み開始。

 真っ赤な顔で、飲めや歌えの楽しい時間を過ごします。(しずかちゃんもちゃんと加わってる。)

 楽しかったけど飲みすぎたな、と、千鳥足で帰る途中、ジャイアンに出くわした二人は、
「いいものやるぞ!!いいからとっとけって」
と、ホンワカキャップを渡してしまいますが、酔いが醒めてから半べそで大後悔。

 「宴会やるからコーラ持って俺んちへ来い」
塾へ行こうとしていたのにそんなことをジャイアンに言われたスネ夫は断ろうとしましたが、
「俺とじゃ飲めねえってのか!?」
と嫌な先輩みたいな脅しをかけられ、仕方なしにコーラを一ケース持ってジャイアンの家に行きます。

 「じゃ、かる〜く一杯……」
「せこいこといわねえでガバガバやれ!」
(注、小学生の発言)

 しかし、一杯飲んだらいい気分になったスネ夫は、喜んでグラスを重ねていきます。
「もりあがったところで、カラオケといこう。」
「いよっ、待ってました!!」
 完全にどこかで見た光景です。

ホンワカキャップ2.png

 ジャイアンの家をゆるがす、あの有名な歌声。

 いつもならじっと耐えるスネ夫ですが、その日は違いました。
 しだいに歌を聴く表情が険しくなっていったかと思うと、コーラを手酌でガバっと飲み干し、吐き捨てるように言いました。
「ケッ!やめろやめろ、へたくそ」
「今なんと言った!?」
激怒するジャイアンの顔に激しくあびせかけられたコーラ。
「へたくそをへたくそといってなにが悪いへたくそ!!」

ホンワカキャップ3.png

 さらに、ジャイアンにかけたから空になったグラスをさしだし、
「ほれ、つげよ!!」
と酌を要求するスネ夫。

 「お前コーラぐせが悪いな……」
完全に圧倒されて、コーラをしたたらせながら言われたとおりにするジャイアン。
そろそろ塾へ行かなくていいの?と愛想笑いをしますが、るせえ!もっとつげ!!と命じられ、もうない、と答えた瞬間コーラ瓶が飛んできます。
「買ってこい!!」

ホンワカキャップ4.png

 もはや瓶から直飲みしながら、空瓶のいくつも転がる部屋にあぐらをかき、
「でっかい顔しやがって!!てやんでえ!!みんな泣かされてんだぞ。お前なんか町の公害だぞ!!バーロー」
と、こめかみに青筋を立てながら、日ごろのうっぷんをぶつけるスネ夫に対し、次第にうなだれるジャイアン。

 「グス……なにもそんなに……言わなくても……」
 そしてシャツで顔を覆い、肩を震わせ、さめざめと泣きだします。
「心の中では……みんなに悪いと……あたし、つらい!」

ホンワカキャップ5.png

 何故かオネエ化したジャイアン、その胸ぐらを容赦なく掴んだスネ夫、
「悪いと思ったら切手返せ!!」
と恫喝。
「返すわよ!!ほかの人のおもちゃも本もみーんな返すわよ!!(泣)」

ホンワカキャップ6.png

 家の前でホンワカキャップを手にしたドラえもんと、数冊の本を抱えるのび太。
「さっさと次の家へまわれ!!」
 巨大なふろしきを背負い、涙を浮かべるジャイアンの尻を蹴って追い立てるスネ夫を見て、のび太とドラえもんは
「さめた後が思いやられるなァ」
と、つぶやきます。

 大人の知人に、ドラえもんって大人になってから読むと違った面白さがあるんだよ、と伝えたいとき、一番例示に向いている回かもしれません。

 (絵的なインパクトとしては、ひみつ道具に煽られたしずかちゃんがとんでもない行動に出る「腹話ロボット」や、現代アートをもしのぐシュールさの「からだの部品とりかえっこ」が良いと思いますが。)

 ジャイアンのホンワカハラスメント(≒アルコールハラスメント)と、スネ夫の前代未聞の豹変ぶり(酔ってからの表情や台詞がやたら生々しい)が、大人心にツボです。

 彼らが口にしたのはあくまでホンワカ放射能ですが、私同様アルコールのもたらすいい気分につい惹かれてしまう方も、その先に待ち受けている危険を心に刻みたいとき、あのジャイアンにコーラを浴びせかけるスネ夫を思い出してみるといいかもしれません。

 もう数作、ドラえもん作品についての記事を書かせていただきますので、よろしければおつきあいください。

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum. at 06:32| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月24日

おススメテレビ番組情報と100日間リベンジ再び 4週目

 

※今回はおススメテレビ番組紹介+日記です。とりとめがなくなってしまいますがよろしければおつきあいください。

 まず、NHKで近々再放送されるおススメ番組情報です。

1,「フランケンシュタインの誘惑 人が悪魔に変わるとき スタンフォード大学監獄実験」
(2016年8月25日(木)BSプレミアム 午後5:00〜午後6:00)
 1971年、アメリカの名門、スタンフォード大学の、架空監獄施設で行われた実験を紹介した番組です。
 公式番組情報はコチラです。

 人間は与えられた立場により、たった数日で激変するという想定外の結果と、被験者への深刻なトラウマを残した心理学実験史上最大のスキャンダル。

 番組前半は、この出来事の記録を実際の映像と音声で紹介、後半では、この実験で得られた理論を悪用した(軍部が施設職員を残虐行為へと走らせた)と思われるアメリカ軍による捕虜虐待事件について言及しています。

 この警告は非常に示唆に富み、概要を知ることに意義があると思いますが、かなり残酷な場面が多い(特に捕虜虐待の証拠写真については、NHK内でも放送の是非が問われたのではというほどショッキングなものです)ので、ご注意ください。

 当ブログでこのスタンフォード大学監獄実験についてご紹介させていただいた記事はコチラです。

2,「地球ドラマチック 海からの使者 イルカ」

 8月29日(月) 午前0時00分〜0時45分
 野生のイルカたちと彼らを愛する人々との交流を紹介した番組です。(公式番組情報はコチラです。)

 餌付けなどをしなくても、人という生き物に興味を示してコミュニケーションをとろうとするイルカたちの様子や、独自のコミュニケーション能力(ホイッスルと呼ばれる不思議な発声など)について知ることができます。

 注目はアイルランドの島で単独行動をするイルカ「ダスティ」。

 イルカに魅せられたオランダ人人類学者ヤン・プローグ氏(イルカについては専門外ながら、彼が実際に海で出会ったイルカについて紹介しているブログが専門家からも注目を集めています。〈http://www.janploeg.nl/english.html〉)が海に入ると、どうやってか気配に気づいて近寄ってきて、戯れるように一緒に泳ぎます。
(ちなみに番組原題は「Dances with dolphins」。この美しい情景によく合っています。)

 取材で海に潜ったフランスの海洋学者セラノー氏の動きも興味津々で見つめている。

(※ただし、あくまで野生のイルカなので、水族館の人馴れしたイルカのように触ろうとするのは危険と警告されています。)

 ところで、ダスティが単独行動をしている理由として、彼女の理解者であるプローグ氏は、
「群れの中ですばぬけて頭がよかったからでしょう。人間の社会でも抜きんでたものははみ出し者になりがちです。おそらくダスティも群れから追い出されたか、自分から離れたのでしょう」
と推察しています。

 「寂しさに 宿を立ち出でて 眺むれば いづこも同じ 秋の夕暮れ(百人一首 良暹法師)」……。

 せつねえですが、しかし、ゆえにプローグ氏たちとの友情を育むことができたのでしょう。

 ちなみにフランスの番組ですが、放送・番組内使用言語は聞き取りやすい英語なので、英語リスニング教材を探している方にもおすすめです。

当ブログ、イルカ動画ご紹介記事はコチラです。よろしければご参照ください。

夏向き癒しのイルカ動画
イルカたち、フグ毒を回し飲みしてハイになる(イギリスBBCドキュメンタリーより)
自然番組の撮影方法(BBCドキュメンタリーより)


3 再放送していただきたいな……。「地球ドラマチック 新種発見!?史上最大の恐竜」

 再放送予定不明なんでただの願望です。

 イルカ番組のためにNHKホームページ見てて、素敵な番組を見逃したことに気づきました……。

 2014年に発掘された巨大恐竜の全貌を追う番組です。番組公式情報はコチラです。

 憧れのBBC自然番組プロデューサー、ディビッド・アッテンボローさんがご紹介役だったのに見逃したあぁぁ!!(悔)

 この番組は今年2月にイギリスに制作されたものとのことなので、アッテンボローさんはこのとき89歳。(8月現在90歳。)

 御年のことを言うのは無粋というものですが、こんな現役バリバリに教養番組に登場なさる90間近の方なんてちょっと例が無いと思うので、是非再放送でその活躍を見せていただきたいです。

 番組情報ページ内、トレードマークの青い半そでシャツ姿の銀髪紳士がアッテンボローさんです。

BBCの動画が一部公開中なのでリンクを貼らせていただきます。(原題は「360° meet the largest dinosaur ever discovered - Attenborough and the Giant Dinosaur」)



https://www.youtube.com/watch?v=rfh-64s5va4

 あーあ、面白そうだなあ(泣)。

 NHKで放送されるとき、この方が出る場合はBBCみたいに「アッテンボロー」のお名前をタイトルに入れておいていただけると嬉しいのですが……。

 (イギリスTV界草創期の功労者にして巨人なので、あちらでは「アッテンボローさんが出る」というところは必ず強調されます。)

 7月23日放送だったそうですが……当時の自分は「もっと頑張んないとなあ……(グダダラ)」みたいな日々でした(今も似たようなもんだがもっとヒドかった)。

 そうこうしているうちに良いものはどんどん発信されていっているのだと痛感……。

 近々、この方の別番組についてもご紹介させていただきたいです。 


 以下より、日記です。俄然無益な情報のみになります。(書かない方がいいのでは)

 ブログ毎日更新とかダイエットとか、生活習慣改善とか頑張るぞー!と、はじめた100日間チャレンジ4週目のご報告です。(これまでのご報告一覧はコチラ

1,ブログ更新日時ミス

 先週、100日連続ブログ更新が寝過ごして20日で途切れてしまいましたうわああああ(嘆)と書き、反省して仕切りなおしたのに、間違えて22日中にブログ更新しそこねてしまいました。先週みたいな思いは二度としたくないと早めに仕上げて寝かしといたのに寝かせすぎた……。

 一度ある程度続けたものに挫折してしまうともう一度軌道に乗せるのが大変だとよくわかりました……(汗)。

 グダグダになってしまい申し訳ないのですが、あきらめたわけではないので、23日より再々仕切り直しとして(汗2)、11月末までの連続更新を目指します。

 今、毎日ブログ更新をしようかな……と思っている方がいらしたら、極力書き溜めておくことをお勧めします(最低でも1週間分)。

 私はそれまで続いていた無気力期から抜け出すために、一番好きなものを頑張ってみようとブログ更新を始めたのですが、「がんばりまーす」とノーストックで宣言だけして始めてしまった結果、自転車操業となってしまいました。そして、書き溜めていないと好きなものですら謎の義務感に圧迫されながらの作業となり、ちょっと辛いときがあります。
 でも、見て頂き始めないと気力がわいてこないっていうのもまた真なんですけどね……(困)。

 今後はこまめに時間をとって先の記事を書いて、忙しい時や体調不良のときに備えます。

2,ダイエット

 一昨日より体重計が壊れていて計測不能なので、来週に持ち越させていただきます。
(家電って壊れるとき同時期にクル気がするのですが、ウチだけでしょうか……今洗濯機や冷蔵庫も一斉に調子悪くて困っています。なんでみんなそんなに仲がいいの。)

 ただ、計測してないけど先週よりちょい増えな予感……(嫌な予感)。
 1の記事書き溜めが順調に進めば、寝不足から抜け出せてペースアップできると思うんで頑張ります。

3,減酒

 先週飲んで寝落ちしたせいでブログ更新できなかったんで、さすがに懲りてあまり手をだしていません。

 ただ、目標の「人といるとき以外は炭酸水に置き換えて完全ノンアル」まではいけてないです。
 忙しいとついビール等を買い物カゴにシノばせてしまい、帰って半缶くらいくぴっとやりたくなっちゃう傾向があります。

 基本半缶なんだからそんなに気にしなくてもと思う自分と、その一口が時に暴走して、ブログとかダイエットを危機に晒すんじゃん!という自分が毎日脳内口論を繰り広げている状況です。頑張れ後者。 

 明日は、愛するドラえもんの中で飲酒の喜びと危険性を暗示した大人向け名作「ホンワカキャップ(コミックス30巻収録)」をご紹介する予定です。
(ドラえもんたちが飲んでるのはアルコールじゃないけど、明らかに大人の飲み会がモチーフになっている作品。)

ドラえもん (30) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (30) (てんとう虫コミックス) -

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 00:15| 100日間リベンジ再び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月23日

(※ネタバレ)ドラえもん「驚音波発振機」(ジャイアンの歌による害虫・ネズミ駆除)

 
 今日もドラえもんの話題です。(好きなんで……。)

 害虫に悩まされるこの時期、「あんなこといいな、できたらいいな」と言うにはリスクが高いけれど、しかし駆除効果抜群のひみつ道具のお話です。(コミックス17巻収録)

ドラえもん (17) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (17) (てんとう虫コミックス) -


(以下、結末までネタバレですのであらかじめご了承ください)一部仮名遣いをひらがなから漢字に一部改めさせていただいています。

 冒頭、不機嫌そうに町を歩くジャイアン。
 
 新曲を作ったのに(作ったから)、突如子供たちが町から姿を消したのでストレスが溜まっています。

 ドラえもんに何とかしてもらおうとジャイアンから身を隠しながら逃げ帰ってきたのび太でしたが、家から飛び出してきたドラえもんと正面衝突します。

 ジャイアンのことを話そうとしてもテンパってて聞きもしないドラえもん。家でドラえもんの天敵、ネズミに出くわしてしまったのです。
「おおそうだ!爆弾で家もろともふっとばしてやれ!」

驚音波発振機1.png

 なんて物市販してんだ未来デパート。
 
 ドラえもんをなだめて、未来のネズミ取り機を使えば良い、とアドバイスをするのび太。

 浮かない顔で、「驚音波発振式ネズミ・ゴキブリ・南京虫・家ダニ・シロアリ退治機(※)」を出すドラえもん。(※全ドラえもんのひみつ道具の中で最長の名前を持つそうです。ウィキペディアより。)
 超音波で害虫、害獣を駆除する機械を発展させたものだけれど、その驚音波のテープは無くしてしまって手元にない状態。

 するとのび太が、ジャイアンの新曲を使うことを思いつきます。
 のび太の提案に瞠目するドラえもん。
「そうか!!歌わせてこの機械にかけて、音波の中でも特に有毒な部分を取り出し、うんと強めれば……」
 ひどいこと言ってる。
驚音波発振機2.png

 ジャイアンに、是非新曲を家で聴かせてほしいと頼みに行く二人。

 「心の友よ!!」と感涙するジャイアンを連れて戻ってきますが、有毒音波を流すにあたりママを避難させなければなりません。(ジャイアンの歌≧バルサン)

 しかし、なんのことかわからないママからぴしゃりと断られてしまったので、やむをえずタケコプターを付けてはるか上空へ強制退避させることに。
「ママの命をまもるためしかたがなかった」

(地味に笑いを誘う一コマ)
驚音波発信機3.png

 ひそかに耳栓をして、度胸を決めると、部屋にある驚音波発振機については「歌の力を強める機械」とボヤかし、歌い始めてもらう二人。

 耳栓すらも貫通する驚音波に耐えていると、押し入れからゴキブリがよろけ出てきて、力尽きて息絶えます。

 「すごいすごいその調子!」「もっともっと」
二人の喝采に気を良くして歌いまくるジャイアン、やがて、窓や壁にひびが走ります。

 そして激しく揺れきしむ天井。

 敵とはいえ、ネズミたちの阿鼻叫喚に、

 「ものすごい悲鳴!この世のものとも思えない」
と戦慄して身を寄せ合うドラえもんとのび太。

驚音波発信機4.png

 劇場の大シャンデリアを揺らしたという伝説のオペラ歌手マリア・カラスに匹敵するほどの超絶声量です。(質はともかく。)

 「あっ、見ろ!」
窓からネズミ一家が命からがら逃げ出してゆくのを確認したドラえもんは
「よかった!!」
とのび太にしがみついて泣き崩れます。

「喜んでくれて俺も嬉しい」
食い違ったまま満足げに汗をぬぐうジャイアン。

驚音波発信機5.png

 数日後。

「ネズミ・ゴキブリ・南京虫・家ダニ・白アリ!! 全滅させます。料金――百円 のび太消毒社」
部屋に散らばるチラシを見て大慌てするドラえもん。

 のび太はしずかちゃんからの白アリ駆除依頼電話応対中でした。
「うんすぐ行く。あぶないから誰も家に残っていちゃいけないよ」
 そしてすぐにジャイアンに電話。
「やあジャイアン。またきみの芸術にひたりたくなったんだけど……」(←笑)
 今日の会場はしずかちゃんの家だよ、とワルイ顔で電話を切るのび太に、ドラえもんは「ばれたら殺されるぞ」と警告します。
 方法は秘密にしてあるんだからばれっこない、と、聞き入れようとしないのび太。

 「ジャイアンもよろこぶ。しずちゃんもよろこぶ。ぼくはもうかる。こんないいことやめられないや」
……とドラえもんの心配をよそに、笑顔で驚音波発振機を持って出かけてしまいます。

 しかし、さらに数日後。

 「心の友よ、頼みがある」
のび太宅を訪ねてきたジャイアン。
「スネ夫の家のゴキブリを退治したそうだな。うちも頼む」

 ジャイアンの家。
「なんだ、歌の機械じゃないか。それでどうやってゴキブリとるんだい。はやくやってみせろよ」
 笑顔で興味津々のジャイアン。無言で機械を操作するしかないのび太。

 その顔をうかがい知ることはできませんが、その後ろ姿からは幾筋もの冷たい汗が流れていました……。

驚音波発信機6.png

(完)

 かけたものがなんでもおいしくなる「味のもとのもと」をかぶってしまったジャイアンを一口でいいから食べようと目のイってしまったのび太たちが追いかけまわす「ジャイアンシチュー(コミックス13巻収録)」と並ぶホラーエンディング。

ドラえもん (13) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (13) (てんとう虫コミックス) -

 前者がパニックムービー調なら、こちらは迫りくる惨劇をほのめかしながら無情にもフェードアウトしていく静的構成です。

 100円で全害虫害獣が駆除できるなら(窓と壁の修繕費が発生するかもしれないけど)破格だから、アイディア自体は良かったんですけどね……。

 のび太はよくドラえもんの道具を活用(≒悪用)して(しばしば無断で)新商売を始めるのですが、軌道に乗るかと思いきや何らかの理由で水泡に帰すというのが定番です。その中でも一番恐ろしい結果になった(に違いない)のがこの回。

 このコミックス17巻には、この他にも、ふりかけたものが五分おきに倍になる薬(一個の栗饅頭にかけたら二時間で1677万7216個に増える)「バイバイン」、宇宙人を呼び寄せてしまう「未知とのそうぐう機」など、扱いを間違えると恐ろしいことになるひみつ道具(そしてもちろんのび太は間違える)が登場して面白いです。
 是非お手にとってみてください。(当ブログ「未知とのそうぐう機」ご紹介記事はコチラです。)

 読んでくださってありがとうございました。

posted by Palum. at 00:00| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月21日

(※ネタバレ)のび太、オリンピック選手候補に?「ねむりの天才のび太」


ねむりの天才のび太5.png


 前回、射撃のオリンピック出場者(張 富升選手〈中国〉)がのび太に似てるとのウワサが……という話題をご紹介させていただきましたが、原作内でのび太が未来のオリンピック選手としてその才能を嘱望された回がありました。

 種目名は「いねむり」(スポーツじゃない)。

 どうして誰も射撃の選手になることを勧めてあげなかったのかということについては残念ですが、ネット上の、
「のび太がオリンピックのクレー射撃に出たら、金メダルですか?」
「出たら金メダルですが、のび太君の場合、寝坊→遅刻→失格という天敵がいます」
という秀逸なやりとりどおり、大いにありうること(※)なので、ならば種目「いねむり」のほうがより選手として安定した活躍が見込めそうです。

(Yahoo!知恵袋よりhttp://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13142800933

 (※)大人になっても、愛するしずかちゃんとの結婚式にすら寝坊して遅刻しかけている。(日にちを間違えるというダブルミスでセーフ)(「のび太の結婚前夜」コミックス25巻)

ドラえもん (25) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (25) (てんとう虫コミックス) -

 こののび太のいねむりの才能について余すところなく堪能できるのが、「ねむりの天才のび太」(コミックス30巻)です。

ドラえもん (30) (てんとう虫コミックス) -
ドラえもん (30) (てんとう虫コミックス) -


 のび太が「もしもボックス」で世の中を「ねむればねむるほどえらいという世界」に変えた結果、身の回りの人々はおろか、日本中から尊敬を集めるというお話です(笑)。



 以下あらすじです。(結末までネタバレですのであらかじめご了承ください。)



 今日も学校で居眠りをして先生にきつく叱られたのび太。

 学校からの電話を受けてお説教をするママの前ですら寝てしまい、怒りを倍増させてしまいます。

 「いねむりしながらおきていられるくすり(難しい)をだして」とドラえもんに泣きつこうとしますが、ドラえもんが部屋にいなかったのでまたひるね。

 帰ってきたドラえもんが「ゆめグラス」でのび太の夢の中を覗いてみると、見ていたのはひるねの夢(南国でハンモックにゆられているという、なかなか大人心をくすぐるリラクゼーション夢)。

ねむりの天才のび太2.png

 あきれかえるドラえもんに、
「むりしておきたってべつにいいことがあるわけじゃなし……」
と、何やら目の奥がツンとするセリフで反論し、おきてりゃえらいなんて誰がきめたんだろう、と、また眠りかけたのび太。
 しかし、ここで、「もしもボックス」を使って、逆に眠ればえらいという世界にすることを思いつきます。

 翌日より、授業中の居眠りも先生から絶賛され、眠れない他のクラスメート全員が廊下に立たされる羽目に。

 女の子たちや出木杉君にまでその能力を羨望のまなざしで称えられ、いい気分で帰宅するのび太
(ジャイアンとスネ夫は「へんな世の中になったなあ」と腑に落ちない顔。)

 昼寝をせずに家事をしているママを見とがめて、
「やる気がないんだ、ねむくないからとおきていれば、いつまでたっても眠れないよ」
 と正座でお説教、ママは優秀な息子に頭が上がりません。

 うとうとしかけていたのにのび太の帰宅で目がさめてしまったというドラえもんに、こんなことくらいで目が覚めるのは本物じゃないからだ、と、一蹴するのび太。
「ぼくなんかこうだぞ」
 枕代わりの座布団を手に、本物のいねむり(?)を披露するのび太。
 見事、たたまれた座布団が床に落ちると同時に眠りに落ちます(本当にすごいはすごい)。

 そこにしずかちゃんが訪ねてきて、中学進学時の「ひるねテスト」を習得するべく、のび太先生の指導を申し込みます。

「体の力を抜いて、頭の中をからっぽにして、なんにも考えないで……」
 のび太にそう言われても、テストのことなど考えてしまうしずかちゃんはなかなか眠れません。
「頭の中をからっぽ!ど〜してこんなかんたんなことができないの!?」
「そりゃのび太の頭はもともとからっぽだもの」
 隠れ失言王ドラえもんの冷酷な指摘から口論になる二人。やかましくて眠れないとしずかちゃんが起きてしまいます。

ねむりの天才のび太1.png


 「やりかたをかえよう。目を閉じて……なにか楽しいことでも考えよう。と、いっても、ワクワクこうふんするようなことはだめだよ。なにかおだやかな、のんびりした……そうだ春の野原を想像しよう。お日様、そよ風、一匹の蝶がひらひらと……つづいて二匹目のちょうがひらひら……」
 今流行の瞑想を先取りしたような見事な誘導で、しずかちゃんを眠りにいざなうことに成功します。
(真面目な話、今個人的に、眠りに落ちるためのリラクゼーション音声とかちょいちょい聞いていますが、結構、誘導時の間の取り方とかイメージするものとかが似ています。のび太すげえ。)

 涙すら浮かべて感謝するしずかちゃんの口コミで先生のもとへつめかける女の子たち。

 さらに、教養番組「正しいひるね」への出演依頼が舞い込みます。

 いねむり評論家由目見さんから
「眠りは世界を救う!!ねむりながら戦争はできません。平和のため、のび太先生をお手本にして、みんなねむりましょう」
と、部屋に入ったロケカメラの前で紹介されます。

ねむりの天才のび太3.png

 さっそくもはん演技として、かの「座布団落下時にはもう寝ている」技を披露するのび太。

 この驚異の早業に対し、スローモーションによる分析が入ります。
 
 今回は頭の上で手を組んで寝るスタイルだったのですが、実は中空ですでに両手を上げて、たたまれかけた座布団の上で目を閉じ、眠りのポージングをとっています。(「う〜む、むだのないアクションですなあ」〈by由目見さん〉)
 眠りに落ちるまでの時間は驚異の0.93秒。(「おそらく世界新記録でありましょう!!」)

ねむりの天才のび太4.png

 「あのねすがたのみごとなこと。一すじのよだれがなんともいえませんねえ。ねむりの天才というほかありません」

 テレビの中でアップになるのび太のスヤ顔(一すじのよだれ付)。
「オリンピックのいねむり種目に、日本代表として、大活躍が期待されます」
(そりゃもうウサイン・ボルトばりの伝説の絶対王者ぶりを発揮することでしょう。)

 テレビでののび太の圧倒的ないねむりぶりを知り、これまでの非礼を土下座して泣きながら詫びるジャイアンとスネ夫。
 絶対王者は、王者の風格漂う笑みを浮かべ
「つまらないうらみは水に流し、手をとりあってねむりの道をきわめよう」
と二人を赦します。

「しずかだねえ……この平和が永久につづくよう祈ってぼくらもねむろうか」
 ねむりの天才がゆったりと見つめる先には美しい満月。
 天才の慈悲深さに感涙するジャイアンとスネ夫。

 しかしその前に晩御飯たべなくちゃ、と、空腹を抱えて家に戻るのび太。

 息子の言いつけどおり寝ていたママは食事の準備はおろか買い物も済ませておらず、あくび混じりにでかけましたが、みんなすでに眠っていて何も買えませんでした。

 愕然とするのび太、しかし次の瞬間に居眠り運転のダンプが突っ込んできて、居間が大破。
 さすがの天才もたまらず「もとに戻して!!」と「もしもボックス」に駆け込んだのでした。

(完)

 中学入試の「ひるねテスト」って何とか、由目見さんって誰とか、ねむりの道って極めた先はどことか、気にになるところまみれですが、のび太の「あたまをからっぽに」という誘導とか(ドラえもんには酷いこと言われていたけど……)、のどかな野原を想像させるところとかは、ヨガや瞑想の世界に通じていると気づいて、ちょっと真面目に感心してしまいました。

 クライマックスは、放り投げた座布団の着地点を確認せずに中空で眠りのポージングに入っているスローモーション映像。スピードを妨げないという点において、今回王者ボルトのいるジャマイカチームに次いで銀メダルをとった男子陸上400mリレーのバトンパス技術をも彷彿とさせます(しないよ)。

 のび太がもしもボックスに入って世の中の価値観を逆転させるエピソードは他にも数編あり(お金のいらない世界とか)、いずれもこの回に劣らぬウィットに富んでいます。いずれまたご紹介させていただきたいです。

 読んでくださってありがとうございました。
posted by Palum. at 23:03| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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