2021年07月23日

サイモン&ガーファンクル コンサート イン セントラルパーク NY 1981 BSプレミアムで放送


 1981年9月、50万人を動員した、サイモン&ガーファンクルの伝説的コンサート「コンサートインセントラルパーク」の模様がNHK BSプレミアムで放送される。
 放送日時:2021年7月24日 〜 

番組HP情報

サイモン&ガーファンクルが1981年9月19日に、ニューヨークのセントラルパークで行ったコンサート。デジタルリマスター(ビデオレストア)による映像でお届けします

演奏曲目:「Mrs. Robinson」、「America」、「Scarborough Fair」、「April Come She Will」、「Bridge Over Troubled Water」、「The Boxer」、「Old Friends」、「The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)」、「The Sound Of Silence」、ほか



 乾きひび割れた心に柔らかに染みわたるような音楽と、まだベトナム戦争の傷をどこかに感じさせる観客たちの、深い歌詞と澄んだ歌声に真剣に聴き入る姿が、印象に残る。

観客の様子1 - コピー.jpg

観客の様子2 - コピー.jpg

観客の様子3 - コピー.jpg
Image Credit:Youtube 

 シンプルな舞台と衣装で、歴史に残るパフォーマンスをしたポール・サイモンとアート・ガーファンクル。

サウンドオブサイレンス 歌い始め - コピー.jpg
Image Credit:Youtube 

 とくにこの三曲の響きは天から降り注ぐようだ。


 孤独な群衆の沈黙を歌う、現代の予言のような名曲「サウンドオブサイレンス(The Sound Of Silence)」。




 「サウンドオブサイレンス」とともにダスティン・ホフマン主演映画『卒業』で使われた「Scarborough Fair(スカボローフェア)」。


(もとはイングランド民謡で、旅人に昔の恋人への伝言を託すという形で、元には戻せない愛を歌っているが、録音版の「Scarborough Fair/Canticle(詠唱)」では、時代を反映して戦争の悲しみをささやく声が、もとの歌に重ねられている。このコンサート版も、失われた愛と平和の、二つの悲しみが秘められているのだろう。)


(歌詞が重ねあわされているバージョン)
Simon & Garfunkel - Scarborough Fair/Canticle (Audio)



 愛する人を守る思いを歌った「Bridge Over Troubled Water(明日に架ける橋)」(ゴスペルの影響を受けた作品)。


(天使の歌声と言われるアート・ガーファンクルが、自身でも会心の出来を実感してか、歌い終わりに静かに拳を握りしめている。動画には「彼はただポケットに両手を突っ込んでそこに立ち、音楽史史上最も偉大な歌声を届けた」というコメントが記されている。)

明日に架ける橋 歌い終わり - コピー.jpg


(温かな音色のピアノはリチャード・ティー(Richard Tee)氏、動画には彼の演奏の功績を称える声もいくつも寄せられている。

明日にかける橋 Richerd Tee氏演奏 - コピー.jpg
Image Credit:Youtube 

 【補足】当ブログ「サウンドオブサイレンス」関連記事。
 (一部歌詞の意訳と、オリジナル動画、7億三千万回再生を記録(2021年7月現在)し、ポール・サイモンご自身が公式に紹介したディスターブドの傑作カバー曲動画をご紹介した。)



そのほか、2021年7月現在サイモン&ガーファンクル公式Youtubeチャンネルで公開中のセントラルパークコンサートの動画一覧






















【参照URL】
・サイモン&ガーファンクル公式Youtubeチャンネル

・歌詞、時代背景などを動画引用も付けてくわしく解説してくださっているページ
「世界の民謡・童謡 世界の名曲解説、歌詞の意味・由来・歴史を研究する音楽サイト」




・セントラルパークコンサートの英語版ウィキペディア記事
ラベル:音楽
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2021年07月14日

ドラえもん「こっそりカメラ」(隠し撮りと野次馬たちへのブーメラン)

いつだれに見られても恥ずかしくない生活 - コピー.jpg


 「こっそりカメラ」は、スネ夫にビデオカメラで私生活を隠し撮りされて大恥をかいたのび太が、復讐のために未来のビデオカメラで、スネ夫を撮影しようとするお話。(てんとう虫コミックス15巻収録)

 (この巻には「ゆめのチャンネル」「階級ワッペン」「どくさいスイッチ」などの名作も収録されている。)

 スネ夫の盗撮行為をいさめずに、一緒になってのび太を笑いものにした友人たちも、思わぬ事態に巻き込まれていく。


 


あらすじ(ネタバレご注意)


 道を歩いていても、家で昼寝をしていても。

「へんだなあ、この二、三日、誰かに付け回されている気がする」

のび太が目を向けるたび、誰かがすばやく隠れるような気配がするのだ。

誰かにつけ回されている気がする - コピー.jpg

 気のせいでなかったことは、わりとすぐに判明した。

 「苦労したよ、気づかれないようにとるんだからね。」

 ビデオカメラを片手に、「ありのままのすがたがとれたよ。」と得意がるスネ夫に、おもしろそうだな、見せろよ。と、ジャイアンたちがニヤついて立ち話をしていた。

ありのままのすがたがとれた - コピー.jpg


 「ぼくにも見せて!」

のび太が混ざろうとしたら、スネ夫は、「のび太は見ない方がいいのに」と、妙にそっけなかった。


 おもしろいものならぼくも見たい!と、食い下がって、上映会に参加するのび太。

(このほかに、ジャイアン、少年二人(はる夫と安雄〈よく登場する脇役友人、野球帽の少年が安雄、丸顔のほうがはる夫〉)、しずかちゃんが参加。)

 野鳥か昆虫の観察記録なのかと期待していたら、

「のび太のしっぱい日記」

失礼なタイトルと、スネ夫の解説とともに次々と映し出される、のび太の「ありのままのすがた」。

のび太の失敗日記 - コピー.jpg

 「女の子に見とれているところ。」

そして、水たまりに足をつっこむのび太。(観客〈ジャイアンたち〉から笑い声が上がる)

「おい、へんなところとるなよ。」


「いいところを見せようと思って。」

道で遊ぶ小さな子に、けん玉を借りてお手本を見せようとしたものの、繰り返し失敗してこぶだらけになり、笑われながら立ち去るのび太。


「おひるね。あどけないお顔。」

鼻ちょうちんにヨダレを垂らし、熟睡するのび太。

「おやつのあとは、おさらもきれいにペロペロ。」

「もういいよ、やめろよ」

電柱に用を足そうとして立ち止まったら、その足めがけて犬に用を足されるのび太。

「やめろってば!!」


 猛抗議するのび太に、「だから見ないほうがいいと言ったろ」と、スネ夫はニヤつき、ジャイアンも「怒ることないだろ」とヘラヘラのび太を制止した。

「ほんとにおまえがやったことばかりだろ」

安雄とはる夫も、ジャイアンに同意した。

「たとえばさ、かがみにうつした顔がみにくいからって、かがみにおこるのはまちがいだよ。」

と、はる夫。

「ようするにいつだれに見られてもはずかしくないように、生活してればいいんだ」

と、安雄。

「イエース」

スネ夫がなぜか英語でとどめを刺した。

かがみにおこるのはまちがい - コピー.jpg



 「フーン……、みんなりっぱなこというなあ」

帰ってきて悔しさにむせび泣くのび太の話を聞いたドラえもんは、冷ややかな目にへの字口をとんがらせた、もの言いたげな顔で腕組みをしていた。

みんなりっぱなこというなあ - コピー.jpg


 もちろん、この残酷な仕打ちを許す気は無い。

復讐として、スネ夫を撮影し返すために、未来のビデオカメラを取り出すドラえもん。

撮影機は昔ながらの8ミリビデオカメラに似ているが、「電送レンズ」は、小豆粒くらいに小さい。


 機能を説明するために、通りすがりのママに、その小さな電送レンズを投げてくっつけた。

「うつさないの。行っちゃうよ」

「いまうつしてる」

ドラえもんはカメラを床に転がしたまま、のんびりねそべっていた。


 そろそろいいか。

ビデオカメラの時間を戻すと、カメラがそのまま映写機になって、壁に映像が映し出された。

映像の中では、一階に降りたママが、鏡台に向かっていた。

鏡の前で少し不満そうなママ。

「ふしぎねえ……。だれにもいわれたことがないわ。こうしてニーッとわらうと……。池内淳子そっくりだと、思うんだけどな。」

池内淳子そっくり - コピー.jpg

(池内淳子 上品な色香漂う美人女優。『男はつらいよ』8作目「寅次郎恋歌」でマドンナを演じた。)


 この映像を観たのび太とドラえもんはお腹を抱えて笑いながらやってきて、

「ママは池内淳子ににてるなあ」と、言ってあげた。

そして、な、なによ突然、と赤面するママから、ひそかにレンズを回収。


 「ぼくはこそこそぬすみどりなんかしない。どうどうと予告する!」

カメラを手に表に出たのび太は、スネ夫たちを前に高らかに言った。

「スネ夫のありのままのすがたをとって、今夜大公開する!」

「ぼくの!?」

おもしろそうだな。必ず見にいくぜ。

さっきはのび太を笑っていたジャイアンたちが、また無責任に面白がっていた。

スネ夫のありのままのすがたを大公開する - コピー.jpg


とれるものなら、とってみろ!

走り去ろうとするスネ夫の背中に、のび太は電送レンズを投げた。

しかし、このとき風が吹いて、小さなレンズはスネ夫のそばを歩いていた猫にくっついた。

のび太もドラえもんもこれに気づかず、家に帰ってしまう。


 夕方、みんなに見せる前に試写をしてみたところ……。

猫の歩いている姿が映った。

続いて、しずかちゃんが両手で口を左右に広げ、目を上下にぎょろぎょろさせながら、あかんべーをしている顔。

「顔の美容体操ってほんとにきくのかしら。ベロベロバー。」

しずかちゃんの家の中を通り道にしているらしき猫が、しずかちゃんの変顔美容体操を見ながら廊下を歩いて行った。

しずかちゃんの美顔体操 - コピー.jpg




 「電送レンズをネコにくっつけたな!」

 ふたりはようやく失敗に気づいたが、猫の行く先々が映し出されたその映像を「すごい記録映画になるぞ」と見続けた。

すごい記録映画になる - コピー.jpg

 「きょうは塾へ行くのをさぼって、ゆっくりとマンガを立ち読みしよう」

 本屋に入りびたり、サボり時間を堪能する安雄。(幸せそうに読んでいるのは『オバQ』)

塾をさぼる - コピー.jpg

 「ひそかにためたハナクソがこんなボールになった。」

野球ボールを二回りほど大きくしたようなキングサイズハナクソを前に、嬉しそうに鼻をほじって引き続いての増量にいそしむはる夫。

鼻くそボール - コピー.jpg

 窓の向こうで気持ちよさそうにお風呂に入るジャイアン。

湯に浮いてきた大きなあぶくにすかさず定規をかざすと、もろ手を挙げて満面の笑みとともに叫んだ。

「やったあ!!ついに直径五センチのおならアブクをつくったぞ」

おならのあぶく - コピー.jpg

 そして、スネ夫。

ママのお使いも断り、カーテンも閉め切って隠れていたが、ついにママに引きずり出された。

「どうしておもらしするまで、おしいれにこもっていたざますか!」


 夜、スネ夫以外の四人が野比家を訪ねてきた。

「スネ夫はきたくないって。」

「ぼくたちだけにみせてよ。」


 のび太の部屋で待つ四人を前に、のび太とドラえもんは小声で話し合った。

「これうつしたらおこるだろうね。」

「……だろうね。」

「もったいぶらずにさっさとうつせよ」

「スネ夫のありのままのすがた」「だけ」を観られると思い込んでいるジャイアンはのび太たちをせかし、ほかの三人もそう信じて、ニコニコと笑っていた。


(完) 

(結末部に、記録再生後、忍び足で去るドラえもんとのび太のカットが添えられている。)







注目ポイント1 凄腕潜入カメラニャン


入浴中のジャイアン - コピー.jpg

 ネコは、家々の塀を越え、窓際を歩いても、家によっては勝手に上がり込んでも気に留められない。

 そしてターゲットは、ネコに見られたからといって、逃げたり見栄を張ったりする必要がないと思い込んでいるので、「ありのままのすがた」をさらしてしまう。

 2017、8年頃から、アメリカやイギリスの自然番組で、小型カメラを野生動物自身に取り付ける、または、動物や雪の塊や卵などにそっくりの姿をしたカメラ付きロボットで撮影する手法が登場した。


(小型カメラを装着したチーター)

カメラを着けたチーター - コピー.jpg

Image Credit: Yotube

(ウミガメ型のロボットカメラ)

ウミガメ型ロボットカメラ - コピー.jpg

Image Credit: Yotube

(NATURE | Animals with Cameras, Episode 2: Official Trailer | PBS)


Best of Wild Animals Caught on Spy Cam | BBC Earth

 こうした自然番組の「見えていても、気に留められない存在」のカメラは、警戒されずにターゲットのテリトリーに潜入し、至近距離から動物たちの「ありのままの姿」を記録している。

(家族にふざけて顔面パンチするチーター)

家族にパンチをしてふざけるチーター - コピー - コピー.jpg

Image Credit: Yotube


(海水で薄めたフグ毒でハイになろうと、つかまえたフグを口にくわえて悪い笑みを浮かべるイルカ)

フグでハイになるイルカを撮った映像 - コピー (2) - コピー.jpg
Image Credit: Yotube

 「こっそりカメラ」のかわいいカメラニャンは、このアイディアを1970年代前半(197310月発表)に実行して、衝撃映像をものにしているのだ。

レンズはネコについた - コピー.jpg

頭に小型カメラをつけたチーター - コピー.jpg

Image Credit: Yotube


 すぐにその価値に気づいて「すごい記録映画になるぞ」と言ったのび太も鋭い。

(マナーとしてはアウトだが。でもまあ、最初に盗撮されたのび太をバカにしたのはジャイアンたちだし……。)

 そして、カメラが、スネ夫ではなく、人々のテリトリーの越境者である猫についたことで、盗撮を肯定し、他人のプライバシーを笑っていた友人たちの秘密も等しく暴かれていくことになる。



注目ポイント2 友人たちの発言とドラえもんのまなざし


 「いつ誰に見られても恥ずかしくない生活をすればいいんだよ」

 ゴシップとプライバシーの問題はいつもぶつかり合い、人の私生活の秘密を暴く側とそれを娯楽にする側の理屈は、安雄のこの台詞によく似ている。

しかし、彼らがのび太に投げたブーメランは、のび太を傷つけた後、見事に自分たちに戻ってきた。

 いつ誰に見られても恥ずかしくない生活を24時間365日続けるなんて誰にもできない。

ドラえもんの「ふーん、みんなりっぱなこと言うなあ……」と言った時の、全然同意していない表情が、それを物語っている。

(ドラえもんの表情の中でも名作の一つだろう。「のび太の痛みに思いをはせながら、人生の幾山谷を越えた長老のような、世の中の裏表を知り抜いているような冷めた達観を漂わせ、相変わらずかわいくておもしろい」顔をしている)

みんなりっぱなこというなあ2 - コピー.jpg

 きっとドラえもんは、自分だってそんな生活は無理だと自覚している。どら焼きがかかると意地汚いし、ネズミを見れば地球破壊爆弾を出そうとするし。

 だから、ドラえもんは即座に「よしっ、きみも8ミリでスネ夫を撮れ!」と言う。

堂々と宣言して撮っても、プライベートを追い回せば、「イエース」と小憎らしい顔で笑っていたスネ夫だって、必ずどこかでボロを出すとドラえもんにはわかっていたのだ。

(そして案の定スネ夫は〈よっぽど身に覚えがあるのか〉即座にうろたえ、ありのままの姿で暮らすどころかトイレにもいかずに籠城してしまう。)

 しかし、この作品でより印象深いのは、ストレートに復讐されたスネ夫よりも、自分たちだけは品行方正なつもりで面白がろうとしていたジャイアンたちのほうだ。

 彼らは、自分が現在進行形で行っている「見られたら恥ずかしい」ことをきれいさっぱり忘れてのび太を嘲笑し「かがみにおこるのは、まちがいだよ」だなんて追い打ちをかけている。

そんな「りっぱなこと」を言う前に、ほんのちょっとも、塾カバンを下げたまま立ち読みする本屋、机の中のキングハナクソ、おなら計測用の定規が頭をよぎらなかったのか。

発言と秘密 安雄 - コピー.jpg

発言と秘密 はるお - コピー.jpg

発言と秘密 ジャイアン - コピー.jpg

 よぎればスネ夫にやめろと言えたかもしれないし、少なくともあんなかっこいいがゆえにかっこ悪い台詞を言わずに済んだし、そうすればのび太は復讐を思いとどまり、まわりまわって自分たちの秘密を暴かれずに済んだのに。

 しかし、人が人をあざ笑っているときの脳内は、そんなものなのかもしれない。

 腕組みしたドラえもんの冷めた目は、彼らの「(ご)りっぱな」言葉が棚上げしたものを見つめているようだ。



注目ポイント3 のび太のために怒るドラえもん


 泣いているのび太の話を静かに聞いた後、どこに隠れようが全てを映し出してしまう恐ろしいビデオカメラを取り出すドラえもん。

 確かにのび太はだらしないし、落ち度もあるが、そこを付け込まれ、みんなの笑い者にされて泣くのび太に、教育と世間体ありきの大人のように、そのタイミングで説教をしたりしない。

※(もちろん、ふだんのドラえもんは、のび太の生活態度を何度も注意している)(例:コミックス23巻「ぼくのまもり紙」)

ドラえもんのお説教 そこがきみの悪いところなんだ - コピー.jpg

 そして、付け込んできた相手のことは許さない。

「のび太くんをばかにするということは、ぼくをばかにするということだ、ゆるせぬ!」(4巻「のろいのカメラ」より)

のび太君をばかにするということはぼくをばかにするころだ - コピー.jpg

 そんなふうに、まず、のび太の悔し涙に寄り添い、残酷なことをした加害者に対して一緒に腹を立ててくれるドラえもん。

 味方としては理想的だが、ひみつ道具できっちり「目には目を」的な復讐をするので、敵にまわすと非常に恐ろしい存在でもある。

ふくしゅうはおわった - コピー.jpg




 時代を40年以上先取りしたかわいい潜入カメラニャン。

 正論風のことを言いながら他人のプライバシーを娯楽にする人々自身が棚上げしているもの。

 そしてドラえもんの冷めた達観と、味方としての頼もしさ、復讐者としての容赦無さ。

 『ドラえもん』の奥深い魅力が凝縮された一作だ。






posted by pawlu at 20:27| ドラえもん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月11日

新種恐竜「のび太」命名記念、漫画名場面ご紹介

ノビタサウルス - コピー.jpg

のび太くんの願いをかなえてくれたシン先生 - コピー.jpg
(Image Credit:Youtube

 2021年7月、中国で足跡の化石が発見された新種の恐竜が、ドラえもんファンの研究者、シン准教授によって、のび太にちなんだ名前、「エウブロンテス・ノビタイ」と名付けられた。




 (ニュースをご紹介した当ブログ前回記事「新種の恐竜の名前「のび太」になる(恐竜の足あとの化石発見ニュース)」はこちら)

 今回はこのニュースに関連する漫画版『ドラえもん』の名場面をご紹介させていただく。




『のび太の恐竜(原作漫画版)』の化石発掘シーン 


大長編ドラえもん1 のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
大長編ドラえもん1 のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄


 『のび太の恐竜』は、のび太が発掘した恐竜の卵から生まれた首長竜の「ピー助」とのび太たちが、ピー助の生まれ故郷の白亜紀で繰り広げる冒険の物語。

 大長編ドラえもんシリーズの中でも傑作のひとつで、繰り返し映画化されている。

 最新の2020年公開リメイク版では、発掘体験に行ったのび太が新種の恐竜二頭をふ化させるという話になっているが、原作の化石発掘の経緯は次のようなものだった。



 ティラノサウルスの爪の化石をスネ夫に自慢され(しかもあまりよく見せてもらえなかった)、くやしさのあまり、自分で恐竜まるごとの化石を発掘してみせる!!と、うっかり宣言してしまったのび太。


 「できることかできないことかよく考えてからしゃべってくれ!!」

 だいたいきみは…無責任というか……。かるはずみ!おっちょこちょい!

 助けてもらうつもりだったドラえもんに立て続けにお説教をされたのび太は、「もういい!」と、自力で発掘をするべく、本をかき集めて勉強をはじめる。

のび太の恐竜 山のように本を積み上げて - コピー.jpg

 (かき集めた五冊の本のうち『太古の動物』『恐竜の発見』『化石の見つけ方』はいいとして、のこり二冊が『怪獣図鑑』と『回虫のおろし方』なところがのび太らしい。〈藤子F先生の緻密なギャグ〉)

のび太の恐竜 怪獣と回虫の本 - コピー.jpg

(※回虫……人間などの腸に棲みつく寄生虫)

 「あの頭では半分も理解できないと思うし……。すぐあきて投げだすだろうけれど……」

(半分理解できたとして、そのうちの五分の二は怪獣と回虫の知識になるけれど……。)

「自分の力でやってみようという心がけはりっぱだ!失敗してもいいさ!温かい目で見守っててやろう!」

のび太の恐竜 すぐ飽きて投げ出すだろうけど - コピー.jpg

 そう思ったドラえもんは、読書にいそしむのび太を「あったかーい目……のつもり」で見つめるが、振り向いたのび太は、

「なんだよ。ニタニタとしまらないうす笑いなんかうかべて……」

と、バッサリ切り捨て、ドラえもんを憮然とさせる。

(「あったかーい目……のつもり」の丸っこい手書き文字が味わい深い)

のび太の恐竜 あったかーい目 - コピー.jpg


 独学の結果、近所のガケを有望とにらんで、朝から発掘を始めたのび太。

 しかし、手が痛くなるまで掘っても、化石が出てこない。

「こらあ!そんなところで何してる!」

ガケ下の家のおじさんの怒鳴り声がした。


 「どうも今朝から屋根や庭に泥が降ってくると思ったら……」

ガケから降りてきたのび太は言った。

「よろこんでください、いやになってやめるところです」(言い方)

「やめればいいというものではない!」

のび太の恐竜 いやになってやめるところです - コピー.jpg


 おじさんは、罰としてゴミを捨てる穴をのび太に掘らせることにした。

(当時、生ごみは庭に穴を掘って埋める家が多かった。)

 これもドラえもんが手を貸してくれなかったせいだ、と、あんなに「あったかーい目」で見守ってくれていたドラえもんを逆恨みしながら、穴掘りをしていたのび太だったが、そのシャベルが恐竜の卵の化石を掘り当てた。

のび太の恐竜 卵の化石発見 - コピー.jpg


 卵をタイムふろしきでよみがえらせ、孵化させると、かわいい首長竜(フタバスズキリュウ)の赤ちゃん「ピー助」が生まれた。

のび太の恐竜 ピー助誕生 - コピー.jpg


 ピー助は、布団の中で卵をあたためてくれたのび太によくなつき、ふたりは固い絆で結ばれることになる。

のび太の恐竜 のび太が大好きなピー助 - コピー.jpg

 (この作品は、のび太のピー助を守ろうとする姿や、ジャイアンとの友情、しずかちゃんへの思いなど、感動的なシーンがたくさんあって本当におすすめだ。)




「恐竜さん日本へようこそ」(てんとう虫コミックス31巻収録)




「中国の恐竜展」に行ったのび太たち - コピー.jpg


 「中国の恐竜展」(1981年上野国立科学博物館で開催)を観に行ったのび太。

 日本でも中国のように恐竜の化石がたくさん見つかってほしいと思い、飲んだ相手を招待できる薬「招待錠」を使って、大昔の中国の恐竜たちを、日本に招待しようとする。

 (当時はフタバスズキリュウ以外、日本の恐竜の化石はあまり見つかっていなかった。)


 「ぼくがうちの庭から掘りだしたりして」

 「ノビタサウルスなんて名前がついたりして」

ノビタサウルス - コピー.jpg

 ワクワクしながらタイムマシンに乗り込んだ二人は、来てほしい恐竜たちを探して「招待錠」を飲んでもらうが……。

恐竜に招待錠を飲んでもらう - コピー.jpg




「恐竜の足あと発見」(てんとう虫コミックス44巻収録)



古新聞を手に盛り上がるのび太 - コピー.jpg



 「すごいと思わない?恐竜の足あとの化石だって!」
興奮してみんなに新聞を見せるのび太。
ところがそれは古い新聞で、みんなとっくにそのニュースを知っていた。

 おくれている、と笑われてしまい、挽回したいのび太は、今度化石が見つかるのはいつだろうとドラえもんに聞く。
「そんなことわかるもんか。足あとが化石となって残るのは、ひじょうにめずらしいことだからねえ」
こういう大発見は二度とないんじゃないの。
足あとが化石になるのはめずらしい - コピー.jpg


 がっかりしたのび太だが、恐竜のいた9000万年前に行き、足跡をつけさせて化石を作ることを思いつく。

足あとをつけてもらって化石にしよう - コピー.jpg


 恐竜の生息地に「そくせき岩のもと」をまき(地面がセメントのようになる)、足形をとろうとしたが、恐竜に追いかけられたのび太が「岩のもと」の中に転んでしまい、恐竜の足あとではなくのび太のかたがつく。

のび太のかたがついちゃった - コピー.jpg


 それは「サルのような生き物が転んだあとの化石」となり、9000万年前にサルがいたはずがないと、大騒ぎを巻き起してしまった



のび太の「足あと」の夢


足あとを残したい - コピー.jpg

 昼寝をこよなく愛し、怠け者のイメージの強いのび太だが、実は、大きな夢があった。


 「とにかくこの世に生まれたからには、何か一つ足あとをのこしたい!」

野比のび太の名を歴史の一ページに残したい!


 「ツチノコ見つけた!(てんとう虫コミックス9巻収録)」の中で、そう決意したのび太は、そのためにはどうすればいいのか、真剣に考えながら寝落ちしてしまい、鼻チョウチンとともにいびきをかく。

真剣に考えて寝落ち - コピー.jpg

 しかし、この直後、ドラえもんから、幻のヘビ「ツチノコ」の第一発見者として、ジャイアンが未来の図鑑に名を残していることを知らされ、ジャイアンより先にツチノコを見つけようと捜索に乗り出す。

ドラえもん(9) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん(9) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄


 また、「歩け歩け月までも」(てんとう虫コミックス26巻収録)でも、

「せっかくこの世に生まれたからには、歴史に名を残したいんだよ。だれもやっていないようなことをして…………」

と、人生について、夜更けまで考え込んでいる。

名を残すために人生について考える - コピー.jpg

 感心したドラえもんが、「たとえばどんな?」と、真剣に耳を傾けると、

「さか立ちで世界一周するとか、大仏さんの手で、世界一のあやとりを作るとか」

あれこれ考えているとねむれなくて……。

ドラえもんが無言で押入れの寝床に戻る中、のび太は引き続いて物思いにふけっていた。(そして翌朝寝坊した。)

(省略の効いた絶妙のテンポ。あとドラえもんのお尻かわいい)

あれこれ考えて眠れないのび太と寝床に戻るドラえもん - コピー.jpg

ドラえもん (26) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄
ドラえもん (26) (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄

 どちらも、オチはいつもののび太だが、とにかく、彼にはそういう少年らしい夢があったのだ。

 ツチノコ探しに奔走したり、大仏さんの手で世界一のあやとりを作ろうかと考えたり、恐竜の足あとの化石を発見しようとして「サルのような生き物がころんだ跡の化石」を作ってしまって進化論を大混乱に陥れたりしていたのび太だが、今回、足あとの化石が見つかり、シン先生が、その足あとを残した新種の恐竜の名前を「ノビタイ」にしてくださったことで、「この世に生まれたからには何かひとつ足あとをのこしたい!野比のび太の名を、歴史の一ページにのこしたい!」というのび太の夢が実現した。

 ピー助を育て、庭で発見した化石に「ノビタサウルス」なんて名がついたりして、と、ドラえもんと嬉しそうに話し合っていたのび太にとって、最高の「足あと」を、ついに残すことができたのだ。



大長編ドラえもん1 のび太の恐竜 (てんとう虫コミックス) - 藤子・F・不二雄





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