2025年10月08日

伝説的自然番組プロデューサー、デイヴィッド・アッテンボローさん、2022年にノーベル平和賞にノミネート(もしかしたら今年も?)

(デイヴィッド・アッテンボローさん〈チャールズ国王即位でコメントをされているときの画像〉)
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(Image Credit:Youtube BBC)

イギリスの自然番組制作者として、70年以上という驚異的なキャリアを持つデイヴィッド・アッテンボローさん(99歳)。

若き日から自らプレゼンターとして世界各地に赴いて、さまざまな自然の姿を世界に届けてきたレジェンドであり、その知性とチャーミングな人柄、、そしてその両方がにじみ出たナレーションのお声で「イギリスの国宝」と呼ばれる世界最高の紳士だ。

(1954年の番組「Zoo Quest」出演時の30代のアッテンボローさん。ヤシの実を肩にかけて川を渡っている)
若い頃のアッテンボローさん(カラー)リサイズ - コピー.jpg
(Image Credit:Youtube BBC Select)

ジャングルでゴリラ一家の輪に入っているアッテンボローさん
ゴリラ一ファミリーに遭遇したアッテンボローさん (2) - コピー.jpg

アッテンボローさんに寝そべって思い切りくつろぐゴリラの子供
アッテンボローさんにねそべるゴリラの子供 - コピー.jpg

(エリザベス女王とアッテンボローさん。BBCの幹部としてエリザベス女王のクリスマススピーチの収録も手掛けた)
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(Image Credit:rct.uk)

(映画「ジュラシックパーク」のハモンド博士役などで知られる名優リチャード・アッテンボロー氏の弟でもあり、兄弟ともにイギリス人の敬愛の的となっている)
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(Image Credit:Gentleman’s Journal)

このデイヴィッド・アッテンボローさんが、2022年にノーベル平和賞にノミネートされたことがある。

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(Image Credit:IMDb

(ノーベル平和賞では、環境問題への取り組みも平和活動の一環として捉えられ、2007年には、気候変動をテーマにした映画「不都合な真実」でも知られるアメリカのゴア副大統領が受賞している

2022年にアッテンボローさんを平和賞に推薦した、ノルウェー緑の党党首ウネ・バスホルム氏は、アッテンボローさんの「持続可能で平和な社会の前提条件である地球の自然の多様性について情報を伝え、保護する努力」を推薦理由としている。


ノーベル平和賞ノミネートについては推薦の〆切後に、推薦人になれる権利を持つ人が公表しない限り、50年間は厳格に秘されるというルールがある。

今年は「アッテンボロー氏を推薦した」と公表した人物がいないため、あの方がノミネートされたかどうかは定かではないけれど、「誰が平和賞を獲るか」という一般の予測では、彼は毎年のように名前が挙がっているそうだ。
(2025年ノーベル平和賞発表は10月10日日本時間18時)

アッテンボローさんの番組の素晴らしいところは、まず自然と動物の素晴らしさを視聴者にあの温かい声で語り掛け、「本当にすごい」「大切にして、ともに生きていきたい」と、観る者が自ら感じるような表現をしているところだ。

環境問題への解説は、視聴者の胸に感動と共感が湧きあがったあとに示され、そして必ず、一生懸命問題に取り組んでいる誠実な人々たちの姿も紹介されている。

「自然番組」を世界的な、多くの人の心を揺さぶる「文化」にまで高めた第一人者はこの人だと断言できる。

何が嘘か本当かもわからない時代、声高な警告一辺倒では、疑いか無気力が湧くだけだが、この方の番組の息を飲む圧巻の映像と、ご自身も現場に立ち続けたアッテンボローさんの実感と自然への愛に溢れた声は、「本物」の偉大さで私たちに「地球に生きている命の力」という感覚を思い出させる。
私は幼い頃から、自然界の成り立ちを理解するのに役立つ知識こそ、何より重要な知識だと信じていた。わたしが好奇心を掻き立てられたのは、人間によって考え出された法則ではなく、動植物の営みを支配している原理だった。王や女王の歴史とか、別の人間の社会での発達した別の言語とかではなく、人類の登場よりはるか以前からこの世界を支配してきた真実を知りたかった。(中略)すぐに私は、そんな疑問を持った人が自分以外にもたくさんいることを知り、多くの問いに答えを得た。さらに、それらの答えをつなぎ合わせることで、究極の物語を紡ぐことができた。生命の歴史だ。
『アッテンボロー 生命・地球・未来 私の目撃証言と持続可能な世界へのヴィジョン』第一部 94歳の目撃証言p.13 〜14(デイヴィッド・アッテンボロー著 東洋経済新報社)2022年12月発行)

この分断の時代に、国家という概念を超えて、「人間も動物も、私たちみんなが、地球に生きる仲間だ」という心を、世界中のあらゆる世代に、今も語り掛けてくださっているアッテンボローさん。

この方こそ、世界で一番「平和」の名にふさわしい方ではないだろうか。

いつか近い未来にあの方が平和賞を受賞し、あの素晴らしい声で、ノーベル平和賞のスピーチをしてくださったら、それは今、深く傷ついた地球にも人々の心にも、癒しと前進の力になってくれるだろう
地球の今の苦境は、もはや座視できない段階に達している。この危機に関する最新の情報に接するたび、私は強い不安にさいなまれる。しかしそのいっぽうで、心強く感じるのは、優れた知性の持ち主たちが今、懸命に問題を理解し、解決しようとしていることだ、それらのもの阿智がすぐにでも結集して、わたしたちの未来を左右する勢力になることを願わずにいられない。「地球に暮らす生命(※2020年製作NETFLIXのドキュメンタリー)」の制作でわたし自身あらためて気づかされたように、人間は協力することによって、ひとりの大天才が独力で成し遂げられるよりはるかに大きなことを成し遂げられるのだから。

『デヴィッド・アッテンボロー: 地球に暮らす生命』予告編 - Netflix




アッテンボローさん製作またはナレーションご担当番組の一部動画はこちら。胸に灯がともるような素晴らしいお声の、世界で一番美しい英語のナレーションなのでぜひご覧いただきたい。映像も圧巻の一言に尽きる。

(ご本人の登場シーンが多い番組ダイジェスト集、孵化したばかりのヒヨコを掌にお話ししているところが特に優しいお声で癒される。声を浴びているヒヨコも気持ちよさそう。12:44ごろ
Most Soothing Sir David Attenborough Moments | BBC Earth


(ネットフリックスの「Our Planet」フルエピソード無料公開動画)
Our Planet | One Planet | FULL EPISODE | Netflix


アッテンボローさんが2025年、99歳で発表したドキュメンタリー「The Ocean」と、ナレーションを手掛けた「Parenthood」のトレイラー、

2025年5月8日に99歳の誕生日を迎えられたアッテンボローさんが、発表したドキュメンタリー「The Ocean」の予告編。
デイビッド・アッテンボローと海洋探検 | 公式予告編 | ナショナルジオグラフィック

イギリスの世界的ロックバンド、コールドプレイがアッテンボローさんとコラボレーションした「OCEAN WITH DAVID ATTENBOROUGH」の映像(音楽は「One World」)
Ocean with David Attenborough (🎵 ONE WORLD)

アッテンボローさんの声のナレーションと荘厳な海の世界、コールドプレイの優しい音楽が一体となった誠実な芸術作品。


(動物の親の生態を紹介した「Parenthood」のトレイラー)
Parenthood - BBC

2024年、「Mamnals(哺乳類たち)」のコールドプレイとの名曲「Paradise」とのコラボトレイラー。豊かな自然のエネルギーそのもののようなアッテンボローさんのお声と、空に舞い上がるようなクリス・マーティンの優しい歌声の調和が本当に美しい
Mammals | Official Preview ft Coldplay | BBC Earth

2025年8月末にBBCが製作した「アッテンボローさんナレーションの自然界の名場面集」
Incredible Wildlife Scenes Narrated by David Attenborough | BBC Earth

99歳のお誕生日を記念してBBCが制作した、「アッテンボロー氏の99の象徴的な瞬間たち」
約6時間、この方が取材し、ナレーションをした自然番組の場面を、ダイジェストで観ることができる。

(※注、捕食シーンや爬虫類や虫も多く登場。でもお声が臨場感に溢れているから、そういう場面でもグロテスクさより「生と死のダイナミズム」が際立つ)
99 Iconic Moments From Sir David Attenborough | BBC Earth


アッテンボローさんの初期の動物番組「Zoo Quest」(1954)のカラー化プロジェクト紹介動画
Zoo Quest in Colour | David Attenborough | BBC Select


ウィリアム皇太子に海での自然番組の取材についてお話するアッテンボローさん。
Ocean: Sir David Attenborough and Prince William

アッテンボローさん製作の「Life on Earth」(1979)紹介動画。アッテンボローさんのキャリアの中でももっとも有名な、ゴリラ一家に自然に仲間入りしている瞬間が観られる(1:51〜)。動画ナレーション担当はイギリスの有名コメディグループ「モンティ・パイソン」のマイケル・ペイリン。
Sir David Attenborough - The story behind Life on Earth - BBC




Nine facts about Sir David Attenborough as he turns ninety-nine(99歳になったデイビッド・アッテンボロー卿に関する9つの事実)(BBCの子供向けチャンネル「CCBC]の紹介ページ)2025年5月6日

動物・植物・鉱物を愛するデービッド・アッテンボローってどんな人 (「英国ニュースダイジェスト」1 February 2024 vol.1644)



Happy birthday, David Attenborough! 99 ways he has inspired us, by Barack Obama, Billie Eilish, Morgan Freeman – and many more(「ガーディアン」の記事、オバマ元大統領ら、彼の番組に影響を受けた著名人たちのこれまでのコメントをまとめたページ)


アッテンボローさんが自身の長年の取材と、現在の環境問題について語っていらっしゃる書籍。番組の語り口と同じく、とてもわかりやすいのでおすすめ。

posted by pawlu at 20:32| おすすめ動画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年08月03日

刑事コロンボ「溶ける糸」コロンボと婚活迷走中の看護師マーシャのコミカルなワンシーン

(くしゃみが止まらないコロンボに、半強制的にくしゃみ止めの水を飲ませる看護師マーシャ)
コロンボに問答無用で水を飲ませるマーシャ - コピー.jpg
c 1972 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.

刑事コロンボの「溶ける糸(原題:A Stitch in Crime〈1973年2月〉)」は、心臓外科医メイフィールドが犯人。共同研究者であるハイデマン博士を手術中の細工で亡き者にしようとした際、それに気づいた看護師シャロンをも口封じで殺害する。
※2025年8月現在、動画配信サイトhuluで、新旧「刑事コロンボ」シリーズが視聴可能

まるで手術のように、人の命そのものをこの世から切り離してしまうメイフィールドを、名優レナード・ニモイが演じ、非常に知的で洗練された空気をまとう犯人像が、冷酷な犯行を不気味に際立たせている。

(無表情でシャロンを撲殺するメイフィールド)
殺人の瞬間の表情 - コピー - コピー.jpg

(ハイデマン博士への犯行の隠ぺい工作として、薬を入れ替える姿にもまったく動揺が見られない)
薬に細工をするメイフィールド - コピー.jpg

このシリーズ屈指の名作、メイフィールドの底知れない存在感とは真逆の、ずいぶんコミカルなシーンが、効果的に挿入されている。


・被害者シャロンのルームメイト、マーシャ

マーシャに困惑するコロンボ - コピー.jpg

捜査でシャロンの自宅に行ったコロンボ。シャロンは同じく看護師のマーシャとルームシェアをしていたので事情を尋ねてみたが、どうもマーシャの話は、親友が死んで動揺しているということを除いても、相当わかりにくかった。


シャロンに人に恨まれるような事情があったかという意味で、シャロンの性格を聞いてみたのだけれど、

「私は内部思考型でシャロンは外部思考型だったのよ。わかるでしょ?」
マーシャとシャロンの違いの分析1 - コピー.jpg

「私は職業上の必要から、彼女は他人の願望によって…わかる?私は利己的な目的を持ち、シャロンは人間性に献身してたの、わかる?」

「ええ、どうやらわかりかけてはきたようですが…」
マーシャの言葉を理解しようと努めるコロンボ2 - コピー.jpg
(そんなにはわかっていなさそうなコロンボ)

「ええ、でもシャロンは治療に全力を注いで病院に勤め続け、私はビバリーヒルズの美容整形病院に移ったの、上流社会の中にいることに利己的な喜びを見出したの…!でも私の勤め先じゃ独身の男性に出会うことなんて…!」

婚活用の自己分析が煮詰まりすぎて、こんなしゃべり方になったのかなというところで、どうにかマーシャの脱線を食い止めたコロンボは、とにかくシャロンは人に恨まれるような人ではなかったという証言を得る。


一方コロンボの疑いの目が自分に向いていることに気づいていたメイフィールドは、マーシャを呼び出し、シャロンが以前交際していたベトナム帰還兵のハリーの存在を、コロンボに話すように彼女を誘導して、疑惑の目をハリーに向けさせようとする。

メイフィールドが自分の親友を殺したと知らないマーシャの目に映る彼は、「評判の高い心臓外科医、高身長、高収入、スマートな容姿」と諸々そろった「ウルトラ超絶優良物件」にしか見えないので、なんとかその後の展開につなげようとするが、ハリーのことをコロンボに話すという結論に到達した(させられた)時点で、メイフィールドにすみやかに家に送り返されてしまう。

(メイフィールドの邸宅の一部。プールがあり眺めもよく、数十人単位のパーティを自宅で開ける広さがある)
メイフィールドの邸宅、プールと景観 - コピー.jpg

メイフィールドの言葉にがっかりするマーシャ - コピー.jpg

不発に終わったアプローチにモヤモヤしていたところにコロンボが待ち構えていて、聞き込みをしようとしたものの、メイフィールドの邸宅パーティで食べた高級オードブルが体質に合わなかったのか花粉症なのか、くしゃみが止まらなくなってしまう。

コロンボをアパートに招き入れたマーシャは、「秘伝のくしゃみ止めがあるの」とコロンボに水を渡す。

「7口飲んで息を4秒止める」という「水飲み息止めくしゃみ止めメソッド」を「さあはじめてごらんなさい!」と、コロンボの遠慮を押し切ってスタート。
水の飲み方の指導3 - コピー.jpg

逆らえずに水を飲み始めたコロンボに、ちゃんとごっくんするようにコップの底を押さえて、数を数えて、と、問答無用ながらテキパキ処置したマーシャ。

飲み終わって、まだくしゃみをしそうになったコロンボに、ハンドバッグからティッシュを差し出してあげたが。それは不要だった。
ティッシュを渡すマーシャ - コピー.jpg

「ぴったり治った。奇跡のごとしだ……」

コロンボの様子をじっと見ていたマーシャは、くしゃみが止まったのを確認してから、お礼の言葉ににっこり笑った。
コロンボのお礼とマーシャの笑顔 - コピー.jpg

入り組んだ心理学的自己分析とか、「優良物件探し」に血眼になるのではなく、そういうあったかい笑顔と面倒見のいいところでシンプルに勝負したら、コロンボみたいな実のある男性といいご縁があるから、そうしたほうがいいですよと言いたくなる。

この「コロンボがくしゃみ止めの水を問答無用で飲まされる」場面は、事件の捜査にはほとんど関係がないのに、とても丁寧に描かれていて、登場時はなんだかめんどくさいキャラだったマーシャの、濃すぎるお化粧の奥の人柄の良さがよくわかる。

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マーシャを演じたニタ・タルボットのコメディ演技の見せ場であるだけでなく、コロンボが彼女に勝てずに、小さい子のようにおとなしく水を飲まされたり、ティッシュをもらおうとするほほえましいシーンは、ストーリーの重い展開を効果的に和らげている。

この後、ベトナム帰還兵でトラウマから一度麻薬中毒になった過去があるハリーがメイフィールドに襲撃され、ハイデマン博士の死も迫ってくる。コロンボはこの事態にメイフィールドに強い怒りを見せて宣戦布告する。

コロンボの激昂 - コピー.jpg

被害者が「殺人を阻止しようとした女性」、「ベトナム帰還兵」、「犯人を信頼している人格温厚な患者」であり、犯人のメイフィールドはなんら良心の呵責を感じていないという状況を、そのまま見続けていると、いくらニモイの洗練された演技に魅力があるといっても、観る側の感情まで麻痺して無機質になってしまう。
そして、視聴者の心が、血の通った人間の温度を失ってしまったら、ドラマの繊細な奥行に気づけなくなる(そうなるとスリルとショッキングな展開にしか目が行かなくなるかもしれない)

しかし、この後のドラマ最高の見せ場である、コロンボとメイフィールドの手術中の静かな対決は、メイフィールドは手術室、コロンボは見学エリアに居る状況で、窓に隔てられ、セリフの応酬がまったく無いので、その迫力を目に焼き付けるには、視聴者側も、感情を研ぎ澄ませた状態で臨む必要があるのだ。

コロンボに見張られながら手術 - コピー.jpg
(ハイデマン博士の手術をするメイフィールドを見張るコロンボ。本来は血を見るのが苦手なコロンボが、メイフィールドの犯罪を暴くべく、手術の一挙一動を凝視している。その突き刺さるような視線を知りつつも、メイフィールドは依然として冷静に「死の仕掛け」を解除していく)



こうした緊迫した展開の前に、コロンボとマーシャのコミカルで温かみのあるシーンが視聴者に一息つかせ、その後のコロンボの激昂の凄みや最後の対決の迫力も際立たせる役割を果たしている。

コロンボもマーシャもそれぞれカワイイし、それだけでなく、視聴者に人間味のある感情を維持させたまま、ドラマに惹き付ける役割を果たした、陰の名場面と言えるだろう。

※2025年8月現在、動画配信サイトhuluで、新旧「刑事コロンボ」シリーズが視聴可能

c 1972 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.


【当ブログ関連記事】
コロンボの推理を笑うメイフィールド - コピー.jpg

二つの顔 料理ショー - コピー.jpg
コロンボが捜査中、容疑者の一人で料理研究家のデクスターと料理番組に出演するコミカルなシーンもご紹介、今回のくしゃみ止めのように巧みにドラマに緩急をつけている。

c 1972 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.


【参照動画】※英語音声

(メイフィールドのシャロン殺害シーン)
A Doctor's Ingenious Plan For Murder | Columbo

(メイフィールドの邸宅が映るシーン)
Columbo - "Everyone's A Suspect In My Eyes" | Columbo

(「溶ける糸」12分間のあらすじ動画)※結末部ネタバレ
'A Stitch in Crime' in 12 Minutes | Recap - S02 EP06 | Columbo



posted by pawlu at 10:28| 刑事コロンボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月31日

刑事コロンボ「意識の下の映像」行動心理学博士が犯人。トリックの欠陥がドラマの魅力を際立たせる異色の名作

(コロンボと犯人ケプル博士。ケプルがスーパーマーケットで顧客を観察している現場に訪ねていく場面)
スーパーで話すコロンボとケプル博士 - コピー.jpg
c 1973 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.

刑事コロンボ「意識の下の映像」(第21話 1973年12月、原題:Double Exposure)は、行動心理学研究所を主宰するケプル博士が犯人。クライアントのノリス社長に、自身の脅迫行為を告発されそうになったためにノリスを殺害する。

※2025年7月現在、動画配信サイトhuluでも、新旧「刑事コロンボ」シリーズが配信中
(NHK HP内あらすじ)
自らが主宰する研究所で、意識調査の研究を行っているケプル博士。野心家の彼は研究所拡大のため、クライアントのノリスをキャンペーンガールに誘惑させ、その現場をとった写真をネタにゆすっていた。だが地方検事局に真実を調べさせるというノリスを恐れたケプルは、人間の潜在意識に訴えかけるサブリミナル効果を利用してノリスを殺害。凶器として使用した銃にも一工夫こらし、鑑識の目をくぐり抜ける。
犯人役は、刑事コロンボで3回犯人役を演じたロバート・カルプ。(犯人の名前「バート・ケプル」は彼の名前のパロディ)
意識の下の映像 映像編集シーン ロバートカルプ - コピー - コピー - コピー.jpg
(犯行に使用するフィルムに細工をするケプル博士)

指輪の爪あと」「アリバイのダイヤル」でも、都会的なインテリの名犯人を演じ、「洗練された社会的成功者である犯人と冴えない一般庶民のコロンボの対決」というシリーズの魅力を決定づけた功労者の一人だ。
フィルムについて話すコロンボとケプル博士 - コピー.jpg

(ノリス社長を射殺するケプル)
犯行シーン - コピー.jpg

(撃たれて崩れ落ちる被害者の側を通り過ぎていく。アリバイ作りが時間との戦いだったためとはいえ、恐ろしく冷静な犯行シーン)
死体の側を歩くケプル - コピー.jpg


ケプル博士が用いたトリックの「サブリミナル効果」は、現代では効果が疑問視されているという、推理ドラマとしては致命的な点があるにも関わらず、「仕組まれた性的スキャンダルの罠」や「広告戦略と心理学研究の発達により、観察され操作される人々」など、50年後の現在にも完全に一致する社会問題を描いてて見ごたえがある。

(性的スキャンダルのネガで脅迫してきたケプルに激怒する被害者ノリス)
ノリス社長のネガ - コピー.jpg
(キャンペーンガールの女性とのスキャンダルを仕掛け、クライアントたちの弱みを握って財を成したとケプルをなじる)
ハニートラップで財をなしたとなじるノリス - コピー.jpg



(顧客リサーチの一環としてスーパーマーケットの監視カメラで撮影されているコロンボ)
監視カメラに映るコロンボ - コピー.jpg

(監視カメラの角度を調整するケプル)
監視カメラの位置を調整するケプル博士 - コピー.jpg
(知らないうちに撮影されていたことに驚くコロンボ)
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(コロンボが読み込んでいるケプルの著書のひとつ『心の糸とその引き方(The Mindstring and How to Pull it)』というタイトルには、今でも不穏なものを感じずにはいられない)

ロバート・カルプの演じる名犯人に共通する「理知的な成功者が張り巡らした企みが破綻したときの哀れ」が結末に光り、心理学研究が進んで明らかになった「トリックの脆弱さ」が逆に「コロンボシリーズの魅力は鉄壁のトリックではなく、俳優の演技力と、普遍的な社会や人間の描写」ということを証明した。

欠陥がありながら迫力を失わず「50年生き残る名作ドラマに必要なものは何か」を問いかけてくる異色の名作だ。

席を立つケプル - コピー.jpg

c 1973 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.

【当ブログ関連記事】
指輪の爪あと ロバートカルプ - コピー - コピー - コピー - コピー.jpg
c 1971 Universal City Studios LLLP. All Rights Reserved.



【「意識の下の映像」の一部が観られる動画】※英語音声

(「サブリミナル効果」」を含む映像を研究所で見せてもらうコロンボ)
Are You Feeling Hungry Now? | Columbo

(第二の犯行が起こり、ケプル博士と現場に向かうコロンボ、この時点でケプルはコロンボに疑われていることに気づいていて、互いの会話に含みがある)
“Can’t Win Them All” | Columbo


【参照】
【心理学】サブリミナル効果とは? 事例でわかりやすく解説 (マイナビウーマン)桑野量(心理カウンセラー) 更新: 2021.12.16





posted by pawlu at 17:12| 刑事コロンボ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月25日

ドラえもん「ユーレイぐらしはやめられない」(「うらめしドロップ」)

いまに僕が死んだらばけて出てやる(のび太の怨念) - コピー.jpg

 「ユーレイぐらしはやめられない」はジャイアンへのうらみを晴らそうとしたのび太が、一時的に幽霊になれる「うらめしドロップ」を飲んで、復讐しようとする話。

(てんとう虫コミックス29巻 1982年12月『小学六年生』掲載)

 日本における「幽霊のたたり」とだいぶイメージの違う恐怖がジャイアンを襲う。あと諸事情により途中参加する「ドラえもんの霊」のビジュアルがとても味わい深い。

※2025年8月12日まで、ドラえもん公式サイト「ドラえもんチャンネル」でこの作品の一話まるごと試し読みができる

2025年7月26日土曜午後5時からテレビ朝日系列でアニメ放送



【あらすじ】(ネタバレご注意)

嗚咽しながら家に駆けこんだのび太。 

「覚えてろジャイアン!このうらみはいつかかならずはらすぞ!!」

部屋でようやく怒りを吐きだしたのび太に、ドラえもんは、

「ジャイアンにうらみを?いつはかはらすっていつ?」と「3」唇で尋ねた。

「いまに……いまにぼくが年とって死んだらばけてでてやる!!」

「気の長い話」

あまりにも遠大な復讐の誓いに、ドラえもんはおなかをかかえてウヒャヒャヒャゲラゲラと笑った。

部屋の隅に座り込んで落ち込むのび太に、ドラえもんは謝りながら励ました。

そのうらみのエネルギーをむだにせず、なにくそ!と、がんばっていまにりっぱな人になってジャイアンを見返してやれ。

「死なずにばけてでる方法もないでもないけど…」

一言余計だった。

「かしてくれ!かさないと一生うらむぞ!」

うらめしドロップをかしてくれないと一生うらむ - コピー.jpg

殴りかからんばかりの依存的脅迫に押し負けて、ドラえもんはつい「うらめしドロップ」を出してしまう。

これを飲んで寝ると、魂が抜けだして一時的に幽霊になれる。そう教わったのび太はさっそく一粒飲んでみた。


その夜、眠るのび太の口から、もやもやと煙のようなものが湧き出てきて……。

「あっ。ほんとにユーレイになれた」

喜ぶのび太はそのまま壁を抜けて外に出てみたが……。

「暗いからついてきて」

「ユーレイのくせに!!」

押し入れ寝室のドラえもんにすげなく断られ、しかたなく夜の町を単身飛んで剛田家に向かうことに。


ジャイアンめ、うんとおどかしてやるぞ。

ジャイアンの寝室に侵入したのび太は、幽霊らしく両手をだらりと下げ、彼なりに重苦しい表情を作ると、眠るジャイアンの枕もとで陰鬱な霧雨のようにつぶやいた。

「うらめしや……。」

ンガ〜〜。

うらめしいのに気づいてもらえないのび太 - コピー.jpg

しかし、口を開けて爆睡するジャイアンは一向に目覚めない。

「3」唇になったのび太は、幽霊の白いそでで、ジャイアンの顔をちょいちょいつついてみた。

「うらめしい……。うらめしいんだよ。うらめしいってのに」

「誰だ夜中にうるさいな……」

物理的にうっとうしかったので目が覚めたジャイアン。

「なんだのび太か」

「なんだとはなんだ。ユーレイだぞ、こわいぞ」

のび太は憤慨したが、ジャイアンは眠たげな「++」目のままだった。ユーレイはこわいが、のび太のユーレイはこわくない。

「さっさときえないとぶっとばすぞ!!」


逃げ帰ってきて泣くのび太の霊 - コピー.jpg

「なんのためにユーレイになったんだ!」

ドラえもんは幽霊袖で顔を覆ってシクシク泣いているのび太にあきれ返った。あべこべに脅かされて帰ってくるなんて……。

ドラえもんはドロップを口にほうりこんだ。


ドラえもんに付き添ってもらって、再び剛田家に向かいながら、のび太は言った。

「ロボットのユーレイか、あんまりかっこよくないね」

「ほっとけ!」

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ロボットにも幽霊になれる「ゴースト(魂)」が宿っているという、生命の根幹にまつわる現象が起きているのに、「ドラえもんの頭で首から下が幽霊」という「まん丸とヒラヒラ」のビジュアルにのみ注目して、ごく軽く流してしまう、ドラえもんとのび太と我々読者。だって「ドラえもんは生きている」と普通に誰一人として疑っていないから。


(でも『攻殻機動隊』ならきっと大騒ぎになってる)
攻殻機動隊の生命体認識 - コピー.jpg
※画像出典:『攻殻機動隊』(1)士郎正宗「09 BYE BYE CLAY」 (ヤングジャンプコミックス 1991年10月)

うらみをはらすには手段は選ぶな - コピー.jpg

「いいか、うらみをはらすには手段をえらぶな」

そう厳しい顔でのび太に告げると、ドラえもんは爆睡するジャイアンの枕もとで、声を張り上げた。


「うらめしやあ!!!」

のび太も幽霊袖で耳をふさぐほどの声量に、ジャイアンは「ンナロー!!!(この野郎)」と跳ね起きた。

「うるさい!!何時だとおもってんだよ!!」

注意しに来たかあちゃんに、事情を説明しようとしたが、部屋には誰もいない。


腑に落ちないまま再び眠りについたジャイアン。

「もっとにぎやかにやろう」ドラえもんは、のび太にいたずらっぽくウィンクをすると、本棚の上にあったラジカセを爆音再生した。


「お、おれしらねえ!ほんと!ひとりでになりだしたんだよ!!」

かあちゃんに胸ぐらをつかまれたジャイアンは必死に弁解した。


どうもおかしな夜だ。二度と鳴り出さないようにラジカセを抱え、布団の中に潜り込んだジャイアン。

そのジャイアン入りの布団を、二体のポルターガイストが笑顔でズンズン踏みつけた。


「もうかんべんできねえ!!!」

ジャイアンは、ウガーッ!!!とバットをやみくもに振り回したが、「幽霊側は物質に作用できても、人間は幽霊に物理介入できない」という恐ろしい法則のため、のび太たちは「してやったり」のあざけり顔で跳梁し……。


部屋中に物が散乱し、ふすまと障子は破れ、骨組みまで折れ。

「ユーレイが、ユーレイが……」

ジャイアンの涙ながらの訴えは、かあちゃんのビンタのペチペチ音に無情にもかき消された。

幽霊が去り、ジャイアンはかあちゃんの往復ビンタを食らう - コピー.jpg

(余談だが、多分このシーンでふすまの内部構造を知った子供は多い)


「じつにすばらしいドロップだ」

「うらみをはらしたらあんなもの忘れろ!」

復讐には素晴らしい参謀役を果たしたドラえもんだったが、帰路ののび太のニコニコ顔に不穏なものを感じて、ぴしゃりと言った。

残念ながらその戒めの効果はなかった。


翌朝。

「やい、のび太!!ゆうべはよくもよくも」

通学路でジャイアンに胸ぐらをつかまれたのび太は、目をそらしてつぶやいた。

「今夜もばけてでよう」

ひるんで立ち去るジャイアン。

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(トレーナーがカワイイ)

放課後、骨川邸の前で、スネ夫に漫画を見せてもらっているクラスメートたちを見て、近づくのび太。

「おもしろそうなまんがだな。かして。」

「だれがおまえなんかに!!」

頼み方がわりと図々しかったのも相まって、スネ夫は非常に冷ややかに却下した。


「うらめしい!」空き地に駆けこんだのび太は、土管の陰でドロップを飲んで再び生霊と化した。

のび太の幽霊に大爆笑するスネ夫たち - コピー.jpg

化けて出たのび太に、スネ夫たちは「おもしろそうなまんが」を読んでいるときより、もっともっと大笑いした、スネ夫なんて指まで差して笑っていたが、それを見かけたジャイアンは笑わなかった。

「あまくみるなよ、じつはゆうべ……」

ジャイアンは話した。昨晩、ポルターガイストが引き起こした惨劇を。

真夜中の怨念怒声、ひとりでに鳴りだすラジカセ、布団に潜り込んでもトランポリンにされ、ついにはめちゃくちゃになった部屋、どれだけ「ユーレイが……」と泣きながら訴えても止まらなかった、かあちゃんの往復ビンタ……。

その恐怖物語に、スネ夫たちの心臓は凍り付いた。

「貸してやる……」

これで味をしめたのび太。


「ユーレイはいいなあ。一度やったらやめられないよ」

人間のルールと物理攻撃から完全に自由であることに、すっかり解放感を覚えてしまい、復讐ではなく単に気ままに人の生活を侵害しはじめる。


「もう宿題がおわったの?うらやましや〜」と、出木杉君の家に侵入して問答無用で宿題を写し、「遊ぼう」と入浴中のしずかちゃんに声をかけ。

「フワフワ遊んでばかりいて!!」

ママに怒られるユーレイのび太 - コピー.jpg

生活態度を叱るママ(背後のドラえもんが事前に状況を説明していたらしく、息子が幽霊姿であることには動じていない)にもどこ吹く風で、上空に飛んでいってしまう。


「きらくだなあ。ずうっとこのままでいようかな」

空に浮かぶ雲のひとつになったように、自由きままを謳歌するのび太。


しかし地上では、この理不尽にみんなが怒り始めていた。恨まれる覚えもないのに幽霊が出るなんて。

そんな中、スネ夫が空き地で、土管を背に座り込んでいるのび太を見つけた。妙にぐにゃりとして、ポケットにはへんなドロップが……。

漫画を強奪された腹いせか、無断でドロップを口に入れたスネ夫。

「これがユーレイの正体か!!」

自分も幽霊姿になったスネ夫はからくりに気が付いた。そして……。


ドラえもんは空を見上げながら肩をすくめていた。

「こんなことになりそうな気がしたんだ。だからやめろと言ったんだ」

幽霊は人間の物理攻撃を受けない。しかし幽霊同士なら話が別らしい。

ジャイアンの霊とスネ夫の霊に追いかけまわされながら、のび太は上空から必死に叫んだ。

「ブツブツひとりこといってないで助けてえ!!」



   (完)




【作品収録コミックス】

【画像引用作品】

映画版「攻殻機動隊」の原作になった「人形遣い」が登場する「09 BYE BYE CLAY」より。科学が生み出した知能の生命の是非について描かれている。


【参照】


(Youtube動画リンク)
posted by pawlu at 19:18| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月19日

天才脚本家ロッド・サーリングの恐怖ドラマ「四次元への招待(Night Gallery)」パイロット版3作品放送

ロッドサーリングとアイズの肖像画 - コピー.jpg
(ロッド・サーリングとドラマに登場する絵画)

映画「猿の惑星」(1968)、TVドラマシリーズ「トワイライトゾーン」(1959〜1964)などを手掛けたアメリカ映像作品界の巨人、ロッド・サーリングの「四次元への招待(原題:Night Gallery)」(1969)のパイロット版三作品が「スーパー!ドラマTV」で2025年7月22日23:00から放送される。

(レンタルにはアカウント作成が必要、サムネイルは白黒だがカラーの作品)

スーパー!ドラマTV #海外ドラマ☆エンタメ 2025/7/22(火) 23:00 (チャンネル視聴方法ページはこちら
[字]四次元への招待 パイロット版「復讐の絵画/アイズ/絵になった男」/THE CEMETERY/EYES/ESCAPE ROUTE
※約30分の作品3本

(1969年当時のトレイラー(※音量注意))
Night Gallery (1969) Pilot Trailer

【各話あらすじ】※スーパー!ドラマTVHPより引用

・「復讐の絵画」:嫌われ者のジェレミーは叔父を秘密裏に殺害し、まんまと遺産を引き継ぐが、屋敷の壁に飾られた風景画に奇妙な変化が起こっていることに気づく……。

・「アイズ」:盲目の富豪メンローは美術品のコレクションを自分の目で鑑賞するのが夢だった。なんとしてもその夢をかなえたい彼女は……。

・「絵になった男」:元ナチの戦犯ヨゼフは戦後、南米に潜伏していたが、追跡者の手は目前に迫っていた。どうにかして逃れたい彼は……。

人々が自身の行いにより容赦なく飲み込まれる「運命」の恐ろしさは、一滴の血も映らないのに、息もできないほどの迫力。

そして、作品に秘められた1960年代の時代への怒り(偏見、貧富の差、第二次大戦の傷跡など)が、それと地続きの不安な時代を生きる私たちの心にも、警鐘のように響き渡る。

お金を出せばなんでも買えるわ - コピー.jpg
(「アイズ」に登場する盲目の大富豪メンロー〈ジョーン・クロフォード〉。視力を渇望するあまり、生きた人間の視神経を買おうとする)

三作品とも物語に絵画が関わっていて、冒頭にロッド・サーリング本人がその絵画の前に立って、物語の幕を開ける構成。

NightGallery_201910_12 - コピー.jpg

(「復讐の絵画」の一場面、伯父を殺した甥ジェレミーに降りかかる恐怖。墓地の絵画の右下に「あるもの」が小さく浮かび上がっている……)(画像出典:映画ナタリー記事)


このドラマのために本物の絵を描いたのは「刑事コロンボ」や「ジェシカおばさんの事件簿」でもドラマに登場する絵画を手掛けた、舞台美術家のヤロスラフ・ゲブル氏。(画像左)

ヤロスラフ・ゲブラ氏写真 - コピー.jpg

(Image Credit:Hollywood (gebrart.com)

彼の絵が、ドラマの緊迫感と精神性に一層の重厚感を与えていて、恐ろしいと思いながら、あまりの凄みに心が引きずりこまれる。

(スプラッターシーンは一切ない。物語そのものの迫力が観客の心臓を鷲掴みにするような作品なので、「怖いのは苦手」という方も、1960年代アメリカの最高の映像芸術としてご覧いただけたらと思う)

どれも最高の出来栄えだが、圧巻は「絵になった男(The Escape Route)」。

ナチス戦犯の男が潜伏先の南米で出会った絵画にまつわる物語で、アイヒマン裁判(1962年処刑)が背景にある。(「アイヒマンの次はあんただ」というセリフが、男に死を予言している)

悪魔のような男の一脈の人間性と、運命の審判の苛烈さが、強烈なコントラストを生み出した傑作だ。

(自身もユダヤ系でありながら、ナチス戦犯の男の中にも「人間」を見たサーリングの「究極の冷静」には尊敬を通り越して畏怖の念を抱かずにはいられない)

絵になった男 絵を見つめるシュトローベの背中リサイズ - コピー.jpg

絵の中の世界に憧れるシュトローベ - コピー.jpg
(ナチス戦犯として逃亡の日々を送るシュトローベ。美しい湖の上の漁師の絵を見た彼は、その絵の中の静かな生活に憧れる)

SFアンソロジー・ドラマの金字塔「ミステリーゾーン」の生みの親であるロッド・サーリングが、再び超常現象をテーマとするアンソロジー・ドラマに挑んだシリーズを字幕版日本初放送(ただしパイロット版のみチャンネル初放送)。サーリングは「ミステリーゾーン」同様、本作でも脚本とホスト役を務めており、「ミステリーゾーン」以外のロッド・サーリング脚本作が楽しめる非常に重要な作品となっている。本作は、60分(パイロット版は120分)の中で、2本あるいは3本の魅力的だが背筋の凍るような短編を放送するというオムニバス形式をとっている。
日本では「怪奇!真夏の夜の夢」と題して放送された本作のパイロット版では、3本の短編の中の1本「アイズ」を、当時まだ20代のスティーブン・スピルバーグが監督。日本では残念ながら放送時にカットされてしまったこの「アイズ」は、「刑事コロンボ/構想の死角」や「激突!」よりも前となる彼のプロデビュー作である。
(c)2019 Universal Studios. All Rights Reserved.

【ネット配信情報】

FOD「(字幕版)四次元への招待」※カラー作品(単品レンタル48時間300コイン/330円)



【当ブログ関連記事】

コロンボの肖像画と本人 - コピー.jpg

(Image Credit:Youtube)


2つの監獄実験 人は簡単に悪魔になるのか(NHK「ダークサイドミステリー」番組情報と実験のもとになったハンナ・アーレントの考察とミルグラムの実験について)

アイヒマン 命令に従っただけです - コピー.jpg
(元ナチス親衛隊アイヒマンの裁判証言〈映画『ハンナ・アーレント』で使われた実際の裁判映像〉)(Image Credit:Youtube)

アイヒマン裁判以後、裁判を傍聴したユダヤ人哲学者ハンナ・アーレントが解いたアイヒマンの「悪の陳腐さ」について、心理学から検証しようとした「ミルグラム実験」「スタンフォード大学監獄実験」などについてご紹介した記事

葉巻についてビショップに訪ねるコロンボ ロジャーのシャツとメダル - コピー.jpg
第一話「復讐の絵画」のジェレミーを演じたロディ・マクドウォールが犯人役の回のご紹介記事。軽薄な甥による伯父殺人という設定ほか、共通点が多い作品。


四次元への招待 -日本語吹替音声収録コレクターズ・エディション- [DVD]


【参照】

・ロッドサーリング(Wikipedia)日本語版英語版


ヤロスラフ・ゲブル氏のIMDb紹介ページ

ヤロスラフ氏の訃報ページ

ヤロスラフ・ゲブル氏HPトップ

上記HP内、コロンボの肖像画、ほか氏の作品が観られるページ


posted by pawlu at 07:30| おすすめ番組 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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